3行でいうと
- 読んだ公式の指南(頼み方の書き方)は、どれも「英語で書くとよい」とは勧めていません。そもそも、頼む言語については、ほとんど書かれていませんでした。
- 数字を出していたのは、Anthropicの多言語のページだけです。英語を100パーセントとすると、日本語は、測ったモデルで93.5〜96.8パーセントでした。英語がやや上ですが、近い値です。
- 返事の言語は書いて指定する、日本語の文字で書く、大事なときは自分でも試す、がAnthropicのページのコツです。ChatGPTの「言語設定」のヘルプは、画面の言語の説明で、頼む言語には触れていません。
この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、これらのサービスに頼んで比べたものではありません。「見立てです。」と書いた部分は僕らの考えで、公式の文書とは分けています。
先に結論
公式の文書を読んで言えることは、次の4つです。
- 「英語で頼め」と勧める公式の指南は、読んだ範囲で見つかりませんでした。 Anthropicの頼み方の指南、OpenAIのChatGPT向けの学習ページ、Googleの開発者向け文書とWorkspaceの案内のどれにも、そうは書かれていません。OpenAIの学習ページは、決まった型は要らず、自分の言葉で始めてよい、と書いています。
- 数字で比べているのは、Anthropicの多言語のページでした。 日本語は、英語より少し低く、それでも9割台です(くわしくは下の囲み)。
- 返事の言語は、頼みごとの中で指定します。 Anthropicのページは、AIが言語を会話から推測することもできるが、明示したほうがよい、と書いています。
- 「日本語対応」には、画面の言語と、頼める言語と、機能ごとの対応があります。 混ぜないことが大事です。
たとえ話:いくつもの言語を話せる通訳
僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。
いくつもの言語を話せる通訳さんがいるとします。どの言語でも仕事はできますが、言語によって、得意不得意の差が、少しあります。そして、ふだんの仕事の言語ではなく、頼む側が慣れない言語で頼むと、細かい意図が伝わりにくくなります。
AIも、言語によって差があると、Anthropicのページは書いています。だからといって、日本語で細かいニュアンスを伝えられる人が、わざわざ慣れない英語で頼むと、頼みごとの中身が薄くなるおそれもあります。この「どちらが得か」は、差の大きさと、自分の英語の力の両方で決まります。
公式の文書は、言語について何と書いているか
| 発行元・ページ | 言語について書かれていること | 書かれていないこと |
|---|---|---|
| Anthropic「Multilingual support」 | 英語を100パーセントとした各言語の割合の表。返事の言語の指定の仕方、コツ | 最新のモデルの数字(表は2つのモデルのみ) |
| Anthropic「Prompting best practices」 | (読んだ範囲では)他言語での頼み方の指南なし | ― |
| OpenAI「ChatGPTの言語設定」ヘルプ | 画面の言語が59あり、日本語を含む。端末の言語に自動で合わせる | 頼む言語ごとの性能 |
| OpenAI「ChatGPT capabilities overview」 | 言語間の翻訳ができる。音声の理解・文字起こしの質は、言語で違うことがある | 文章を頼む言語ごとの対応状況 |
| Google「Gemini Apps Help」 | Webアプリは70を超える言語、230を超える国と地域で使え、日本語と日本が載っている | どの機能がどの言語で使えるか |
| Google「Prompt design strategies」「Workspaceの案内」 | (読んだ範囲では)他言語での頼み方の指南なし | ― |
「書かれていない」ことは、「英語でないと困る」ことを意味しません。ただ、公式が英語を勧める根拠を示している、とも言えません。
今日からできること
- 迷ったら、まず日本語で頼む。 見立てです。公式が英語を勧めていないこと、日本語がClaudeの測定で英語の9割台だったこと、OpenAIが「自分の言葉で始めてよい」と書いていることから、考えました。
- 返事の言語を、頼みごとに書く。 「日本語で答えて」と一言添えます。Anthropicは、会話から言語は推測できるが、明示すると確実、と書いています。翻訳なら、元の言語と訳す言語の両方を書きます(例:「次の英語を日本語に訳して。訳文だけ返して」。Anthropicの例を、日本語に置き換えた僕らの例です)。
- ローマ字ではなく、日本語の文字で書く。 Anthropicのページは、元の文字で入力するほうが、ローマ字などに直したものより結果がよい、と書いています。
- 自然な言い回しを頼む。 Anthropicは、その言語を母語とする人が話すような言い回しで、と頼めると書いています。
- 大事な場面では、自分で比べる。 答えが怪しいと感じたら、同じ内容を英語でも頼んで、見比べる。見立てです。Anthropicのページも、大事な用途では、自分で言語を試し、評価するよう勧めています。
- 専門用語は、日本語と英語を並べて書く。 見立てです。公式に書かれた手順ではありません。
Claudeの表の読み方
