3行でいうと

  • ObsidianとOllamaなら、メモを外に出さずにAIで扱える。モデルを一度入れれば、動かすのにネットは要らない。
  • ただしプラグインは別。外に出るものはプラグインごとに違い、説明ページを読んで自分で判断するしかない。
  • Ollamaのクラウド機能は設定で切れる。利用状況の情報は集めることがあるが、プロンプトの中身は含まない。
  • 手順は文書から組み立てた想定で、実機では確かめていない。

「メモをAIに読ませたい。でも、中身は外に出したくない」。そう思ったことがある人は、多いと思います。

この悩みに、いちばん素直に答えてくれそうな組み合わせが、メモアプリのObsidianと、手元でAIを動かすOllamaです。どちらも、パソコンの中で動くものだからです。

この記事は、公式の文書と、各プラグインの説明ページで確認できたことだけを事実として書いています。僕らの考えは「見立てです。」と分けて書きました。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。手順は「文書から組み立てた想定」です。実機で確かめたら、この記事に書き足します。

2つの役割

Obsidianの公式文書によると、メモはMarkdown形式のただの文字ファイルで、「vault(ボールト)」と呼ばれるフォルダに入っています。アカウントは要りません。ほかの文字エディタでも開けます。

Ollamaは、AIのモデルを自分のパソコンで動かすためのアプリです。Macでは、メニューバーに常駐するアプリとして動きます。

つまり、Obsidianは「メモの置き場」、Ollamaは「考える係」です。この2つをつなぐのが、Obsidianのプラグインです。

役割 何が入っているか 外に出るもの
Obsidian メモ(Markdownのファイル) 公式文書では、アプリ本体は何も送らないとされています
Ollama AIのモデル(ダウンロード済み) 公式文書では、手元で動かすときはプロンプトを見ていないとされています
プラグイン 2つをつなぐ橋 プラグインごとに違う(あとで詳しく)
Ollama側:ネットなしで動く、と言える根拠

Ollamaの公式FAQには、次のことが書かれています。

  • Ollamaは手元で動きます。FAQは「手元で動かすとき、プロンプトやデータは見ていない」と説明しています。
  • サーバーは、初期設定では 127.0.0.1 のポート11434で待ち受けます。自分のパソコンの中からしか届かない住所です。
  • モデルは、Macでは ~/.ollama/models に保存されます。一度ダウンロードしてしまえば、動かすためにネットは要りません。

macOSの文書では、動作の条件が「macOS Sonoma(14)以降。AppleのMシリーズのチップなら、CPUとGPUの両方が使える」と書かれています。

ここで、ひとつ注意があります。Ollamaには、クラウドで動くモデルを使う機能もあります。公式文書によると、使うにはサインインとAPIキーが要り、モデル名の後ろに :cloud をつけて呼び出します。手元のモデルとは、別の仕組みです。

クラウド機能は、切ることができます。FAQには、環境変数 OLLAMA_NO_CLOUD=1 を設定するか、~/.ollama/server.json の中で disable_ollama_cloud を true にする方法が載っています。この設定にすると、クラウドのモデルとウェブ検索が使えなくなる、と説明されています。

もうひとつ、FAQには、Ollamaが「基本的なアカウント情報と、限られた利用状況のメタデータ」を集めることがある、と書かれています。プロンプトや返答の中身は含まない、という説明です。

「完全オフライン」にこだわる人は、ここを頭に入れておくといいと思います。メモの中身は出ていかない、という話と、通信が一切ない、という話は、別のことです。

Macで環境変数を設定するときは、FAQの手順だと launchctl setenv を使い、そのあとOllamaのアプリを再起動します。

Obsidian側:本体は静かでも、プラグインは別

Obsidianのプライバシー文書は、データはすべて手元の機器に保存され、Obsidianのサーバーには送られない、と書いています。アプリ本体は、利用状況の情報(テレメトリ)も集めません。

ネットを使う場面は、文書の中で次のように挙がっています。

逆に言うと、メモを書く、読む、探す、という普段の使い方は、ネットなしで済みます。

問題はプラグインです。Obsidianのセキュリティ文書によると、最初は「制限モード」になっていて、他人が作ったプラグインは動きません。制限モードを切ってから入れる形です。そのうえで、同じ文書は、プラグインは権限を絞れない(サンドボックスで囲えない)ので、コンピュータ内のファイルに届き、インターネットにつなぎ、別のプログラムを入れることもできる、と説明しています。

そのため、Obsidianの文書も、使う前にプラグインを自分で確認することを勧めています。プラグインの作り手には、通信先を分かるように書くルールがあります。でも、本当に外に出ていないかは、そのプラグインの説明を読んで、自分で判断するしかありません。

つまり、オフラインにできるかどうかは、どのプラグインを選ぶかで決まります。

選べるプラグインを、3つ並べる

Ollamaとつなげる候補として、よく名前が挙がる3つを、それぞれの説明ページで確かめました。

プラグイン できること Ollama 外に出るもの(説明ページの記載)
Local GPT 選んだ文章の続きを書く、要約する、誤字を直す、やることを拾う 使える。別の「AI Providers」プラグインも要る 「最大限のプライバシーとオフラインでの利用」を掲げる
Smart Connections 書いているメモと、意味が近いメモを横に出す READMEには記載なし 近さの計算に使う小さなモデルが最初から入っていて、APIキーは不要。有料の別プラグインは、ネットを使う
Copilot メモについてチャットで聞く、1クリックで直す 手元のモデルも選べる設計 無料版は、メモと質問を、自分で選んだ提供元にだけ送る。有料版のエージェント機能は、ネットが要る

