3行でいうと
- ローカルのAIは、パソコンの中にサーバーを立て、OpenAI形式かAnthropic形式の窓口でエージェントにつなぐ。
- LM StudioとOllamaはClaude Code向けの手順を出しているが、Claude以外のモデルへの接続は公式サポート外。
- 限界は、文脈の長さ、道具呼び出しの精度、速さ。gpt-oss 20Bでも続けて呼べた率は44.4%。
- 見立てでは、クラウドが止まったときの非常用で、置き換えにはならない。
まず前提:ローカルサーバーとは
ローカルのAIは、自分のパソコンの中で「サーバー」を立てて使えます。サーバーといっても、外には公開しません。パソコンの中のアプリ同士が、決まった形式でやりとりするための窓口です。
その窓口の形式(API)は、主に2種類あります。OpenAI形式とAnthropic形式です。コーディングエージェント(AIに指示すると、ファイルを読み、コードを直し、コマンドも実行してくれる道具)は、この窓口を通してモデルと話します。
| ツール | 窓口の場所 | 対応する形式(公式の記載) |
|---|---|---|
| Splash | 127.0.0.1の8000番 | OpenAI(Chat CompletionsとResponses)、Anthropic(Messages) |
| LM Studio | localhostの1234番 | OpenAI(/v1/chat/completionsなど)、Anthropic(/v1/messages) |
| Ollama | localhostの11434番 | OpenAI、Anthropic(一部の機能のみ) |
Splashは、Inco AIが公開した、Macで動く推論エンジンです。ツール呼び出し、画像入力、JSONスキーマ指定の出力にも対応しています。認証は初期状態で無効で、外から使うときは環境変数 SPLASH_API_KEY を設定する、とHugging Faceのモデルページにあります。
公式は、つなぎ方を案内しているのか
案内しているところと、していないところがあります。
Splashは、公式ブログとモデルページに splash opencode、splash claude、splash codex、splash hermes というコマンドが載っています。GitHubのREADMEでは、splash serve でサーバーを起動したあと、別の端末から接続する形です。ただ、このコマンドが裏でどんな設定をするのかは、読めた範囲に書かれていません。要確認です。環境変数を自分で書く方法も、Splash側の資料では確認できていません。
LM Studioは、Claude Code向けのページを用意しています。手順は次のとおりです。
lms server start --port 1234でサーバーを起動します。- 環境変数
ANTHROPIC_BASE_URLにhttp://localhost:1234を入れます。 - 同じく
ANTHROPIC_AUTH_TOKENに、認証用の文字列を入れます。認証を有効にしていないときは、ページ上では仮の文字列です。有効にしたときは、LM Studioで作ったトークンを入れます。 CLAUDE_CODE_ATTRIBUTION_HEADERを0にします。claude --model openai/gpt-oss-20bのように、使うモデルを指定して起動します。
Ollamaも、Claude Code向けのページがあります。ollama launch claude で起動できます。手動で設定するなら、ANTHROPIC_AUTH_TOKEN、ANTHROPIC_API_KEY(空にする)、ANTHROPIC_BASE_URL(http://localhost:11434)の3つです。
ここで、大事な注意が1つあります。Claude Code側の公式ドキュメントは、Anthropic形式の窓口を持つ「ゲートウェイ」へは、ANTHROPIC_BASE_URL で接続できると説明しています。一方で、Claudeではないモデルへ、ゲートウェイ経由でつなぐことは「サポートしない」とも明記しています。つまり、LM StudioやOllamaの案内は、それぞれの会社が出している手順です。Anthropicが動作を保証するものではありません。
他のツールの設定
名前は、公式ドキュメントで確認できたものだけを載せます。
| ツール | 設定の要点 |
|---|---|
| OpenCode | 設定ファイル opencode.json に、npm に @ai-sdk/openai-compatible、options.baseURL、models を書く。LM Studioの例は http://127.0.0.1:1234/v1 |
| Cline | 設定でプロバイダーに「LM Studio」を選び、ベースURLは http://localhost:1234 のまま。「Use Compact Prompt」の有効化を勧めている |
| Aider(LM Studio) | 環境変数 LM_STUDIO_API_BASE(http://localhost:1234/v1)と LM_STUDIO_API_KEY(ダミーでよいが空は不可)。aider --model lm_studio/モデル名 |
| Aider(Ollama) | 環境変数 OLLAMA_API_BASE。aider --model ollama_chat/モデル名 |
OpenCodeの公式ページには、設定の書き方の例があります。モデルごとに limit の context(文脈の長さ)と output(出力の長さ)も書けます。
SplashをOpenCodeなどに手で接続する書き方は、Splash側の資料では確認できていません。上の例のベースURLを、http://127.0.0.1:8000/v1 にすれば動きそうですが、これは見立てです。要確認です。
ローカルでやるときの現実的な限界
文脈の長さ
コーディングエージェントは、最初から長い指示文を送ります。そのうえ、ファイルの中身やコマンドの結果が、会話にどんどん溜まります。
- LM Studioは、Claude Code向けに「約25kトークンを超える文脈」を勧めています。
- Ollamaは、大きなリポジトリなら「64k以上」を勧めています。
- Ollamaの標準の文脈は、メモリ(VRAM)の量で決まります。24GB未満は4k、24〜48GBは32kです。エージェント用には、環境変数
OLLAMA_CONTEXT_LENGTHで上げる必要があります。 - Aiderの公式ページは、Ollamaの標準は2kで、超えた分は黙って捨てられる、と警告しています。この数字は、Ollama自身の現在の説明と違います。Aiderの記述は古い可能性があります。
