EUのAI規則(AI Act)の条文の『どこに何があるか』を読む
読むポイントを順に案内します。
EUのAI規則(通称AI Act)です。僕らは、EUR-Lexでは題名などのメタデータと前文(recital)の一部、欧州委員会のAI Act Service Deskでは第3条、第5条、第50条、第113条のページ(要約経由)を読みました。
読む文書:Regulation (EU) 2024/1689(欧州議会・EU理事会、2024年6月13日付)。条文はEU AI Act Service Desk(欧州委員会)のページで確認
1正式名称と日付を確かめる
EUR-Lexのページの表示によると、正式名称は『人工知能に関する整合的な規則を定める、2024年6月13日の欧州議会および理事会の規則(EU)2024/1689』で、通称はArtificial Intelligence Actです。ほかのEU規則や指令を改正することも書かれています。
ここで注意:EUR-Lexのメタデータ欄には『最初の発効日』として2026-08-02が出ていました。この意味をページは説明しておらず、僕らも確認できていません。条文の施行と適用の日付は第113条で確かめます。
2第3条の定義を見る
要約経由。Service Deskのページによると、第3条には1〜68の定義に加え、14a・14bの定義があり(ページの表示による)、第1号がAIシステムです。提供者(3)、導入者(4)、ディープフェイク(60)、汎用目的AIモデル(63)などもここで定義されています。
ここで注意:条文の中の言葉は、第3条の意味で使われます。日常語の感覚で読むと外れるので、気になる語はまず第3条を引きます。
3第5条(禁止されるAIの行為)を見る
要約経由。第5条第1項に禁止される行為が(a)から(h)まで並びます。たとえば、行動を大きくゆがめる潜在的、操作的、欺瞞的な手法、職場や教育機関での感情推定(医療や安全上の理由を除く)、顔画像の無差別なスクレイピングによるデータベース作成などです。第2項以降は、法執行のための公共空間でのリアルタイム遠隔生体識別の条件を細かく定めています。
ここで注意:このページには(ba)と(bb)という追加の号も表示されていました。ページはDigital Omnibus on AIによる変更の印だと説明しています。この変更が正式に成立しているかは、僕らは確認できていません。
4第50条(透明性の義務)を見る
要約経由。AIと対話していることを利用者に分かるようにすること(第1項)、合成された音声、画像、動画、テキストを機械が読める形で人工的に生成されたと分かるようにすること(第2項)、感情認識などの導入者の通知(第3項)、ディープフェイクの開示(第4項)、表示の時期と方法(第5項)などが並んでいます。
ここで注意:ページは、第50条では第7項(行動規範)だけが変更の印の付いた箇所で、第1項から第6項には印がないと説明していました。日付はこの条のページには書かれていません。適用の時期は第113条の側で見ます。
5第113条(発効と適用の日付)を見る
要約経由。Service Deskのページは、一般的な適用日を2026年8月2日、第1章と第2章を2025年2月2日(ただし第5条の一部は2026年12月2日)、第3章第4節などを2025年8月2日、附属書IIIの高リスクAIは2027年12月2日、附属書Iの高リスクAIは2028年8月2日と表示していました。
ここで注意:これは『ページが表示している日付』です。このページは、EUR-Lexの2026年7月27日時点の統合版に基づくと説明しており、Digital Omnibusによる変更印が付いた箇所を含みます。現行の確定日か予告か、僕らは区別できていません。
6このページの『状態』を読み取る
要約経由。Service Deskのページには、非拘束の要約が付いていること、NEW(新規)とAMENDED(改正)の印があること、EUR-Lexの統合版を基にしていることが書かれていました。
ここで注意:このページは統合版を基にし、変更の印を付けています。日付の話をするときは、どの版を見ているかを必ず確かめます。
この種の文書を読むときの型
EUの規則は、前文(recital)、章、条、附属書の順に見ます。まず第3条で言葉の意味を確かめ、関係する章の条に進み、適用の日付は最後の条で確かめます。統合版か官報の原文かも見分けます。
確認できていない点(5件)
- EUR-Lexの条文本体(第1条以降)は、取得できた範囲が前文の一部(recital 1から104の途中)までで、条文そのものを直接は読めていません。
- 第3条、第5条、第50条、第113条はService Deskのページの要約経由で、原文の引用は行っていません。
- Digital Omnibus on AIの成立状況と、官報の元の条文との違いは確認できていません。
- 第1条、第2条、第6条など、ほかの条は読んでいません。
- EUR-Lexのメタデータの『最初の発効日 2026-08-02』の意味は確認できていません。
出典(6件)
- Regulation (EU) 2024/1689(EUR-Lex、メタデータと前文)、確認日 2026-10-16
- EUR-Lex 官報版HTML(前文のみ読めた範囲)、確認日 2026-10-16
- Article 3(AI Act Service Desk、欧州委員会)、確認日 2026-10-16
- Article 5(AI Act Service Desk、欧州委員会)、確認日 2026-10-16
- Article 50(AI Act Service Desk、欧州委員会)、確認日 2026-10-16
- Article 113(AI Act Service Desk、欧州委員会)、確認日 2026-10-16
確認日:2026年10月16日。取得は要約経由のものを含みます。原文は、上のリンク先で必ず確かめてください。
ラボの資料は、公式の文書を読んでまとめたもので、実際に使って確かめた記録ではありません。日付や仕様は変わるので、使う前に各ページの出典で確かめてください。事実と「僕らの見立て」は、分けて書いています。