3行でいうと

  • Mistral AIはフランスの会社で、モデルの「中身」(重み)を公開するタイプのモデルを複数出している。
  • アプリの名前は、2026年5月28日に「Le Chat」から「Vibe」に変わった。プランも履歴も引き継がれている。
  • 個人向けは無料とPro(月14.99ドル)の2段。ほかに会社向けのTeamとEnterpriseがある。
  • 「公開」でも条件はモデルごとに違い、制限がゆるいものも、売上の上限がつくものも、商用禁止のものもある。

Mistral AIの名前は聞くけれど、結局どのモデルがあって、いくらで、何が自由に使えるのか。そこが分かりにくい会社です。しかも、この1年でモデルの顔ぶれもアプリの名前も大きく変わっています。

この記事は、公式のサイトと公式ドキュメントで確認できたことだけを事実として書きました。僕らの考えは「見立てです。」と分けています。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書を読んでまとめたものです。

先に結論

何の会社の、何というAIか

名前の整理から始めます。ここが混ざりやすいところです。

「トークン」という言葉も出てきます。AIが文章を数える単位です。細かく切った文字のかたまりを1つと数えます。料金は「100万トークンあたり」で示されます。

シリーズの全体像

公式ドキュメントのモデル一覧(2026年10月22日確認)をもとに、今ある主なモデルを表にしました。「中身の公開」の列は、公式の一覧に出ているライセンス(使用許諾)の表示です。

名前 位置づけ 中身の公開 向く用途
Mistral Large 4(26.10) 最大・最新の主力。画像も読める 公開予定(今月末)。許諾は未確認 難しい仕事全般、コード、セキュリティ
Mistral Medium 3.5(26.04) 中型の主力。アプリの標準モデル 公開。Modified MIT 長い作業、コード、エージェント
Mistral Small 4(26.03) 小回りが利く万能型 公開。Apache 2.0 日常の会話、コスト重視
Mistral Large 3(25.12) ひとつ前の最大モデル 公開。Apache 2.0 旧版。引き続き提供
Ministral 3(14B / 8B / 3B、25.12) 小型。手元のPCや機器向け 公開。Apache 2.0 自分の機器で動かす
Codestral(25.08) コード補完専用 公開の記載なし(Premier) プログラムの入力補助
Voxtral(音声) 文字起こし、音声合成。第3世代(Transcribe 3、TTS 3)が10月20日付のモデルページでプレビュー公開 モデルで違う(下記)。第3世代は公開の記載なし(Premier) 議事録、読み上げ
OCR 4.1 書類の文字・構造の読み取り 公開の記載なし(Premier) 契約書、帳票の読み込み
Shieldstral 1.0 不適切な内容の判定用 公開。Apache 2.0 安全対策
Mistral Moderation 2 同上(APIでは無料) 公開の記載なし(Premier) 安全対策
Timestral 1.0(5M / 28M / 123M / 209M) 時間順に並んだ数値の先を予測する専用モデル。10月15日に発表。ドキュメントではプレビュー 公開。Modified MIT 時系列データの予測

数字の「26.10」は、年月(2026年10月)を表すバージョン表記です。

新しいモデルの特徴(公式の説明)

Large 4。 公式の発表(10月6日)によると、約1兆個のパラメータ(モデルの規模を表す数)を持ち、画像も読めます。「公式の発表では」、コーディングやセキュリティ関連の評価で、中身を公開しているモデルの中では高い成績だと説明されています。その比較の数字は、Mistral自身が出したものです。なお、動いている部分の規模は、10月7日の時点では、発表記事が490億、ドキュメントのページが520億と書かれていて、数字が食い違っていました。10月22日に読み直すと、発表記事もドキュメントも520億になっています。

Medium 3.5。 2026年4月のモデルで、1つのモデルが、指示に従う、考える(推論)、コードを書く、の3つを兼ねます。公式によると、128B(1280億)の規模で、扱える長さは256k(約25万トークン)。公式は、自分で動かすなら最小で4枚のGPU(AI用の計算部品)が目安だと書いています。

Small 4。 公式によると、以前は別々のモデルだった「考える(Magistral)」「画像(Pixtral)」「コード(Devstral)」を、1つにまとめたモデルです。「考える深さ」を、リクエストごとに切り替えられます。

Ministral 3。 3B・8B・14Bの3サイズ。いずれも画像を読めます。

名前だけ残っている系列

昔の記事に出てくる名前が、今どうなっているかも確認しました。公式の「終了予定」の表では、次のとおりです。

  • Devstral(コード専用):終了済み。公式は、新しく使うなら Medium 3.5 を、としています。
  • Pixtral(画像):終了済み。同上です。画像を読む能力は、公式によると Small 4 に統合されました。
  • Magistral(考える専用):終了済み、または今年7月末までに終了。後継は Medium 3.5 と Small 4 です。
  • Mistral 7B、Mixtral など:終了済みです。

