3行でいうと
- パラメータとは、AIが学習で身につけた、中にある大量の数値のことです。「7B」の「B」は10億なので、7Bは約70億個。数字は、その個数を表しています。
- 「全体の個数」と「1回の計算で実際に使う個数」は別のことがあります。OpenAIのgpt-oss-120bは、全体が約1170億個、1つの言葉ごとに使うのは約51億個と書かれています。
- パソコンで動かすなら、見るべきは個数よりもメモリの大きさです。同じモデルでも、数値の細かさ(精度)を変えると、必要なメモリが変わります。
この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。「見立てです。」で始まる段落と、たとえ話は僕らの考えで、公式の文書とは分けて書きました。数字は、2026年10月16日に読んだページのものです。
先に結論
公式の資料を読んで言えることは、次の4つです。
- パラメータは、学習で決まる数値です。 IBMの説明では、モデルが学習の中で身につける値です。OpenAIは、モデルの重み(パラメータ)は大量の数値だと説明しています。
- 「B」は10億です。 7Bは約70億個、70Bは約700億個、「4000億」は400Bです。(この換算は僕らの計算です。)
- 数字には「全体」と「使う分」があります。 MoE(後で説明します)というつくりでは、全体のうち一部だけを1回の計算で使います。
- 個数が多ければ必ず賢い、とは、読んだ資料に書かれていません。 IBMの説明は、多いと細かいパターンを捉えられる一方で、多すぎると、学習用のデータに合わせすぎて新しいデータに弱くなる(過学習)恐れがあると書いています。
たとえ話:ミキサーの、つまみの数
僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。
音楽用のミキサーには、音量や高さを調節するつまみが、たくさんあります。つまみの位置の組み合わせが、出てくる音を決めます。AIのパラメータは、このつまみに似ています。学習とは、お手本の音(たくさんの文章)を聞きながら、つまみを少しずつ動かして、お手本に近い音が出る位置を探す作業です。
「70億パラメータ」とは、つまみが70億個あるミキサー、という意味です。つまみが多ければ、細かい音の違いを作れます。でも、つまみの数が多いだけでは、良い音は出ません。どの位置に合わせたか(学習の質)が大事です。また、つまみが多いミキサーは、大きくて重い(動かすのにメモリが要る)、という点も同じです。
パラメータとは何か
学習で決まる値
IBMの説明では、パラメータは、モデルが学習の中で身につける値です。代表的なのは「重み」と「バイアス」です。
- 重みは、入力がどれだけ結果に影響するかを決める値です。ニューラルネットワーク(AIの土台になっている計算のしくみ)で使われる値です。
- バイアスは、結果を全体にずらす値です。(社会的な偏見の「バイアス」とは別の意味です。)
もっとも単純な例が、直線の式「y = mx + b」です。mとbの2つが、学習で決まるパラメータです。大きな生成AIでは、これが数十億個になることがある、とIBMは書いています。OpenAIのヘルプも、パラメータは大量の数値で、学習の中で少しずつ調整されると説明しています。さらに、学習に使った文章そのもののコピーは、モデルの中に持っていない、とも書いています。
似た言葉「ハイパーパラメータ」との違い
IBMは、2つを分けています。パラメータは、モデルが学習の中で自分で見つける値です。ハイパーパラメータは、学習を始める前に、人が決める設定で、学習率(1回にどれだけ動かすか)や、学習を繰り返す回数などです。
数字の読み方:「全体」と「使う分」
ここが、いちばん間違えやすいところです。
MoE(混合エキスパート)という作り方
MoEは、モデルの中にたくさんの「専門家」役の部分(エキスパート)を用意して、1つの言葉を処理するたびに、一部だけを選んで使う作り方です。Mistral AIのMixtral 8x7Bの説明では、各層に8つのグループがあり、「ルーター」という選ぶ部分が、言葉ごとに2つを選びます。
その結果、次のような数字の違いが出ます。
| モデル | 全体のパラメータ数 | 1つの言葉ごとに使う数 |
|---|---|---|
| Mixtral 8x7B(Mistral AI) | 46.7B | 12.9B |
| gpt-oss-120b(OpenAI) | 117B | 5.1B |
| gpt-oss-20b(OpenAI) | 21B | 3.6B |
Mistral AIは、Mixtralの処理の速さと費用は、12.9B級のモデルに近い、と説明しています。名前の「8x7B」から56Bと思いたくなりますが、公式の数字は46.7Bです。なぜ56Bにならないかの説明は、読んだページにはありませんでした。
OpenAIは、gpt-oss-120bが80GBのGPU(画像処理用の部品)1枚に収まり、gpt-oss-20bは16GBのメモリで動く、と書いています。MoEは「処理に必要な有効パラメータを減らすため」の作りだと説明しています。
注意:「使う分」が少なくても、載せるのは全体
ここが落とし穴です。GoogleのGemmaの文書には、名前の読み方が書かれています。
- 「E2B」「E4B」の「E」は、effective(実質的な)を表します。
- 「26B A4B」は、全体が約260億個で、1つの言葉ごとに使うのが約40億個、という意味です。
- そして、26B A4Bは、使うのは約40億個でも、260億個すべてをメモリに載せる必要がある、と書かれています。
つまり、速さは「使う分」で決まりやすく、メモリは「全体」で決まります。
必要なメモリは、個数と「数値の細かさ」で決まる
パソコンで動かすなら、個数よりメモリが問題になります。
