3行でいうと
- gpt-ossは、OpenAIが2025年8月5日に重みを公開したモデルで、20bと120bがある。
- 20bは保存サイズ12.8GiBで32GBのMac miniに載る。120bは60.8GiBで載らない。
- 日本語の道具呼び出しの実測で、20bは88.9%だが、続けて呼ぶと44.4%。小規模な測定。
- 見立てでは、主力ではなく、クラウドが止まったときの非常用。
gpt-ossとは
2025年8月5日にOpenAIが公開した、重み(学習済みのデータ本体)を自由にダウンロードして使えるモデルです。大きさの違う2種類があり、20bと120bと呼ばれます。bはbillion(10億)の略で、モデルの中にある調整値(パラメータ)の数を表します。
どちらも、AIが考える量を「低・中・高」の3段階で選べます。また、AIが自分で外部の機能を呼び出す作業(ツール呼び出し)にも対応しています。
20bと120bの違い
設計は同じで、大きさが違います。数字は、OpenAIのモデルカード(技術資料)に載っているものです。
| 項目 | gpt-oss-20b | gpt-oss-120b |
|---|---|---|
| 総パラメータ | 20.91B | 116.83B |
| 1トークンで実際に動く部分 | 3.61B | 5.13B |
| 層の数 | 24 | 36 |
| エキスパートの数 | 32 | 128 |
| 保存サイズ | 12.8 GiB | 60.8 GiB |
| OpenAIが示すメモリの目安 | 16GB | 80GBのGPU1枚 |
| 文脈の長さ | 131,072トークン | 131,072トークン |
GiBは、GBより少し大きい単位です(1GiBは約1.07GB)。トークンは、AIが文章を扱う細かい単位のことです。
ライセンス
OpenAIは、Apache 2.0ライセンスと「gpt-oss usage policy」(使用ポリシー)のもとで公開しています。Apache 2.0は、著作権継承(コピーレフト)の縛りがなく、商用でも使える自由度の高いライセンスです。重みだけでなく、推論の実装やトークナイザ(文章を区切る部品)も同じライセンスで出ています。
使用ポリシーは、Hugging Faceの記事では「最小限のもの」と紹介されています。ただ、ポリシー本文は読めませんでした。仕事で使う前に、本文の確認が必要です。
MoEの構造とメモリ目安
gpt-ossは、MoE(Mixture of Experts、専門家の混合)という作りです。小さな専門家(エキスパート)をたくさん持ち、1トークンごとに一部だけを使います。どちらのモデルも、使うのは4つです。20bは32個から、120bは128個から選びます。
使うのは一部なので、計算は軽くなります。ただ、どの専門家が呼ばれるかは文ごとに変わるため、全員をメモリに載せておく必要があります。つまり、メモリの量は「全体の大きさ」で決まり、速さは「動く部分の大きさ」で決まります。
メモリを抑える工夫が、MXFP4という4ビット方式です。重みを1パラメータあたり4.25ビットに圧縮しています。対象は、全体の90%超を占めるMoE部分です(Ollamaの説明)。
| 出典 | 20b | 120b |
|---|---|---|
| OpenAI | 16GB | 80GB |
| モデルカードの保存サイズ | 12.8 GiB | 60.8 GiB |
| LM Studio公式ブログ | 約13GBのRAM | 記載なし(H100 1枚) |
| Appleの実験(M5搭載MacBook Pro、24GB) | 12.08GB | - |
公式が示している動作条件
OpenAIの条件は、20bが「16GBのメモリ」、120bが「80GBのGPU1枚」です。
ここで見落とせないのが、16GBは「動く最低ライン」だという点です。9to5Macは、16GBのM4 MacBook Airで試した例を書いています。「hello」への返事に5分以上、簡単な質問には約43分かかった、とのことです。余裕のない機械では、実用になりません。
また、モデルは専用の会話書式(harmony)で学習されています。ほかの書式では正しく動かない、とモデルカードにあります。LM Studioでは、0.3.21以降が必要です。
32GBのM6 Mac miniで、20bは現実的で、120bは現実的でない
M6 Mac miniのメモリは、最大32GBです。メモリ帯域(データを読み出す速さ)はAppleの公表で毎秒170GB、独立測定では毎秒143〜144GB程度でした。
20bは、保存サイズが12.8 GiB(約13.7GB)です。32GBから引くと、計算上は約18GBが残ります。macOSや会話の長さ(コンテキスト)に回せるので、余裕があります。MindStudioも、20B級以上を動かすなら32GB構成が必要、と書いています。
120bは、保存サイズが60.8 GiB(約65GB)です。32GBの2倍以上あり、そのままでは載りません。公式の目安も80GBです。動く部分は5.1Bと軽くても、置き場所がなければ動かせません。
