3行でいうと
- 3社とも、思考(推論)のトークンは出力トークンとして課金されます。ただし使用量の欄の書き方が違い、AnthropicとOpenAIは「出力の内訳」として出し、Googleは出力とは別の欄で出します。足し方を間違えると、二重に数えたり、数え漏れたりします。
- ツールには、道具の説明文が入力トークンとして毎回かかる分と、サーバー側の道具の回数課金(ウェブ検索など)の、2種類の費用があります。回数課金はトークンとは別の行です。
- 道具を使う1回の仕事は、モデルを何度も呼びます。そのたびに、道具の説明と、それまでのやりとりが入力として再送されます。計算例では、入力の合計が、画面に見える会話の量よりずっと大きくなりました。
この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書を読んでまとめたもので、実際に使って確かめた記録ではありません。料金は2026年10月16日に確認した値で、よく変わります。計算例の数字は僕らが決めた仮の値による式の練習で、実際の請求額ではありません。
先に結論
- 請求は「単価の種類」で並べると読みやすくなります。通常の入力、キャッシュの書き込み、キャッシュの読み取り、出力(思考を含む)の4つの単価と、それとは別の回数・時間の課金です。
- 5つの箱は、僕らの整理です。「入力」「出力」「思考」「キャッシュ」「ツール」。思考とツールは、単価の種類としては入力か出力のどちらかですが、別の箱にすると、減らす手段(努力レベルを下げる、道具を絞る)が分かりやすくなります。
- 計算例では、道具の説明と道具の結果で、入力の半分以上を占めました。キャッシュは、その固定の部分に効きます。ただしこれは僕らの仮の例で、一般的な割合ではありません。
5つの箱
| 箱 | 何が入るか | 単価の種類 | 公式の使用量の欄 |
|---|---|---|---|
| 入力 | あなたの指示、システムの文、会話の履歴 | 入力 | Anthropic:input_tokens ほか。OpenAI:input_tokens |
| 出力 | 返事の文字 | 出力 | Anthropic・OpenAI:output_tokens(思考を含む) |
| 思考 | モデルが内部で考えた分 | 出力 | Anthropic:output_tokens_details.thinking_tokens。OpenAI:output_tokens_details.reasoning_tokens。Google:total_thought_tokens |
| キャッシュ | 同じ前置きの書き込みと読み取り | 書き込み/読み取りの専用単価 | Anthropic:cache_creation_input_tokens、cache_read_input_tokens。OpenAI:cached_tokens、cache_write_tokens |
| ツール | 道具の説明文、道具の呼び出しと結果、サーバー側の道具の回数課金 | 入力・出力+回数課金 | Anthropic:server_tool_use(検索の回数) |
入力と、キャッシュの足し方
Anthropicでは、input_tokens は「最後のキャッシュ区切りより後の、キャッシュされていない分」だけです。総入力は、input_tokens に cache_read_input_tokens と cache_creation_input_tokens を足したものです。この足し算を忘れると、入力が少なく見えます(この足し方はAnthropicのプロンプトキャッシュの文書にあるものですが、この記事の出典欄には載せていません)。
OpenAIのキャッシュの文書の例では、15,000トークンの入力に対して、読み取り12,000、書き込み3,000と出ています。文書は、入力の1つ1つが「通常・読み取り・書き込み」のどれか1つの単価で課金される、と書いています。この例から、読み取りと書き込みは入力の内訳として出ているように見えますが、「通常の分=入力 − 読み取り − 書き込み」と書いた文は、読んだ範囲にありません。これは僕らの推測です。
思考の足し方:3社で違う
- Anthropic:思考は
output_tokensに含まれ、内訳がthinking_tokensです。公式は、請求されるのは、画面に返る要約ではなく、モデルが実際に作った思考の全量だと書いています。思考の表示を省いても、課金は同じです。 - OpenAI:思考のトークンは見えませんが、出力として課金され、会話の窓の中の場所も使います。例では、出力1,186のうち思考が1,024で、合計の1,261は、入力75と出力1,186の和です。
- Google:使用量の欄は、入力、出力、思考、合計に分かれています。文書に「出力に思考を含まない」という文はありませんが、課金が「出力と思考の合計」と書かれ、例の合計も3つの足し算になっているので、出力に思考は入っていないと読めます。例の62 + 171 + 297 = 530が合計です。課金は、出力と思考の両方に対してかかる、と書かれています。