Hugging Faceの説明(メモリの見積もりの道具のページ)の表を見ると、数値の細かさ(精度)を、32ビット、16ビット、8ビット、4ビットと半分にするたびに、必要な大きさが半分になっています。たとえば、約800億個のモデル(idefics-80b)の読み込みに必要な大きさは、32ビットで約297GB、16ビットで約149GB、8ビットで約74GB、4ビットで約37GBでした。このページは「半分になる」と規則としては書いておらず、表から読み取れることです。
細かさを落として小さくする方法を「量子化」と言います。gpt-oss-20bのモデルカードにも、重みの一部はこの方法(MXFP4)で作られていて、16GB以内で動く、と書かれています。量子化の種類の違いは、別の記事で扱っています。
GemmaとHugging Faceの数字(2026年10月16日に読んだ内容)
GoogleのGemma 4の文書にある、重みを読み込むのに必要なおよそのメモリです(20%の余裕を含む。会話の記憶(KVキャッシュ)と周辺のソフトは含まない。道具や環境で変わりうる、と書かれています)。
| モデル | 16ビット | 8ビット | 4ビット |
|---|---|---|---|
| E2B | 11.4GB | 5.7GB | 2.9GB |
| E4B | 17.9GB | 8.9GB | 4.5GB |
| 12B | 26.7GB | 13.4GB | 6.7GB |
| 26B A4B | 57.7GB | 28.8GB | 14.4GB |
| 31B | 69.9GB | 34.9GB | 17.5GB |
僕らの概算です。1個あたり、16ビットなら2バイト、8ビットなら1バイト、4ビットなら0.5バイトとして12Bを計算すると、約24GB、12GB、6GBです。Gemmaの表の26.7GB、13.4GB、6.7GBとは近いですが、一致はしません。差の理由は、読んだ文書では確かめられていません。
Hugging Faceのページは、見積もりが測るのは「読み込み」の分で、実際に文章を作る(推論)ときには、さらに最大で約20%増えると書いています(EleutherAIを引いたもの)。
誤解されやすい点
「パラメータが多いほど賢い」 多いほど細かいパターンを捉えられる、と説明する資料はあります。しかし、読んだ資料に「多ければ必ず良い」とは書かれていません。IBMは、多すぎる場合の過学習の恐れも書いています。同じ個数でも、学習の質で結果は変わるはずです(見立てです)。
「パラメータ数は、どのAIでも公開されている」 OpenAIのヘルプ(ChatGPTやその土台のモデルの作り方の説明)には、自社モデルのパラメータ数は書かれていませんでした。ClaudeやGeminiについては、パラメータ数が公式に書かれているかどうか、僕らは探していないので分かりません。この記事で数字を読めたのは、gpt-oss、Mixtral、Gemmaの、重みが公開されているモデルでした(見立てですが、数字は公開されているものから確かめやすいと思います)。
今日からできること、やってはいけないこと
どれも、上の公式ページを土台にした、僕らの整理です。
今日からできること
- 「B」を見たら、10億個と読み替える。7Bなら約70億個、70Bなら約700億個。
- 名前に「A4B」のような表記があれば、全体と使う分が違うMoEだと考える。メモリは全体の数字で見る。
- パソコンに載せたいときは、個数よりも、配布ページの「ファイルの大きさ」や、必要なメモリの記載を見る。公式の表があれば、それを優先する。
やってはいけないこと
- 個数の大小だけで、AIの優劣を決める。
- 「使う分」が少ないからと、メモリも少なくて済むと思い込む。
- 他社の数字と、自社の表記を、確かめずに並べて比べる。表記の決まりは、会社ごとに違う可能性があります。
気をつけること
- 数字は、2026年10月16日に読んだ公式ページのものです。モデルは入れ替わりが早く、変わりやすいです。
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。
- ページは要約を通して読んでいるので、細かい言い回しや注記は、原文で確かめていません。
- Googleの機械学習用語集の「パラメータ」の項は、ページが長く、読み取れませんでした。そのため、パラメータの定義はIBMとOpenAIのヘルプの説明に基づいています。
- ClaudeやGeminiなど、重みが公開されていないモデルのパラメータ数については、公式の記載を探して読んだわけではないので、「書かれていない」とは断定しません。
- Mixtralの「8x7B」と46.7Bの差の理由や、Gemmaの表と僕らの概算の差の理由は、確かめられていません。
- 「パラメータが多いほど性能が上がる」ことを裏づける公式の文書は、読んでいません。
出典
- What are model parameters?(IBM Think、2026年10月16日確認)
- How ChatGPT and our foundation models are developed(OpenAI Help Center、2026年10月16日確認)
- Introducing gpt-oss(OpenAI、2026年10月16日確認)
- gpt-oss-20b(Hugging Face モデルカード、2026年10月16日確認)
- Mixtral of experts(Mistral AI、2026年10月16日確認)
- Gemma core models(Google AI for Developers、2026年10月16日確認)
- Model memory estimator(Hugging Face Accelerate Docs、2026年10月16日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