20bをM6 Mac miniで動かしたときの速さは、出典で確認できていません。要確認です。参考までに、MindStudioの測定では、9B(4ビット)で毎秒26.9トークンでした。別のモデルの数字です。
ツール呼び出しでの評価
OpenAIのモデルカードには、道具を使う業務の評価(τ-bench Retail)があります。高い推論設定で、120bが67.8%、20bが54.8%です。
日本語での実測もあります。ai-local-labの記事の数字です。
| モデル | 日本語ツール呼び出しの正答率 | 連鎖成功率 | 失敗の中身 |
|---|---|---|---|
| gpt-oss 20B | 88.9% | 44.4% | no_call 2件 |
| Swallow 8B | 16.7% | 0% | no_call 15件 |
| LLM-jp-4 8B(thinking) | 16.7% | 0% | no_call 15件 |
「連鎖成功率」は、道具の結果を受けて次の道具を呼ぶ、複数回のやりとりの成功率です。「no_call」は、道具を呼ぶべき場面で、普通の文章を返してしまう失敗を指します。
条件は、RTX A6000(48GB)のワークステーション、Ollama 0.31.1、4ビット、temp 0.7です。タスクは、正答率が6つを3回ずつ、連鎖が3つを3回ずつです。この記事には、Qwen3.6 27Bが100%という記載もありました。
読むときの注意が4つあります。
- 試行は、正答率で18回です。計算上、gpt-ossは18回中16回です。筆者自身も「方向性の指標にとどまる」と書いています。
- Macではなく、NVIDIAのGPUでの測定です。
- 大きさが違います。20Bと8Bの比較なので、「米国製と国産」の差とは言い切れません。
- 連鎖では44.4%に下がります。複数の手順を任せるには、人の確認が要ります。
保険としての位置づけ
ここは見立てです。
重みが手元のディスクにあれば、クラウドのAIが止まっても、20bは動かせます。Apache 2.0なので、仕事にも使える見込みです。32GBのMac miniに、余裕を持って載ります。ai-local-labも、非中国系でエージェントを組む現実解として挙げています。
ただ、主力にはしません。公開から1年以上たち、新しいモデルが出ている可能性があります。日々の主力は、別のモデルを選ぶほうがよさそうです。
あくまで、「止まったときに、道具を呼び出す作業を続けられる非常用」です。入れておく価値は高いと考えます。M6 Mac miniでの実際の速さと安定性は、実機で確かめてから、追記します。
入れ方
| 方法 | 手順 |
|---|---|
| LM Studio | アプリでモデルを検索してダウンロードします。コマンドなら lms get openai/gpt-oss-20b です |
| Ollama | Ollamaの最新版を入れて、ターミナルで ollama pull gpt-oss:20b のあと ollama run gpt-oss:20b です |
ディスクは、9to5Macによると約15GBです。120bのコマンドもありますが、32GBの機械では対象外です。
気をつけること
- 使用ポリシー本文と、Ollamaのモデル一覧ページは読めていません。ディスクサイズは、モデルカードとLM Studioの表示を目安にしてください。
- LM Studioのモデルページには、20bが約12GB、120bが約65GBと表示されています。出典ごとに数字が少し違うので、入れる前に空き容量を見てください。
- ツール呼び出しの実測は、小規模です。使う条件で、自分の作業に近い形で確かめてください。
出典
- Introducing gpt-oss(OpenAI、2025年8月5日)
- gpt-oss model card(OpenAI、日付未確認)
- gpt-oss-120b & gpt-oss-20b Model Card(arXiv、2025年8月)
- openai/gpt-oss-20b(Hugging Face)
- openai/gpt-oss-120b(Hugging Face)
- OpenAI gpt-ossの紹介記事(Hugging Face Blog、日付未確認)
- gpt-oss(Ollama Blog、日付未確認)
- gpt-oss(LM Studio、日付未確認)
- gpt-oss in LM Studio(LM Studio Blog、日付未確認)
- How to run gpt-oss-20b on Mac(9to5Mac、2025年8月6日)
- Exploring LLMs with MLX and the Neural Accelerators in the M5 GPU(Apple Machine Learning Research、日付未確認)
- Apple Launches M6 And M5 Pro Mac Mini(Pulse 2.0、日付未確認)
- M6 Mac mini local AI performance(MindStudio、日付未確認)
- 国産ローカルLLMを実測【地政学リスクと日本語エージェントの現実】(ai-local-lab、2026年7月7日)
