3行でいうと
- 自分のPCで動かす場合、録音と結果は自分のファイルとして手元に残ります。Whisper自体にアカウントや同期の仕組みは、公式のREADMEでは見つかりませんでした。バックアップは、自分のファイルとして行います。
- OpenAI APIに送った音声は、公式の「Your data」のページによると、既定では学習や改善に使われません。音声の文字起こしのエンドポイントは、ゼロデータ保持(ZDR)の対象になりうる、とされています。
- APIは従量課金で、gpt-transcribeは公式の表示で1分あたり$0.0045です(2026年10月23日確認)。
whisper-1を含む4つのモデルと、翻訳のエンドポイントは、2027年2月26日に停止すると、公式が2026年8月26日に告知しています。後継として gpt-transcribe と gpt-live-transcribe が案内されています。- 他人の声を録音して文字にするときは、公式のモデルカードが、本人の同意のない録音の文字起こしに警告を出しています。同意の手順は、公式の資料には書かれていませんでした。
この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。金額・日付・設定名は公式の表記を写しています。公式のページは要約の形で取得したため、「書かれていない」と言い切らず「読んだ範囲では見つからなかった」と書いています。契約や法律の解釈は、専門家に確認してください。
先に結論
- 自分のPCで動かす入口は、「手元のファイルの管理」の話になる。 サービス側の保存や解約は、そもそも関係しません。守るのは、録音ファイルと文字のファイルです。
- APIの入口は、公式の「Your data」と利用規約(Services Agreement)で決まる。 既定で学習に使わないこと、ZDRの対象になりうること、契約終了後に30日以内に削除されることが、それぞれ書かれています。
- 料金は従量課金。 無料の枠は、読んだ範囲の資料では確認できていません。
- APIは、旧モデルの停止が決まっている。 使い続けている連携があるなら、期限(2027年2月26日)までに移るかどうかを、先に確かめます。
- 録音の同意は、公式の手順としては書かれていない。 利用する側が先に確かめる、という形になります。
前提:用語をそろえる
- ZDR(Zero Data Retention、ゼロデータ保持):承認を受けた顧客のデータを、OpenAI側に保存しない仕組み。事前の承認と追加の条件が必要、と公式にあります。
- MAM(Modified Abuse Monitoring):不正利用の監視のログから、顧客の内容を外せる仕組み。ZDRと並んで書かれています。
- 不正利用の監視(abuse monitoring)ログ:不正な使い方を見つけるために、OpenAIが作るログ。公式のページには、既定では最長30日保存される、とあります。
- データレジデンシー:データを保存・処理する地域を選ぶ設定。プロジェクトごとの設定です。
- 従量課金:使った量に応じてお金がかかる形。
- Customer Content(利用者のコンテンツ):利用規約の言葉で、利用者が入れた内容と、得られた出力のこと。
データの保存場所
オープンソースのWhisper(自分のPC)
| 項目 | 公式の資料に書かれていること |
|---|---|
| 録音と結果の保存 | READMEは、保存先の決まりを書いていません。自分のPCで、自分が指定したファイルとして扱う形です(READMEの手順から読み取れる範囲) |
| アカウント | 読んだ範囲では、必要という記述は見つかりませんでした |
| 同期 | 見つかりませんでした |
| 外部への送信 | READMEに、処理中に音声を送るという記述は見つかりませんでした。モデルの重みは、公式のコード(whisper/init.py)では、手元にファイルがなければ初回にOpenAIの配布先(openaipublic.azureedge.net)からダウンロードする作りです。送られるのは重みの取得の通信で、録音ではありません |
OpenAI API
| 項目 | 公式の資料に書かれていること | どこに |
|---|---|---|
| 学習への利用 | 2023年3月1日以降、APIに送ったデータはモデルの学習や改善に使わない。ただし、明示的に共有に同意した場合は別 | Your data |
| 文字起こしのエンドポイントの表 | /v1/audio/transcriptions と /v1/audio/translations:学習なし、不正利用の監視の保存は「None」、アプリケーションの状態は「None」、ZDRの対象は「Yes」 |
Your data |
| 不正利用の監視ログ | APIのすべての利用で、既定では作られ、最長30日保存される(法的な必要がある場合などは別)。ログには、プロンプトや応答が含まれうる | Your data |
| 契約の書き方 | 入力は利用者のもの。OpenAIは、利用者が同意しない限り、サービスの開発や改善にCustomer Contentを使わない(この契約は、APIやChatGPT Enterprise、ChatGPT Businessなどの事業者向けの利用が対象で、個人の利用には適用されない、と公式にある) | Services Agreement |
| 契約終了後 | OpenAIは、Customer Contentを30日以内に削除する。ただし、法的な保存義務などがある場合は別 | Services Agreement |
- 「Your data」のページは、音声の文字起こしの不正利用の監視の保存を「None」としながら、別の箇所で、すべてのAPIで監視ログが作られると書いています。この2つの関係は、読んだ範囲のページには説明がありませんでした。実際の運用を知りたい場合は、公式のサポートやDPA(データ処理の契約)で確かめてください。
