3行でいうと
- 基本は「トリガー(きっかけ)→ 処理 → 出力」の流れを、画面でモジュールをつないで作ることです。きっかけには、一定間隔で見に行く型と、知らせが来たら即動く型(インスタント。Webhookなど)があります。
- 公式ヘルプは、シナリオを3種類に分けています。決まった手順の「Standard」、決まった手順の一部にAIを入れる「AI」、AIが道筋を選ぶ「AI agent」です。
- 公式が具体的に手順を載せている場面は、たとえば「Googleスプレッドシートの新しい行をSlackで知らせる」「Gmailに届いた見込み客のメールを、AIエージェントが調べて返信の下書きを作る」「Webhookで受けた依頼をAIエージェントに渡して返事を返す」です。
- AIの機能の多くは、公式が「open beta」「public beta」と書いています。機能や価格が変わりうる、と明記されています。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。画面名やモジュール名は公式の表記を写しています。公式ページは要約の形で取得したため、読めていない箇所は「確認できていない」と書いています。
先に結論
- Makeは「流れを描くツール」。 公式の最初のガイドは、シナリオを「データをアプリやサービスのあいだでどう受け渡し、どう加工するかを示す、モジュールの並び」と説明しています。
- きっかけは2種類。 新しいデータを一定間隔で見に行く「ポーリング」型と、サービスが知らせてくると同時に動く「インスタント」型です。インスタント型はWebhookで、公式は稲妻のアイコンと「instant」の表示で見分ける、と書いています。
- AIは「一部に入れる」か「任せる」か。 公式は、同じ仕事でも、決まった手順で足りるなら標準のシナリオ、途中でAIの判断が要るならAIシナリオ、道筋が決まっていない仕事ならAIエージェント、と使い分けを書いています。
- 数え方を知っておくと安心。 繰り返し処理は、あとのモジュールが件数ぶん動くので、使うクレジットが増えます。公式ヘルプのOperationsの記事に、数え方の例があります。
前提:用語をそろえる
- シナリオ、モジュール、トリガー、バンドル、オペレーション、クレジット:01で説明したとおりです。
- Webhook:サービスから「データが届いたよ」と知らせてもらうための、受け口のURLです。Makeでは、「Webhooks」アプリの「Custom webhook」モジュールで作ります。
- ルーター・イテレーター・アグリゲーター:流れを分けたり、まとまったデータを1件ずつにばらしたり、逆に1つにまとめたりする部品の一般的な呼び方です。公式のTypes of modulesの記事では、IteratorとAggregatorは「Tool(接続が要らない部品)」の例として挙がっています。ルーターについては、読んだ範囲では説明を確認できていません。
- AIエージェント:公式ヘルプは、指示に基づいて自分で仕事を進める、大規模言語モデル(LLM)で動く仕組み、と説明しています。
- MCP:AIアプリと外のサービスをつなぐ共通の決まりです(03で扱います)。
- トークン:AIが文章を処理するときの量の数え方です。下の表の「入力1,000万・出力1,000万トークン」は、AIに読ませた分と書かせた分の、月ごとの無料の枠を指します。
たとえ話:レシピカードと、見習いの料理人
シナリオは「レシピカード」です。「卵が届いたら、割って、焼いて、皿に載せる」と、手順が決まっています。AIシナリオは、そのレシピの途中に「味見して、塩の量を決める」という判断の作業を入れたものです。AIエージェントは、レシピを渡さずに「お客さんが喜ぶ一品を作って」と頼み、冷蔵庫のツール(ツール)を使って見習いが自分で組み立てるやり方です。道筋を自分で選べるぶん、思いどおりに動かないこともあります。公式も、AIエージェントはガードレール(守らせたい約束)を無視したり誤解したりしうる、と書いています。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。
機能1:モジュールをつないで、流れを作る
公式ヘルプのTypes of modulesの記事によると、モジュールは次の4つに分かれます。
| 種類 | 公式の説明(言い換え) | 例(公式の表記) |
|---|---|---|
| Triggers(トリガー) | サービスの変化を見つけてMakeに取り込む。1本のシナリオに1つだけで、最初に置く | 名前が「Watch」で始まるものが多い |
| Searches(検索) | サービスからデータを取る。条件で絞る「Search」と、全部取る「List」がある | Search records、List records |
| Actions(アクション) | 取ったデータを処理する。Get、Create、Update、Delete など | サービスごとの動作 |
| Universal(ユニバーサル) | 専用の部品がないとき、APIを直接呼ぶ | 「Make an API Call」 |
接続(connection)が要る部品は「アプリ」、要らない部品は「ツール」です。公式は、ツールの例として、Iterator、Aggregator、Data store、Compose a string、Set variable を挙げています。
機能2:動かすタイミングを決める
公式のSchedule a scenarioの記事に書かれている実行の選び方は、次のとおりです(Schedule settings)。
| 選択肢 | 意味(公式の表記に沿った言い換え) |
|---|---|
| At regular intervals | 何分おきに動かすか指定する。既定は15分おき |
| Once | 1回だけ |
| Daily | 毎日。時刻を複数足せる |
| Weekdays(Mon-Fri) | 平日だけ |
| Weekly、Monthly | 毎週、毎月 |
| Specified dates | 指定した日 |
| On demand | 予定を持たず、手で動かすか、APIの呼び出しで動かす |
インスタント型のトリガーには、「Immediately as data arrives」という選択肢があり、データが届いたらすぐに動きます。動かす間隔の下限は「プランによる」と書かれ、具体的な値は読んだ範囲では見つかりませんでした。なお、「On demand」にしたシナリオは、AIエージェントのツールや、MCPのツールとして使える形になります(03で扱います)。
