3行でいうと
- 文面の案づくり、調子の調整、長さの調整は、AIに頼みやすい仕事です。ChatGPTの「canvas」やGoogleドキュメントのGeminiには、短くする、丁寧にする、といった直し方の機能があります。
- 宛名、年号、相手の事情は、AIには分からない、または間違えやすいところです。OpenAIは、AIの答えは下書きとして扱い、日付などは確かめるよう書いています。
- 住所録は、AIに貼らないのが基本です。文面だけを頼み、宛名は自分で扱います。
この記事は公式の文書を読んでまとめたもので、実際に使って確かめた記録ではありません。例文と、「見立てです。」で始まる段落は僕らの考えです。なお、年賀はがきの発売日、料金、受付開始日、元日に届く投函期限は、日本郵便の公式ページを読もうとしましたが読めず、確認できていません。この記事には書いていません。
先に結論
公式の資料を読んで言えることは、次の4つです。
- 文面の案は、AIに頼みやすい。 OpenAIのヘルプは、調子を形容詞で伝え、最初の答えを見て頼み方を直す進め方を勧めています。
- 直し方の機能がある。 ChatGPTのcanvasには文章を短く、または長くする機能が、Googleドキュメントのヘルプには「短くする」「よりフォーマルに」などの操作が書かれています。
- 確かめるのは人の役目。 OpenAIは、自信ありげでも間違うことがあるとし、答えを最終の情報源ではなく下書きとして扱うよう書いています。
- 住所録や名簿は入れない。 個人情報保護委員会は、入力した個人情報が機械学習に使われるおそれを書いています。
たとえ話:文案係と、検品係
僕らのたとえです。年賀状づくりに、2人の係がいると考えます。
- 文案係(AI)。 「友人向け、明るく、3行で」と言えば、案を何本も出してくれます。ただし、相手の名前の漢字も、去年どんなことがあったかも知りません。
- 検品係(あなた)。 出てきた案から選び、宛名、事実、年の書き方、相手との関係を、一枚ずつ確かめます。
文案係は速く、検品係は遅いけれど正確です。AIの答えを検品なしで出すのは、文案係の原稿を、そのまま印刷に回すことと同じです。
何をAIに頼み、何を自分でするか
| 作業 | AIに頼みやすい | 自分でする |
|---|---|---|
| 文面の案 | 相手別の案、書き出し、結びの言葉 | 案から選ぶ、自分の言葉を足す |
| 調子と長さ | 「もっとやわらかく」「3行に」 | 相手との距離に合っているかの判断 |
| 宛名・住所 | (頼まない) | 名前の漢字、敬称、肩書、住所 |
| 事実(近況) | 渡した事実を文章にする | 事実が合っているか、作り足されていないか |
| 年や年号 | (任せない) | カレンダーなどで確かめる |
| 相手の事情 | (AIは知らない) | 喪中かどうか、触れないほうがよい話題 |
相手別に頼む
OpenAIのヘルプは、調子を形容詞で伝える方法を紹介し、例として、フォーマル、くだけた、親しみやすい、プロらしい(professional)、ユーモラス、真面目、を挙げています。年賀状に当てはめた、僕らの例です。
| 相手 | 渡す材料の例 | 調子の例 |
|---|---|---|
| 友人 | 去年の思い出を1つ、会おうという誘い | 親しみやすい、ユーモラス |
| 親戚 | 家族の近況を2つ、体を気づかう一言 | 親しみやすい、丁寧 |
| 取引先・上司 | 昨年のお礼、今年もよろしくの一言 | フォーマル、簡潔 |
| 恩師 | 近況、教わったことへの感謝 | 丁寧、誠実 |
例文です。
取引先の担当者に送る年賀状の文面を、3案ください。フォーマルで、簡潔な調子で、本文は60字以内。昨年のお礼と、今年もよろしくお願いする気持ちを入れてください。私が書いていない出来事や数字は、足さないでください。
見立てです。上の例では、「取引先」「60字以内」が、AIに背景を伝える役目をしています。
直したいとき:各社の「言い直し」の機能
文案が出たあと、自分で全部書き直さなくても、言い直しを頼めます。読んだ範囲を表にします。
| サービス | 書かれている機能 | 使える条件(読んだ時点) |
|---|---|---|
| ChatGPT(canvas) | 編集の提案、長さの調整(最短から最長まで)、読みやすさの調整、最終の仕上げ(文法・明確さ・一貫性)。「Show changes」で変更点を差分で見られる | Web、Windows、macOSで使える。スマートフォンは「近日対応予定」と書かれている。Proシリーズのモデルでは使えない |
| Googleドキュメント(Gemini) | 言い換え、短縮、詳述、箇条書き化、要約。「Refine」の中の「More」から、よりフォーマル、よりカジュアル。提案は、個別に承認も、まとめて承認・却下もできる | 対象のGoogle WorkspaceまたはGoogle AIプランが必要 |
どちらのページも、更新日は具体的な日付では読めませんでした(canvasのページは「2日前に更新」という相対表記、Googleのページは日付なし)。Googleのヘルプには、提案された変更を確認するよう案内があります。
最後の検品:5つの確認
見立てです。公式の文書を、年賀状に当てはめた確認の順番です。
- 宛名。 名前の漢字、敬称、肩書は、自分で見て確かめます。AIが宛名まで作る必要はありません。
- 年や年号。 OpenAIは、AIには知識の期限があり、誤った日付を答えることがあると書いています。「新年」「令和◯年」「来年の干支」などの数字や言葉は、カレンダーなどで確かめます。
- 事実。 近況や出来事は、渡したとおりに書かれているか。OpenAIは、存在しない事実や出典を作ることがあるとも書いています。
- 相手の事情。 喪中ではないか、病気や転職など、触れないほうがよい話題はないか。これはAIには分かりません。
- 言葉づかい。 文化審議会の「敬語の指針」(2007年2月2日)は、敬語を相手や場面への気持ちに照らして選ぶこと、過不足を避けることを求めています。丁寧すぎず、足りなくもないか、声に出して読んでみます。
