3行でいうと
- OpenAIは、広告を「答えとは別のもの」として扱うと説明しています。広告は「広告」と分かる表示を付けて、答えの下に別枠で出し、広告主は会話の中身を受け取らない、というのが公式の説明です。
- 広告が出るのは、無料版とGoだけです。Plus、Pro、Business、Enterpriseには出ません。健康、心の問題、政治の話の近くには出さず、18歳未満と判定されたアカウントにも出さない、と書かれています。
- 「答えに広告が影響しない」は、会社の約束です。第三者がそれを確かめた報告は、僕らは見つけていません。自分の側でできるのは、プランを確かめ、設定でパーソナライズを切り、広告は広告として読むことです。
この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、OpenAIの公式文書(2026年1月16日、8月31日、ヘルプ)と、報道、米連邦取引委員会(FTC)などの文書を、2026年10月15日に読んでまとめたものです。
先に結論
- 確かなこと。 OpenAIは、広告の原則(答えの独立、会話のプライバシー、選べること、など)を公開し、広告は答えと分けて表示すると説明しています。
- 数字の読み方。 「年換算10億ドル」は、いまの勢いを1年に引き伸ばした「ランレート」で、1年間に実際に入った売上ではありません。Adweekも、まだ年間で10億ドルを超えたわけではないと書いています。
- 未確認のこと。 広告が実際の答えに影響していないかを、外から確かめた報告は見つけていません。画像生成の横に出る広告の表示の形や、対象のプランは、報道で食い違いがあり、確定していません。
- 使う人にできること。 広告が出るプランかを知り、Ad Controls(設定)でパーソナライズを切り、広告を押す前に「これは広告だ」と意識します。
前提:用語をそろえる
- ネイティブ広告:サービスの中身と似た形で出る広告です。記事に似た広告、検索結果に似た広告などです。形が似ているので、「広告だと分かる表示」が大切になります。
- CPC(クリック課金):広告がクリックされた回数に応じて、広告主が払う仕組みです。
- コンバージョン:広告を見た人が、購入や申込みなど、広告主の狙った行動をすることです。
- ROAS(広告費用対効果):広告に使った費用に対して、売上がどれだけ戻ったかの倍率です。
- ランレート(年換算):直近の売上の勢いを、1年に伸ばして表した数字です。記事283(ARRと総額・純額)で扱いました。
OpenAIが公式に書いていること
3つの文書を、日付順に読みます。
1. 2026年1月16日:広告の考え方(OpenAI)
- 5つの原則が挙げられています。使命との整合、答えの独立(広告は答えを形づくらない)、会話のプライバシー(会話は広告主に見せず、利用者のデータは売らない)、選べること(パーソナライズを切る、広告関連のデータを消す、広告のない有料プランを選ぶ)、長期の価値(滞在時間を目標にしない)。
- 最初の対象は、米国での試験で、無料版とGoです。Plus、Pro、Business、Enterpriseには出さない、とあります。
- 健康、心の健康、政治のような話題の近くには出さない、18歳未満(申告または推定)のアカウントにも出さない、と書かれています。
- 最初の広告は、答えの下に、関連する商品やサービスがあるときだけ出ます。「広告」と分かる表示を付けて、答えと分けるとあります。
2. ヘルプ記事(OpenAI)
- 広告は、ChatGPTの答えの下に出ます。試験の間は、Atlasブラウザの中には出ず、一時チャット(Temporary Chats)にも出ません。
- 広告は有料の掲載(paid placements)で、広告が出ても、OpenAIがその広告主を推薦しているという意味ではない、と説明されています。広告は別のシステムで動き、広告主は答えを変えられません。
- パーソナライズをオンにすると、記憶や過去のチャットの手がかりが使われることがあります。オフにすると、いまのチャットだけが使われます。欧州経済領域(EEA)とスイスでは、当初、パーソナライズ広告は使えません。
- 設定の「Ad Controls」で、パーソナライズを切る、広告を隠す・報告する、なぜその広告が出たかを見る、広告関連のデータを消す、ことができます。消したデータは、最大30日で除かれる場合があります。無料版の利用者は、利用上限が低い「広告なし」の選択肢も選べます。
- 広告主が受け取るのは、表示回数やクリック数などの集計だけです。チャット、履歴、記憶、個人の情報は渡りません。ただし、利用者が広告主に直接メッセージを送ると、広告主はそれを見ます。
3. 2026年8月31日:「年換算10億ドル」(OpenAI)
- ChatGPTの広告は、開始から200日足らずで、年換算の売上10億ドルに達したとあります。広告主は数万社、40か国以上で提供されています。
- 入札は、クリック課金と、成果にあわせて最適化する方式が多くを占めます。計測には、ピクセルとコンバージョンAPIがあり、商品フィード、地域、カスタムオーディエンスなどの狙い方があります。
- 広告は「いまの会話の文脈」に合わせて出ます。国や設定によっては、ほかのChatGPTの利用の文脈も使うことがあります。
- 広告は、「いつも明確に表示され、答えとは別」で、広告は答えに影響しない、と書かれています。
画像生成の横に出る広告:報道ベースの話
TechCrunchは、2026年10月5日に、OpenAIが画像生成の結果の横に出る「ビジュアル広告」を発表したと伝えています。ポイントは次のとおりです。
- 広告は、生成された画像の「中」ではなく「横」に出ます。
- 開始は10月後半で、最初は米国のみです。
- 広告は「はっきり表示」され、ChatGPTの出力には影響しないと、OpenAIが説明しています。