Anthropicのページの表は、英語を100パーセントとして、各言語の点数が英語の何パーセントかを示すものです(原文の表は15行あり、下は一部を抜き出したものです)。測った問題は、MMLUという評価用の問題集です(ページは中身の形式を説明していません。「幅広い分野の知識と推論を問う選択式」というのは、僕らの補足です)。英語の問題を、専門の人間の翻訳者が14の言語に訳したものです。例を見せずに解かせる方式(ゼロショット)で、考える機能を使って測った、とあります。
| 言語 | Claude Sonnet 4.5(廃止予定と表示) | Claude Haiku 4.5 |
|---|---|---|
| 英語 | 100% | 100% |
| スペイン語 | 98.2% | 96.4% |
| 中国語(簡体字) | 96.9% | 94.2% |
| 日本語 | 96.8% | 93.5% |
| 韓国語 | 96.7% | 93.3% |
| ヒンディー語 | 96.7% | 92.4% |
| スワヒリ語 | 91.1% | 78.3% |
| ヨルバ語 | 79.7% | 52.7% |
日本語は、2つのモデルのどちらでも英語に近い値です。Haiku 4.5のほうが、英語との差が大きく出ています。資源の少ない言語ほど、差が大きいことも読み取れます。
ただし、この点数は知識と推論を問う選択式の問題の点数で、翻訳の質、文章の自然さ、文化的な適切さを直接測るものではありません(この注意は、Anthropicのページには書かれていませんでした。点数の性質からの僕らの読み取りです)。
誤解されやすい点
「英語のほうが、必ず賢い答えが返る」 読んだ公式の指南に、そう書いたものはありません。Anthropicの数字では、英語が少し上でしたが、日本語もそれに近い値でした。ただし、測ったのは特定の2つのモデルで、問題の種類も限られています。
「ChatGPTの言語設定を日本語にしたから、頼み方の言語も決まった」 OpenAIのヘルプの言語設定のページは、画面の言語の説明です。頼む言語や、返事の言語を決めるものとは書かれていません。
「日本語対応と書いてあれば、全機能が同じ質で使える」 Googleのページは、言語と国の対応を書いているだけで、機能ごとの対応は書いていません。OpenAIは、音声の理解や文字起こしの質が言語で違うことがある、と書いています。
「数字が高ければ、日本語の文章が上手」 表は選択式の知識問題の点数で、文章の自然さを測ったものではありません(問題集の性質からの僕らの見立てです)。
やってはいけないこと
- 公式が勧めていないのに、「英語で頼むのが正解」と思い込んで、不慣れな英語で細かい依頼を書く。意図が伝わらなくなっては、元も子もありません。
- 返事の言語を指定せず、英語で返ってきて戸惑う。一言、「日本語で」と書けば済みます。
- 数字や固有名詞を、言語を変えて聞き直した答えが一致したから、と信じる。見比べは、確かめる手がかりの一つで、正しさの保証ではありません。
気をつけること
- 内容は、2026年10月16日に読んだ公式ページのものです。サービスの対応言語や機能は、変わりやすいです。
- 読んだページは、WebFetchという道具が返す要約を通して読んでいます。原文のままの引用はせず、言い換えて書きました。表の数字や細かい言い回しは、原文で確かめていません。
- Claudeの表は、2つのモデル(うち1つは廃止予定と表示)のものです。最新のモデルの数字は、読んだページにはありませんでした。
- OpenAIとGoogleについては、日本語の性能を示す公式の数字を見つけられませんでした。「Claudeで日本語は英語の9割台」を、他のサービスに当てはめることはできません。
- 日本語と英語で、料金や使える量の上限が違うかは、この記事では確認していません。
- 「迷ったら日本語で」「見比べる」「用語を並べる」は、僕らの見立てです。公式の手順ではありません。
- 返事の質は、頼む内容でも変わります。大事な数字や固有名詞は、自分の目で確かめてください。
出典
- Multilingual support(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月16日確認)
- Prompting best practices(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月16日確認)
- How to change your language setting in ChatGPT(OpenAI Help Center、2026年10月16日確認)
- ChatGPT capabilities overview(OpenAI Help Center、2026年10月16日確認)
- Prompting(ChatGPT Learn、OpenAI、2026年10月16日確認)
- Where you can use the Gemini web app(Gemini Apps Help、Google、2026年10月16日確認)
- Prompt design strategies(Gemini API Docs、Google、2026年10月16日確認)
- Writing effective AI prompts for business(Google Workspace、2026年10月16日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者がやっていないと読める書き方 → いま:主語を記事にして、「この記事は、実際にやって確かめた記録ではありません」と書きました。運営者が使っているものを、使っていないと読ませないための直しで、内容や数字は変えていません。