Copilotの説明を、もう少し丁寧に読みます。無料版では、メモや質問は「自分で設定したAIの提供元」にだけ送られ、作り手のサーバーには行かない、と書かれています。ここで「提供元」にOllamaを選べば、送り先は自分のパソコンです。

ただし、有料版のエージェント機能はネットを使います。有料版では、PDFなどの変換が、作り手のサーバーで処理される場合があるとも、READMEは書いています。完全オフラインにしたいなら、無料の範囲で使う、ということになります。

見立てです。最初は、Local GPTがいちばん分かりやすいと思います。理由は、仕事が「選んだ文章に対して、決まった操作をする」だけで、メモ全体をどこかに送るような動きが、説明ページの範囲では見えないからです。メモ全体を相手に質問したくなったら、Copilotを足します。

モデルの選び方

メモを読ませるときは、2種類のモデルが要ります。

1つめは、答えを書く「会話のモデル」です。2つめは、メモの意味を数字にして、近いメモを探しやすくする「埋め込み(エンベディング)のモデル」です。

会話のモデルは、Ollamaのモデル一覧のページで、次のサイズが確認できました。

モデル 大きさ ダウンロードの容量 説明
gemma3 4b 4b 3.3GB 140以上の言語に対応。128Kの文脈
gemma3 12b 12b 8.1GB 同上
gemma3 27b 27b 17GB 同上
qwen3 8b 8b 5.2GB 100以上の言語に対応。文脈は40K
qwen3 14b 14b 9.3GB 同上
qwen3 32b 32b 20GB 同上

Qwen3のページには、100以上の言語と方言に対応している、とあります。日本語は、名指しでは書かれていませんでした。

埋め込みのモデルは、日本語のメモなら選び方に注意が要ります。Ollamaで試せる代表は次の2つです。

モデル 容量 言語 文脈
nomic-embed-text 274MB 英語向けとされる使い方の例が中心。多言語の記載は確認できず 2K
bge-m3 1.2GB 100以上の言語 8,192

Local GPTのREADMEは、英語なら ollama pull nomic-embed-text、それ以外の言語なら ollama pull bge-m3 を使うよう案内しています。日本語のメモなら、bge-m3のほうです。

動かせる大きさの目安は、見立てです。ダウンロードの容量は、動かすときに必要なメモリの目安にしかなりません。実際には、それ以上のメモリが要ります。ある海外の解説記事(二次情報)は、メモリ16GBのMacでは、7B規模のモデルが毎秒15〜25トークンで動く、と書いています。僕らが想定している自宅のMac mini(メモリ32GB)なら、12bや14bまでは余裕を持って動かせそうです。27bは、ほかのアプリを開いている間は重くなるかもしれません。ただし、この記事ではまだ確かめていません。

手順(文書から組み立てた想定)

次の順番で進めると、途中でネットを切れる形になります。

  1. OllamaをMacにインストールします。公式文書では、DMGを開いて、アプリを「アプリケーション」フォルダにドラッグします。
  2. ターミナルで、会話のモデルと埋め込みのモデルを入れます。たとえば ollama pull gemma3:12b と ollama pull bge-m3 です。
  3. Obsidianで「コミュニティプラグイン」を有効にします(制限モードを切ります)。Local GPTと、AI Providersを入れます。ここまでは、ネットにつながっている必要があります。
  4. AI Providersで、Ollamaの住所を登録します。Ollamaの公式FAQでは、サーバーの住所は 127.0.0.1 のポート11434です。
  5. Local GPTで、会話と埋め込みのモデルを選びます。
  6. ここでネットを切って、動くか試します。

Copilotなどで「接続できない」という表示が出たとき、Ollama側で、呼び出し元のアプリを許可する設定が要ることがあります。FAQには、OLLAMA_ORIGINS で許可する送り元を足せること、ブラウザ拡張の例が載っています。ただし、Obsidianの場合に必要かどうかは、確認できていません。

「本当にオフライン」を、確かめる方法

見立てです。信じる前に、確かめる方法を決めておくと安心です。

ただ、これで分かるのは「ネットが切れていても動く」ことです。「裏で通信していない」ことの証明にはなりません。後者を確かめたい場合は、通信を監視するツールが要りますが、この記事では扱いません。

向いている使い方、向いていない使い方

見立てです。手元で完結する形は、次のようなメモに向いています。

向いていないのは、いちばん賢い答えが欲しい場面です。大きな会社のクラウドのモデルのほうが、賢い場合が多いからです。先ほどの解説記事も、7B規模のモデルは、メモ同士の関係を「ときどき間違って作る」と書いています。初回の準備でメモ全体の索引を作るのに、1分から60分かかる、とも書かれています(二次情報)。

「賢さ」と「外に出さない」は、どちらかを選ぶ話になりやすいです。使い分けを決めておくのがいいと思います。

気をつけること

出典

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