3行でいうと

  • Mac miniを家のAIサーバーにするときは、電力、スリープ、外に出さない設定の3つを確かめる。
  • Ollamaは標準では同じMacからしか使えない。家のネットワークに公開すると、認証なしで誰でも使える状態になる。
  • LM Studioは、家のネットワークに公開するなら認証(トークン)をオンにするのが公式のすすめ。
  • 電気代は筆者の計算で、つけっぱなしなら年約1,050円〜18,400円(1kWh=30円と仮定)。

ローカルAIを一度動かすと、「スマホやノートPCからも使いたい」と思うようになります。Mac miniを置きっぱなしにして、家のAIサーバーにする使い方です。ただ、つなぐ範囲を広げるほど、確かめることも増えます。電力と熱、スリープ、そして「家の外に公開してしまわないこと」です。

この記事は、公式文書で確認できたことだけを書いています。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。確認できなかった点は、そう書きます。

まず、用語を2つ

サーバーとして起動する:AIのモデルを、ほかのアプリや端末から呼び出せる状態にすることです。呼び出し口は、ネットワークの「アドレス」と「ポート番号」で決まります。

127.0.0.1(localhost)とLAN公開の違い:127.0.0.1は、そのMac自身を指すアドレスです。この状態では、同じMacの中のアプリしか、サーバーにつなげません。一方、LAN公開は、同じ家のネットワーク(Wi-FiやEthernet)につながった別の端末からも、つなげる状態です。

どちらを選ぶかで、守る範囲が変わります。まず127.0.0.1で動かして、必要になったときだけLAN公開にする。この順番がよいと考えます。これは見立てです。

消費電力と発熱

Appleの公表値

Appleのサポート文書「Mac mini power consumption and thermal output (BTU) information」には、機種ごとの消費電力が載っています。M6のMac mini(メモリ16GB、保存容量256GB)の欄は、次のとおりです。

状態 消費電力 発熱量
待機(アイドル) 4W 14 BTU/h
最大 70W 239 BTU/h

BTU/hは、熱の出る量を表す単位です。この表の機種はメモリ16GBの構成です。32GBの構成の数字は、僕らが読めたページには載っていませんでした。

別のページ(Mac miniのTech Specs)には、電源の「最大連続電力」が155Wとあります。これは電源の上限で、普段の使用量ではありません。同じページには、使える環境の温度が10℃から35℃、湿度が5%から90%(結露なし)とあります。

第三者の測定

Notebookcheckは、M6 Mac miniのレビューを出しています。ただ、僕らが読めた範囲に、消費電力(W)や温度(℃)の測定値は見つかりませんでした。読めたのは、文章での評価だけです。CPUとGPUに強い負荷をかけない限り、とても静かで、うるさく感じることはない、という内容です。別の記事では、普段の使い方ではほぼ無音で、重い負荷のときだけファンの音が聞こえる、と書かれていました。

Splashで動かしたときの動画の例

以前の記事で紹介したYouTube動画によれば、Splash(Qwen3.8 27Bの高速版)で処理している間、消費電力は30〜40W、温度は約88℃でした。1本の動画での数字で、機種の構成や置き場所の条件は、この記事では確かめていません。

見方を整理します。

  • 待機の4Wは、Appleの公表値です。
  • 処理中の30〜40Wは、動画の例です。Appleの最大70Wより低い範囲に収まっています。
  • 88℃という数字は、動画の一例です。この温度が問題かどうかは、僕らには判断できません。

電気代の目安(筆者の計算です)

ずっとつけっぱなしにしたときの、1年の電力量を計算しました。1年は8,760時間です。単価は仮に1kWhあたり30円としています。実際の単価は、ご家庭の契約で変わります。

常時の消費電力 1年の電力量 電気代(30円/kWhの場合)
4W(待機の公表値) 約35kWh 約1,050円
35W(動画の30〜40Wの中間) 約307kWh 約9,200円
70W(Appleの最大値) 約613kWh 約18,400円

1日中AIを動かし続けることは、ふつうはありません。ほとんどの時間は待機で、使うときだけ負荷がかかる、という使い方が多いはずです。実際の電気代は、この表の上と下のあいだになります。これは見立てです。

