3行でいうと
- AIへのつなぎ方は、4種類あります。①AIサービスにつなぐ(要約、チャット、プロンプト)、②クラウドの文字起こしにつなぐ、③外部のサービスに文字起こしを渡す(Zapier、Make、n8n、Webhook、Obsidian)、④コマンドライン(
mw)から使う。 - AIサービスとクラウド文字起こしは、基本的に「自分のAPIキーでつなぐ」形です。提供元は、OpenAI、Anthropic、Google Gemini、xAI、Groq、ElevenLabs、Deepgramなどの第三者の会社で、料金はその会社から別に請求される、と公式にあります。
- ローカルで動くAI(Appleのオンデバイスの基盤モデル、Ollama、LM Studio)につなぐと、文章はMacの外に出ません。
- 外部連携は、見る限りすべて「Pro」の機能で、渡すのは「タイトル」と「文字起こしの本文」です。認証情報はmacOSのキーチェーンに保存されると書かれています。
- Obsidian連携は、コミュニティ製のプラグイン(Local REST API)を前提にしています。それ以外のコミュニティ製・第三者製の連携は、公式の資料では扱われていません(この記事でも扱いません)。
この記事は公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。ヘルプは要約の形で取得したため、「書かれていない」と言い切らず、「読んだ範囲では見つからなかった」と書いています。ヘルプの記事ごとに日付が違い、古い記事は今のアプリと合っていない可能性があります。
先に結論
- 「文字起こし」と「AI」は別の段階。 公式のヘルプに「AIサービスを選んでも、MacWhisperが音声を文字にする方法は変わらない」という趣旨が書かれています。音声を文字にするのはローカルかクラウドか、できた文字をAIにかけるのはローカルかクラウドか、を別々に選ぶ形です。
- データの行き先は、選んだサービスで決まる。 クラウドのAIには、文字起こしの文章とあなたのプロンプトが送られます。クラウド文字起こしには、音声が送られます。ローカルのAI(Ollama、LM Studio、Apple)なら、公式によるとMacの中で処理されます。
- 連携は、公式が用意した口と、自分で用意する口(コミュニティ製のObsidianプラグインを含む)の組み合わせ。 ZapierやMakeなどは、公式が「渡す口」を持っていて、その先のサービス(Notionなど)は、それぞれの会社のものです。
前提:用語をそろえる
- APIキー:外部のサービスを、自分のアカウントで使うための秘密の文字列。公式は「秘密にして、画面の写真にも写さないように」という趣旨を書いています。
- ローカルのAI/クラウドのAI:ローカルは自分のMacの中で動き、クラウドはインターネットの先で動きます。
- Webhook(ウェブフック):データを、決まったURLに自動で送る仕組み。ZapierやMakeは、そのURLを受け取る側です。
- MCP:AIのツールと外部のツールをつなぐ共通の規格。この記事では、MacWhisperの公式資料にMCPの記述があるかを見ましたが、読んだ範囲では見つかりませんでした。
- CLI(コマンドライン):文字で命令する画面(ターミナル)から使う方法。
- Pro:有料の版。
公式が用意しているもの(開発元の運営)
1. AIサービスの設定
公式ヘルプ「Setting up AI providers in MacWhisper」には、一覧が載っています。設定の「All Services」の一覧が、その版での正式な一覧、と書かれています。
| 種類 | サービス(公式の記載) | どこで動くか | 必要なもの |
|---|---|---|---|
| クラウド | MacWhisper Assistant | 開発元のサービス | App Store版の購読(直接ダウンロード版の資料には出てこない) |
| クラウド | OpenAI、Anthropic、Google Gemini、xAI、OpenRouter、Hugging Face、Azure OpenAI | 各社のサーバー | APIキー(Azureは配置のURLとAPIのバージョンも) |
| クラウド | Groq、DeepSeek | 各社のサーバー | APIキー。直接ダウンロード版だけ |
| クラウド | Custom(OpenAI互換) | 設定したサーバー次第 | 基本のURL、モデルID。チャットの画面があるだけのサイトは不可 |
| ローカル | Appleの基盤モデル | Macの中 | Apple Intelligenceが使える状態であること |
| ローカル | Ollama(既定のURL http://localhost:11434) |
Macの中 | インストール済みで、モデルをダウンロード済み |
| ローカル | LM Studio(既定のURL http://localhost:1234/v1) |
Macの中 | モデルを読み込み、ローカルサーバーを開始 |
- 公式は「クラウドのサービスは、文字起こしの文章とプロンプトを、そのサービスに送って処理する」と説明しています。
- ローカルのサービスについても、モデルのダウンロードや更新のために、そのサービスがネットワークにつながることはある、と注意書きがあります。
- 消費者向けの購読(たとえばChatGPTの月額プラン)には、APIの利用が含まれないことがある、と書かれています。APIの料金は、その会社から別に請求されます。
- 機密、個人、医療、法律、仕事の資料をAIに送る前に、その提供元がプライバシーや規則の条件に合うかを確認するよう、公式は勧めています。