- どのプランに出るかは、TechCrunchの記事には書かれていません。別の解説サイトは「無料版とGo」としていますが、一次の文書ではないので、僕らは確定とは扱いません。
- 広告が出るべきでない文脈を見分ける「ブランド適合性」の評価は、DoubleVerifyとIntegral Ad Scienceと試験を準備中で、まだ完成していません。
この件のOpenAI自身の発表文は、僕らは直接確認できていません。表示の形(ラベルの文言、大きさ)も不明です。
「答えと広告を分ける」とは、何を見るのか
ここから先は、僕らの見立てです。公式文書と指針を並べて、確かめるべき点を整理したものです。
- 表示の分け方は、見て確かめられる。 答えの下、「広告」の表示、別枠、の3点です。FTCの「ネイティブ広告の指針」は、広告かどうかは、利用者が受ける全体の印象(ネット・インプレッション)で判断すると書き、「Ad」「Advertisement」のような分かりやすい言葉を勧めています。ChatGPTの画面が、この指針にどこまで合うかは、僕らは判断していません。FTCの指針はChatGPTを評価した文書ではありません。
- 「影響しない」は、見て確かめられない。 広告が別のシステムで動くという説明は、構造としては筋が通ります。ただ、答えそのものが商品を勧める場合に、それが広告と関係あるのかないのかは、画面からは分かりません。第三者の検証がない限り、会社の約束として読みます。
- 「いまの会話の文脈」に合わせて出る、は重い。 広告主に会話は渡らなくても、会話の内容にあわせて広告が選ばれます。センシティブな話題は除外する、と書かれている理由はここにあります。除外の範囲が実際にどう働くかは、使いながら確かめるしかありません。
日本とEUのルールとの関係
日本では、2023年10月1日から、広告であるのに広告だと分かりにくい表示は、景品表示法の「ステルスマーケティング規制」の対象です。消費者庁のページによると、規制の対象は、商品やサービスを供給する事業者(広告主)です。ChatGPTに広告を出す日本の事業者は、ChatGPTの側が広告と分かる表示を付けていても、自分の表示が広告と分かる形になっているかを、自分の責任で確かめることになります。この点は、記事129(AIで作ったものの表示・出典)にも書きました。
EUでは、デジタルサービス法(DSA)の前文68が、オンラインプラットフォームの広告について、広告であること、誰のための広告か、どんな条件で自分に出されたかを、利用者がはっきり知れるべきだと述べています。前文は条文ではありません。ChatGPTにこの規則がどう当てはまるのか(対象のプラットフォームかどうか)は、この記事では確認していません。EEAとスイスで、当初はパーソナライズ広告が使えないことは、ヘルプ記事に書かれています。
自分が使う側として
見立てです。公式文書から組み立てたもので、OpenAIの推奨ではありません。
- 自分のプランを知る。 無料版とGoには広告が出ます。Plus以上は出ない、と公式にあります。プランは、ヘルプの記載を確かめてください。
- 設定を見る。 設定の「Ad Controls」で、パーソナライズを切れます。切ると、広告は「いまのチャットだけ」から選ばれます。
- 広告は広告として読む。 広告が出ても、OpenAIがその広告主を推薦したわけではありません。買う前は、答えの中の情報と、広告の情報を、別々に確かめます。
- 広告主に直接メッセージを送るときは、広告主がそれを見ます。 ChatGPTの会話とは別の、広告主とのやり取りです。個人情報を送るかは、そのつもりで決めます。
- センシティブな相談をするときは、広告が出るプランかを意識しておく。 健康や心の話の近くには出さない、と書かれていますが、その除外が実際にどう働くかは、この記事では確かめていません。
気をつけること
- この記事では、広告の画面を見て確かめていません。この記事は、公式文書、報道、指針を、2026年10月15日に読んだ内容です。
- 「年換算10億ドル」は、会社の発表で、ランレートです。実際に入った年間の売上ではなく、第三者の監査を受けた数字でもありません。
- 画像生成の広告は、報道ベースです。開始日、対象のプラン、表示の形は変わる可能性があります。
- 他社(グーグル、マイクロソフト、Metaなど)の広告の仕組みは、この記事では扱っていません。一次の文書を確認していないためです。
- 広告を出す事業者は、各国の広告規制と、OpenAIの広告のポリシーを、自分で確かめてください。
出典
- Our approach to advertising and expanding access(OpenAI、2026年1月16日、10月15日確認)
- A milestone in expanding access to AI(OpenAI、2026年8月31日、10月15日確認)
- ChatGPTの広告についてのヘルプ記事(OpenAI、10月15日確認)
- ChatGPT Surpasses $1 Billion in Annualized Ads Revenue(Adweek、2026年8月31日、10月15日確認)
- OpenAI launches visual ads that appear alongside image generation results(TechCrunch、2026年10月5日、10月15日確認)
- Native Advertising: A Guide for Businesses(米連邦取引委員会、10月15日確認)
- ステルスマーケティング規制について(消費者庁、10月15日確認)
- Regulation (EU) 2022/2065(デジタルサービス法)前文68(EUR-Lex、10月15日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
