3行でいうと
- MCPは、AIのアプリと外の道具やデータをつなぐ共通の決まりです。公式は「AIアプリのためのUSB-Cポート」とたとえています。
- 決まりだけで製品ではありません。対応していれば安全とは限らず、つなぐ先を信頼できるかは使う人が見極めます。
- OpenAIもAnthropicも、知らない、信頼できないサーバーにはつながないよう注意しています。
- ファイルを書き換える、送る、消すツールは、実行のたびに確認する設定にします。
この記事は、公式・一次資料を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。
先に結論
MCP(Model Context Protocol、モデル・コンテキスト・プロトコル)は、AIのアプリと、外にある道具やデータをつなぐための、共通の決まりです。公式サイトは、これを「AIアプリのためのUSB-Cポートのようなもの」とたとえています。
決まりだけで、製品ではありません。つなげる先の道具が増えるほど便利になりますが、つなぐ先を信頼できるかは、使う人が見極めることになります。
たとえ話:AIの世界の、共通の差込口
昔のスマホは、会社ごとに充電の差込口の形が違いました。今は、USB-Cがあれば、たいていの機器をつなげます。
AIにも、似た悩みがありました。カレンダーにつなぐ、ファイルを読む、データベースを調べる。そのたびに、AIの会社ごと、道具ごとに、つなぎ方を別々に作る必要がありました。MCPは、そのつなぎ方を共通にします。公式は、これが「一度作れば、どこにでもつながる」ことを目指す、と説明しています。
もう少し具体的に言うと、こう考えるとわかりやすいと思います(僕らのたとえです)。
- AIのアプリは、旅行者
- カレンダーやファイルは、街の窓口
- MCPは、どの窓口でも通じる「窓口の使い方の共通ルール」
窓口ごとに作法が違うと、旅行者は困ります。共通ルールがあれば、新しい窓口が増えても、同じ作法で使えます。
登場人物は3つ
MCPの公式資料は、仕組みを3つの役で説明しています。
| 役 | 何か | たとえ |
|---|---|---|
| ホスト | AIのアプリ本体。ClaudeやVisual Studio Codeなど | 旅行者 |
| クライアント | ホストの中にある、サーバーとの連絡係。サーバー1つにつき1つ | 通訳 |
| サーバー | 道具やデータを提供するプログラム | 窓口 |
ここで「サーバー」は、遠くのコンピュータとは限りません。公式の説明では、自分のパソコンで動くもの(ローカル)も、インターネットの向こうで動くもの(リモート)も、どちらもMCPサーバーと呼びます。
つなぎ方も2種類あります。
- 自分のパソコン上で動くものは、「stdio」という、同じ機械の中の直通のやりとり
- リモートのものは、「Streamable HTTP」という、ふつうのWebの通信(ログインの仕組みも使える。公式はOAuthを勧めています)
サーバーが差し出せるもの:3種類
公式資料によると、サーバーは次の3つを提供できます。「誰が使うかを決めるか」も、一緒に書かれています。
| 種類 | 何か | 例 | 使うかを決めるのは |
|---|---|---|---|
| ツール | AIが呼び出せる動作 | 航空券を探す、メッセージを送る、予定を作る | AI(モデル) |
| リソース | 読むだけの情報 | 文書、データベースの表、カレンダー | アプリ |
| プロンプト | あらかじめ作った依頼の型 | 「旅行を計画して」「会議を要約して」 | 利用者 |
ここは大事です。「ツール」は、データベースを書き換えたり、外部に連絡したりもできます。公式は、ツールの実行前に利用者の同意を取る仕組みがありうる、と書いています。具体例として、ツールの一覧表示、実行ごとの承認、安全な操作の事前許可、実行ログの表示を挙げています。
実際の動き方
公式の説明を、順に追います。
- AIのアプリがサーバーにつながり、「どんなツールがありますか」と聞く
- サーバーが、ツールの名前、説明、必要な入力のリストを返す
- 利用者の依頼に合うと判断したら、AIがツールの呼び出しを求める
- アプリが、そのサーバーにツールの実行を頼む
- 結果が返り、AIは結果を使って答えを作る
AIが自分でコードを動かすわけではありません。呼び出しを求めるのはAIですが、実際に動かすのはアプリとサーバーです。
今日時点の状況
決まりそのものの最新版 MCPの仕様は、2026年7月28日の版が最新として公式サイトに載っています。前の版(2025年11月25日)からの変更点として、公式は次のようなことを挙げています。
- 通信のたびに必要な情報を添える、「ステートレス」(前の通信の記憶に頼らない形)になった
