3行でいうと
- オープンウェイトは、学習し終わったAIの「重み」をダウンロードできる状態のことです。
- オープンソースAIは、OSIの定義で、使う・調べる・直す・配る、の4つの自由と、そのための材料が揃うことが条件です。
- 「公開されている」と「自由に使える」は別の話で、ライセンスの文面で決まるため、使う前に読む必要があります。
この記事は公式・一次資料を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。
先に結論
- オープンウェイトは、学習し終わったAIの「重み」(AIの中身を決める膨大な数字)をダウンロードできる状態のことです。OSIは、これだけでは「オープンソースAI」の自由には届かないと説明しています。
- オープンソースAIは、OSIの定義(Open Source AI Definition 1.0、2024年10月28日付)では、使う・調べる・直す・配る、の4つの自由があり、そのための材料(学習データの情報、学習用のプログラム、重み)が揃っていることが条件です。
- 「公開されている」と「自由に使える」は別の話です。ライセンス(使ってよい条件を書いた文書)の文面で決まります。モデルごとに違うので、使う前に読む必要があります。
たとえ話:料理の「完成品」と「レシピ付き」
人気のスープを、店からもらうとします。
- 完成したスープを鍋ごともらう。飲めるし、温め直せるし、薄めたり具を足したりもできる。これがオープンウェイトです。
- 完成品に加えて、レシピ、材料の仕入れ先の一覧、作り方の手順まで全部もらう。自分の台所で同じものを作り直せるし、改良もできる。これがオープンソースAIが求めるものに近いです。
もう1つ注意があります。完成品をもらっても、「店名を使うのは禁止」「大きな会社は使えない」のような約束が付くことがあります。これがライセンスの条件です。
OSIは何と言っているか
OSIは、ソフトウェアの「オープンソースの定義(Open Source Definition)」を管理してきた団体です。その10項目には、自由な再配布を妨げないこと、特定の人や集団を差別しないこと、特定の分野での利用を禁じないこと、などが入っています。
AI向けには、2024年10月28日付で「Open Source AI Definition 1.0」を公開しています。要点は次のとおりです。
- 4つの自由:目的を問わず使う、仕組みを調べる、目的を問わず直す(出力を変えることも含む)、直した版も直さない版も配る。
- これを使うには、「直すための形(preferred form)」が手に入る必要があります。具体的には3つです。
- データ情報:学習データの詳しい説明。入手元、選び方、整え方など。腕のある人が、ほぼ同等のものを作り直せる程度。データそのものは、共有できない場合もあります。
- コード:学習と実行に使ったプログラムの全部。データの整理、学習、検証、推論など。
- パラメータ:重みなど。
- 3つとも、OSIが承認した条件のもとで公開されている必要があります。
OSIは、別の説明ページで「オープンウェイト」を、学習済みモデルの最終的な重みを共有することで、他の人が調整したり動かしたりできるもの、と書いています。そのうえで、学習用のプログラムや、データについての詳しい情報は含まれず、再現や点検がしにくい、と指摘しています。「プロプライエタリ(非公開)なAIよりは透明だが、出発点にすぎない」という趣旨です。
OSIのFAQには、メタ社のLlama 2を、必要な要素が足りない、または法的な契約がオープンソースの原則と合わないため、検証を通らなかった例として挙げた記述があります。ただし、これは認証ではなく、ほかのバージョンについては述べていません。
各モデルの公式ライセンス表記
2026年10月8日に確認した、各社の公式ページの記載です。「オープンソースAIの定義を満たすか」の判定ではありません。
| モデル | 公式ページの表記 | 確認元 |
|---|---|---|
| OpenAI gpt-oss-120b、20b | Apache 2.0。OpenAIは「オープンウェイトの言語モデル」と呼んでいる(2025年8月5日) | OpenAIの発表、Hugging Faceのモデルページ |
| Google Gemma 4 | Apache 2.0。Googleは「オープンモデル」と呼んでいる | Googleのライセンスページ、Hugging Faceのモデルページ |
| DeepSeek-V3.2 | MIT。コードも重みも | Hugging Faceのモデルページ(2か所の記載) |
| Mistral Small 4 | Apache 2.0 | Mistralのモデル一覧、Hugging Faceのモデルページ |
| Mistral Medium 3.5 | Modified MIT(変更を加えたMIT) | Mistralのモデル一覧 |
| Mistral Large 4 | 「Open」と表示。ライセンス名は書かれていない | Mistralのモデル一覧 |
| Qwen3-235B-A22B | Apache 2.0 | Hugging Faceのモデルページ |
| Meta Llama 4 | 独自の「Llama 4 Community License Agreement」 | Metaのライセンスページ |
独自の条件があるもの
Llama 4のライセンス(2025年4月5日発効)には、次のような条件があります。
- 公開日時点で、自社や関連会社のサービスの月間利用者が7億人を超える場合は、Metaに許可を求める必要があり、Metaが断ることもできます。許可が出るまで権利はありません。