機能3:Webhookで、外から呼ぶ
公式のWebhooksの記事によると、Custom webhookは「どんなデータでも送れるURL」を作ります。ほかに、次のことが書かれています。
- 受け口ごとに待ち行列(Queue)があり、容量は「月10,000クレジット分の契約につき667件、最大10,000件」。いっぱいのときは、400と「Queue is full」が返ります。
- 受け付けは、10秒に300リクエストまで。超えると429が返ります。
- Webhookのログは3日、Enterpriseは30日。シナリオにつながっていないWebhookは、5日(120時間)を超えると無効になり、410 Gone を返します。
機能4:うまく動かすための部品
公式ヘルプのScenariosの一覧ページには、次の記事の題名が並んでいます(本文は、すべては読めていません)。
- Scenario settings(実行とエラーの扱い)
- Subscenarios(シナリオをつないで、データを渡す)
- Incomplete executions(失敗した実行を残して、直してから続ける)
- Scenario version control、Undo and redo(版の保存と戻し)
- Scenario run replay(過去の実行のデータで、いまの版を試す)
- Create and manage scenario templates(テンプレートの作成と共有)
- Variables、Labels、Subfolders(変数、整理)
読めた範囲では、Scenario settingsの記事に、次の設定があります。「Process data in order」(前の実行が終わるまで次を始めない)、「Keep data confidential」(実行ログに中身を残さない)、「Store incomplete executions」(失敗した実行を保存して、直して再開する)などです。
機能5:書き出しと取り込み(ブループリント)
公式のScenario blueprintsの記事によると、ブループリント(blueprint)は、シナリオのJSON形式の写しです。モジュール、モジュールの設定、割り当てた値が入りますが、接続(connection)は入りません。書き出しは、Scenario Builderの右上の「…」から「Export blueprint」、取り込みは「Import blueprint」です。バックアップや、他の人との共有に使える、と書かれています。サイズは2MB未満です。
機能6:AIを使う
公式ヘルプが説明しているAIまわりの機能を、まとめます。多くは「beta」と書かれています。
| 機能 | 公式の説明(言い換え) | 状態・プラン(公式の記載) |
|---|---|---|
| AIシナリオ | 標準のシナリオに、AIのモジュールを1つ以上入れたもの。データの分析、文章の作成、形式の変換など | What's a scenario and which type should you use? |
| Make AI Tools | 9つのAIモジュール(Analyze Sentiment、Categorize Text、Extract Information、Summarize Text、Translate Text、Identify Language、Standardize Text、Chunk Text、Request Anything) | Open Beta。有料プランのお客様向け。ベータ期間中は、組織ごとに月に入力1,000万・出力1,000万トークンが追加料金なし、と書かれている(リリースノートは2025年の区分、最終更新2026年1月19日) |
| Make AI Agent (New) | 指示、知識(ファイル)、ツール(モジュール、シナリオ、MCPサーバーのツール、ほかのエージェント)を持たせたエージェントを作る。モジュール名は「Run an agent」 | open beta。2026年2月2日に公開、記事の更新は2026年7月3日。Make's AI Providerを使えば全プランで利用可、自分のAIプロバイダーの接続は有料プラン |
| Maia by Make | Scenario Builderの左側のチャットで、目的を話すとシナリオやエージェントを作り、直し、エラーの原因を調べる | public beta。有料プランで利用可。Freeは登録から30日の試用 |
| Make Skills | AIアシスタント向けの、Make用の手引き(Markdownのファイルをまとめたzip) | open beta(03で扱う) |
Maiaの記事には、Maiaは他のシナリオを見られないので、既存のシナリオを手本にしたり、サブシナリオやWebhookを呼ぶ流れを作ったりはできない、と書かれています。また、システムカードには、Maiaは、バグや論理の誤りを含むシナリオを作ることがある、実行や有効化はできず、確認は人が行う、と書かれています。
場面から選ぶ:公式が挙げる使い方
次の場面は、公式のヘルプが手順つきで紹介しているものです。
| 場面 | 流れ | 公式のどこに書かれているか |
|---|---|---|
| 新しい見込み客を、営業チームに知らせる | Googleスプレッドシートを見張り、新しい行が来たらSlackに通知する | 「Create your first scenario」(最初のガイドの例) |
| フォームの回答を処理する | Google Formsのトリガーが10件返すと、あとの3つのモジュールが10回ずつ動き、合計31オペレーション | 「Operations」(数え方の例) |
| 複数の連絡先を1通のメールにまとめる | Text aggregatorでまとめると、1回の実行が11オペレーションから3オペレーションに減る | 「Operations」(減らし方の例) |
| 見込み客のメールをAIエージェントが処理する | Gmailで「Leads」ラベルのメールを毎日見つけ、AIエージェントが会社を調べ、予定の空きを確かめ、返信の下書きをGmailに作り、Slackに下書きのリンクを投稿する | 「Sales outreach AI agent use case」 |
| 外から来た依頼にAIが答える | Custom webhookで受け、Run an agentに渡し、Webhook responseで返事を返す | 「Webhook-triggered AI agent」 |
