この先に書いてあること

  • 頼んだ仕事を、画面を閉じている間も進めてくれる。
  • 僕が一番便利だと感じたのは、あるサイトの見張り番。
  • 他のAIと役割を分けるときの、「引き継ぎ書」の作り方。

MetaのAIエージェント「Muse」の使い方を、公式の紹介から、もう少し踏み込んで考えてみた。

公式では、料理や旅行などの例が出ている。しかし、僕が使っていて便利だと感じたのは、こちらが画面を閉じている間も、頼んだ仕事を裏で進めてくれるところだった。

自分のPCやスマホをつけっぱなしにする必要がない。Muse側の環境で動いてくれる。ここが面白い。

「何を聞くか」も大事だが、「何を任せて待っておくか」を考えると、使い方が広がる。

まず、自分の判断基準を伝えておく

まずは、携帯でぽちぽちと、自分の好みを伝えてみる。

旅のプランなら、宿を選ぶ条件、好きな観光地、移動にどのくらい時間を使っていいか。

「早朝便は避けたい」「宿は駅から徒歩10分以内」「有名な場所を詰め込むより、一か所でゆっくりしたい」

こういう判断基準を伝えておくと、毎回、条件を最初から説明する手間が減る。

さらにMuseには、覚えた内容を「忘れて」と指定できる仕組みもある。以前の好みに引っ張られたら、「その条件はもう使わないで」と伝えられる。ただし、記憶を忘れさせることと、過去の会話や保存データをすべて削除することは別だ。

一番便利だった「サイトの見張り番」

僕が特に便利だと思ったのは、サイトの見張り番だ。

スーパーカミオカンデで開催されるイベントは、気になっていても、告知を見逃してしまうことがある。

そんなときにMuseを使う。

「スーパーカミオカンデの一般向けイベントの告知が出たら、見つけ次第知らせて。開催日と申込締切も整理して」

僕が頼んだときは、6時間ごとにサイトを確認する設定になった。

別の例では、PHPのエラーで落ちていたサイトについて、「このサイトが復旧したら連絡して」と指示すると、今度は5分ごとに確認する設定になった。

こちらが細かく巡回間隔を決めなくても、依頼に応じて確認の頻度を考えてくれたわけだ。もちろん、これは僕の利用時の例で、いつでも同じ間隔になるという話ではない。

ここで便利なのは、何も変わっていないページを、自分で何度も開かなくてよくなることだ。

一回調べれば終わることよりも、「いつ変わるか分からないので、気になって何度も見に行ってしまうこと」を任せると、ありがたさが分かる。

ただし、6時間ごとの確認なら、告知が出た瞬間に分かるわけではない。先着の申し込みなどでは、どのくらいの間隔で確認しているかも見ておいた方がいい。

巡回の頼み方にも、コツがある

「更新があったら全部教えて」だと、誤字の修正や、自分に関係ないお知らせまで拾うかもしれない。

だから、こう伝える。

「一般の人が参加できる見学会や公開イベントが対象。研究者向けの会議は除外。開催日、申込開始日、締切、抽選か先着か、申込先をまとめて知らせて」

開催日だけカレンダーに入れても、申し込みが終わっていたら意味がないからだ。

さらに、こう決めておく。

「変化がなければ報告はいらない」「申し込みが済んだら監視は終了」「確認できなくなったときは知らせて」

これで、余計な通知を減らしつつ、見張りが止まったことにも気づける。

料金については、僕の利用では、この巡回のために追加の支払いは発生していない。ただし、追加料金が出ないことと、トークンや利用枠を消費しないことは別だ。Museには利用上限があるので、「裏の作業は全部無料・無制限」とまでは考えない方がよさそうだ。

Gmailと組み合わせる

もう一つおすすめなのが、Gmailとの連携だ。

僕は、自分のサーバーに届くメールを、普段使うメールに加えてGmailにも転送している。

そのGmail側で重要なメールを拾い、返信文を用意してもらう。こちらは、内容を確認して、送信するだけの状態に近づけられる。

ここでも、自分にとって何が重要かを伝えるのがポイントだ。

「取引先からの質問」「期限のある手続き」「自分の返事で相手の作業が止まっているメール」

こういう基準があると、単なるメールの要約より役に立つ。返信を任せる範囲は、まず下書きまでにしておくと、確認しやすい。

他のAIと、役割を分ける

もう少し踏み込むなら、他のAIとの役割分担だ。

たとえば、タイ語の学習。

ChatGPTには、理解度の診断、説明、練習問題づくりを任せる。Museには、その教材の整理、空き時間に合わせた予定づくり、進捗の集約を任せる。

さらに、実際にできた内容や苦手だった問題を記録して、その記録をChatGPTに渡して、次の教材を作る。教材を作って終わりにせず、日々の実行と、次に学ぶ内容がつながる。

これを始めるのに、最初から難しいAPI連携を組む必要はない。まずは、文書を受け渡すだけでも十分だ。

もちろん、文書の受け渡し自体は、他のAIでもできる。Museを組み合わせる面白さは、受け取った方針を、接続したアプリでの作業や、継続的な確認につなげられるところにある。

お店の集客でも同じだ。

ChatGPTと、お店の強み、企画、伝え方を考える。Museには、接続した資料から売上や反応を整理し、投稿候補や必要な素材の一覧を準備してもらう。

Museでは、Canva、Notion、Shopifyなど、事業で使うツールとの接続が発表されている(Meta公式の発表)。対応するツールを使っていれば、企画を実務につなげやすくなる。提供の地域や機能は変わることがあるので、使う前に公式の案内も確認してほしい。

「AIへの引き継ぎ書」を作る

このとき便利なのが、「AIへの引き継ぎ書」だ。

長い会話を丸ごと渡すより、次のようにまとめる。

目的:小さなお店のInstagram経由の来店を増やす

決まったこと:毎週、商品の使い方を紹介する

条件:店主の作業は週30分以内

依頼:接続した資料から投稿候補を3つ選び、文章と必要な写真の一覧を作る

完了条件:店主が選べる状態にする。公開前に確認する

できたものを別のAIに渡して、「伝わりにくいところ」「根拠のない表現」「店主の負担が大きいところ」を点検してもらう。そして、実施後の結果を、同じ文書に追記して、次の企画へ回す。

AIごとの会話に情報を閉じ込めず、文書を、仕事の受け渡し場所にするわけだ。自動で共有・更新できる範囲は接続先によるが、最初は、手動で渡すだけでも始められる。

欲しい情報を探してもらうときも、「関連するものを何でも」より、自分が動く条件を伝えると使いやすい。

「この条件に合う募集が出たら」「欲しい商品の価格がここまで下がったら」「参加したいイベントの申し込みが始まったら」

さらに、見つけた後に必要な情報や、次の手続きまで整理してもらう。似たようなものを延々と出してくるなら、「これは対象外」と伝えて、絞っていく。

小さな気がかりを、預けておく

僕がMuseに任せたいのは、気になることを、ずっと頭の片隅に置いておく作業だ。

「そろそろ告知が出たかな」「あのサイト、もう直ったかな」「あのメール、返さなきゃ」

そういう小さな気がかりを預けて、動く必要があるときに、判断できる材料と一緒に知らせてもらう。

自分がほかのことをしている間も、頼んだことが進んでいる。僕には、ここがMuseの一番面白いところに感じられた。