3行でいうと

  • 声の処理:公式は、話した音声はクラウドで処理される、と書いています。顧客のデータは米国で処理・保存される、とも書かれています。端末の中だけで文字にする方法は、読んだ範囲では書かれていませんでした。
  • 保存と学習は、別々の2つのスイッチです。「Dictation Cloud Storage」(音声と文字起こしを運営のサーバーに保存するか)と、「Improve the model for everyone」(モデルの改善に使ってよいか)です。どちらもFreeとProではもともとオンと書かれていて、設定の「Data and Privacy」で変えられます。
  • 第三者のAI事業者は、どちらの設定でも、あなたのデータでモデルを訓練してはならない、と公式は書いています。ただし、「報告」や評価を送ると、その内容は訓練や評価に使われうる、とも書かれています。
  • 価格は、公式の表示で、Proが月15ドル(年払いで月12ドル相当)、Growthが月23ドルからです(米国のドル建て)。無料では、デスクトップは週2,000語が目安です。
  • やめるときは、解約と、アカウントの削除は別です。解約しても、データは消えません。Wisprで払っている購読は、削除すると返金なしですぐ止まります(AppleやGoogle経由の購読は止まりません)。削除は、最終の処理が始まると戻せません。書き出しは、MacとWindowsのアプリからできます。

この記事は、公式の資料を2026年10月23日に読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。価格と上限は、公式の表示のまま写しています。公式ページは要約の形で取得したため、読み切れていない箇所は「確認できていない」「読んだ範囲では見つからなかった」と書いています。法律や医療の助言ではありません。

先に結論

前提:用語をそろえる

たとえ話:預かり所の、預ける・使う・控える

声を預ける預かり所を考えます。預けるかどうか(Dictation Cloud Storage)、預けた内容を預かり所の改良に使ってよいか(Improve the model for everyone)は、別の札です。預かり所が頼んだ外部の職人(第三者のAI事業者)は、あなたの預かり物で自分たちの腕を磨いてはならない、と契約で決まっていると、公式は書いています。ただし、あなたが「この録音を見てほしい」と報告の札を出すと、その録音は預かり所の研究に回ることがあります。これは僕らのたとえで、公式の表現ではありません。

音声と文字はどこで処理・保存されるか

項目 公式に書かれていること 書かれている場所
処理の場所 話した音声はクラウドで文字にする。文字起こしにはインターネット接続が要る。ローカルでの文字起こしの選択肢は、書かれていない 「Security and privacy overview」「What is Wispr Flow?」、Data Controls
国 顧客のデータは米国で処理・保存される。クラウドのサービスで、オンプレミスではない 「Security and privacy overview」
音声入力の保存 「Dictation Cloud Storage」がオンのときに、運営のサーバーに保存される。ふつうの端末の履歴は、端末の中に残る 同上、「Manage data sharing, cloud storage and local history」
会議(Notetaker) 文字起こしと要約は、運営のクラウドに保存される。Dictation Cloud Storageは及ばず、オプトアウトはない 同上
Scratchpadのメモ 「Security and privacy overview」は、クラウド同期がオンのときだけと書く。2026年9月28日の公式のお知らせは、Scratchpadの同期を音声入力の保存から切り離したと書き、Scratchpadのヘルプは、Dictation Cloud Storageの設定に関係なく同期されると書く 3つの資料で表現が違う
暗号化 通信中と保存中に暗号化。ただし、サービスが音声を処理するため、厳密な意味でのエンドツーエンドの暗号化ではない。鍵はWisprが管理し、顧客管理の鍵は対応しない 「Security and privacy overview」
第三者の事業者 一部の処理は外部の事業者(subprocessor)が担う。一覧はTrust Centerにある。訓練には使えない。音声入力で使う第三者のAI事業者とは、ゼロデータ保持の契約を結ぶ、と書かれている 同上、Data Controls
認証 SOC 2 Type IIのレポート、ISO/IEC 27001:2022の認証。音声入力が監査の範囲で、Notetakerは、SOC 2とISO 27001の監査の対象外と書かれている 「Security and privacy overview」

公式の資料の中で、書き方が違う点もあります。「Sync Flow across your devices」は、音声入力の履歴は端末ごとで、クラウドで同期されない(Androidではクラウドのバックアップからも除外)と書いています。一方、「Manage data sharing, cloud storage and local history」は、Dictation Cloud Storageがオンだと、履歴が端末の間で見られる、と書いています。端末の履歴と、クラウドの履歴を、別のものとして書いているようにも読めますが、読んだ範囲では、はっきり説明している箇所は見つかりませんでした。

学習への利用と、設定の場所

公式のプライバシーポリシー(Last Updated: August 19, 2026)は、訓練はオプトインで、オプトインした場合は、仮名化した文章や文字起こし、会議の出力、あなたの修正が使われうる、会議の音声は、特に有効にしない限り含まれない、と書いています。第三者の大規模言語モデルの提供者は、約30日で内容を削除し、訓練には使わない、とも読めました。

Context Awarenessは、MacとWindows、iOSで、初期値がオンです。公式のヘルプによると、画面の撮影はせず、テキストだけを使います。パスワード欄、数字だけの欄、アドレスバー、銀行や金融のアプリは読まない、と書かれています。オフにするには、「Settings → Data and Privacy」の「Context awareness」を切ります。オフでも、アプリ名とサイトのドメインは送られる、とも書かれています。

