3行でいうと

  • 動画生成AIの多くは、画像生成と同じ「ノイズを少しずつ取り除く」仕組み(拡散モデル)を時間の方向にも広げたものです。
  • 画像を何十枚もまとめて作るので計算が重く、GoogleのVeo 3.1の長さは4〜8秒、料金は1秒あたりで数えられます。
  • 2026年10月8日時点で、Veo 3.1は1秒あたり$0.05〜$0.60、Gemini Omni Flashは約$0.10です。
  • OpenAIのSoraは、ウェブ版とアプリが2026年4月26日に、APIが2026年9月24日に終了したと公式に書かれています。

この記事は公式・一次資料を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。

先に結論

たとえ話:パラパラ漫画を、霧の中から一冊まるごと取り出す

パラパラ漫画を思い浮かべてください。1ページずつ別々に描くと、登場人物の顔や服が、ページごとに変わってしまいます。ちらつく動画になります。

だから、動画生成AIは、ページを1枚ずつではなく、本の束全体を一つの立体として扱います。霧のかかった一冊の本を用意して、「この霧は、こういう場面の本にかかった霧だ」という手がかりを頼りに、全ページの霧を少しずつ、同時に晴らしていく。何十回か繰り返すと、ページをめくるとつながって動く本が現れます。

仕組みを、順番に

1. 動画を小さく圧縮する

動画の点(ピクセル)をそのまま扱うと、計算が膨大になります。OpenAIのSoraの技術報告(2024年2月15日公開)は、動画を、時間の方向にも空間の方向にも圧縮した小さな表現(潜在空間)に変えて、その中で訓練と生成をすると書いています。できあがった小さな表現は、別の部品が元の画面に戻します。

公開されているモデルでも同じ考え方です。Hugging FaceのDiffusers(画像・動画生成AIを動かすための公開ライブラリ)のドキュメントによると、CogVideoXは「3D VAE」という部品で動画を圧縮し、系列を短くして計算を減らし、ちらつきも防ぐ、と書かれています。LTX-Videoのドキュメントは、動画の点から小さな表現への圧縮比が1対192で、速い生成につながる、と説明しています。

2. 時間と空間を、小さな断片(パッチ)に切る

Soraの報告によると、圧縮した動画は「時空のパッチ」という断片に切られます。文章のAIが文章を単位(トークン)に切るのと同じ役割です。画像は1コマだけの動画として同じ形で扱われるので、縦横や長さが違う素材も同じ仕組みで訓練できる、と書かれています。

断片を処理するのは「トランスフォーマー」という種類の部品です。拡散モデルの中身を、従来の畳み込みの部品からトランスフォーマーに替える方法は、PeeblesとXieが2022年12月にarXivで公開した論文(「Scalable Diffusion Models with Transformers」)で示されました。計算を増やすほど画像の質が上がり続けた、とその論文は報告しています。Soraの報告は、この方法を動画に使い、計算を増やすほど質が上がった、と書いています。

3. ノイズから、少しずつ取り除く

仕組みは画像生成と同じです(詳しくは同じ連載の「画像生成AIの仕組み」の記事を参照)。ランダムなノイズから出発して、各段階で「いま含まれているノイズ」を予測し、取り除きます。Diffusersのドキュメントでは、CogVideoXもWanも、取り除く回数(ステップ数)の既定値は50回です。

文章の指示は、まず専用の部品(テキストエンコーダ)で数字の並びに直されて、この取り除き方の手がかりになります。Soraの報告は、訓練に使った動画に、詳しい説明文を別のAIで付け直したこと、利用者の短い指示をGPTで長い説明文に広げてから動画のモデルに渡すことも書いています。

4. 音も作る

Googleの公式ドキュメントによると、Veoは音を動画といっしょに自動で作ります。この音声は常にオンです。GoogleのGemini Omni Flashのドキュメントでも、音声のトラックは既定で作られ、背景音楽や効果音は文章で指示できる、とあります。

動画ならではの数字:コマ数

動画は「コマ(フレーム)」の連続です。Diffusersのドキュメントから、公開モデルの例を表にします。

モデル 公式ドキュメントの記載
CogVideoX 6秒×1秒8コマ+1で49コマ。書き出しは1秒16コマを推奨。5Bモデルを圧縮して動かす場合、約16GBのVRAM(画像処理用のメモリ)
Wan 既定は81コマ。1秒16コマで書き出すと約5秒。1.3Bモデルは8.19GBのVRAMが必要と論文にある

CogVideoXの論文(2024年8月)は、10秒、1秒16コマ、768×1360の動画を作れると報告しています。ただし、これは著者の主張です。ドキュメントの例とは数字が違うので、設定によって変わると読めます。

見立てです。1枚の絵を50回きれいにするだけでも大変なのに、動画は数十枚分を同時に扱います。公式の仕様が「4〜8秒」と短いのも、料金が「1秒あたり」なのも、ここから説明がつくように思います。ただし、これは僕らの推測で、各社がそう説明しているわけではありません。

いま、公式に書かれていること(2026年10月8日確認)

