3行でいうと

  • RaycastにAIの会社のAPIキーを設定すると、選んだ文章に対してショートカットキー一発でAIを動かせる。
  • 自分のキーを使う機能は無料プランでは使えず、有料プランの機能になっている。
  • キーで使った分はAI会社にAPI料金として別に払う。Raycastのプランとは別の請求になる。
  • APIキーは合鍵のようなもの。人に渡さず、使う前に提供元の画面で月の上限を決めておくのが安全という見立て。

メールの言い回しを直したい。知らない英語のエラー表示の意味が知りたい。外国語のメールを日本語にしたい。そのたびにAIのサイトを開くのは、地味に面倒です。

Raycast(レイキャスト)に、AIの会社の「APIキー」を設定すると、選んだ文章に対して、ショートカットキー一発でAIを動かせます。そう聞いて、公式の文書で確かめました。

この記事は、公式のマニュアル、料金ページ、AI各社のヘルプで確認できたことだけを事実として書いています。僕らの考えは「見立てです。」と分けて書きました。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。手順は「文書から組み立てた想定」です。使ってみたら、書き足します。

先に、ひとつ大事なこと

自分のAPIキーを使う機能は、無料では使えません。

Raycastの料金ページによると、無料プランにAIは含まれていません。APIキーを使う機能(BYOK=ビー・オー・ケー。Bring Your Own Key、「自分の鍵を持ち込む」の略)は、有料プランのものです。

しかも、以前は違いました。公式のマニュアルに「v2での変更」という告知があり、バージョン2から、自分のキー、自分の契約、ローカルAIの持ち込みが、有料プランの機能になった、と書かれています。昔の紹介記事に「無料でAPIキーが使える」とあったら、それは古い情報かもしれません。

Raycastとは

公式のマニュアルは、Raycastを「アプリ、ファイル、拡張機能、AI、音声入力を、キー1回で呼び出せるもの」と説明しています。クイックスタートでは、アプリやファイルを探せる「ランチャー」と書かれています。ランチャーは、キーを押すと小さな窓が開いて、そこから何でも呼び出せる道具、と考えてください。

対応しているのは、Mac、Windows、iOSです。マニュアルの冒頭に書かれています。この記事はMacの話として書きます。Windowsにもあるので「Macだけ」ではありませんが、APIキーの機能がWindowsで同じかどうかは、確認できていません。

AIの入口は3つある

公式のマニュアルで、AIの入口は次のように説明されています。

入口 何をするものか
Quick AI ルート検索(Raycastを開いた最初の画面)に質問を打って、Tabキーを押すと答えが出る。1回きりの質問向け
AI Chat 履歴が残る、本格的なチャットの画面
AI Commands 繰り返す頼みごとを、ワンキーのコマンドにしたもの

「選んだ文章を直したい」という使い方に近いのは、AI Commandsです。公式の説明では、命令文の中に {selection}(選んだ文章)という目印を入れておくと、選択中の文章に対して動きます。たとえば「{selection}をスウェーデン語に訳して」というコマンドが、公式の例として載っています。

最初から入っているコマンドは、10月22日に読み直したマニュアルでは8つで、次のとおりです。

「翻訳する」「コードを説明する」は、10月22日に読んだページでは、最初から入っているコマンドの一覧には見つかりませんでした。

動かし方も書かれています。文章を選び、Raycastを開き、コマンドを探して、Enterを押します。答えは、Raycastの窓に出ます。「出力の動作」の設定を「Replace Selection」にすると、選んだ文章の上に置き換わります(どちらが初期値かは、読んだページに書かれていませんでした)。公式の説明では、これは「どのアプリでも」できるとされています。

ショートカットも、公式のマニュアルで確認できました。コマンドを選んで、アクションパネル(⌘K)から「Configure Command」、そして「Set Hotkey」を選びます。または、設定の「Shortcuts」でコマンドを探して、キーを記録します。キーが他と重なると、入力欄が赤くなって、どのコマンドと重なるかが出ます。

ここで、本人の「あらゆるアプリで即座に動く」という言葉を、確かめた範囲で整理します。

AI Commandsは、公式のページに「Pro Exclusive」(有料プラン向けの印)があります。Quick AIとAI Chatの印は、10月22日には読み直していません。