- 音声のエンドポイントのうち、音声合成(
/v1/audio/speech)は、不正利用の監視の保存が30日と書かれています。ここで扱うのは文字起こしだけです。 - データの保存期間の設定や、データの削除を依頼する画面の名前は、読んだ範囲では見つかりませんでした。
処理される地域(データレジデンシー)
- 公式の「Your data」には、データレジデンシーはプロジェクトごとの設定で、使うには営業への連絡が必要、とあります。
- 対象は、保存されている利用者のコンテンツと、地域での処理に対応している場合の推論です。アカウント情報、利用状況、請求情報などのシステムのデータは含まれません。
- 米国、EU、UAEは、保存と処理の両方に対応しています。オーストラリア、カナダ、日本、インド、シンガポール、韓国、英国は、保存のみ、と表にあります。米国以外の地域は、不正利用の監視の管理についての承認と、保存期間の変更の契約(Modified Retention amendment)が必要と書かれていて、EUには別に、MAMかZDRが必要とあります。
- 地域のあるエンドポイントには、2026年3月5日以降に公開された対象モデルについて、10%の上乗せがある、と書かれています。gpt-transcribeがその対象かどうかは、読んだ範囲では確認できていません。
- リクエストごとに地域を選ぶ入口(
us.api.openai.com、eu.api.openai.comなど)も、対応するエンドポイントとモデルでは使える、とあります。
ChatGPTのVoice Dictationの扱い(参考)
ChatGPTの音声入力は、Whisperのリポジトリ、APIとは別の説明です。参考として、公式のヘルプの内容を書きます。
- 録音された音声はOpenAIのモデルに送られて文字になり、送信前に直せます。
- 音声は、そのチャットが履歴にある間は保存されます。チャットを消すと、関連する音声は30日以内に消えます(セキュリティや法律のための保存、すでに共有に同意して切り離されたものを除く)。
- 個人利用で、音声を改善のために共有する設定にしていた場合は、学習に使われることがあります。法人利用では、入力と出力で学習しない、とあります。
- 止めたいときは、ChatGPTの「データコントロール」の設定で、「Include your audio recordings」か「Improve the model for everyone」をオフにします(設定名は公式の表記)。
プランと料金
オープンソースのWhisperにはプランがありません。コードと重みはMITライセンスで公開されています。APIは従量課金です。公式の表示(確認日2026年10月23日、米ドル。変わることがあります)は次のとおりです。
| モデル | 公式の表示 | 場所 |
|---|---|---|
| gpt-transcribe | $0.0045 / 分(料金のページでは推定の列) | モデルのページ、料金のページ |
| gpt-4o-transcribe | $0.006 / 分(推定。トークン単価は入力$2.50、出力$10.00 / 100万トークン) | 料金のページ |
| gpt-4o-mini-transcribe | $0.003 / 分(推定。トークン単価は入力$1.25、出力$5.00 / 100万トークン) | 料金のページ |
| whisper-1 | $0.006 / 分 | モデルのページ。料金のページには載っていない |
| gpt-live-transcribe | $0.017 / 分(推定) | 料金のページ |
| gpt-realtime-whisper | $0.017 / 分(推定) | 料金のページ |
| gpt-realtime-translate | $0.034 / 分(推定) | 料金のページ |
- 無料枠は、料金のページに記述が見つかりませんでした。gpt-transcribe と gpt-live-transcribe のモデルのページは、レート制限の表でFreeの階層を「Not supported」としています。プリペイドや上限額の設定、法人向けの割引などは、読んだ範囲の資料では確認できていません。
- ChatGPTのVoice Dictationが、どのプランで使えるかは、読んだヘルプには書かれていませんでした。
- 日本円の表示は、読んだ範囲では見つかりませんでした。
停止・移行の告知(やめるのは、利用者だけとは限らない)
- 公式の「Deprecations」には、2026年8月26日に開発者へ告知した、とあります。対象は
whisper-1、gpt-4o-transcribe、gpt-4o-mini-transcribe、gpt-4o-transcribe-diarize。停止日は2027年2月26日、後継は gpt-live-transcribe か gpt-transcribe、と書かれています。詳細は、公式がTranscriptionガイドを見るよう案内しています。個別の理由は、読んだ範囲では見つかりませんでした。 /v1/audio/translationsも、同じ日に停止します。移行先は、別の仕組みのRealtime translation(/v1/realtime/translations)です。- 別の項目として、
gpt-4o-mini-transcribe-2025-03-20は2027年1月20日に停止し、後継はgpt-4o-mini-transcribe-2025-12-15と書かれています。ただし、その後継の2025-12-15も、2026年8月26日の告知(gpt-4o-mini-transcribeの項目に含まれる)の対象で、2027年2月26日に停止します。この告知(2026年7月20日)は、古い音声・リアルタイム・文字起こしのモデル群とスナップショット全体が対象で、ほかのスナップショットも対象のことがあるため、公式の一覧を見てください。 - 公式のTranscriptionガイドは、モデルIDを変えるだけでは、すべての機能が引き継がれない、と注意しています。話者ラベル、単語の時刻、SRT/VTT、英語への翻訳は、移行先の扱いを確かめる必要があります。