- APIキーをMacWhisperがどこに保存するかは、そのページには書かれていませんでした。
古いヘルプの食い違いにも注意が要ります。ディクテーションのヘルプには、ChatGPT(OpenAI)にだけ触れ、AnthropicなどはSoonと書かれている箇所があります。上の一覧のほうが新しい書き方です。
2. AIでできること
公式サイトの機能の一覧には、要約(Summarize)、チャット(chat)、自分で書くプロンプト(custom prompts)が挙がっています。ディクテーションでは、AIのプロンプトで、スペルと文法の整え、翻訳、文面の書き換えができる、とヘルプにあります。App Store版のAssistantでは、30以上の言語への翻訳(macOSのみ)、文字起こしとのチャット、要約、クラウドの文字起こしが挙がっています。
3. クラウド文字起こし
公式ヘルプ「How to use the Cloud Transcription feature」によると、OpenAI、Groq、ElevenLabs、Deepgram、OpenAI互換の独自サービスに、自分のAPIキーでつなげます。ホーム画面のモデルの選択から選びます。
| 提供元 | ファイルの大きさの上限(公式の記載) |
|---|---|
| OpenAI | 25 MB |
| Groq | 25 MB |
| ElevenLabs | 1 GB(回線が遅いと不安定なことがある) |
| Deepgram | 1 GB(同上) |
そのページには、料金、データの保存や削除、処理される国は、書かれていませんでした。プライバシーのヘルプには、クラウド文字起こしでは、音声が提供元のサーバーに送られ、結果が戻る、とあります。
4. 外部のサービスへの連携(Integrations)
公式ヘルプ「Integrating MacWhisper with other services」(バージョン13.6以降)の内容です。
- Proが必要。 Proのライセンスがないと、設定画面が使えません。
- 認証情報の保存。 Webhookのアドレス、APIキー、Obsidianのトークンは、macOSのキーチェーンに保存される、と書かれています。
- 自動送信。 「Automatically send after finished transcription」をオンにすると、文字起こしが終わるたびに、設定が正しいすべての連携先に送られます。1件ずつ決めたいときは、オフにします。
- テスト。 各連携に「Test」ボタンがあり、ダミーのデータを送って、結果を表示します。
| 連携先 | 仕組み | 渡すもの |
|---|---|---|
| Zapier | ZapierのCatch HookのURLにPOSTします | JSONの title と transcript |
| Make.com | MakeのWebhookにPOST。APIキーをヘッダーで送る | JSONの title と transcript |
| n8n | n8nのWebhookのトリガーにPOST。自前のn8nでもクラウドでも可 | JSONの title と transcript |
| カスタムWebhook | 自分で用意したJSONを受け取るURLにPOST | JSONの title と transcript |
| Obsidian(ローカルのVault) | ローカルのREST APIに直接つなぐ。1つの文字起こしにつき1つのMarkdownファイルを作る・更新する | Markdownの本文。題名がファイル名 |
- ObsidianのREST APIは、Obsidian側にLocal REST APIのプラグインを入れて使う、と書かれています。ヘルプの手順では、プラグインでポート番号(既定は27124)を決め、APIトークンを作り、対象のVaultへの作成・更新を許可します。Vaultを開いたままObsidianを起動しておく必要があり、MacWhisper側にはIPアドレス(既定は127.0.0.1)、ポート、トークンを入力します。なお、このページは http と https の書き方が揺れています。ヘルプはこのプラグインを「Local REST API」のコミュニティプラグインの例として挙げています(開発者名は書かれていません)。つまりObsidian本体の公式機能ではなく、コミュニティ製のプラグインを前提にした連携です。
- Notionは、そのページでは「組み込みの連携」ではなく、ZapierやMakeやn8nのようなWebhookのツールを経由して届く送り先の例として書かれています。一方、公式サイトの機能の一覧には「Notion」へのアップロードが挙がっていて、書き方に差があります。どちらが今の状態かは、読んだ範囲では確かめきれていません。
- Zapier、Make、n8nの「先」で何が起こるか(どこへ文字起こしが届くか)は、それぞれの会社のサービスの設定次第です。
5. コマンドライン(mw)とコーディング用AI
公式ヘルプ「MacWhisper Command-Line Tool」によると、mw はMacWhisperに同梱される、ターミナル用のツールです。アプリの中の設定画面(Settings → Advanced の「Command-Line Tool」)で「Install」を押すと、/usr/local/bin/mw に入ります。MacWhisperのアプリと、ローカルのソケット(同じMacの中で、アプリとコマンドが連絡を取る口)でつながり、アプリと同じエンジン、モデル、設定を使います。アプリが動いていないときは、起動します。
- 主なコマンドは