- 最初の挨拶にあたる手続きがなくなり、代わりに「何ができるか」を聞く問い合わせが追加された
- 「サンプリング」などの一部の機能が、廃止予定になった
普通に使う人には、直接関係しません。ただ、決まりが今も改定され続けていることは分かります。
運営体制 Anthropicの2025年12月9日の発表によると、MCPは、Linux Foundationの下にできた「Agentic AI Foundation」に寄贈されました。共同の創設者は、Anthropic、Block、OpenAIです。Google、Microsoft、AWS、Cloudflare、Bloombergが支援者として挙げられています。同じ発表には、公開されているMCPサーバーが1万以上あること、MCPに対応した製品にChatGPT、Cursor、Gemini、Microsoft Copilot、Visual Studio Codeなどが含まれることも書かれています。これは2025年12月時点の記載です。
対応している主な製品(公式ページで確認できた範囲)
| 製品 | 公式に書かれていること |
|---|---|
| Claude(Anthropic) | claude.ai、Claudeデスクトップ、モバイル、Cowork、Claude Codeから、リモートのMCPサーバーにつなげる。Claudeでは「コネクタ」と呼ばれる |
| ChatGPT、OpenAIのAPI(OpenAI) | 自分で用意したMCPサーバーを、ChatGPTのプラグインとして追加できる。開発者向けには、MCPサーバーを指定して使う道具がある |
| Visual Studio Code、Cursor | MCPの公式サイトが、対応製品として挙げている |
GoogleのGemini(開発者向けAPI)がMCPにどう対応しているかは、今回読んだGoogleの公式ページの範囲では確認できませんでした。Anthropicの発表にはGeminiが対応製品として出ていますが、これは2025年12月の記載です。
Claudeでの条件 Claudeのサポートページによると、自分でつなぐ「カスタムコネクタ」は、Free、Pro、Max、Team、Enterpriseで使えます。Freeは1つまでです。TeamとEnterpriseでは、組織の管理者が追加します。
料金への影響
公式のページを読んだ範囲で、わかることを書きます。
- MCPの決まりそのものは、オープンソース(誰でも使える形で公開)の標準です。決まりの利用料の記載は、読んだページにはありませんでした。
- OpenAIのMCPのページには、MCP利用の料金についての記載はありません。
- Claudeでは、Freeプランでもコネクタを1つ追加できます。
- 開発者向けでは、道具の説明や、道具の結果もAIが読むので、通常の文章と同じようにトークン(AIが文章を数える単位)として使われます。Anthropicの料金ページに、道具の説明や結果が追加のトークンになる、と書かれています。MCPの公式資料にも、つなぐサーバーが多いときは、道具を全部先に読み込まず、必要なものから見つける作り方がある、と書かれています。
- Claudeの公式ドキュメントには、道具の結果の大きさの上限があります(claude.aiとデスクトップは約15万文字、Claude Codeは2万5千トークン。Claude Codeのほうは設定で変えられる)。また、1回の道具の実行は、claude.aiとデスクトップで240秒までです。
- つなぐ先のサービス自体(有料のSaaSなど)に別料金がかかるかは、サービスによります。この記事では確認できていません。
見立てです。MCPをつなぐだけで追加料金がかかる、とは公式には読み取れませんでした。ただ、つなぐと、AIが外のデータを大量に読む場面が増え、使う量が増えるのは自然です。使用量の表示を見るのがよいと思います。
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誤解されやすい点
MCPは、AIモデルでも、製品でもない MCPの公式資料は、MCPは情報のやりとりの決まりに集中している、と書いています。AIがその情報をどう使うかは、決めません。
MCPに対応していれば、安全とは限らない 公式の仕様は、MCPが「任意のデータへのアクセスと、コードの実行の道」を開くので、重要な安全の考え方がある、と明記しています。利用者の同意と管理、データの保護、ツールの安全の3つです。ただ、決まりのレベルでは強制できず、アプリを作る側がしっかり作る前提になっています。
