3行でいうと
- 公式の指針は共通して、はっきり具体的に書くこと、出力の形を示すこと、例を添えることを勧めています。
- 「小さいモデル専用」の公式ガイドは、今回は見つかりませんでした。「短く」「1回に1つ」は僕らの見立てです。
- Qwen3.5は、標準で考えてから答える設定です。直接の答えがほしいときは、設定で切れます。
- Ollamaの標準の会話の長さは小さい場合があり、長い指示は途中で切れるかもしれません。
この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書やモデルカードを読んでまとめたものです。文中の頼み方の例は、この記事で考えたもので、実際に試した記録ではありません。
先に結論
頼み方の4つの型を、次の表に並べます。
| 型 | 公式の資料にあること | 僕らの見立て |
|---|---|---|
| 具体的に書く | Meta、OpenAI、Anthropicのどれも、詳しく明確な指示を勧める | 小さいモデルほど、省略した部分を補ってくれないと考える |
| 出力の形を示す | 「箇条書きで」「JSONで」のように、形を指定する(Meta、OpenAI) | 行数や文字数まで書くと、ぶれにくいと考える |
| 例を1つ添える | 例を添えると、より正確で一貫した答えになる(Meta)。Anthropicは3〜5個を勧める | 小さいモデルは覚えられる長さが短いので、まず1つから |
| 1回に1つ頼む | OpenAIは、複雑な依頼を小さな依頼に分解して、それぞれ完了を確認するよう勧める(エージェント向けの文脈) | 小さいモデルでは、分けるほうが安全と考える |
「小さいモデル向け」に書かれた公式の指針は、今回読んだ範囲にはありませんでした。Googleのドキュメントのページにも、小さいモデルに限った助言はない、とまとめられていました。上の表の右の列は、僕らの見立てです。
言葉の整理
- プロンプト:AIに渡す指示の文章です。
- システムプロンプト:会話の前に与える、AIの役割や決まりごとです。チャットの画面にある、専用の入力欄のことが多いです。
- 例示(few-shot):「こう聞いたら、こう答える」という例を、指示に添えることです。例を添えないやり方は「zero-shot」と呼ばれます。
- 思考モード:答える前に、AIが長く考えを書き出す動きです。
- コンテキスト長:AIが一度に覚えておける、会話の長さです。
型1:具体的に書く
Metaの指針は、「詳しく明確な指示は、自由な頼み方より良い結果になる」と説明しています。専門用語で迷わせないこと、とも書かれています。Anthropicの指針には、「文脈を知らない新しい同僚に頼むつもりで書く」という考え方があります。OpenAIも、GPT系のモデルには「必要な論理とデータを明示した、正確な指示」が効く、としています。
僕らが考えた例です。
- 弱い頼み方:「この文章をまとめて」
- 具体的な頼み方:「次の文章を、3行以内の日本語で要約してください。専門用語は使わず、中学生にも分かる言葉で」
見立てです。誰に向けて、何を、どれくらいで、を入れると、小さいモデルでも迷いが減ると考えます。
型2:出力の形を示す
Metaの指針は、「箇条書きにして」「JSONで返して」のように、出力の形を頼むことを勧めています。OpenAIの例は、「ひとことだけ出力する。余計な書式は付けない」でした。
Anthropicの指針は、「〜しないで」より「〜してください」と書くほうが効く、という考え方です。たとえば「マークダウンを使わないで」ではなく、「なめらかな文章の段落で書いて」。
また、Metaの指針は、知らないときの扱いも書けると述べています。「分からなければ、分からないと答えて」という一文です。これは、作り話を減らす助けになります。
型3:例を添える
Metaの指針は、望む答えの例を添えると、より正確で一貫した結果になる、と説明しています。OpenAIは、「いろいろな入力と、望む出力」を見せるよう勧めています。Anthropicの指針は、例は「実際の用途に近い」「多様」であること、3〜5個を入れると効果が高い、としています。
僕らが考えた例です。
次の感想を、「良い」「悪い」のどちらかに分類してください。 感想:「また買いたい」→ 良い 感想:「すぐ壊れた」→ 悪い 感想:「思ったより軽くて便利」→
見立てです。小さいモデルは、一度に覚えておける量が限られるので、例は多すぎないほうがよいと考えます。1つから始めて、答えが安定しなければ増やす、という順番を考えています。公式の「3〜5個」とは違う数なので、これは見立てとして読んでください。
型4:1回に1つ頼む
OpenAIの指針は、エージェント(AIが自分で手順を進める使い方)の場合に、依頼を必要な小さい依頼に分けて、それぞれが終わったか確かめる、という考え方を示しています。Anthropicの指針にも、段階を分けて、途中の結果を確かめる進め方(プロンプトの連鎖)の説明があります。
僕らが考えた例です。「この会議メモを要約して、課題を3つ挙げて、メールの下書きまで書いて」を、次のように分けます。
- 要約を3行で書く
- その要約から、課題を3つ挙げる
- 課題をもとに、メールの下書きを書く
見立てです。1回の答えが短いと、間違いを見つけやすくなると考えます。
道具ごとに気をつける点