| AIの判断を、決まった手順の途中に入れる | 感情の分析、分類、翻訳、要約などのAIモジュールを、通常のシナリオに足す | 「Make AI Tools」のリリースノート |
メールの例では、AIエージェントは返信を送らず、下書きを作るだけです。公式の手順は、人が下書きをGmailで確かめて送る形になっている、と読めます(公式が「人の確認」という言葉を使っているかは、読んだ範囲では確認できていません)。
公式のトップページには、導入事例(FINN、Globant、Dude Wipes、Stellantis)が載っています。これは広告的な紹介で、手順は書かれていません。
どれから始めるか:僕らの見立て
以下は、僕らの見立てです。公式の推奨ではありません。
- まず、決まった手順の小さな流れ。 公式の最初のガイド(スプレッドシート→Slack)のように、AIを使わない流れから始めると、シナリオ、モジュール、オペレーション、クレジットの感覚をつかみやすいと思います。
- AIは、判断が要る1か所だけに入れる。 公式の分類でいうAIシナリオです。AIエージェントは、道筋を決めない代わりに、結果がぶれやすいので、慣れてからでもよい、と考えます。
- AIエージェントには、下書きまでを任せる。 公式の営業の例が「送信せず下書き」になっているのは、確認の場を残す設計だと読めます。
- 数え方は、早めに見る。 実行履歴で、オペレーションとクレジットの数を確かめる習慣をつけると、無料枠の消え方が分かります。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。機能の動き、画面の位置、AIの出来ばえは、公式の説明どおりかどうかを確かめていません。
- AIまわりの機能は、公式が「open beta」「public beta」と書いています。機能や価格が変わりうる、と公式のページに明記されています。
- AIエージェントの旧版を説明するヘルプ記事が、まだ残っています(Make AI Agents app、Scenarios for AI agents、Module tools for AI agents など)。ページ内に「previous version」と書かれ、現行は「Make AI Agent (New)」を見るよう案内されています。旧版が廃止か、終了日があるかは、読んだ範囲では確認できていません。
- ヘルプの「Modules」のページは、読んだときに「coming soon」の表示でした。モジュールの全体像は、「Types of modules」と「Apps & modules」から読み取っています。
- 公式のヘルプは、一部の記事が「読めなかった」ものがあります。読めなかった記事は、内容を推測せず、題名だけを使っています。
- この記事は、投資・法律・医療の助言ではありません。仕事の自動化では、個人情報や機密を扱う場合の社内の決まりを、先に確かめてください。
出典
- Make: Build and manage AI agents and automations(Make、確認日 2026-10-23)
- Create your first scenario(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Scenarios(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Types of modules(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Apps & modules(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Operations(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Schedule a scenario(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Webhooks(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Scenario settings(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Scenario blueprints(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- What's a scenario and which type should you use?(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Make AI Tools now available in Open Beta(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Introduction to Make AI Agent (New)(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Make AI Agent (New) app(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Meet the new Make AI Agents app(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Introduction to Maia by Make(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Maia by Make system card(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Sales outreach AI agent use case(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Webhook-triggered AI agent(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Make AI Agent (New) best practices(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)
- Make Skills(Make Help Center、Make、確認日 2026-10-23)