3行でいうと

  • Cloudflareは、公式トップページによると、ネットワークとCDN、Zero Trust、開発者向けのプラットフォーム(Workers、Durable Objects、Workers KVなど)を1つの基盤で提供する会社です。AI関連は、その開発者向けプラットフォームの上に並んでいます。
  • 入口は主に4つです。モデルをAPIで動かす Workers AI、AIの通信の窓口になる AI Gateway、自分の資料を検索できるようにする AI Search、AIエージェントを作る Agents SDK。ほかに、公式のリモートMCPサーバーがあります。
  • アカウントは、公式の手順ではメールアドレスとパスワードで作ります。Workers AIは、料金ページに「1日10,000 Neuronsまで無料」と書かれています(2026年10月23日に確認)。一部の大きなモデルは、Workers Paid(月額$5〜と表示)か、前払いのクレジットが要ります。
  • 最初に決めたいのは、①何を作りたいか(試すだけか、公開するか)、②無料枠で足りるか、③AIに渡す資料や入力が外へ出てよいか、の3つです。

この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。画面名・メニュー名・金額・上限は公式の表記を写しています。公式ページは要約の形で取得したため、読み切れていない箇所は「公式の資料では確認できていない」「読んだ範囲では見つからなかった」と書きます。

先に結論

前提:用語をそろえる

どの製品の話か(このガイドの範囲)

Cloudflareには、このガイドが扱わないものも多くあります。最初に境目を書いておきます。

候補 公式の説明(要約) このガイドで扱うか
Workers AI サーバーレスGPUでモデルを動かす 扱う
AI Gateway AIアプリの観察と制御 扱う
AI Search(旧AutoRAG) アプリやエージェントに検索を足す(検索の基盤は自作しない) 扱う
Agents SDK 状態つきAIエージェントを作るツール 扱う
公式のリモートMCPサーバー Cloudflareのアカウントや資料をMCP経由で操作する 扱う
Workers / Pagesの無料枠とプラン AIの機能が乗る土台の料金と上限 AIに関わる範囲で扱う
サイトの高速化・防御(CDN、WAF、DDoS)のプラン表(Free / Pro / Business / Contract) cloudflare.com/plans のプラン表 扱わない(Workersの料金とは別の表)
Zero Trust、そのほかのAIセキュリティ関連 トップページに「AI Security」へのリンクがある 扱わない(読めていない)

選んだ理由:依頼が「CloudflareのAI関連で、AIを自分のアプリに組み込む/公開するツール」だったためです。公式トップページは「Agents」「MCP portals」「Built-in inference」などを挙げていますが、読んだ範囲では、トップページにWorkers AIやAI Gatewayという名前は出ていませんでした。その2つは、開発者向けドキュメント(developers.cloudflare.com)で確かめました。

提供終了・改名として公式に書かれていたものは次のとおりです。AutoRAGは AI Search に改名されました。公式のGitHubのREADMEは、10個のMCPサーバー(AI Gateway用、AutoRAG用、Workers Bindings用など)を「非推奨」としています。くわしくは03本目で書きます。

たとえ話:店を借りて、厨房の機械を使う

Cloudflareを「大きなビルの管理会社」だと考えてみます。Workersは「店のスペース」、Workers AIは「ビルに備えつけの調理機械(AIモデル)」、AI Gatewayは「出入りの記録とルールを決める受付」、AI Searchは「自分の資料を探せる図書室」、Agents SDKは「自分で動く店員の育成キット」です。自分の店(アプリ)に機械を組み込んで使うので、画面を開いて話すだけの使い方とは違います。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。

入手とアカウント

公式の「Create account」のページによると、手順はこうです。

  1. Sign up のページへ行く。
  2. メールアドレスとパスワードを入れる。
  3. 「Create Account」を選ぶ。

作ったあと、公式はメールアドレスの確認のメールを自動で送ります。このページは、2段階認証、ドメインの要否、クレジットカードの要否には触れていません(読んだ範囲では見つからなかった)。