「APIキー」とは何か

APIキーは、AIのサービスを使うための「合鍵」です。

AIの会社には、ふだんの人が使うチャットの画面があります。それとは別に、アプリがAIを呼び出すための裏口があります。その裏口を開けるのが、APIキーという長い文字列です。

合鍵ですから、持っている人は、あなたの名前で、あなたの支払いでAIを使えます。誰かに渡さない、人に見える場所に書かない。これが基本です。

対応する提供元と、設定の流れ(想定)

公式のBYOKのページによると、キーを入れられる提供元は4つです。Anthropic、Google、OpenAI、OpenRouter(いろいろなAIの窓口になっているサービス)。1つの提供元につき、キーは1つです。

文書から組み立てた手順は、こうなります。

  1. Raycastを入れて、有料プランにします。公式のマニュアル(Billing)には、新しく登録した人に7日間のProのお試しがあると書かれています。カードが要るかどうかは、読んだページでは確認できていません。
  2. AI会社のサイトで、APIキーを作ります。Raycastの画面には「提供元のキーのページを開く」ボタンもあるそうです。
  3. Raycastの「Settings → AI → Models & Providers」を開きます。
  4. 「API Keys」の追加ボタンを押して、提供元を選びます。
  5. キーを貼って「Verify」(確認)を押します。通ったら「Save」(保存)です。
  6. 好きなAI Commandに、ショートカットを割り当てます。

キーが有効なとき、モデルの名前の横に小さな鍵のアイコンが出ます。公式のページに書かれています。自分のキーで動いているかの目印になります。

使える範囲には、決まりがあります。

AI Commandごとにモデルを選べるかは、10月22日に読んだマニュアルで確認できました。コマンドごとにModelの欄があり、設定の既定のモデルより、コマンドで選んだモデルが優先されます。既定を変えても、すでにモデルを選んだコマンドは変わりません。

追加:ChatGPTやClaudeの契約をつなぐ方法

最近のアップデートで、もうひとつの道が増えました。公式のマニュアルによると、ClaudeかChatGPTのアカウントを、有料のRaycastプランにつなげられます。

手順には「Claude CodeかCodex CLIを入れて、ターミナルでログインする」という作業があります。つまり、黒い画面での操作が要ります。APIだけの契約は対象外で、その場合はBYOKを使う、と書かれています。使った分は、Raycastのクレジットではなく、その契約の枠に数えられます。

見立てです。開発をしない人には、APIキーの方が簡単だと思います。ただ、すでに月額プランに入っている人は、この道も候補になります。

お金の話:請求は、全部で別になる

これが、いちばん混乱しやすいところです。

APIキーで使った分は、AI会社に、API料金として直接払います。Raycastの公式ページには、キーを使うと「提供元の標準の料金で、その費用に責任を持つ」と書かれています。

では、ChatGPTやClaudeの月額プランに入っていれば、APIも込みなのか。答えは、込みではありません。

つまり、最大で3つの支払いが並びます。

支払い先 何の代金か
Raycast アプリの有料プラン
AI会社(API) APIキーで使った分
AI会社(月額プラン) ふだんのチャットの契約。入っていれば

Raycastの料金ページ(2026年10月22日に読み直しました)は、次のとおりです。通貨の記号は「$」で、通貨名の明記は確認できていません。

段階 月払い 年払い 毎月のAIクレジット
Pro $10 $96 500
Plus $20 $192 3,000
Max $50 $480 7,500

BYOKは、BYOKのページでは「Pro Exclusive」の印があります。v2の告知では、有料のPro、Pro+、Maxで使えるとされ、料金ページには、無料プランには含まれず、有料の個人向けとチーム向けの段階に含まれる、とあります。ただし、v2の告知では段階の名前が「Pro、Pro+、Max」と書かれていて、料金ページの表の「Pro、Plus、Max」と違います(料金ページのFAQには「Pro+」の書き方もあります)。最上位のモデルは、PlusとMaxに含まれる、と料金ページにあります。

APIの料金そのものは、AI会社の料金ページで、モデルごとに決まっています。AIが文章を数える単位(トークン)あたりの金額で、使った量に応じて増えます。この記事では、金額を書いていません。メール1通あたりの費用も、この記事では計算していません。