ほかの道具のつなぎ方(関数呼び出し)と同じではない AnthropicやGoogleの開発者向け資料に、アプリが自分で道具を定義して、AIに渡す仕組み(関数呼び出し、ツール使用)が書かれています。見立てです。MCPは、その道具の一覧を、外の共通の決まりで取り寄せられるようにしたもの、と理解するとわかりやすいと思います。ただ、この関係はMCPの公式の説明そのままではありません。
危うさと、今日からできる対策
公式の複数のページが、同じことを注意しています。
- OpenAI:自分で用意したMCPサーバーは、OpenAIが開発も確認もしない。知らない、信頼できないアプリのサーバーにはつながないよう勧めている。信頼できる相手でも、外から来たデータに悪意のある指示(プロンプトインジェクション)が入る可能性はある。書き込みの操作は、ChatGPTで手動の確認が必要。ただし、サーバーが「読み取り専用」と書いていても、書き込みが起きうる、とも警告している。
- Claude:コネクタはAnthropicが確認したものではない。信頼できるサーバーにだけつなぐ。悪意のあるサーバーは、見えない指示を隠せる。ツールの動作が、開発者によって突然変わることもある。「いつも許可」は、信頼できる道具にだけ使う。
- MCPのセキュリティの資料:自分のパソコンで動くMCPサーバーは、パソコンの中のファイルを読めるなど、強い力を持ちうる。ワンクリックで追加できる場合は、実行されるコマンドをそのまま見せ、承認を取るべきだ、と書かれている。
チェックリストです。
- 名前が知られていて、運営が明らかなサーバーだけをつなぐ
- 「ファイルを書き換える」「送る」「消す」ツールは、実行のたびに確認する設定にする
- 使わないコネクタは、外す。使わない会話では、ツールを無効にする
- 知らない人が作ったローカルのMCPサーバーを、そのまま自分のパソコンで動かさない
- 仕事のデータは、会社のルールを確認してからつなぐ
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。公式の資料の記載です。
- MCPの仕様は、2026年7月28日の版を読みました。今後も変わります。
- 対応製品は、公式ページに書かれていたものだけです。書かれていない製品が対応していない、という意味ではありません。
- 運営体制や採用の数字は、Anthropicの2025年12月9日の発表の記載で、今日の数字ではありません。
- GoogleのGemini側の対応は、Googleの公式ページでは確認できていません。
- 料金は、サービスごとに違います。この記事では、MCPをつなぐ料金の確認はできていません。
- コネクタを通じて、AIが外のデータを読んだり、書き込んだりします。AIの間違いや、悪意のある文章の影響を受ける可能性があります。
出典
- What is the Model Context Protocol (MCP)?(Model Context Protocol、2026年10月8日確認)
- Architecture overview(Model Context Protocol、2026年10月8日確認)
- Understanding MCP servers(Model Context Protocol、2026年10月8日確認)
- Specification(Model Context Protocol、2026年10月8日確認)
- Key Changes(Model Context Protocol、2026年10月8日確認)
- Security Best Practices(Model Context Protocol、2026年10月8日確認)
- Donating the Model Context Protocol and establishing the Agentic AI Foundation(Anthropic、2026年10月8日確認)
- Build an MCP server for Claude(Claude、2026年10月8日確認)
- Get started with custom connectors using remote MCP(Claude Help Center、2026年10月8日確認)
- MCP(OpenAI API Docs、2026年10月8日確認)
- Pricing(Claude Platform Docs、2026年10月8日確認)
- Tool use with Claude: Overview(Claude Platform Docs、2026年10月8日確認)
- Function calling(Gemini API Docs、2026年10月8日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