- 配るときは、ライセンスのコピーと「Built with Llama」の表示が必要です。
- Llamaの資料や出力を使って作ったAIモデルを配る場合、名前を「Llama」で始める必要があります。
- 利用は、法令と、別に定められた利用ポリシー(Acceptable Use Policy)に従う必要があります。
Metaの開発者向けページは、Llamaを「Llamaのライセンスと利用ポリシー」の下にまとめていて、「オープンソース」「オープンウェイト」とは書いていませんでした(読んだページの範囲です)。
Gemmaには、Google独自の利用規約(Gemma Terms of Use)があります。この規約のページ(2026年4月1日更新)は、付録に載せた版を対象とし、Gemma 4は別のライセンスで扱うと書いています。そのGemma 4のページはApache 2.0を示しています。この規約には「禁止される使い方」のポリシーを引き継ぐ義務や、規約に反する利用を制限するGoogleの権利が書かれています。
Mistralは、1つの会社の中でも違います。公式のモデル一覧では、Apache 2.0のモデルもあれば、Modified MITのモデルもあり、音声合成のVoxtral TTSは非営利向けのCC BY-NC 4.0と表示されています。「Premier」と表示されたモデルには、ライセンスが書かれていません。
誤解されやすい点
「Apache 2.0やMITなら、オープンソースAIだ」 Apache 2.0とMITは、OSIが承認したライセンスです(OSIの各ページで確認)。ただし、OSIのAIの定義は、重みのライセンスだけでなく、データ情報と学習用コードの公開も求めます。ライセンスが寛容でも、定義を満たすとは限りません。各モデルが定義を満たすかは、今回読んだOSIのページには書かれておらず、確認できていません。
「オープンウェイトなら、同じものを作り直せる」 OSIは、再現や点検が限られると書いています。学習データと学習用プログラムがなければ、同じ重みを作り直すのは難しいです。
「無料でダウンロードできる=何に使ってもよい」 Llamaのように、利用者数の条件、名前、表示の義務が付くものがあります。禁止される使い方が決まっているものもあります。
見立てです。「オープン」という言葉は、会社ごとに意味が違って使われているので、言葉ではなく、ライセンスの本文と、公開されている中身(重みだけか、コードやデータ情報もあるか)を見るのがよいと思います。
気をつけること
- 公式のライセンスは、更新されます。モデルの新しい版で、条件が変わることもあります。使う前に最新の文面を読んでください。
- この記事は、各モデルがOSIの定義を満たすかどうかを判定していません。判定したのはOSI自身ではなく、僕らでもありません。
- ライセンスの文面の読み方は、個別の判断が必要です。法的な判断は、専門家に相談してください。この記事は、公式資料の紹介です。
- DeepSeekとQwenは、特定のモデルのページを読みました。同じ会社の別モデルが、同じライセンスとは限りません。
- 学習データに何が使われたかは、この記事では調べていません。
- 表のHugging Faceのページは、各社の公式アカウントのモデルページです。
出典
- The Open Source AI Definition 1.0(Open Source Initiative、2026年10月8日確認)
- Open Source AI Definition FAQ(Open Source Initiative、2026年10月8日確認)
- Open Weights(Open Source Initiative、2026年10月8日確認)
- The Open Source Definition(Open Source Initiative、2026年10月8日確認)
- Apache License 2.0(Open Source Initiative、2026年10月8日確認)
- The MIT License(Open Source Initiative、2026年10月8日確認)
- Introducing gpt-oss(OpenAI、2026年10月8日確認)
- openai/gpt-oss-120b(Hugging Face、OpenAI公式アカウント、2026年10月8日確認)
- Gemma Terms of Use(Google AI for Developers、2026年10月8日確認)
- Gemma 4 license(Google AI for Developers、2026年10月8日確認)
- Gemma(Google DeepMind、2026年10月8日確認)
- google/gemma-4-31B-it(Hugging Face、Google公式アカウント、2026年10月8日確認)
- deepseek-ai/DeepSeek-V3.2(Hugging Face、DeepSeek公式アカウント、2026年10月8日確認)
- Models overview(Mistral AI Docs、2026年10月8日確認)
- mistralai/Mistral-Small-4-119B-2603(Hugging Face、Mistral AI公式アカウント、2026年10月8日確認)
- Qwen/Qwen3-235B-A22B(Hugging Face、Qwen公式アカウント、2026年10月8日確認)
- Llama(Meta、2026年10月8日確認)
- Llama 4 Community License Agreement(Meta、2026年10月8日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