同期とバックアップ

公式の「Sync Flow across your devices」の内容です。

項目 同期されるか
Dictionary、Snippets される
言語、書き方(Style) される
統計 一部。総語数などは同期、日ごとの数は端末ごと
購読 Mac、Windows、Androidでされる。請求は元の窓口のまま
ショートカット、マイク、音 されない
音声入力の履歴 されない。その端末で録ったものだけが一覧に出る

同期は、同じ方法でログインした端末で、同じアカウントを使うことが前提です。変更が届くまで数分以上かかることがあり、同じ設定を2つの端末で同時に変えると、片方が上書きされることがある、と書かれています。サインアウトすると、Mac、Windowsでは、端末に残っていた文字起こしや辞書などの端末内のデータが消え、同期されるデータは再読み込みされますが、端末だけにあった履歴は戻らないことがある、と書かれています。Androidでは、サインアウトやアカウントの切り替えで、その端末の文字起こしと音声は完全に消えます。

端末の履歴を、バックアップに残したい場合の公式の方法は、読んだ範囲では見つかりませんでした。

プランと価格の表示

公式の料金ページ(wisprflow.ai/pricing)とヘルプ「Flow plans and what's included」の表示です(2026年10月23日に読んだ内容、米国のドル)。

プラン 月払い 年払い 公式が挙げる主な内容
Free 0ドル 0ドル 週の語数に制限のある音声入力、辞書とスニペット、Notetakerの限定的な利用
Pro 15ドル/1人/月 年144ドル/1人(月12ドル相当) 無制限の音声入力、長い会議の保持、優先サポート、チームの招待、請求の一元管理
Growth(音声入力のみ) 23ドル/1人/月 年216ドル/1人(月18ドル相当) Proに加えて、SAMLのSSO(会社のアカウントでまとめてログインする仕組み)、利用状況の報告、組織の設定、組織全体のHIPAAの管理。Notetakerなし
Growth(Notetakerあり) 33ドル/1人/月 年312ドル/1人(月26ドル相当) Growthに加えて、会議のノート、会議への質問、MCP(ヘルプの表記。料金ページのFreeの欄にも、会議のノートをClaudeとChatGPTで使えると書かれていて、資料で書き方が揃っていない)
Enterprise 要相談 要相談 SCIM(社員名簿との自動連携)、MDM(会社が端末にまとめて配る仕組み)、監査ログ、学習を常にオフ、請求書払い

公式のヘルプは、年払いのProは月払いより約20%安い、と書いています。価格は地域ごとで、24の通貨で固定の現地価格がある、とも書かれています。日本円での価格の表示は、読んだ範囲では確認できていません。

公式の資料の中で、表記が揺れている点があります。

無料の上限

端末 週の語数(公式のヘルプ「Free tier weekly dictation limit」)
Mac、Windows 2,000語で警告、5,000語を超えると新しい音声入力が止まる
iPhone 約550語で遅くなり、750語で止まる
Android 約1,000語で遅くなり、1,500語で止まる

リセットは日曜日です。公式の資料の中で、時刻の書き方が揺れています(ヘルプの記事は「Sunday at 23:45 UTC」が実際のリセット、画面の文は「12 a.m. PT」は表示上の言い回し、と書いています)。この上限は、アプリの更新なしに変わりうる、とも書かれています。Notetakerの会議は、この語数に数えない、と書かれています。

試用、割引、学生

やめるとき:解約、書き出し、削除

解約

公式のヘルプ「Manage billing, invoices and cancellation」によると、解約の場所は、購入の窓口で違います。

購入の窓口 公式に書かれている手順
Wisprに直接(Stripe) MacかWindowsの「Settings → Plans and Billing」で「Manage subscription」を選び、Stripeの画面で解約
チーム、Growth、Enterprise 管理者だけが解約できる。管理者のポータルの請求のページで「Manage Subscription」
Apple App Store iPhoneの「Settings → 自分の名前 → Subscriptions → Wispr Flow」
Google Play Play Storeの「Payments & subscriptions → Subscriptions → Wispr Flow」で「Cancel subscription」

解約しても、現在の請求期間の終わりまでは使えます。そのあとFreeに戻り、アカウントとデータは消えません。自動の日割りの返金はなく、返金は、サポートに頼む必要があります(Appleの購入の返金は、Appleが扱います)。アカウントを削除したり、サインアウトしたりしても、App StoreやGoogle Playの購読は止まりません。AppleかGoogleで別に解約しないと、請求が続きます。

データの書き出し

公式の「Data requests: get a copy of your data or ask us to delete it」によると、MacかWindowsのアプリで書き出しを依頼できます。iPhoneとAndroidは、サポートに連絡します。1つのアーカイブが作られ、サインインしたままダウンロードします。メールには送られませんが、依頼のたびに、アカウントにお知らせのメールが届きます。ダウンロードは30日で期限が切れます。大きなアカウントは、数時間かかることがあります。

アカウントの削除

会議の音声

Notetakerでアップロードした会議の音声は、アップロードの7日後に削除されます。パソコンに残る録音も、最後に書き込まれてから7日後に削除されます。文字起こしと要約は残ります。Notetakerの文字起こしを残す期間は、「Settings → Data and Privacy」で設定できる、と公式のData Controlsは書いています(設定できる期間の選択肢は、読んだ範囲では確認できていません)。会議を消すと、ノート、要約、文字起こしへのアクセスが全端末で消え、音声と話者の識別データも削除されます。会議の一部だけを消すことはできません。

会社や学校のアカウント

仕事のアカウントのデータは、組織が管理します。書き出しや削除の依頼は、管理者に出します。組織が、セルフサービスの書き出しを止めていることもあります。

気をつけること

出典