つまり、「系列ごとに専用モデルを持つ」やり方から、「少数の統合モデルで済ませる」やり方に変わってきています。ただし、Codestral と Voxtral、OCR は専用のまま続いています。

使い方の入口

アプリ(Vibe)。 ブラウザ(chat.mistral.ai)と、iPhone・Androidのアプリがあります。以前のLe Chatの利用者は、プランも履歴も設定も引き継がれている、と公式に書かれています。

2026年5月の発表によると、Vibeには2つのモードがあります。

また、同じ発表に、これまでの普通のチャットの画面(Chatモード)は「近く終了する」と書かれています。履歴はWorkモードに残る、との説明です。

開発者向け。 Studioから、APIで各モデルを使えます。無料の「Experiment」プランで試せる、と公式にあります。自分のパソコンで動かす、という選び方もあります(公開されているモデルの場合)。

価格

2026年10月7日に確認し、10月22日に読み直した、公式の料金ページです。通貨はドルで表示されていました。ページには円ではなく、ドルとユーロの切り替えがあります。ユーロの金額は、僕らは確認できていません。税は別(ページに「税別」と「税込み」の切り替えあり)です。

個人・チーム向け(Vibe)

プラン 月額 公式に書かれている主な内容
Free 0ドル 会話とウェブ検索に上限あり。コードの利用にも上限あり。画像生成。APIクレジットの記載は、10月22日の料金ページでは見当たらない(10月7日の記事では月10ドル分と読んだ)
Pro 14.99ドル メッセージ・検索・画像生成が増える。1日中のコード作業。APIクレジット月15ドル分。チャットとメールの支援
Pro(学生) 5.99ドル 認定された高等教育の学生が対象。最大12か月。APIクレジットは、10月22日のページでは月25.5ドル分と読めた(10月7日の記事では月30ドル分と読んだ)
Team 1人あたり24.99ドル(最低月50ドル) 1人30GBの保管。ドメイン認証。データの書き出し
Enterprise 要問い合わせ 専用のモデル、監査ログ、SAML SSO、ホワイトラベルなど

Proについて、公式は「無料版の最大40倍の画像生成」「最大1000個のプロジェクトフォルダ」と書いています。メッセージは最大6倍、ウェブ検索は最大5倍です。具体的な回数は載っていませんでした。

開発者向けAPI(100万トークンあたり)

ドキュメントの料金表と、各モデルのページで、2回確かめた数字です(2026年10月22日確認、ドル)。

モデル 入力 出力
Mistral Large 4(プレビュー) 1.36 4.18
Mistral Large 3 0.5 1.5
Mistral Medium 3.5 1.5 7.5
Mistral Small 4 0.15 0.6
Ministral 3 14B 0.2 0.2
Ministral 3 8B 0.15 0.15
Ministral 3 3B 0.1 0.1
Codestral 0.3 0.9

Large 4 は、10月7日の時点では、ドキュメントに「通常価格」と、その半額ほどの「セール価格」が両方表示されていました。10月22日に読み直した料金表とモデルのページでは、入力1.36ドル、出力4.18ドルの1つだけで、セール価格の表示は見当たりませんでした。セールが終わったのか、表示が消えただけなのかは、確認できていません。

そのほかの料金は、次のとおりです。

料金ページには、まとめて処理する「バッチ」だと50%安くなる、同じ入力を繰り返すと「キャッシュ」で入力費が最大90%安くなる、とも書かれています。

オープンウェイトの条件とライセンス

「オープンウェイト」とは、モデルの中身(重み)をダウンロードして、自分のパソコンやサーバーで動かせる形で公開することです。ソースコードを全部出す「オープンソース」とは別の言葉です。ここは、モデルごとに条件が違うので、分けて書きます。

Apache 2.0。 Small 4、Large 3、Ministral 3、Voxtral Realtime、Voxtral Small、Shieldstral の許諾です。商用利用も含め、広く自由に使えるタイプの許諾として知られています(細かい条件は、許諾文を読んでください)。

Modified MIT(Medium 3.5)。 公式のHugging Face(モデルの公開場所)にある許諾文を読みました。重みの使用・複製・改変・再配布などが認められる一方、条件が2つあります。ひとつは、著作権表示と許諾文を残すこと。もうひとつは、使う会社(または雇用主)の前月の世界の連結月間売上が2,000万ドルを超えると、この許諾での利用ができなくなることです。超える場合は、Mistralに商用ライセンスを求めるか、Mistralの有料サービスを使う、とされています。個人や小さな会社は対象外ですが、大きな会社は別の契約が要ります。

