3行でいうと

  • 公式の文書は、AIの答えを「最終の答え」ではなく「下書き」として扱うよう勧めています(OpenAI)。相手との続柄、宗教、故人の名前や日付はAIには分からないので、自分で確かめます。
  • お悔やみには、日本郵便が挙げる「避ける言葉」(直接的に死を表す言葉、重なる言葉、数字の「四」「九」など)と、宗教によって使えない言葉があります。AIの文面ができたら、この一覧と見比べます。
  • 故人や遺族の名前、病気などの個人情報は、サービスや設定によっては学習に使われます。仮の名前で下書きを作り、最後に自分で差し替える方法が安全側です(僕らの提案です)。

この記事は公式の文書を読んでまとめたもので、実際に使って確かめた記録ではありません。例文と、「見立てです。」で始まる段落は僕らの考えで、公式の文書とは分けています。お悔やみの作法は地域や宗派で違います。ここに書くのは公式ページを読んだ範囲で、助言ではありません。

先に結論

公式の資料を読んで言えることは、次の4つです。

  1. 頼み方の基本は、具体的に、背景つきで。 OpenAIのヘルプは、はっきり頼み、意図が伝わるだけの背景を渡し、最初の答えを見て頼み方を直すことを勧めています。
  2. お悔やみには、避ける言葉の決まりがあります。 日本郵便の弔電のページが、4種類の避ける言葉と、宗教による違いを挙げています。
  3. AIの答えは、確かめてから使います。 OpenAIは、自信ありげでも間違うことがあるので、下書きとして扱うよう書いています。
  4. 個人情報は、入れる前に立ち止まります。 個人情報保護委員会は、入力した個人情報が機械学習に使われるおそれを書いています。

たとえ話:文章が上手な、初対面の知人に代筆を頼む

僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。

文章がとても上手な知人に、お悔やみの手紙の代筆を頼むところを想像してください。その知人は、亡くなった方も、あなたとの付き合いも、ご家族の関係も知りません。「お悔やみの手紙を書いて」とだけ頼めば、立派だけれど誰にでも当てはまる文章が返ってきます。

だから、メモを渡します。誰に宛てるのか、相手は故人の何にあたるのか、何が心に残っているか。AIも同じです。そして、できあがった文章は下書きです。名前、続柄、日付が合っているか、その場にふさわしい言葉か、最後に目を通すのは送る本人の役目です。

AIに頼めること、自分で決めること

場面 AIに頼みやすいこと 自分で決める、確かめること
お礼の手紙 書き出しと結びの案、丁寧さの調整、長さの調整 何に対するお礼か、日付、金額や品物の名前、相手の名前と敬称
お悔やみの手紙・弔電 全体の流れの案、やわらかい言い回しの候補 喪主は誰か、故人との続柄、宗教、避ける言葉が入っていないか

頼み方:材料を渡し、事実は作らせない

OpenAIのヘルプには、文章の調子は形容詞で伝える、という趣旨の説明があります。「丁寧な」「親しみやすい」「真面目な」のような言葉です。Anthropicの指南は、理由や背景を伝えるとAIが意図をくみやすいと書いています。同じ指南には、「〜しないで」より「〜してください」の形で書くほうがよい、という説明もあります(返事の形式の箇所です)。

これらを手紙に当てはめた、僕らの例文です。

友人の父が亡くなり、通夜に行けないので、お悔やみの手紙を書きたいです。私と友人は大学のサークルで知り合った仲で、15年の付き合いです。友人のお父さんには、サークルの合宿でお世話になりました。丁寧で、落ち着いた、あたたかい調子で、200字ほど。箇条書きにせず、手紙らしい続けた文章でお願いします。私が書いていない出来事や、故人の人柄の細かい話は、足さないでください。

最後の一文が大事です。見立てです。思い出話のような部分は、AIが「それらしく」作り足すことがあります。作り話の思い出を、故人への手紙に載せたくはありません。

OpenAIのヘルプは、最初の答えを見てから頼み方を直す進め方を勧めています。調子や長さを変えたいときは、「もう少し短く」「もう少しやわらかく」と言い直せば足ります。

お悔やみで特に確かめること

日本郵便の「Webレタックス」(電報に近いサービス)の、弔電のマナーのページと文例のページを読みました。弔電は手紙とは形が違いますが、言葉選びの注意は手紙にも参考になると思います(僕らの見立てです)。ページに書かれていることを整理します。

つまり、AIの文面を送ってよいかは、宛先、続柄、宗教、避ける言葉の4点を見てから決めます。

日本郵便が挙げる「避ける言葉」と宗教による違い
種類 書かれている内容
不幸を直接表す言葉 直接的に死を表す言葉は避け、「逝去」「永眠」「他界」などに言い換える
不幸の繰り返しを連想させる言葉 「度々」「重ね重ね」「再び」など、重なることを思わせる言葉は使わない
不吉な数字 「四」や「九」の数字は避ける
不幸を想起させる言葉 「とんでもない」「とんだこと」などは避ける

文例のページには、「弔う」「冥福を祈る」「成仏」「往生」は仏式でよく使われる語で、神道やキリスト教では使わない、とあります。日本郵便の文例自体も、結びに「ご冥福をお祈りいたします」を使っています。見立てです。宗教が分からないとき、AIの文面に定番の結びが入っていても安心とは言えません。分かる人に聞くのが確実です。

敬称は、受け取る人から見た故人の続柄(父、母、夫、妻、兄弟姉妹、子など)ごとに使い分ける形が、一覧で示されています。マナーのページには、香典はWebレタックスでは送れず、参列する知人に託すか、手紙を添えて現金書留で送る、と書かれています。

敬語は、AIに任せきりにしない

お礼状では、敬語の使い方で迷うことが多いと思います。文化審議会が2007年2月2日に出した「敬語の指針」は、敬語を5つに分けて説明しています。尊敬語(相手の行為を立てる。いらっしゃる)、謙譲語Ⅰ(相手に向かう自分の行為で相手を立てる。伺う)、謙譲語Ⅱ(丁重語)(自分側の行為を丁重に述べる。参る)、丁寧語(です・ます)、美化語(お酒、お料理など)です。

指針は、「この相手には必ずこの敬語」という固定的な使い方は適切でないとし、相手や場面への気持ちに照らして自分で言葉を選ぶことを求めています。明らかな誤用や、過不足は避けるように、とも書いています。

見立てです。丁寧すぎて自分の言葉に聞こえないときは、「もう少し普通の丁寧さで」と頼み直すとよいと思います。なお、指針の第3章(具体的な使い方)は本文を読めていません。

個人情報:本名を入れる前に

相手の名前、故人の名前、亡くなった事情まで書き込みたくなりますが、ここは立ち止まります。

僕らの提案です。名前は「Aさん」「友人のお父さん」のような仮の呼び方にして下書きを作り、できあがったら自分で本名に差し替えます。病名や亡くなった事情は、書かなくても手紙は作れます。

誤解されやすい点

「AIが書いたから、失礼にはならない」 AIが避ける言葉の一覧を自動で守る、とは読んだ資料のどこにも書かれていません。OpenAIは、自信ありげに間違うことがあると説明しています。一覧と見比べるのは、送る本人です。

「長く、丁寧に書くほど気持ちが伝わる」 日本郵便のページは、自分の言葉で思いと感謝を表すことが大切、としています。

今日からできること、やってはいけないこと

今日からできること

やってはいけないこと

気をつけること

出典

更新履歴