3行でいうと

  • DeepSeekは中国のAI企業で、安い料金と、モデルの中身(重み)の公開で知られる。
  • いまの主力は、2026年9月10日に出て、10月17日に「1017」版へ更新された「DeepSeek-V4.1-Flash」。画像も読める。
  • 入力した内容は、公式のプライバシーポリシーで、中国にあるサーバーで処理・保管されると書かれている。
  • 2026年10月20日、アメリカの国土安全保障省(DHS)による、連邦の民生機関からDeepSeek製品を除く命令の通知が、連邦官報に載った。
  • 見立てでは、仕事の資料や個人情報は、会社の決まりとデータの扱いを確認してから入れたほうがよい。

DeepSeekは、安い料金と、中身を公開していることで知られるAIです。一方で、データの保管先が中国であることから、使い方には注意が要ります。

この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。僕らの考えは、段落の頭を「見立てです。」として、事実と分けています。

先に結論

見立てです。個人の調べものや、公開してよい文章の下書きには、気軽に試せる選択肢だと思います。仕事の資料、個人情報、取引先の情報を入れるのは、会社の決まりと、後述のデータの扱いを確認してからにしたほうがよいと思います。

何の会社の、何というAIか

DeepSeekは、中国の企業です。公式サイトの下部には、杭州の法人名が書かれています。同じ名前が、次のものをまとめて指しています。

「モデル」とは、AIの頭脳にあたるプログラムの本体のことです。アプリの名前と、モデルの名前は別のものです。この記事では、混ざらないように書き分けます。

公式サイトのトップには、ウェブ版、アプリのダウンロード、「DeepSeek Harness」というデスクトップ向けのもの(API文書では「開発者向けプレビュー」とあります)、開発者向けの「API開放プラットフォーム」が並んでいます。「API」とは、アプリやプログラムから、AIを直接呼び出す口のことです。Harnessの中身は、僕らは読めた範囲では詳しく確かめていません。

モデルの系列:V系とR系の、いまの状態

DeepSeekのモデルには、かつて「V」と「R」の2つの名前の系列がありました。

  • V系:ふつうの会話や文章のためのモデル(V3など)
  • R系:「考えてから答える」ことに力を入れたモデル(R1など)

公式の更新履歴を読むと、2025年8月のV3.1で「考える」と「すぐ答える」を1つのモデルの中に統合した、と書かれています。それ以降は、V系の1本にまとまっています。履歴で読めた最後のR名のモデルは、2025年5月の「R1-0528」です。「考える」モードは、いまはV系のモデルの中で、切り替えて使います。

いまの流れは、更新履歴に次のように載っています。

日付 出来事
2026年4月24日 V4のプレビュー公開。V4-ProとV4-Flashの2種類。中身も公開
2026年7月31日 V4-Flashの更新版(公開ベータ)
2026年8月13日 V4-Proの正式版。アプリ・ウェブ・APIで提供
2026年8月21日 画像を読める実験版(V4-Flash-Vision-Exp)
2026年9月10日 V4.1-Flash公開。画像を標準で読める
2026年10月17日 V4.1-Flashを「1017」版へ更新。呼び出し名(deepseek-flash)と価格はそのまま。検索(Search)と取得(Fetch)のAPIも公開

いま、公式の料金ページに載っているモデルは2つです。

名前(APIで指定する名前) 位置づけ 公式の記載
DeepSeek-V4.1-Flash(deepseek-flash) いちばん新しい、軽い方の系列。画像も読める。料金ページの版名は「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」 文脈の長さ(一度に扱える量)は100万トークン、1回の出力は最大384K
DeepSeek-V4-Pro-0813(deepseek-v4-pro) 上位の系列の、8月13日版 文脈100万トークン、最大出力384K。画像は非対応と書かれている

「トークン」とは、AIが文章を数えるときの細かい単位です。日本語の文字数との正確な換算は、この記事では確かめていません。

公式のお知らせによると、V4.1-Flashは「552Bパラメータ(パラメータとは、AIの中の調整値の数のこと)の、専門家を組み合わせる方式のモデルで、入力時には80億、出力時には160億分だけを動かす」作りだそうです。公式は、いくつかのテストで、V4-Proより上の結果が出た、と書いています。これは公式の発表です。この記事では検証していません。

10月17日の更新版(V4.1-Flash-1017)について、公式のお知らせは、前の版より成績が上がり、作業にかかる時間と出力の長さが短くなった、と説明しています。呼び出し方と価格が変わらないことは、公式の更新履歴に書かれています。これも公式の発表で、この記事では検証していません。

