3行でいうと

  • OpenAIの資料には、オープンソースのWhisper(READMEのモデルとコード)と、OpenAI APIの音声認識(whisper-1や、後継のgpt-transcribeなど)があります。APIの新しいモデルがWhisperと同じものだと書いた公式の文は、読んだ範囲では見つかりませんでした。コードとモデルの重み(学習済みの中身)はMITライセンスで公開されています。
  • 自分のPCで動かす場合は、Pythonとffmpegを入れて、コマンド1行か数行のPythonで録音ファイルを文字にします。公式のREADMEは、Windows、macOS、Linuxの各環境でのffmpegの入れ方を載せています。
  • 日本語は、公式のコードの言語一覧に入っていて、READMEのコマンド例にも日本語の音声があります。ただし、日本語だけの詳しい説明は、読んだ範囲では見つかりませんでした。
  • APIの音声認識は、公式が「whisper-1」を含む旧モデルを2027年2月26日に停止すると告知しています。後継として、gpt-transcribeなどが案内されています。
  • OpenAI APIに送った音声は、公式の資料によると既定ではモデルの学習に使われません。自分のPCで動かす場合の処理場所は、READMEには明記がなく、導入手順から読み取れる範囲にとどまります。

この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。画面名・モデル名・金額は公式の表記を写しています。公式のページは要約の形で取得したため、「書かれていない」と言い切らず「読んだ範囲では見つからなかった」と書いています。精度や速さの数字は、載せていません。

先に結論

前提:用語をそろえる

たとえ話:「書記官を自宅に置くか、事務所に預けるか」

録音を文字にしてくれる「書記官」がいる、と考えてください。オープンソースのWhisperは、その書記官を自分の家(自分のPC)に迎える使い方です。ツールや広さ(PythonやGPUなどの準備)は自分で用意します。READMEの手順は、自分の環境で処理する形に読めます。OpenAI APIは、書記官のいる事務所に録音を郵送する使い方です。準備は少なくて済みますが、録音を送る先と、その扱いのルールを確かめる必要があります。どちらが良いかは、録音の中身と、準備にかけられる手間で決まります(これは見立てで、公式の説明ではありません)。

公式の区別:OpenAIの資料にある音声認識を並べる

入口 何か 公式の資料に書かれていること 確かさ
オープンソースのWhisper github.com/openai/whisper のモデルとコード 汎用の音声認識モデル。多言語の音声認識、英語への音声翻訳、言語の識別ができる。コードと重みはMITライセンス 書かれている
OpenAI APIの音声認識 developers.openai.com の「File transcription」など 録音ファイルは /v1/audio/transcriptions で文字にする。推奨は gpt-transcribe。whisper-1 は停止が告知されている 書かれている
OpenAI APIのライブ文字起こし 「Realtime transcription」 話している間に文字が返る。推奨の開始点は gpt-live-transcribe 書かれている

どこで使えるか(対応OS・必要なもの)

自分のPCで動かす場合(READMEの記述)

項目 公式のREADMEに書かれていること
対応OS 「対応OSの一覧」は、読んだ範囲では見つかりませんでした。ffmpegの入れ方は、Ubuntu/Debian、Arch、macOS(Homebrew)、Windows(Chocolatey、Scoop)の例が載っています
Python READMEは、開発者がPython 3.9.9を使い、Python 3.8〜3.11で動く見込み、と書いている(pyproject.tomlには3.8〜3.13の記載もある)
PyTorch 開発者はPyTorch 1.10.1を使い、最近のバージョンでも動く見込み、と書かれている
ffmpeg コマンドラインのツールとして別に入れる必要がある
入れ方 pip install -U openai-whisper が基本の手順として載っている
実行 whisper audio.flac audio.mp3 audio.wav --model turbo のようにコマンドで文字にする。Pythonからも使える
GPU 各モデルの「必要なVRAM」(GPUが持つ作業用メモリの量)の目安は表にある。READMEにGPUを必須とする記述は見つからなかった。公式のコード(whisper/transcribe.py)では、コマンドの既定の実行先は「GPU(CUDA)があればGPU、なければCPU」で、CPUでは「FP16 is not supported on CPU; using FP32 instead」と警告が出て動く作り

OpenAI APIの場合

日本語は使えるのか(公式の表記)