置き場所

Appleの取扱説明には、ホコリや、タバコ・料理・暖炉などの煙が多い場所で使わないこと、とあります。Mac miniは、通風口から細かい粒子が入る場合がある、という説明です。使える温度は、先に書いた10℃から35℃です。夏の閉め切った部屋や、機器を詰め込んだ棚の中は、この範囲を超えるかもしれません。温度計で確かめることをおすすめします。

スリープさせない設定

Appleのサポート文書「Prevent your Mac from sleeping」(デスクトップMac向けの部分)で確認できた設定は、次のとおりです。

文書には、使えるオプションはMacによって違うこと、そしてスリープを遅らせる・防ぐと消費電力が増える可能性があることが、注意として書かれています。

ここで気をつけたいのは、「Wake for network access」の意味です。文書の説明は「共有サービス」へのアクセスです。AIのサーバーへの接続で、確実に起きてくれるかどうかは、この文書からは分かりません。サーバーとして使うなら、まず「Prevent automatic sleeping when the display is off」をオンにして、スリープさせない形にするのが確実だと考えます。これは見立てです。

停電のあとに、自動で起動させる

Appleのサポート文書「Turn on a Mac mini, Mac Studio, or iMac without pressing its power button」に、手順があります。

  1. システム設定の「Energy」を開きます。
  2. 「Start up when power is connected」のメニューで、「Always」を選びます。

こうすると、電源につないだとき、また停電から復旧したときに、自動で起動します。条件は、macOS 26.5以降で、2024年以降に出たMac miniであることです。電源を抜き差しするときは、30秒ほど待つよう書かれています。

LM Studioをサーバーとして起動する

LM Studioの公式ドキュメントで確認できた方法です。

画面から:「Developer」タブで、「Start server」のスイッチを入れます。

コマンドから:

lms server start

OpenAI互換のAPIとして使えます。ベースのURLは、http://localhost:1234/v1です(公式のOpenAI互換のページにある例)。Pythonなどの既存のコードは、このURLを書き換えるだけで、LM Studioにつなげられます。

画面なしで動かす

ドキュメントには、画面を使わない方法が2つ書かれています。

モデルを、使うときに読み込む

サーバー設定に「Just in Time Model Loading」があります。リクエストが来たときにモデルを読み込んで、メモリを節約する機能です。使われなくなったモデルを自動で外す「Auto Unload」もあります。

つけっぱなしのサーバーでは、モデルを常にメモリに置くか、必要なときだけ読み込むか、どちらかを選ぶことになります。32GBのMac miniでは、メモリが限られます。この点は、設計の判断になります。

Ollamaをサーバーとして起動する

Ollamaは、既定では127.0.0.1のポート11434でだけ待ち受けます。公式のFAQにそう書かれています。つまり、何も設定しないかぎり、同じMacからしか使えません。

モデルの扱いについても、FAQにあります。

同じ家のほかの端末から、つなぐ

LM Studioの場合

公式ドキュメントで確認できた方法は、2つです。

lms server start --bind 0.0.0.0

0.0.0.0は、そのMacのすべてのネットワーク接続で待ち受ける、という意味です。ほかの端末からは、そのMacのLAN内のアドレスと、ポート番号を指定して呼び出します。

公式のページには、はっきりした警告があります。127.0.0.1以外の指定にすると、サーバーが「localhost」より外に出る。そのため、認証を有効にすることをすすめる、という内容です。

Ollamaの場合

公式FAQでは、環境変数OLLAMA_HOSTで待ち受けの場所を変えます。0.0.0.0:11434にすると、ネットワークからつなげるようになります。macOSのアプリで動かしている場合は、次のようにして、Ollamaのアプリを再起動します。

launchctl setenv OLLAMA_HOST "0.0.0.0:11434"

ここで、大事な点があります。Ollamaの公式の認証のページには、ローカルのAPI(http://localhost:11434)は認証を必要としない、とあります。認証が必要なのは、ollama.comのクラウドのAPIや、クラウドのモデルだけです。

つまり、Ollamaを0.0.0.0で公開すると、同じネットワークの誰でも、認証なしで使える状態になります。僕らが読んだ範囲では、Ollama自体にパスワードをかける設定は、公式の文書に見つかりませんでした。家族だけのネットワークなら、許容できる場合もあります。ゲストのWi-Fiと同じネットワークだったり、来客の端末がつながったりするなら、そうはいきません。この判断は、見立てです。

