3行でいうと

  • 国産LLMの作り方は、自前で作る、公開モデルを鍛える、研究機関が公開する、の3種類に分かれる。
  • 自前と書くのはPLaMoとtsuzumi。Rakuten AI 3.0、Sakana Namazu、ELYZAは公開モデルがもと。
  • 政府が2026年度に試す国産モデルは、契約が済んだ5社のモデル。
  • 「国産」「フルスクラッチ」は各社の説明のままで、第三者の確認はしていない。

この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書を読んでまとめたものです。性能の数字は、すべて「各社が公式の発表で述べていること」で、この記事は、測ったものではありません。僕らの考えは「見立てです。」と分けて書きました。

先に結論

何が起きているか(日付つき)

日付 できごと 確かめた先
2025年10月20日 NTTがtsuzumi 2の提供を開始 NTTのニュースリリース
2026年3月6日 デジタル庁が、国内LLMの公募(15件の応募)から7件を選んだと公表 デジタル庁
2026年3月17日 楽天がRakuten AI 3.0の提供を開始 楽天グループ
2026年5月19日 NTTがtsuzumi 2のアップデート(図表を含む文書の読み取り)を発表 NTTのニュースリリース
2026年6月22日 PFNがPLaMo 3.0 Primeを正式リリース PFN
2026年6月30日 ソフトバンクのクラウドでSarashina3シリーズの提供を開始 SB Intuitions
2026年8月3日 Sakana AIが日本語特化のLLM API「Sakana Namazu」の提供を開始 Sakana AI
2026年9月28日 NIIがLLM-jp-4.1シリーズを公開 NII LLM研究開発センター
2026年10月2日 ELYZAが研究組織を設立し、商用利用できるモデル2つを公開 ELYZA
2026年10月6日 PFNがPLaMo 3.0 PrimeをMicrosoft Foundryで提供開始 PFN

デジタル庁の7件のうち2社が辞退し、最終的に5社と契約した、と別紙に書かれています。辞退した社名は、その資料には書かれていませんでした。

各社の公式発表を読む

用語を先に言い換えます。「パラメータ」は、モデルの大きさを表す数です。「事後学習」は、できあがったモデルに、あとから目的に合わせて追加で学ばせることです。「オープンモデル」は、中身のデータ(重み)が公開され、ダウンロードして使えるモデルです。「MoE」は、中身を複数の専門家に分けて、必要な部分だけ動かす作り方です。

Preferred Networks(PFN)のPLaMo

PFNは、PLaMoを「PFNが主導して国内でフルスクラッチで開発する国産生成AI基盤モデル」と説明しています。

  • PLaMo 3.0 Prime:2026年6月22日に正式リリース。推論力の高いタイプと応答の速いタイプの2種類があり、一度に扱える長さを64kから256kに広げたと書かれています。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)との共同研究で得た事前学習モデルがもと、とのことです。
  • 提供の形:APIまたはオンプレミス(自社の設備の中に置いて使うこと)。2026年10月6日の発表では、Microsoft Foundryでも提供を始めました。このときの料金は、GPU(AIの計算に使う部品)1枚を1時間使うごとの課金で、PLaMo 3.0 PrimeはA100で3.99ドル、H100で6.99ドルに、Azureの設備代が加わります。
  • ほかに、機器向けの小型のPLaMo Lite、金融向け、翻訳に特化したPLaMo翻訳があります。
  • 比較結果は「PFNの社内評価」と書かれています。

NTTのtsuzumi 2

2025年10月20日の発表によると、tsuzumi 2は「NTTがフルスクラッチでゼロから開発した純国産モデル」で、1枚のGPUで動く軽さが特徴です。金融・医療・公共分野の知識を強めたと書かれています。2026年5月19日のアップデートでは、グラフや表を含む日本語の業務文書を画像として読む力を強めたとあり、NTTグループ各社を通じて順次提供する予定です。

SB IntuitionsのSarashina

2026年6月30日、ソフトバンクのクラウドサービス「Cloud PF Type A」で、Sarashina3シリーズの提供が始まりました。標準のmini、速さ重視のnano、有害な文章を判定するguard、検索用のembeddingとrerankの5種類です。miniとnanoは、日本語と英語を中心に約30兆トークン以上のデータで事前学習した、と書かれています。ソフトバンクは2025年12月22日に、1,224基のGPUでできたAI計算基盤の稼働を始めたと発表し、Sarashinaの商用サービス開発に使うとしています。

SB Intuitionsは、研究用に公開しているモデルの一覧も出しています。2026年4月28日公開の音声合成モデルなど、非商用のライセンスのものもあれば、MITライセンスのものもあります。使う前に、各モデルのライセンスの確認が必要です。

楽天のRakuten AI 3.0

2026年3月17日の発表によると、約7,000億パラメータのMoE型で、経済産業省とNEDOの支援事業「GENIAC」の一環として開発されました。Apache 2.0ライセンス(商用利用もしやすい公開条件)で、公式のダウンロード先から無償で取れます。もとになったのは「オープンソースコミュニティ上の最良なモデル」とだけ書かれていて、モデル名は発表文には出てきません。楽天は「LLMを研究目的で開発している」とも書いています。

Sakana AIのNamazuとFugu

Sakana Namazuは、Moonshot AI社が公開するオープンモデル「Kimi K2.6」をもとに、社内のデータで日本語と日本の業務向けに調整したモデルだと、公式ページに書かれています。Sakana AI自身が、ベースが他社の公開モデルだと明記しています。APIの料金は、入力100万トークンあたり0.95ドル、出力100万トークンあたり4.00ドルです(2026年10月23日確認、ドル建て)。別の製品のSakana Fuguは、いくつものモデルを呼び分ける「司令役」のモデルで、日本語LLMそのものとは位置づけが違います。

ELYZAとNIIのLLM-jp

NIIの大規模言語モデル研究開発センターは、2026年9月28日に、LLM-jp-4.1シリーズの3つのモデル(約86億、約320億のMoE、約332億パラメータ)を公開しました。ライセンスはApache 2.0で、事後学習に使ったデータも公開しています。

ELYZAは2026年10月2日に、このLLM-jp-4をもとに事後学習をしたモデル2つを、商用利用できる形で公開しました。ELYZAのサイトにはKDDIグループの表記があります。

名前だけ確認できたもの

NECのcotomi v3、富士通のTakane 32B、カスタマークラウドのCC Gov-LLMは、デジタル庁の資料に名前が出てくるだけで、各社の公式ページは読めていません。

くらしや仕事への影響

見立てです。「国産」という言葉は、最初から自前の学習なのか、公開モデルの調整なのかで、意味が変わります。会社で使うなら、「国産かどうか」より、データがどこに置かれるか、ライセンスで商用利用できるか、料金の単位は何か、を先に見たほうが、後で困らないと思います。

見立てです。政府が国産モデルを実際に試す流れ(デジタル庁の公募結果のページでは、源内での試用は2026年8月ごろから始める予定)が動いているので、評価の一部が公表されたら(2027年1月ごろの予定)、各社の位置づけが少し見えやすくなりそうです。

気をつけること

出典

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