V4-Proの扱いは、公式の文書の中で食い違っています。9月10日のお知らせには、「9月14日以降、V4-Proへの注文はV4.1-Flashに回す」と書かれています。同じ日の更新履歴には、「ユーザーの声を受けて、9月14日以降もV4-ProのAPIを続ける。料金の方式は変えない」と書かれています。料金ページには、V4-Proが独自の価格で載っています。どちらが最終かは、僕らは確認できていません。10月22日に読み直した料金ページにも、V4-Pro(V4-Pro-0813)は独自の価格で載っていて、この食い違いは解消していません。

古い名前の「deepseek-chat」と「deepseek-reasoner」は、2026年7月24日に使えなくなると、4月のお知らせに書かれていました。また、料金ページには、旧名の「deepseek-v4-flash」と「deepseek-v4-flash-vision-exp」は今も受け付けられるが、中のモデルは終了していて、V4.1-Flash-1017に回され、Flashの料金で請求される、とあります。

使い方の入口

ウェブ版・アプリの利用料金が無料かどうかは、僕らが読んだ公式ページでは書かれている箇所を確認できませんでした。

価格(2026年10月22日確認)

アプリではなく、開発者向けの従量課金の料金です。公式の料金ページの数字で、通貨は米ドルです。「100万トークンあたり」の値段です。

DeepSeekの料金には、2つの特徴があります。

  1. キャッシュ割引:同じ前置きの文章を何度も送るとき、2回目以降の分が安くなる仕組みです。公式の文書では、この仕組みは全員に最初から有効で、設定は要りません。前の依頼と、前の部分がそっくり同じときだけ割引になります。表の「キャッシュあり」がその値段です。
  2. 混雑時間の割増し:ピーク時間の料金は、ピーク外の2倍です(公式の表現では、ピーク外はピークの半額)。

ピーク時間は、協定世界時(UTC)で、月曜から金曜の1:00〜4:00と6:00〜10:00です。中国の祝日は除きます。日本時間にすると、おおよそ平日の10:00〜13:00と15:00〜19:00にあたります(僕らの換算。祝日の扱いと、日付またぎは公式でご確認ください)。

100万トークンあたり V4.1-Flash ピーク外 V4.1-Flash ピーク V4-Pro ピーク外 V4-Pro ピーク
入力(キャッシュあり) 0.003ドル 0.006ドル 0.022ドル 0.044ドル
入力(キャッシュなし) 0.15ドル 0.30ドル 0.66ドル 1.32ドル
出力 0.60ドル 1.20ドル 1.98ドル 3.96ドル

並行して送れる数の上限は、Flashが2,500、Proが500と書かれています。表の数字は、10月22日に料金ページを読み直して、同じであることを確かめました。

10月17日に一般公開された検索(Search)と取得(Fetch)のAPIは、それぞれ成功1,000回あたり0.75ドルです。DeepSeek Harness、Claude Code、Codexのサーバー側ツールとして使う分は無料で、請求は2026年10月31日16時(UTC。北京時間では11月1日0時)に始まる、と公式に書かれています。

料金はチャージした残高から引かれます。無料でもらった残高があれば、先にそちらから引かれます。公式は「価格は変わることがある。ページを確かめてほしい」と書いています。

計算の例です(僕らの計算です)。ピーク時間に、Flashへ入力100万トークン(キャッシュなし)、出力20万トークンのやりとりをすると、0.30ドルと0.24ドルで、合計0.54ドルです。日本円は、為替で変わるので書きません。

見立てです。ピーク外やキャッシュありを使いこなせるかで、実際の請求額はかなり変わりそうです。他社と並べた比較は、この記事ではしていません。

中身の公開(オープンウェイト)の条件

「オープンウェイト」とは、AIの頭脳の中身(学習した結果の数値)を、誰でもダウンロードできるように公開することです。

  • V4.1-Flashは、公開先のHugging Face(AIの中身を置く、大きな公開サイト)のページに、「このリポジトリ(公開場所)とモデルの重みは、MITライセンス」と書かれています。10月17日の更新版(V4.1-Flash-1017)のページにも、同じくMITライセンスと書かれています。ただし、10月17日の公式のお知らせ自体には、ライセンスの名前は書かれていませんでした。
  • V4-Proの公開ページにも、同じく、MITライセンスと書かれています。ただし、そのページの説明は、4月の「プレビュー版」のものです。8月13日の正式版の中身が、同じ形で公開されているかは、僕らは確認できていません。