どこで、どう使い始めるか

入口 公式の説明 確かさ
ダッシュボード Workers AIのページに「Use REST API」があり、そこからAPIトークンとアカウントIDを取る。AI Gatewayは「AI > AI Gateway」で「Create Gateway」 文書に書かれている
REST API https://api.cloudflare.com/client/v4/accounts/{ACCOUNT_ID}/ai/run/{model} の形で、どこからでもモデルを呼べる 文書に書かれている
Workers(Wrangler) 設定ファイルに "ai": {"binding": "AI"} を書き、コードで env.AI.run(...) を呼ぶ 文書に書かれている
テンプレート(Agents) npm create cloudflare@latest -- --template cloudflare/agents-starter で雛形を作る 文書に書かれている
AI Search Workers API、CLI、ダッシュボード、Python SDK、REST APIで作れる 文書に書かれている(手順の細部は読めていない)

Workers AIをWorkersから使う公式の手順では、Node.jsを入れ、npm create cloudflare@latest -- hello-ai で雛形を作り、npx wrangler dev で試し、npx wrangler deploy で公開します。公開先は https://hello-ai.<あなたのサブドメイン>.workers.dev の形です。

公式の注意が1つあります。ローカルで試す(wrangler dev)ときも、モデルはCloudflareのアカウント上で動き、利用料が発生する、と書かれています。手元だけで無料に試せる、という作りではありません。

無料でどこまでか(2026年10月23日に確認)

項目 無料の欄の表示 有料の欄の表示 出どころ
Workers のリクエスト 1日100,000 月10,000,000まで含む。超えると100万あたり$0.30 Workersの料金ページ
Workers の基本料金 なし 月$5が最低 同上
Workers のCPU時間 1回の呼び出しあたり10ms 月30,000,000 CPU msまで含む 同上
Workers AI 1日10,000 Neuronsまで無料 超えた分は1,000 Neuronsあたり$0.011 Workers AIの料金ページ
AI Gateway 基本機能は無料と書かれている 同左 AI Gatewayの料金ページ
AI Search 1か月に、取り込み5,000,000トークン、保存10 GB-month、意味検索と全文検索が各1,000回まで無料 超えた分は課金(取り込み100万トークンあたり$0.75など)。ただし課金の開始は2026年11月1日と書かれている AI Searchの制限と料金のページ
Agents SDK 専用の料金は、読んだ範囲では書かれていない(Workersの料金が基準) 同左 Agentsの制限のページ

Workers AIの無料枠の細かいルールとして、公式は次を書いています。無料枠の上限はUTCの0時(日本時間の朝9時)にリセットされます。無料のWorkersでは、1日10,000 Neuronsを超えて使うには、Workers Paidへの切り替えが要ります(「N/A - Upgrade to Workers Paid」と表示)。上限を超えると、それ以降の操作は「エラーで失敗する」と書かれています。

Workers AIの一部のモデルは、無料のままでは使えないと公式が書いています。たとえば、@cf/moonshotai/kimi-k2.6、@cf/zai-org/glm-5.2、@cf/deepseek-ai/deepseek-v4-pro-0813 などは、Workers Paid、または前払いのAI Gatewayクレジットが必要とされています。Moonshot AIのKimiや、Zhipu AIのGLMという名前のモデルが、Cloudflareのカタログに入っている、ということです(モデルの一覧は02本目で書きます)。

レート制限(1分あたりの回数)は、公式の制限ページに、作業の種類ごとに書かれています。文章生成は1分300回(有料プランが要るモデルを除く)、有料が要る文章生成モデルは、通常の請求で1分20回、前払いクレジット(Unified billing)の設定で1分50回です。

データはどこに保存されるか

最初に決めること

  1. 何を作りたいか。 自分で試すだけなら、ダッシュボードのAI機能(Workers AIのページなど)とREST APIで足ります。アプリに入れるなら、Workersが必要になります。
  2. 無料枠で足りるか。 無料枠には、毎日リセットされる上限と、超えた場合のエラーがあります。試す回数が多そうなら、Workers Paid(月$5〜と表示)を検討します。
  3. AIに渡す資料や入力を決める。 Workers AIは訓練に使わないと書かれていますが、AI Gatewayのログは、公式によると、各ゲートウェイで既定で有効です。何を送るかは、先に決めておくと安心です。
  4. どのモデルを使うか。 公式のカタログには73のモデルが並び、一部は「ベータ」と表示されています。ベータのモデルは、レート制限が低いことがある、と公式の制限ページに書かれています。

気をつけること

出典