LM Studioの認証

LM Studioには、認証の機能があります(LM Studio 0.4.0以降)。

  1. 「Developers」ページの「Server Settings」で、認証のスイッチ(「Require Authentication」)をオンにします。
  2. 同じ画面の「Manage Tokens」から「Create Token」で、トークンを作ります。名前をつけて、権限を選びます。トークンは、作ったときにしか表示されません。すぐに控えてください。
  3. 呼び出す側は、リクエストのAuthorizationヘッダーに、Bearerのあとにトークンを付けて送ります。

オンにすると、REST API、Python SDK、TypeScript SDKからのすべてのリクエストに、トークンが必要になります。LAN公開にするなら、認証とセットで設定する。これが、公式のすすめと同じ方向です。

外に出してしまわないための注意

ここからは、防御の側の話です。攻撃の方法には触れません。

1. 必要になるまで、127.0.0.1のままにする。 同じMacの中のアプリからしか使わないなら、LAN公開は要りません。

2. LAN公開にするなら、認証を付ける。 LM Studioは、トークンで認証できます。Ollamaは、本体に認証がありません。使うなら、信頼できる端末だけがつながるネットワークの中に限る、という考え方になります。

3. インターネットに出さない。 Ollamaの公式FAQには、Nginx、ngrok、Cloudflare Tunnelでインターネットから届くようにする方法の例が載っています。ただし、認証のない状態でこうした方法を使うと、世界中から使われる状態になりえます。家のAIサーバーでは、基本的に使わないほうがよいと考えます。これは見立てです。ルーターの設定でポートを外に転送することも、同じ理由で避けてください。外から使いたいなら、認証と暗号化を備えた方法を、別に調べて選ぶ必要があります。この記事では扱いません。

4. Macのファイアウォールを確認する。 Appleのサポート文書「Change Firewall settings on Mac」によると、システム設定の「Network」から「Firewall」を開きます。あるのは、次のスイッチです。

項目 文書の説明(要約)
Firewall 望まない接続を防ぐ
Block all incoming connections 必須でないサービスやアプリへの受信を防ぐ
Automatically allow built-in software 署名された内蔵ソフトを自動で許可する
Automatically allow downloaded signed software 署名されたダウンロード済みのソフトを自動で許可する
Enable stealth mode 探りのリクエストに、Macが応答しないようにする

アプリごとに、受信を許可するかどうかを、追加・削除のボタンで管理することもできます。なお、サーバーをLAN公開にしたいときは、「Block all incoming connections」を入れると、つながらなくなる可能性があります。この点は、この記事では実機で確かめていません。

5. 同じ家でも、つなぐ端末を考える。 家のネットワークに、来客の端末やIoT機器(家電など)が混ざっているなら、AIサーバーをそこから見える状態にしないほうが安全です。ルーターにゲスト用の別ネットワークがあるなら、そちらを使うのが一つの方法です。これは一般的な考え方で、見立てです。

自動起動の方法

公式で確認できたものだけを書きます。

目的 方法 出典
停電のあと、Mac mini自体を自動で起動する システム設定の「Energy」で、「Start up when power is connected」を「Always」にする Apple
ログイン時にアプリを開く システム設定の「General」から「Login Items & Extensions」を開き、追加ボタンでアプリを足す Apple
LM Studioのサーバーを、ログイン時から動かす アプリの設定(⌘+,)で、ログイン時にサーバーを動かすオプションをオンにする LM Studio
LM Studioを画面なしで動かす lms daemon up LM Studio
Ollama FAQに、「ログイン時に起動させない」方法が書かれています。システム設定で「Login Items」を検索して、「Allow in the Background」の下の「Ollama」を切る、という手順です Ollama

Ollamaについては、「自動起動をオンにする方法」は、僕らが読んだ範囲では確認できませんでした。FAQが止め方を書いている、ということは、既定でログイン時に起動する形だと読めます。ただし、これは僕らの読み取りです。実際の挙動は、確かめていません。

もう一つ、見立てです。再起動のあと、ログインの画面で止まっていると、ログイン項目は動かないはずです。「停電から復旧して、ログインまで自動で進み、サーバーが動く」という一連の流れが、実際につながるかどうか。この記事では確かめていません。常時運転にする前に、一度、わざと再起動して試してください。

気をつけること

出典

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