費用が増えすぎないために

見立てを混ぜずに、公式に書かれていることから並べます。

見立てです。キーを作る前に、提供元の画面で、少なめの月額上限を決めておくのが安全だと思います。足りなくなったら上げればよいからです。

安全の話:キーの扱い

Raycastの公式の記載は、次のとおりです。

AI会社の側の注意も、Anthropicの公式のヘルプにあります。

見立てです。チャットやメールにキーを貼らないでください。控えを残すなら、自分だけが見られる場所にします。

プライバシー:入力は、どこへ送られるか

公式のプライバシーのページから、送り先ごとに整理しました。

使い方 入力の送り先(公式の記載)
OpenAI、Anthropic、Googleのキー Raycastのサーバーを通って、提供元へ。仕組みをまとめるために通す、と説明されている
OpenRouterのキー 端末から、直接OpenRouterへ
ローカルモデル(Ollama) 端末の外へ出ない。Raycastのサーバーも通らない

Raycast自身のAI(クレジットで使う方)については、プライバシーのページが、プロンプトを記録も保持もしない、と書いています。トークン数などの基本的な情報は保存します。提供元は、リクエスト後にデータを消す方針で、Raycastとの契約で、AIの学習への利用が禁止されています。ただし、Mistral AIは不正の監視のため30日、xAIは30日保持するという例外が書かれています。10月22日に読んだ版では、Anthropicの一部のモデル(ページの表記は「Claude Fable 5.1」)も、重大な害の検出のために30日保持する例外として挙がっていました。

ここで、ひとつ気になる点がありました。この「記録も保持もしない」という説明が、BYOKの場合にも当てはまるのかです。10月22日に読み直すと、この説明は「Raycastが用意するモデル」についてのもので、BYOKでは、つないだ提供元の規約とプライバシー設定が決める、という読み方になりました。Raycastの提供元との契約にある学習の禁止も、BYOKには当てはまらない、と読めます。Raycast自身は、チャット履歴を保存し、クラウド同期がオンなら同期もします。大事なデータを扱う人は、Raycastと提供元の公式ページを直接読んでください。

ローカルAI(Ollama)は使えるか

使えます。公式の「Local Models」のページによると、Ollamaのアプリを入れておけば、モデルが自動で見つかり、モデルの選択画面に出ます。Quick AI、AI Chat、AI Commandsで動きます。

  • 要るもの:Ollamaのアプリ、Raycastの有料プラン。
  • 会話は、Raycastのサーバーにも第三者にも送られない、と書かれています。ただし、プライバシーのページには、AI Memoryをオンにしていると、ローカルを含むどのモデルとの最近のチャットも、定期的にRaycastのサーバー上のモデルで処理される、という例外も書かれていました(10月22日に確認)。
  • ネットが要るのは、最初のモデルのダウンロードと、画像生成などの一部機能だけ。
  • できないこと:拡張機能のAI APIと絵文字検索は、Raycast AIが必要です。

動く速さは、手元のパソコンとモデルの大きさで決まります。公式のページにも、そう書かれています。Ollamaの使い方は、前の記事(Ollama × Obsidian)にまとめています。

無料で、どこまでできるか

公式の料金ページを読むかぎり、無料プランでできるのは、ランチャーとしての基本機能です。AIは含まれません。クリップボード履歴は3か月、ノートは5件までと書かれています。

AIを試すなら、7日間のProの無料お試しがあります(カードが要るかは確認できていません)。それ以外に、APIキーだけを安くつなぐ道は、読んだ範囲では見つかりませんでした。10月7日の記事では、告知に「BYOKだけの安いプランは、今のところ予定がない」と書かれていると読めました。10月22日に読み直すと、その質問は見出しにあるものの、答えの部分は読み取れず、確認できていません。料金ページのFAQには「AIなしのProプランはあるか」という質問があり、「ない、Proは AI つきだけ」と答えています。

どんな場面で効くか

見立てです。公式の説明から考えると、「文章を選んで、決まった頼みごとをする」場面が、いちばん合うと思います。

向かない場面も、見立てです。

気をつけること

出典

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