- Claude Codeは、見知らぬモデル名の文脈を200Kと見なします。実際の長さは、
CLAUDE_CODE_MAX_CONTEXT_TOKENSで伝える方法があります。ただ、自動で要約する長さの設定には、10万トークン未満にはできない、という注記もあります。小さい文脈のモデルでは、手で/compactする場面が増えそうです。
文脈を大きくすると、そのぶんメモリを食います。モデル本体に加えて、会話の記憶の置き場所(KVキャッシュ)が必要になるからです。
ツール呼び出しの精度
エージェントは、ファイルを読む、書く、実行する、といった「道具」を、モデルが自分で呼び出すことで動きます。ここが弱いと、話になりません。
日本語での実測が、ai-local-labにあります。
| モデル | 1回で呼べた率 | 続けて呼べた率 |
|---|---|---|
| gpt-oss 20B | 88.9% | 44.4% |
| Swallow 8B | 16.7% | 0% |
| LLM-jp-4 8B | 16.7% | 0% |
条件は、RTX A6000(48GB)、Ollama 0.31.1、公開されているGGUF形式のモデル、temperatureは0.7です。1回で呼ぶ試験が6種類を3回ずつ、続けて呼ぶ試験が3種類を3回ずつです。つまり、試行は18回です。筆者の計算では、gpt-ossは16回、SwallowとLLM-jp-4は3回成功しています。
読むときの注意があります。
- 回数が少なく、方向を見る目安です。
- Macではなく、NVIDIAのGPUでの測定です。
- 20Bと8Bの比較で、国産か米国製かの差とは言い切れません。
- 日本語の関数呼び出しの試験で、コードを直す作業の成績ではありません。
- 記事の筆者は、日本語に強いことと、エージェントとして動かせることは別、と書いています。
OpenCodeの公式ページも、道具の呼び出しがうまくいかないときは、Qwen-CoderやDeepSeek-Coderのような、得意なモデルを選ぶよう勧めています。Ollamaでは num_ctx を16〜32kくらいに上げる、とも書いています。
Ollamaの窓口には、tool_choice(道具を指定して呼ばせる指定)が使えない、という制限があります。LM StudioとSplashは、読めた範囲で確認できていません。
速さ
LM Studioのブログに載っているSplashの測定(ベンダー側の測定)では、M5 Pro(メモリ48GB)で、Qwen3.8-27Bの32Kトークンの入力のとき、毎秒54トークンです。入力が長くなると遅くなる、という点も見えます。
エージェントでは、長い入力を読み込む時間(最初の1文字が出るまで)も効いてきます。この時間の数字は、確認できた範囲にありません。要確認です。
Splashの動作条件は、公式でM3以降のMac、メモリ36GB以上(48GB以上を推奨)です。32GBのMacで動くかは、ここでは確認していません。
なお、Qwen3.8-27Bのモデルページには、コード作業の数字(SWE-bench Pro 61.7%など)が出ています。これは開発元の自己申告です。4ビットに縮めて、家庭のパソコンで動かした数字ではありません。
クラウドが使えなくなったとき、どこまで使えそうか
ここからは見立てです。
使えそうな作業。コードの説明、小さな修正、1つのファイルの中で終わる作業、質問への回答。1回ずつ人が確認しながら進める使い方です。
厳しそうな作業。何十手もある自動の大仕事。続けて道具を呼ぶ成功率が、実測で44.4%まで下がったことを考えると、放っておく使い方は危うそうです。
備えとして、前もってやること。
- 動作確認済みのモデルを、先に入れておきます。
- 使うツールで、ファイルの読み書きと、コマンド実行まで、一度通しで試します。
- 文脈の長さを、使うパソコンのメモリに合わせて決めておきます。
- Claude Codeで試す場合は、公式のサポート外の使い方になる点を、覚えておきます。
この記事は、ここに書いた設定を実機で確かめた記録ではありません。使う前に、小さな作業で通してください。
結論としては、「止まったときに、仕事の一部を続けるための非常用」と考えるのが無理がありません。クラウドの代わりにそのまま置き換えられる、とは言えない、というのが現時点の見立てです。
出典
- Splash(Inco AI公式ブログ、2026年10月6日確認)
- incoai/Qwen3.8-27B-Splash(Hugging Face、2026年10月6日確認)
- incoai/splash(GitHub、2026年10月6日確認)
- Splash Engine - the fastest local Qwen3.8 on Apple Silicon(LM Studio、2026年9月18日)
- Using Claude Code with LM Studio(LM Studio Docs、2026年10月6日確認)
- OpenAI-compatible endpoints(LM Studio Docs、2026年10月6日確認)
- Connecting Claude Code to Ollama(Ollama Docs、2026年10月6日確認)
- Anthropic API compatibility(Ollama Docs、2026年10月6日確認)
- Context length(Ollama Docs、2026年10月6日確認)
- Run Claude Code through a gateway(Claude Code Docs、2026年10月6日確認)
- Connect Claude Code to an LLM gateway(Claude Code Docs、2026年10月6日確認)
- Model configuration(Claude Code Docs、2026年10月6日確認)
- Providers(OpenCode Docs、2026年10月6日確認)
- LM Studio(Cline Docs、2026年10月6日確認)
- LM Studio(Aider Docs、2026年10月6日確認)
- Ollama(Aider Docs、2026年10月6日確認)
- 国産ローカルLLMを実測【地政学リスクと日本語エージェントの現実】(ai-local-lab、日付未確認)
- Qwen/Qwen3.8-27B(Hugging Face、2026年10月6日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者がやっていないと読める書き方 → いま:主語を記事にして、「この記事は、実際にやって確かめた記録ではありません」と書きました。運営者が使っているものを、使っていないと読ませないための直しで、内容や数字は変えていません。