Google:Veo 3.1とGemini Omni Flash

Googleの開発者向けドキュメントでは、Veo 3.1は「Preview(試験提供)」、Veo 3は「Stable(安定版)」と表示されています。

項目 Veo 3.1(標準・Fast) Veo 3.1 Lite
長さ 4、6、8秒 4、6、8秒
解像度 720p(既定)、1080p(8秒のみ)、4k(8秒のみ) 720p(既定)、1080p(8秒のみ)。4kなし
入力 文章、画像、動画 文章、画像
コマ数 1秒24コマ 1秒24コマ

画面の縦横比は、16対9(既定)か9対16です。1回の依頼で作れる動画は1本です。Veo 3.1(標準とFast)は、作った動画を7秒ずつ、最大20回まで延ばせて、最長148秒になります。延ばす元は720pのVeo製の動画に限られます。

料金(開発者向け、1秒あたり、有料枠)は、Googleの料金ページに次のとおり書かれています。

モデル 1秒あたり
Veo 3.1 標準 $0.40(720pと1080p)、$0.60(4k)
Veo 3.1 Fast $0.10(720p)、$0.12(1080p)、$0.30(4k)
Veo 3.1 Lite $0.05(720p)、$0.08(1080p)

8秒の動画なら、Fastの720pで$0.80、標準で$3.20、Liteの720pで$0.40になります(僕らの掛け算です)。音声の処理の問題で動画が作られなかった場合は、請求されない、とも書かれています。

Googleは、新しい動画の作成・編集モデルとして「Gemini Omni Flash」を前面に出しています。開発者向けの文書は、これを既定の動画生成モデルとして勧め、Veo 3.1は、場面の延長や最後のコマの指定、従来の仕組みとの接続のために使うもの、という位置づけです。解像度は360p、720p(既定)、1080p・4K(どちらも引き伸ばし)。料金は出力が100万トークンあたり$17.50で、720pの動画1秒が5,792トークンにあたり、1秒あたり約$0.10だとGoogleは書いています。掛け算(5,792×17.5÷1,000,000)は約$0.101で、公式の「約$0.10」と合います。会話を重ねて動画を直せる点が特徴です。1本目の長さを示す数字は、読んだページで見つけられませんでした。

APIの無料枠では、Veo 3.1もOmni Flashも「利用できない」と料金ページに書かれています。Geminiアプリなどでの利用は、Omniの紹介ページに「Googleの有料プランが必要で、内容は階層と地域で違う」とあるだけで、具体的な回数は確認できていません。

OpenAI:Soraは終了

OpenAIのヘルプによると、Soraのウェブ版とアプリは2026年4月26日に、APIは2026年9月24日に終了します。開発者向けの廃止予定の一覧にも、2026年3月24日付けで同じ日付が載っています。終了の理由は、どちらのページにも書かれていませんでした。

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いまできないこと、苦手なこと

  • Soraの報告は、ガラスが割れるなどの基本的な動きの物理を正確に再現できないこと、食べる動作で物の状態が変わらないこと、長い動画で筋が通らなくなること、物が突然現れることを限界として挙げています。
  • Googleの文書は、英語は十分に確かめているが、他の言語は評価していない、と書いています。日本語の指示でどうなるかは、公式の文書からは分かりません。
  • 複数の動画を参照する指示は、対応しておらず、結果が悪くなることがあると、VeoでもOmni Flashでも書かれています。
  • 安全の仕組みで、動画が作られないことがあります。人物の生成は、機能や地域で制限が違います。
  • 作った動画は、GoogleのVeoのサーバーに2日間だけ残り、その後消えます。保存は2日以内です。

誤解されやすい点

「画像をつなげているだけ」ではない 公式の説明は、時間の方向も含めて一緒に作る、というものです。一方で、まったく動きのつじつまが合うわけでもなく、上のとおり物理は苦手と公式が認めています。

「現実の世界を理解している」と受け取らない Soraの報告の題名には「世界のシミュレーター」という言葉があります。一方で、本文は上の限界も書いています。見た目がそれらしいことと、現実の仕組みを正しく写していることは、別です。

「作った動画かどうか、見分けがつく」とは限らない Googleは、Veoの動画に、目に見えないSynthIDという透かしを入れると書いています。検証の専用ページもあります。ただし、動画を加工したあとも検出できるかは、読んだ文書では確認できていません。

気をつけること

  • 数字は2026年10月8日に読んだ公式ページのものです。モデル名、長さ、解像度、料金は変わります。Veo 3.1はPreview表示で、変更されやすい状態です。
  • Veo 3(安定版)の長さと解像度は、Googleの同じページで、表によって記載が食い違っていました(4・6・8秒と書く表と、8秒のみと書く表)。この記事では書いていません。
  • 料金はドル表記で、税や為替を含みません。計算例は僕らの掛け算で、実際の請求とは違うことがあります。
  • Soraの終了の理由と、その後のOpenAIの動画機能の予定は、確認できていません。
  • Runwayなど他社の動画生成も公式ページはありますが、この記事では読み込んでいません。他社との優劣は述べません。
  • CogVideoXやWanなどの公開モデルの説明は、開発者向けドキュメントと論文に基づきます。GoogleのVeoやOmniの中身がこれと同じかは、公式に書かれていません。
  • 実在の人物や著作物に関わる動画の扱いは、別の問題です。法律の判断は、専門家にご相談ください。

出典

更新履歴

  • 2026年10月25日 書き方を直しました。
    • 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した