無料と有料

モデル 公式の表示 どこに書かれていたか
gpt-transcribe $0.0045 / 分(モデルのページでは音声の長さ。料金のページでは推定の列) モデルのページ、料金のページ
gpt-4o-transcribe $0.006 / 分(推定) 料金のページ
gpt-4o-mini-transcribe $0.003 / 分(推定) 料金のページ
whisper-1 $0.006 / 分 モデルのページ。料金のページには載っていなかった
gpt-live-transcribe $0.017 / 分(推定) 料金のページ

データの扱い:音声と文字起こしの結果はどこへ行くか

ここは使う前に一番確かめたいところなので、入口ごとに、公式の書き方を分けて書きます。

オープンソースのWhisperを自分のPCで動かす場合 - READMEは、「どこで処理されるか」「データが外へ出るか」を、はっきりした文では書いていませんでした(読んだ範囲)。導入の手順は、パッケージを入れて、自分のPythonの環境でモデルを読み込み、ファイルを処理する形です。 - モデルの重みの取得の仕方は、READMEには書かれていません。公式のコード(whisper/init.py)では、load_model に tiny や turbo などの名前を渡したとき、手元にファイルがなければ openaipublic.azureedge.net(OpenAIの配布先)からダウンロードし、~/.cache/whisper に置く作りです(取得後にハッシュ値で検証します)。つまり初回は通信が必要です。完全にネットにつながない環境で使いたい場合は、重みのファイルを先に用意し、そのファイルの場所を load_model に渡す形になります(コードにその分岐があります)。録音そのものが送られる処理ではありません。 - 学習データについては、モデルカードに「インターネットから集めた約68万時間の音声と文字」とあります。これは、モデルを作るときに使われたデータの説明です。自分のPCで動かしたときの録音が、OpenAIへ送られるかどうかについては、READMEに記述が見つかりませんでした。

OpenAI APIに音声を送る場合 - 公式の「Your data」のページには、2023年3月1日以降、APIに送ったデータはOpenAIのモデルの学習や改善に使わない、ただし利用者が明示的に共有に同意した場合は別、という趣旨が書かれています。 - 同じページの表では、/v1/audio/transcriptions と /v1/audio/translations は、学習への利用なし、不正利用の監視のための保存期間は「None」、アプリケーションの状態の保存は「None」、ゼロデータ保持(ZDR)の対象になりうる、とされています。一方、ページの別の箇所では、不正利用の監視ログはAPIのすべての利用で既定で作られ最長30日保存される、とも書かれていて、両者の関係は、ページ内では説明されていませんでした。 - 利用規約(Services Agreement、2026年1月1日付。公式は、APIやChatGPT Enterprise、ChatGPT Businessなど事業者向けの利用に適用され、個人の利用には適用されないと書いています)には、入力は利用者のもの、OpenAIは利用者が同意しない限りサービスの開発や改善にCustomer Contentを使わない、契約の終了後はCustomer Contentを30日以内に削除する(法的な保存義務などを除く)、という趣旨が書かれています。 - 処理される国や地域については、データレジデンシー(保存・処理する地域を選ぶ設定)が、プロジェクトごとの設定として用意されています。使うには営業への連絡が必要、とあります。詳しくは04で扱います。

使い方の入口:どのアプリに入るか、ファイルは読み込めるか

録音に関する公式の注意 - モデルカードは、本人の同意なく撮った個人の録音の文字起こしに使うことを避けるよう警告しています("we caution against using Whisper models to transcribe recordings of individuals taken without their consent" とあります)。 - 利用規約(Services Agreement)は、利用者は、入力を提供するために必要な権利や許可を持っていることを表明する、と書いています。サービスの提供のために必要な、エンドユーザーからの同意を得る責任も、利用者にあります。 - 録音の知らせ方や、同意の取り方の手順は、読んだ範囲の公式の資料には見つかりませんでした。法律や社内のルールは、専門家や会社の担当に確認してください。

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最初に決めること

  1. 自分のPCで動かすか、APIを使うか。 準備の手間、録音の中身、お金のかかり方で決めます。
  2. 録音に他人の声が入るか。 入る場合は、同意と、保存先のルールを先に確かめます。
  3. 日本語の音声か。 日本語は言語一覧にあります。自分の音声で一度試して、使えそうか見てから本番に進むのが無難です(公式も代表的な音声でのテストを勧めています)。
  4. APIなら、新しいモデルの資料を読む。 whisper-1 は停止が告知されています。
  5. 長い録音か。 APIは1ファイル25MBまで。長い録音は分割する、と公式にあります。

気をつけること

出典