この項目で混ざったもの

ハード側深層学習専用プロセッサMN-Coreを開発ソフト側自社のChainerをPyTorchへ切り替え

2018年12月12日、Preferred Networks(PFN)は、深層学習専用のプロセッサMN-Coreを開発中だと発表しました。SEMICON Japan 2018でチップ・ボード・サーバーを展示する予定でした。TSMCの12nmで作られ、推定消費電力は500W、最大性能は倍精度で32.8、単精度で131、半精度で524 TFLOPSです。目標は、半精度で1ワットあたり1TFLOPSでした。

混ざったのは、AIの計算に合わせたチップの作りと、AIを書くためのソフトです。PFNの現在の公式ページによると、MN-Coreは神戸大学と共同で開発され、行列演算の専用回路を持ちます。処理要素にはプログラムカウンタ(次の命令の場所を覚える部品)も命令デコーダ(命令を読み解く部品)もなく、すべてがそろって、ホストのCPUから命令を直接受け取ります。条件分岐のない作りで、演算器の割合を最大にしています。ソフト側では、PFNがコンパイラ(AIのプログラムをチップ用の命令に変えるソフト)を作り、PyTorchやJAXの計算の流れから命令とデータの移動を作ります。目標は、既存のAIの仕事を大きく変えずに動かすことだと書かれています。

2018年の発表では、MN-Coreをバックエンドとして選べるよう、PFN自身のフレームワークChainerを開発する、とされていました。2019年12月5日、PFNはChainer v7を出して保守の段階に入り、今後はPyTorchへ段階的に移行する計画を発表し、MN-CoreでもPyTorchに対応すると述べました。理由としてPFNは、PyTorchの開発者コミュニティが活発で、論文でもよく使われるフレームワークの一つであること、Chainerの資産をPyTorchに移せること、フレームワークそのものが競争力の源でなくなったことを挙げています。

その後、MN-Coreを使った計算機MN-3が2020年に作られ、公式ページによると、省エネ性能のランキングGreen500で2020年6月に1位(21.11 GFlops/W)、2021年11月にも1位(39.38 GFlops/W)になりました。第2世代のMN-Core 2の仕様資料も、同じページからリンクされています。

MN-Core発表
2018年12月12日
MN-Core 推定消費電力
500W(TSMC 12nm)
ChainerのPyTorch移行発表
2019年12月5日
MN-3 Green500
2020年6月に1位(21.11 GFlops/W)

確認できていない点

  • MN-Coreの開発を始めた時期は、確認したページに書かれていませんでした。
  • 2018年の発表は「MN-3を2020年春に1,000ノード超で動かす」計画でしたが、公式ページのMN-3は160個のMN-Coreとあり、この違いの理由は確認していません。
  • コンパイラが対応するソフトの範囲は現在の公式ページの記述で、2018年・2019年当時の状況とは別です。

出典

2026年10月18日に、上の出典(会社・研究機関の公式の資料と原著論文)を読んで確かめました。製品の仕様や提供状況は変わることがあります。この記事は、製品を試した記録ではありません。

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