MITライセンスとは、使う、直す、配る、商売に使う、を、ほとんど制限なく認める、よくある許可の形です。条件は、著作権表示と、ライセンス文を残すことが中心です。ここは、公開ページの記載を読んだ範囲で、法律の専門家の確認はしていません。

ファイルの大きさは、10月7日にHugging Faceの情報で読んだ数字で、V4.1-Flashが約510GB、V4-Pro(プレビュー版)が約865GBです(10月22日にHugging Faceのファイル一覧を読み直すと、V4.1-Flashと1017版は約510GB、V4-Proは約865GBでした)。普通のパソコンには入りません。「公開されている」ことと、「自分のパソコンで気軽に動かせる」ことは別、と考えてください。公式のお知らせにも、大規模に動かす相談をしたい人向けの呼びかけが載っています。

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入力したデータはどう扱われるか

公式のプライバシーポリシー(2026年2月10日更新版)で読めたことを書きます。

  • 運営者:杭州の法人が、サービスを提供し、管理する、と書かれています。連絡先は privacy@deepseek.com です。
  • 集めるもの:メール・電話番号などの登録情報、入力した文章・音声・アップロードしたファイル・チャット履歴、IPアドレスや端末の情報、おおよその位置(IPから)などです。
  • 使い道:サービスの提供のほか、「機械学習モデルを含む、技術の訓練と改善」も挙げられています。つまり、入力が、学習に使われる可能性があります。
  • オプトアウト(断る権利):権利の一覧に「モデルの訓練や最適化に、自分のデータを使われることを断る権利」が書かれています。ただし、実際にどこでどう断るか、画面の操作は、この記事では確認していません。
  • 保管先:ポリシーには、「サービスの提供のため、個人データを中華人民共和国で直接収集・処理・保管する」と書かれています。
  • 他への提供:外部の事業者、同じ企業グループ、法的な要請があったときの法執行機関などに、必要な範囲で提供することがある、と書かれています。検索の機能では、入力したキーワードが外部のAPIに渡る、とも書かれています。
  • 共有リンク:会話を共有用のURLにできる機能があり、公開された場合、クローラー(自動で集めるプログラム)に拾われるおそれがある、と警告されています。
  • 削除:設定から、チャット履歴の削除ができます。アカウントを消すと、元には戻せません。
  • 開発者向けAPIの場合:開発者が作ったアプリを通して使う場合の個人データは、このポリシーの対象外で、そのアプリを運営する開発者が説明する、と書かれています。DeepSeekのAPIに送った内容そのものの扱いは、僕らが読んだこのポリシーの範囲では、はっきり確かめられませんでした。

また、このサービスは、人種、宗教、健康、性、子どもの情報などの機微な個人データを扱うために作られていない、とあり、「自分についても他人についても、入力しないでください」と書かれています。

見立てです。会社や学校で使う場合は、個人の判断だけで決めず、情報の担当部署の決まりを確認するのが先だと思います。人の名前、住所、顧客の情報、社内の資料は、ポリシーの上でも入力を勧められていない、と読めます。

各国での利用制限の動き

確認できたものだけを、日付つきで書きます。ほとんどは2025年のものです。2026年のものとしては、2026年10月20日に連邦官報で公示されたアメリカ連邦政府の命令の通知を、一次資料で確認しました(下の最後の項目)。ほかに2026年に出た新しい制限は、確かな報道を確認できませんでした。