mw transcribe <ファイル>、mw models list、mw models select <id>、mw versionです。 - 出力形式は、
txt(既定)、srt、vtt、json、csv、md、html、avidです。このうちjsonmdhtmlavidはProが必要で、txtsrtvttcsvは無料、と書かれています。 jsonは、ミリ秒の時刻、話者ごと、語ごとの時刻を含み、スクリプトやAIのパイプライン向け、と書かれています。- AIのコーディング用エージェントから使う場合。 公式は、エージェントが
mw transcribe --format jsonを使って、語の時刻付きの構造化された文字起こしを得られる、と説明しています。エージェントにはmw help transcribeを読ませるよう勧められています。エージェントが「サンドボックス」(隔離された環境)の中で動く場合は、ソケットが遮られることがあるので、サンドボックスの外で実行するか、ターミナルで直接動かす、と書かれています。 - 文字起こしは、既定では履歴に残らない一時的なもの(
--persistを付けると、MacWhisperの履歴に保存)と書かれています。 - Appleのオンデバイスのモデルを使うには macOS 26以降が必要、とあります。
公式の資料に出てこないもの(コミュニティ製・第三者製)
- MacWhisperと他のAIのツールを橋渡しする、第三者が作ったツールやスクリプトがあるかどうかは、公式の資料では確認できていません。この記事では、公式のヘルプとサイトだけを根拠にしたため、扱っていません。
- 「MCPサーバー」「プラグイン」といった公式の連携は、読んだ範囲では、MacWhisperの公式の資料に書かれていませんでした。コーディング用のAIとの連携は、公式が書いている範囲では、上の
mwを使う形です。 - 第三者のサービスを組み合わせるときは、そのサービスの規約とプライバシーポリシーが、あなたのデータの扱いを決めます。
データはどこへ流れるか(まとめ)
| つなぎ方 | 流れるもの | 行き先 |
|---|---|---|
| クラウドのAI(OpenAIなど) | 文字起こしの文章とプロンプト | 選んだ提供元 |
| ローカルのAI(Ollama、LM Studio、Apple) | 文章 | Macの中(モデルのダウンロードなどでネットワークを使うことはある) |
| クラウド文字起こし | 音声ファイル | 選んだ提供元(OpenAI、Groq、ElevenLabs、Deepgram) |
| DeepLの翻訳 | 文字起こしの文章 | DeepL |
| Zapier、Make、n8n、Webhook | title と transcript |
設定したURL |
| Obsidian | Markdownの文字起こし | Macの中のローカルのREST API |
mw(コマンドライン) |
標準出力。ファイルや他のプログラムへ | 自分の指定した先 |
| Assistant(App Store版) | クラウド文字起こしの音声ファイル | 開発元のサーバー |
気をつけること
- AIの学習に使われるか。 MacWhisperの資料を読んだ範囲では、書かれていませんでした。クラウドの提供元のデータの扱いは、それぞれの規約で確認してください。
- 法人向けの管理。 公式のMDMのヘルプには、管理者がクラウド文字起こし(OpenAI、ElevenLabs、Deepgramなど)と、リモートの翻訳(DeepLなど)を止める設定が書かれています。会社のMacでは、使えないことがあります。
- APIキーの扱い。 MDMの設定の例のファイルにAPIキーを直接書く形が載っていて、そのファイルは機密として扱うよう書かれています。
- 版によって使えるサービスが違う。 GroqとDeepSeekは直接ダウンロード版だけです。App Store版は、App Storeの制限で、AIサービスの選択肢が少ない、と書かれています。
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。画面の名前や手順は、版によって変わることがあります。
出典
- Setting up AI providers in MacWhisper(MacWhisper Support、確認日 2026-10-23)
- How to use the Cloud Transcription feature(MacWhisper Support、確認日 2026-10-23)
- Integrating MacWhisper with other services(MacWhisper Support、確認日 2026-10-23)
- MacWhisper Command-Line Tool(MacWhisper Support、確認日 2026-10-23)
- Keeping Transcriptions Private(MacWhisper Support、2025年7月27日更新と表示、確認日 2026-10-23)
- How to use the Dictation feature(MacWhisper Support、確認日 2026-10-23)
- Assistant(MacWhisper Support、確認日 2026-10-23)
- Deploying MacWhisper with MDM(MacWhisper Support、確認日 2026-10-23)
- MacWhisper & Whisper Transcription Difference(MacWhisper Support、確認日 2026-10-23)
- MacWhisper(公式サイト、確認日 2026-10-23)