CC BY-NC 4.0(Voxtral TTS)。 「NC」は非営利です。商用利用はできない、という意味の許諾です。

公開の記載がないもの。 Codestral、OCR、Moderation 2などは、公式一覧で「Premier」と表示されています。重みの公開が確認できませんでした。APIなどで使う形です。

Large 4。 公式の発表は「今月末に中身を公開する」としています。ライセンスは、現時点のページでは空欄で、僕らは確認できていません。

なお、料金ページのよくある質問には、「公開モデルはApache 2.0だが、商用の展開にはMistralの許諾が要る」という趣旨の説明がありました。これは、上の各モデルのページと一致しません。古い文言が残っている可能性があります。実際に使うなら、使いたいモデルのページの許諾表示と、許諾文そのものを読んでください。

ヨーロッパのAIとしての位置づけ

公式の発表で、Mistralは自社を「主権(sovereign)AI」の会社と呼んでいます。意味は、データ、モデル、計算機、運用の4点を、利用する側が自分で握れること、と説明されています。

確認できた具体例は、次のとおりです。

  • Large 4 は、公式によると、ヨーロッパにあるMistral自前のデータセンターで、NVIDIAのGPU 3,800枚を使って訓練されました。
  • 2026年8月の発表で、推論(AIの応答処理)を「ヨーロッパかアメリカか」選べる地域指定が、一般提供になりました。
  • 同じ発表で、Mistralは2030年までに最大1ギガワットの計算能力を作る計画を示しています。
  • 2026年9月、ドイツ・ミュンヘンに拠点を開く発表がありました。

見立てです。公式が強調しているのは「性能で勝つ」よりも「自分で握れる」という点です。ヨーロッパの企業や官公庁が、データを外に出したくない場合に、選びやすい位置にいるのだと思います。ただし、日本の個人が日常で使う場面では、この違いはあまり目に見えません。

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どれを選ぶか

見立てです。公式資料を読んだ範囲での考えで、実際に使った感想ではありません。

  • まず試すだけ:Vibeの無料プランで十分です。会話、検索、画像生成まで含まれます。上限の回数は載っていないので、使いながら確かめることになります。
  • 毎日、仕事で使う:Pro(月14.99ドル)が目安です。1日中のコード作業やWorkモードが想定されています。公式のよくある質問は、「ほとんどの作業とコードにはMistral Medium」と案内しています。
  • 安く大量に処理したい(開発者):Small 4 や Ministral 3 が、公式の料金表では最も安い部類です。
  • 書類や録音を読み取りたい(開発者):OCR 4.1 とVoxtralが専用に用意されています。
  • 自分のパソコンで動かしたい:Apache 2.0 のSmall 4やMinistral 3が、許諾の面で扱いやすいです。Medium 3.5は、会社の規模によって条件がかかります。
  • 最新の主力を試したい:Large 4は、プレビューのAPIが使えます。ただし、今月末の中身の公開と、ライセンスを待つ段階です。

気をつけること

  • この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。
  • 料金とプランは、変わることがあります。この記事の数字は、2026年10月7日に確認し、10月22日に読み直した公式ページのものです。個人向けはドル表示を読みました。ユーロや円での金額は、確認できていません。
  • Large 4 は、発表の翌日(10月7日)に読み、10月22日に読み直しました。価格はセール表示が消えて1.36ドル/4.18ドルになり、動いている部分の規模は520億にそろいました。中身の公開とライセンスは、まだ固まっていない可能性があります。
  • 個人向けプランの「APIクレジット月◯ドル分」は、10月7日の読み取り(Free 10ドル、Pro 15ドル、学生30ドル)と10月22日の読み直し(Freeの記載は見当たらず、Pro 15ドル、学生25.5ドル)で食い違いました。Freeと学生の数字は確かめ直せていません。申し込む前に料金ページで確認してください。
  • 公式ページの内部で、数字や説明が食い違う箇所がありました(料金ページのよくある質問のライセンス説明、料金ページの「VibeのCLIはDevstralで動く」という記述と、5月の発表の「Medium 3.5に置き換わった」という記述)。この記事では、各モデルのページと発表記事を優先しました。
  • ベンチマーク(性能を測る試験)の数字は、Mistralが自分で出したものです。他社との優劣は、この記事では判断していません。
  • Vibeの無料・Proの1日あたりのメッセージ回数は、公式ページに具体的な数字が見つかりませんでした。
  • Modified MIT の「月2,000万ドル」の条件は、許諾文を短く言い換えたものです。会社として使う場合は、原文を確認してください。
  • AIの答えは間違うことがあります。大事な数字や日付は、必ず元の資料で確かめてください。

出典

更新履歴

  • 2026年10月25日 書き方を直しました。
    • 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した