Qwen3.5:標準で「考える」
Qwen3.5のモデルカードによると、モデルは標準で考えてから答えます。直接の答えがほしいときは、チャットの設定の中で、思考を切る指定(enable_thinkingをFalseにする)を渡します。前の世代のQwen3で使えた「/think」「/nothink」という切り替えは、公式にはサポートされていない、と書かれています。
モデルカードの推奨設定は、考えるモードの一般用が温度1.0・top_p 0.95・top_k 20・presence_penalty 1.5、考えないモードの一般用が温度0.7・top_p 0.8・top_k 20・presence_penalty 1.5です。「presence_penalty」は、同じ言葉の繰り返しを減らすための設定で、0〜2で調整できます。ただし、上げすぎると、言語が混ざったり性能が少し下がったりすることがある、ともカードは注意しています。
Gemma 4:考えるモードの入れ方
OllamaのGemma 4のページによると、システムプロンプトの先頭に「<|think|>」を入れると考えるモードが有効になり、外すと無効になります。推奨の設定は、温度1.0・top_p 0.95・top_k 64です。複数回のやり取りでは、前の回答の「考えた部分」は履歴に残さず、最終の答えだけを残すように書かれています。
Gemma系の「システムプロンプト」の扱い
Googleの「プロンプトの構造」のページは、Gemmaの学習済みの会話の形に、user(利用者)とmodel(AI)の2つの役しかなく、system(システム)の役はない、と説明しています。そのため、決まりごとは最初のuserの発言の頭に書く、とあります。ページの例は、利用者の発言の冒頭に「海賊のように答えて」と書くものでした。
一方、Gemma 4のモデルカード(Hugging Face)には、「システムプロンプトを標準で対応」と書かれています。どちらが新しい版の話なのか、ページには日付がなく、確かめられていません。LM StudioやOllamaのような道具は、モデルに合った形に自動で整えるので、ふつうは気にしなくて構いません。Googleのページも、モデルに合った整え方を守ることが大事と書いています。
会話の長さに注意
Ollamaの公式の説明では、会話の長さの標準値が、メモリ(VRAM)の量で変わります。24GiB未満は4k(約4,000トークン)という記述があります。別のFAQのページは、標準は4096トークンとしています。2つの説明は食い違っていて、どちらが今の動きかは確認できていません。
見立てです。長い指示と長い文書を一度に渡すと、収まらずに切れるかもしれません。短い指示にして、1回に1つ頼むという型は、この点でも都合がよいと考えます。会話の長さは、ollama ps で確かめられます。
よくあるつまずき
- 指示が長すぎる:要点を絞ります(見立てです)。
- 「〜しないで」だけで書く:してほしい形を、肯定の文で書きます(Anthropicの考え方)。
- 例が1つだけ偏っている:例の内容に引きずられることがあります。別の種類の例にも、一度は置き換えてみます(見立てです)。
- 答えが遅い、長い考えが出る:思考モードの設定を確認します(Qwen3.5は標準で考える設定)。
- 同じ言葉の繰り返し:モデルカードの推奨設定を確認します。presence_penaltyの説明があるモデルもあります。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。「効く」とは言えず、公式の指針の紹介と、僕らの見立てです。
- 指針の多くは、大きなモデル(Claude、GPT、Llama)の説明です。小さいモデルに同じ効果があるとは限りません。
- Anthropicの「3〜5個」と、僕らの「まず1つ」は、食い違っています。
- 推奨設定の数値は、モデルの版やモデルカードの更新で変わります。使う前に、そのモデルのカードの原文で確かめてください。
- 日本語の指示で、同じ効果があるかは確かめていません。
出典
- Prompting(Meta Llama Docs、2026年10月8日確認)
- Prompting best practices(Anthropic Claude Docs、2026年10月8日確認)
- Prompt engineering(OpenAI Developers、2026年10月8日確認)
- Gemma formatting and system instructions(Google AI for Developers、2026年10月8日確認)
- google/gemma-4-26B-A4B-it(Hugging Face、Google、2026年10月8日確認)
- gemma4(Ollama Library、2026年10月8日確認)
- Qwen/Qwen3.5-4B(Hugging Face、Qwen、2026年10月8日確認)
- Qwen/Qwen3.5-9B(Hugging Face、Qwen、2026年10月8日確認)
- Context length(Ollama Docs、2026年10月8日確認)
- FAQ(Ollama Docs、2026年10月8日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
