3行でいうと

  • AIには、話の流れと言い回しの案を頼みます。名前、肩書、エピソードなどの事実は、自分で渡します。OpenAIは、AIが事実でないことを自信ありげに答えることがあると書いています。
  • 祝いの席で避けたい言葉は、日本郵便の祝電のページが場面ごとに挙げています。ただし祝電のページで、スピーチ全般の決まりではありません。
  • 話す長さの目安は、読んだ資料には書かれていません。ChatGPTのcanvasには長さの調整機能があり、最後は声に出して時間を測ります。

この記事は公式の文書を読んでまとめたもので、実際に使って確かめた記録ではありません。例文と、「見立てです。」で始まる段落は僕らの考えです。マナーは、会場や会社、地域で違います。ここに書くのは公式ページを読んだ範囲で、助言ではありません。

先に結論

公式の資料を読んで言えることは、次の4つです。

  1. 具体的に頼み、背景を渡す。 OpenAIのヘルプは、はっきり頼み、依頼を理解できるだけの背景を渡し、調子は形容詞で伝えることを勧めています。
  2. 事実は渡す。 OpenAIは、AIが存在しない事実や出典を作ることがあるとし、重要な情報は信頼できる情報源で確かめるよう書いています。
  3. 避ける言葉は、場面で違う。 日本郵便の祝電のページが、結婚、退職、出産などの場面ごとに注意を挙げています。
  4. 個人情報は、入れる前に立ち止まる。 個人情報保護委員会は、入力した個人情報が機械学習に使われるおそれを書いています。

たとえ話:台本を書く放送作家と、舞台に立つ自分

僕らのたとえです。AIは、台本を書く放送作家のようなものです。構成を考え、言葉を整えるのは得意です。でも、その場に誰がいるのか、主役はどんな人か、会場の空気がどうかは知りません。取材メモを渡さなければ、どの会にも使える、当たり障りのない台本になります。

そして、舞台に立つのは自分です。台本にない事実が混ざっていないか、言いにくい言葉がないか、時間に収まるか。本番の前に確かめるのは、立つ本人の役目です。

場面ごとに、避けたいことを確かめる

日本郵便の「Webレタックス」(電報に近いサービス)の祝電のマナーのページを読みました。祝電についてのページで、スピーチの決まりではありません。ただ、結婚式では祝電が披露宴で読み上げられることがあるため、披露宴にふさわしい内容にする、と書かれています。スピーチの参考になる部分があると思います(僕らの見立てです)。

場面 ページに書かれている注意(言い換え)
結婚祝い 「度々」「重ね重ね」「再び」などの繰り返しを表す言葉と、「別れる」「去る」「戻る」「終わる」などの別れを連想させる言葉は使わない
退職祝い よほど親しくない限り、退職の理由や年齢に触れない。今後の健康や活躍を祈る言葉を入れる
出産祝い 「責任重大」「これからが大変」など、不安をあおる表現は避ける。性別に触れるときは、相手の気持ちに注意する
入学祝い 上から目線にならない
就任(昇進)祝い 内定の時点では旧役職、辞令の発令後は新しい役職で書く。公表されていれば、内定後でも送ってよいとされる

見立てです。AIは、これらの決まりを知らないまま、「ますますの発展と、再びの飛躍を」のような、よくある言い回しを入れることがあると思います。できあがった文章を、この表と見比べます。

頼み方:材料と条件を渡す

OpenAIは、調子の伝え方として、フォーマル、親しみやすい、ユーモラス、真面目などの形容詞を挙げています。Anthropicの指南は、理由や背景を伝えると、AIが意図をくみやすいと書いています。同じ指南には、「しないで」より「してください」の形で書くほうがよい、という説明があります(返事の形式の箇所です)。

僕らの例文です(送別会の乾杯の例です)。

来週の、同じ部署の山田さんの送別会で、乾杯の挨拶をします。約1分で、耳で聞いて分かる言葉で、あたたかい調子でお願いします。伝えたいことは2つです。昨年の展示会を、山田さんが中心になって乗り切ったこと。新しい職場での活躍を祈っていること。箇条書きにせず、話し言葉の続いた文章で書いてください。退職の理由や年齢には触れないでください。私が書いていない出来事や数字は足さないでください。

「耳で聞いて分かる言葉」は、話す文章だからです。理由を添えると、AIは意図をつかみやすいはずです。最後の2文は、上の表の注意と、事実を作らせない対策です。

長さと聞きやすさを直す

出てきた下書きを、自分で全部書き直さなくても、ChatGPTのcanvasで次のように直せます(読んだページの説明です)。

使える条件は、Web、Windows、macOSです。スマートフォンは「近日対応予定」と書かれていました。Proシリーズのモデルでは使えません。ページの更新は「2日前」という相対表記で、日付は読めませんでした。canvasを使わなくても、チャットで「もう少し短く」と頼めば足ります。

話す長さの目安は、読んだ資料には書かれていません。見立てです。文章の長さは、声に出して、時計で測るのがいちばん確実だと思います。

最後の確認

見立てです。公式の文書を、スピーチに当てはめた確認の順番です。

  1. 名前と肩書。 読み間違えやすい名前は、ふりがなを自分でメモします。昇進のお祝いなら、肩書が正式に発令されているかを確かめます(上の表)。
  2. 事実。 渡していない出来事や数字が入っていないか。OpenAIは、存在しない事実や出典を作ることがあると書いています。
  3. 避ける言葉。 上の表と見比べます。
  4. 本人の話。 本人が、場で話してほしくない話ではないか。AIには分かりません。
  5. 声に出す。 噛みやすい所、息が続かない所を直します。

個人情報の扱い

エピソードに、本人や家族の私的な話(病気、家庭の事情)を入れたくなることがあります。個人情報保護委員会(2023年6月2日)は、一般の利用者向けに、入力した個人情報が機械学習に使われ、ほかの情報と統計的に結びついて出力されるおそれを書いています。OpenAIは、個人向けのChatGPTでは入力が学習に使われる場合があり、「データコントロール」の設定でオフにできること、「Temporary Chat」は一時的なままなら履歴にも学習にも使われないことを説明しています。見立てです。本人の許しのない私的な話は、AIに入れず、スピーチにも載せないのが安全だと思います。

日本郵便の祝電ページが挙げる、結婚祝いの忌み言葉

読んだページの内容を、表にします。更新日の記載はありませんでした。

種類 書かれている例
繰り返しを表す言葉 度々、重ね重ね、再度、再び、重ねる、かえすがえすも など
離別・断絶を想起させる言葉 別れる、去る、離れる、戻る、切れる、出る、変える、終わる など
再婚祝いのとき 「再出発」「今回こそ」も使わない

宛名は、案内状どおりの新郎新婦の名前にします。姓が変わる場合は旧姓を書くのが一般的、とあります。敬称は、「殿」は目下の相手に使われることが多いとされてきたので、現在は「様」が無難、と書かれています。これらは祝電の宛名の話で、スピーチの呼び方ではありません。

誤解されやすい点

「AIが書けば、場にふさわしい」 AIが場の決まりを守る、とは読んだ資料のどこにも書かれていません。確かめるのは自分です。

「エピソードもAIが考えてくれる」 作り足された話は、本当にあった話ではありません。OpenAIが挙げる「事実の作り足し」に当たります。

今日からできること、やってはいけないこと

今日からできること

やってはいけないこと

気をつけること

出典

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