- オープンソースのWhisperのリポジトリは、読んだ範囲では「アーカイブされた」という表示は見つかりませんでした。最新のリリースは「v20250625」(2025年6月26日)でした。今後の更新の予定は、公式の資料には書かれていません。
やめるとき、手元に残すもの
自分のPCで動かしている場合 - 録音と文字は、自分のファイルです。必要なものは自分でバックアップします。 - 導入や削除の手順は、READMEには「入れ方」しか載っていませんでした(削除の手順は見つかりませんでした)。 - MITライセンスのコードと重みを、手元に保存しておけば、提供側の変更の影響を受けにくい、というのが僕らの見立てです。公式の保証ではありません。
APIを使っている場合 - 文字起こしの結果は、呼び出した結果として、あなたのプログラムに返ってきます。アプリケーションの状態の保存は「None」と表にあるので、OpenAI側に結果が残って、後から取り出せる、という形ではなさそうです(見立てで、確認はしていません)。結果は自分で保存してください。 - 契約を終えるときは、利用規約に、OpenAIがCustomer Contentを30日以内に削除する、とあります。アカウントの削除やAPIキーの失効の手順は、今回の資料では読めていません。 - 停止が告知されているモデルを使っている場合は、期限の前に、新しいモデルへの移行を試します。
録音に関する公式の注意(同意など)
- モデルカード: 本人の同意なく撮った個人の録音の文字起こしに、Whisperを使うことに警告しています。高リスクの分野での判断に使うことや、主観的な分類に使うことにも、注意を促しています。
- モデルカード(広い影響): 安く速く正確な文字起こしは、監視を可能にしたり広げたりしうる、という趣旨が書かれています。
- 利用規約(Services Agreement): 利用者は、入力を提供するために必要な権利や許可を持つこと、サービスの提供に必要な同意を、エンドユーザーから得ることが求められます。通知の内容や形式は、読んだ範囲では書かれていませんでした。
- 利用ポリシー(Usage Policies): 他人のプライバシーを損なう試みを認めない、という趣旨があります。別の項目には、本人の声や姿を、本物と紛らわしい形で、同意なしに使うことを認めない、という禁止もありますが、これは声をまねる使い方の規則で、録音の文字起こしを直接扱うものではないようです(僕らの読み取りです)。録音や監視を個別に扱う規則は、読んだ範囲では見つかりませんでした。このページの効力発生日は、2026年11月20日と表示されていました。
- 録音を知らせる方法や、同意の取り方の手順は、公式の資料には見つかりませんでした。会議の録音は、参加者への事前の知らせと同意を、先に自分たちで決めておくのが安全です(見立て)。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。公式のページを要約の形で読んだ範囲です。
- 「Your data」のページは、約12.8万文字のうち、先頭の10万文字と、その後ろの全部を読み直しました。後半は、エンドポイントごとの表が中心で、文字起こしの
/v1/audio/transcriptionsなどは、gpt-transcribe を含むモデルの欄にあり、処理できる地域は米国と欧州(EEA+スイス)とされています(音声系のエンドポイントは、この2地域のみ、と読みました)。上の地域の表に、日本は保存のみとあるのは、この音声系の処理地域とは別の話です。 - 価格、日付、モデル名は変わることがあります。使う直前に、公式の料金のページと廃止の告知を、もう一度見てください。
- 第三者のアプリ(Whisperを部品に使うものなど)の保存や学習は、その会社の資料で確かめる必要があります。ここに書いたOpenAIの扱いは、当てはまりません。
- 法律、契約、個人情報の扱いは、専門家や会社の担当に確認してください。この記事は法律の助言ではありません。
出典
- Your data(OpenAI、確認日 2026-10-23)
- Deprecations(OpenAI、確認日 2026-10-23)
- Transcription(OpenAI、確認日 2026-10-23)
- File transcription(OpenAI、確認日 2026-10-23)
- Pricing(OpenAI、確認日 2026-10-23)
- gpt-transcribe モデルのページ(OpenAI、確認日 2026-10-23)
- whisper-1 モデルのページ(OpenAI、確認日 2026-10-23)
- Services Agreement(OpenAI、2026年1月1日付、確認日 2026-10-23)
- Usage Policies(OpenAI、効力発生日の表示 2026年11月20日、確認日 2026-10-23)
- Whisper Model Card(OpenAI、GitHub、確認日 2026-10-23)
- whisper/init.py(OpenAI、GitHub、確認日 2026-10-24)
- gpt-transcribe モデルのページ(OpenAI、確認日 2026-10-24)
- gpt-live-transcribe モデルのページ(OpenAI、確認日 2026-10-24)
- openai/whisper(OpenAI、GitHub、確認日 2026-10-23)
- Releases(OpenAI、GitHub、確認日 2026-10-23)
- Voice Dictation - FAQ(OpenAI Help Center、確認日 2026-10-23)