敬語の指針と、OpenAIの「下書き」の考え方
敬語の指針は、敬語を尊敬語、謙譲語Ⅰ、謙譲語Ⅱ(丁重語)、丁寧語、美化語の5つに分けています。「この相手には必ずこの敬語」という固定的な使い方は適切でないとし、相手を大切にする気持ちから、自分で言葉を選ぶとしています。今回は、第3章(具体的な使い方)の本文は読めていません。
OpenAIの「Does ChatGPT tell the truth?」のページは、誤った定義、日付、事実や、存在しない出典の例を挙げています。そして、答えは最終の情報源ではなく下書きとして扱い、大事な情報は確認するよう書いています。
個人情報:住所録は貼らない
年賀状づくりで、いちばん気をつけたいのは、住所録です。
- 個人情報保護委員会(2023年6月2日)。 一般の利用者向けに、入力した個人情報が機械学習に使われ、ほかの情報と統計的に結びついて出力されるおそれを書いています。利用規約やプライバシーポリシーを確認して判断するよう求めています。
- OpenAI。 個人向けのChatGPTでは、入力が学習に使われる場合があり、設定の「データコントロール」でオフにできます。「Temporary Chat」は、一時的なままなら履歴に出ず、モデル改善にも使われません。
- Google(Gemini)。 「アクティビティの保存(Keep Activity)」がオフでも、チャットは72時間保存されます。チャットの一部は、人間のレビュアーが確認することがあり、確認されたものは最長3年保存されます。レビュアーに見られたくない情報は入れないよう、書かれています。ページの更新日は、10月22日に読んだ時点で2026年10月19日の表示でした(プライバシー通知の節は10月13日)。
見立てです。文面を頼むだけなら、宛名や住所は要りません。「取引先の担当者」「友人」のように、関係だけを伝えれば足ります。名前や住所は、印刷ソフトや表計算で、自分で扱うのが安全だと思います。
誤解されやすい点
「AIは、今年の年号や干支を知っている」 読んだ資料は、そう保証していません。OpenAIは、知識に期限があること、日付を誤ることがあることを書いています。
「宛名まで頼めば、いちばんラク」 宛名を頼むには、名前と住所を入力することになります。上の個人情報の注意が、そのまま当てはまります。
今日からできること、やってはいけないこと
今日からできること
- 相手を4〜5つのグループに分け、グループごとに「渡す材料」と「調子」を決めてから、頼む。
- 1グループにつき、2〜3案を出してもらい、気に入った部分を自分の言葉でつなぐ。
- 短くしたい、やわらかくしたいときは、canvasやGoogleドキュメントの言い直しを使うか、チャットで言葉で頼む。
- 出す前に、上の5つの確認を、宛名1枚ずつ行う。
やってはいけないこと
- 住所録や名簿を、そのまま貼って頼む。
- 出てきた年号や干支を、確かめずに使う。
- AIの文面を、事実の確認なしに、全員に同じように出す。
気をつけること
- ここに書いたのは、2026年10月16日に読み、10月22日に読み直した公式ページの内容です。機能名や使える条件は変わりやすいです。
- 日本郵便の年賀はがきに関するページ(案内ページ、トップページなど)は、今回、読めませんでした。発売日、料金、受付期間、投函期限は、日本郵便の公式ページで確認してください。
- 読んだページは、WebFetchという道具が取り込んだ要約文を通して読んでいます。原文の言い回しは確かめていないので、引用せず、言い換えで書きました。
- 公式ページに年賀状のための節はなく、年賀状への当てはめは僕らの考えです。
- この記事は、ChatGPTやGoogleドキュメントのGeminiで年賀状の文面を作って確かめた記録ではありません。例文でどんな答えが返るかは、確認していません。
出典
- Prompt engineering best practices for ChatGPT(OpenAI Help Center、2026年10月22日確認)
- What is the canvas feature in ChatGPT and how do I use it?(OpenAI Help Center、2026年10月22日確認)
- Does ChatGPT tell the truth?(OpenAI Help Center、2026年10月22日確認)
- How your data is used to improve model performance(OpenAI Help Center、2026年10月22日確認)
- Write & edit with Gemini in Docs(Google Docs Editors ヘルプ、2026年10月22日確認)
- Gemini Apps Privacy Hub(Google、2026年10月19日更新の表示(プライバシー通知の節は10月13日)、2026年10月22日確認)
- 敬語の指針(文化審議会答申、2007年2月2日、2026年10月22日確認)
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(個人情報保護委員会、2023年6月2日、2026年10月22日確認)
更新履歴
-
2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
-
2026年10月22日 公式の資料を読み直して、次の点を直しました。
- 前:OpenAIが挙げる調子の例は「ビジネスらしい」 → いま:「プロらしい(professional)」
- 前:Googleドキュメントの「More」から、よりフォーマルなどを選ぶ → いま:「Refine」の中の「More」から選びます
- 前:Geminiのページの更新は2026年10月13日 → いま:2026年10月19日の表示(プライバシー通知の節は10月13日)