つまり、Googleの total_output_tokens だけを出力の単価で計算すると、思考の分が抜けます。逆に、AnthropicとOpenAIで、出力と思考を別々に足すと、思考を二重に数えます。
また、出力の上限(max_tokensやmax_output_tokens)には思考も含まれます。OpenAIは、上限に達すると、見える返事が出ないまま打ち切られることがある、と書いています。思考だけの詳しい話は、別の記事で扱っています。
ツールの費用は2種類ある
1. 道具の説明文:入力として、毎回
道具の名前・説明・引数の形(スキーマ)は、リクエストのたびに入力トークンとして数えられます。OpenAIは、関数の定義は入力として課金される、と書いています。Anthropicは、これに加えて、道具を使うときに自動で付く専用のシステム文のぶんも数える、と書いています。Claude Sonnet 5.5では、その追加は286トークンです(道具の選び方が自動の場合)。ほかに、bashの道具で325トークン、コンピューター操作の道具一式で約4,500トークンなど、道具ごとの追加も載っています。
2. サーバー側の道具:回数や時間の課金
道具のうち、AnthropicやOpenAIの側で動くものには、トークンとは別の課金があります。ウェブ検索は、Anthropicが1,000回あたり10ドル、OpenAIも1,000回あたり10ドルです(OpenAIは、これに検索内容のトークン代が加わります)。Googleの検索の裏づけは、Gemini 3以降で月5,000回が無料で、超えると1,000回あたり14ドルです。単純に割ると、1回あたり1セントから1.4セントです。
計算例:道具を2回呼ぶ、1回の仕事
Claude Sonnet 5.5(入力1MTokあたり2ドル、出力10ドル。2026年10月16日確認)で、次の仮の仕事を考えます。
- 道具の説明が2,000トークン。道具用の追加が286。システム文が1,000。ユーザーの質問が200。
- 1回目:モデルが、250トークン考えて、道具を呼ぶ(呼び出し150トークン)。
- 道具の結果が1,500トークン。2回目:また250トークン考えて、別の道具を呼ぶ(150)。結果が1,500。
- 3回目:300トークン考えて、300トークンで答える。
モデルは3回呼ばれ、そのたびに、それまでの全部を入力として受け取ります。入力は、1回目が3,486、2回目が5,386、3回目が7,286で、合計16,158トークンです。出力は合計1,400トークン(思考800、道具の呼び出し300、答え300)。前の回の思考も、履歴として再送される、と置いています(Anthropicは、モデルにより前のターンの思考を入力として数える、と書いています)。
費用の内訳は次のとおりです(キャッシュなし)。
| 項目 | トークン | 費用 |
|---|---|---|
| 道具の説明+道具用の追加(3回ぶん) | 6,858(入力) | 0.0137ドル |
| システム文(3回ぶん) | 3,000(入力) | 0.0060ドル |
| ユーザーの質問(3回ぶん) | 600(入力) | 0.0012ドル |
| 前の回の出力の再送 | 1,200(入力) | 0.0024ドル |
| 道具の結果(再送を含む) | 4,500(入力) | 0.0090ドル |
| 思考 | 800(出力) | 0.0080ドル |
| 道具の呼び出し | 300(出力) | 0.0030ドル |
| 答え | 300(出力) | 0.0030ドル |
| 合計 | 入力16,158+出力1,400 | 0.0463ドル |
5つの箱にまとめると、入力(システム文・質問・履歴)が0.0096ドル、出力(答え)が0.0030ドル、思考が0.0080ドル、ツール(道具の説明・呼び出し・結果)が0.0257ドルで、ツールが合計の約55%です。
前置き(道具の説明、道具用の追加、システム文の合計3,286トークン)にキャッシュを付けると、1回目は5分の書き込み(1MTokあたり2.50ドル)、2回目と3回目は読み取り(0.10ドル)になります。その部分は0.0197ドルから0.0089ドルになり、合計は約0.0355ドルです。キャッシュの箱が0.0089ドルとして現れ、ツールの箱は0.0120ドルに減ります。ただし、努力レベルや思考の設定を変えると、読み取りが外れてキャッシュを書き直すことがあります(Anthropicの文書に例があります)。
もし2回の道具が、サーバー側のウェブ検索だったなら、検索料が2回ぶんで0.02ドル、別の行として加わります。検索の結果も、以降の呼び出しでは入力トークンになります。
公式の数字:ツールの回数課金など(2026年10月16日確認)
Anthropic(料金ページ)
- ウェブ検索:1,000回あたり10ドル。失敗した検索は課金されません。
- コード実行:
web_search_20260209以降、またはweb_fetch_20260209以降と一緒なら無料(トークン代のみ)。それ以外は実行時間で課金され、1回あたり最低5分、組織ごとに月1,550時間が無料で、超えると1コンテナ1時間あたり0.05ドル。 - ウェブ取得:追加料金なし。取得した内容のトークン代のみ。10KBのページで約2,500トークンが目安とあります。
- Claude 4.7以降は、新しいトークンの数え方で、同じ文章でも約30%多くなります。
- ツール用の追加の入力:Sonnet 5.5は286(自動の場合)。Opus 4.7は675、Sonnet 4.6は497など、モデルで違います。
OpenAI(料金ページ)
- ウェブ検索:1,000回あたり10ドル+検索内容のトークン代。非推論モデル向けのプレビューは1,000回あたり25ドルで、検索内容のトークンは無料。
- コンテナ(コード実行など):メモリ1GBで、20分のセッションあたり0.03ドル、4GBで0.12ドル、16GBで0.48ドル、64GBで1.92ドル。
- ファイル検索:呼び出し1,000回あたり2.50ドル。保存は1GBあたり1日0.10ドル(1GBは無料)。
Google(料金ページ)
- 検索による裏づけ:Gemini 3以降で月5,000回が無料。超えると1,000回あたり14ドル。実行した検索のクエリごとに課金されます。
- 料金ページは、複数のモデルについて、将来の日付(2026年12月1日、2027年1月1日)つきの値上げを載せています。現行か予告かは、ページだけでは区別しきれません。
内訳を読むときのつまずき
- 「画面に見えた量」と「請求の量」は別です。Anthropicは、要約された思考の文字数ではなく、実際の思考の全量が課金されると書いています。
- 道具の定義を1つ足すと、全部の呼び出しで入力が増えます。OpenAIは、最初に使える関数は20個未満が目安、と書いています。使わない道具は外すか、必要なときだけ読み込む道具検索(OpenAIはgpt-5.4以降のみ)を使います。
- キャッシュの条件は、モデルと社で違います。努力レベルや思考の設定を変えると、キャッシュが無効になる場合があります(Anthropicの文書の記載)。この点は、別の記事で扱っています。
- 道具の結果は、毎回の呼び出しで再送されます。結果が大きい道具ほど、あとの呼び出しの入力を押し上げます。
- トークンの数え方は、モデルの世代で変わります(Claude 4.7以降は約30%増)。「前のモデルより単価が安い」だけでは、請求は比べられません。
気をつけること
- 計算例は、僕らが決めた仮の数字による式の練習で、実際の請求額や、道具を使う仕事の平均ではありません。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。
- 履歴に前の回の思考を含める、という置き方は、モデルとやりとりの形で変わります。Anthropicの文書は、前のターンの思考を入力として数えるかはモデルによる、と書いています。
- OpenAIの料金ページは、表の見出しが取り除かれていて、標準・バッチなどの対応が読み取れない部分がありました。この記事のOpenAIの数字は、ツールの料金だけです。モデルの単価は、公式の料金ページで確認してください。
- Googleの使用量の欄で、
total_input_tokensにキャッシュ分が含まれるかは、読んだ文書では確認できませんでした。 - Anthropicのツール用追加の表は、要約が行の対応を書き分けていない箇所があり、Sonnet 5.5の286は、2つの要約で一致した「自動」の場合の値だけを使いました。
- WebFetchは要約を返すため、原文のままではなく、言い換えています。要約に混じった推論は、事実として使っていません(使った推測は、本文で「僕らの推測」と書きました)。
- 料金、倍率、ツールの価格は、よく変わります。助言ではありません。
出典
- Pricing(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月16日確認)
- Steering thinking and cost(Claude Platform Docs、Anthropic、2026年10月16日確認)
- Reasoning models(OpenAI API、OpenAI、2026年10月16日確認)
- Function calling(OpenAI API、OpenAI、2026年10月16日確認)
- Prompt caching(OpenAI API、OpenAI、2026年10月16日確認)
- Pricing(OpenAI API、OpenAI、2026年10月16日確認)
- Thinking(Gemini API、Google AI for Developers、Google、2026年10月16日確認)
- Gemini Developer API pricing(Google AI for Developers、Google、2026年10月16日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