  • 日本(2025年2月6日):デジタル庁が、政府機関向けに注意喚起の業務連絡を出した、と報じられています。内容は、データが中国のサーバーに保存され、中国の法令が適用されること、機密情報の取り扱いは原則禁止で、非機密でもリスクを評価して使うこと、事前にNISCとデジタル庁に相談すること。(インターネットウォッチの報道。デジタル庁の原文は、僕らは直接読めていません)
  • イタリア(2025年1月30日):個人情報保護当局(Garante)が、DeepSeekによるイタリア国内の個人データの処理を、すぐに制限する命令を出しました。当局の文書には、英語のみのプライバシーポリシーの不備、データが中国にあること、EU域内の代理人を置いていないこと、問い合わせへの回答の不十分さなどが挙げられています。
  • 台湾(2025年1月31日):デジタル発展部が、政府機関と重要インフラでの使用を制限する命令を出した、と政策の追跡サイトに記録されています。
  • アメリカ・ニューヨーク州(2025年2月10日):ホークル知事が、州の情報技術局が管理する政府の端末とネットワークで、DeepSeekのアプリを禁止すると発表しました。州の公式ページで読めます。2026年1月には、ニューヨーク州立大学(SUNY)系のバッファロー大学が、大学の端末とネットワークで使えないことを案内しています。
  • 韓国(2025年2月):個人情報保護委員会が、アプリの新規ダウンロードを停止しました。理由は、DeepSeekが同国の個人情報保護の規則を十分に考慮していなかったと認めたことです。ウェブ版は使えたままでした。その後、同年4月28日にダウンロードが再開されました。DeepSeekがプライバシーポリシーを改め、中国やアメリカへのデータ移転を断れるようにしたためと、報じられています。
  • アメリカ連邦政府(2026年10月20日掲載):国土安全保障省(DHS)の命令の通知が、連邦官報(91 FR 66346、2026年10月19日に公開閲覧、10月20日に掲載)に載りました。根拠は、2018年の連邦調達サプライチェーン安全法(FASCSA)と、その施行規則です。通知の本文から読めたのは、連邦の民生行政機関の調達から、杭州のDeepSeekが開発したIT製品・サービスを除くこと、民生機関のIT機器から、DeepSeekと関連会社の製品をすべて取り除くこと、DeepSeekの実装を使って作られた第三者の製品・サービスも取り除く対象に入ること、です。命令の署名日、取り除く期限、例外、手元で動かす公開済みの重みが対象に入るかどうかは、署名つきの命令の本文が画像で、僕らは読めていません。

見立てです。制限の多くは、「政府や公共の機関の端末」と「個人情報の扱いの手続き」に向いたもので、個人が家で使うことそのものを禁じたものではないと読みました。10月のアメリカ連邦の命令も、通知から読める対象は、連邦の民生機関の調達とITです。ただ、国や会社ごとに状況は違い、すでに変わっているものもあります。お住まいの地域と、勤務先・学校の決まりを、それぞれ確認してください。

どれを選ぶか

見立てです。この記事は使って確かめた記録ではないので、公式の文書から考えた目安です。

  • まず試したい人(個人):ウェブ版かアプリで、公開してよい内容だけを入力する。個人情報や仕事の資料は入れない。
  • 安く大量に処理したい開発者:V4.1-Flash(deepseek-flash)が、公式の料金表の上では、2つの中で低い単価です。繰り返し同じ前置きを送る使い方は、キャッシュ割引の効果が大きいはずです。ピーク外の時間に回せる処理なら、半額です。
  • 画像も読ませたい:公式の表では、画像に対応するのはV4.1-Flashだけです。
  • データを自分の手元に置きたい:MITライセンスで公開された中身を、自社のサーバーで動かす道があります。ただし約510GBの規模で、相応の設備が要ります。
  • 会社や学校で使う:個人の判断で入れず、まず担当部署に確認する。

気をつけること

  • この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、公式の文書と、報道を読んでまとめたものです。
  • 性能の数字(テストの点数、「V4-Proより上」など)は、DeepSeekが自分で出した発表です。第三者の検証は、この記事では確認していません。
  • V4-Proの今後の扱いは、公式の文書どうしで食い違いがあります(先に書いた通り)。料金ページを確認してください。
  • モデルの名前と、中身は、短い間隔で入れ替わっています。この記事の内容は、2026年10月7日に調べ、10月22日に主要な点を確かめ直したものです。
  • 料金は米ドルで、税や為替は含めていません。ピークの時間帯は、UTCで決まっていて、日本時間への換算は僕らの計算です。
  • ウェブ版・アプリの料金、画面での学習の断り方、APIに送った内容の扱いは、確かめられていません。
  • 利用制限の記述は、確認できた範囲だけです。アメリカの連邦レベルでは、10月20日の命令の通知だけを書いています。法案など、状況を確かめきれなかったものは書いていません。ほかにも制限している国や会社があるかもしれません。
  • ポリシーは英語の原文を読んで日本語にしています。細かい言い回しは、原文で確認してください。
  • AIの答えは、間違うことがあります。公式のポリシーも、答えの正確さに頼らないよう書いています。大事な数字や日付は、必ず元の資料で確かめてください。

出典

更新履歴

  • 2026年10月25日 書き方を直しました。
    • 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した