3行でいうと

  • Apple Intelligenceは、iPhoneやMacなどに組み込まれたAI機能のまとまり。目玉は新しいSiri「Siri AI」。
  • Siri AIは英語のベータ版から始まり、日本語は、発表の「翌月」(10月)に広がる予定。10月22日に確かめ直した時点でも、日本語の開始は確認できていない。
  • 対応機種は、iPhone 15 Pro以降などに限られる。
  • 更新は無料だが、サーバーのAIを使う機能には1日の使用回数の制限があり、増やすのは将来有料になる予定。

先に、お断りです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、Appleと関係各社の公式の文書を読んでまとめたものです。僕らの考えは、段落の頭を「見立てです。」として、事実と分けて書きます。

先に結論

Apple Intelligenceは、アプリではなく、iPhone・iPad・Macなどに組み込まれたAIの機能のまとまりです。2026年9月14日に配信された「iOS 27」などの無償アップデートで、新しい世代になりました。その目玉が、新しいSiri「Siri AI」です。

公式の説明を読んで、特に押さえておきたい点は次のとおりです。

名前の整理:どれが何を指すのか

Appleのまわりには、似た名前がいくつも出てきます。混同しやすいので、先に分けます。

名前 何のことか
Apple Intelligence AIの機能全体の名前。写真の編集、文章の手伝い、Safariの便利機能など、OSの中に入っている
Siri AI 作り直された新しいSiri。会話ができるアシスタント。今はベータ版
Apple Foundation Models(AFM) Apple Intelligenceを動かす、Appleの「土台となるAIモデル」の総称。今は第3世代
プライベートクラウドコンピューティング(PCC) 端末では重い処理を、Appleが用意したサーバーで行う仕組み。データを残さないことを売りにしている
ChatGPT機能拡張 希望すれば、OpenAIのChatGPTにも質問を送れる、オプションの連携
Foundation Modelsフレームワーク アプリの作り手が、AppleのAIをアプリに組み込む道具

「モデル」とは、AIの頭脳にあたる部分のことです。

新しいSiri「Siri AI」で、できること

Appleの発表によると、Siri AIは「作り直された」Siriです。メッセージ・メール・写真などを横断して探しものを見つける、画面に出ている内容について質問する、アプリの中の操作を実行する、ウェブの情報をもとに最新の話題に答える、といったことができるとされています。会話の履歴は、専用の「Siriアプリ」に集まり、iCloud経由でiPhone・iPad・Mac・Apple Watch・Apple Vision Proの間で引き継げます。カメラや画面に写ったものについて聞く「ビジュアルインテリジェンス」も、Siriの機能として紹介されています。

使い始めるには、設定のSiriから「Try Siri AI (Beta)」を選びます。順番待ちに入る形で、待ち時間は人によって違う、とサポートページにあります。

Siri AI以外にも、写真の構図を撮影後に変える機能、写真のようにリアルな画像を作れるImage Playground、Safariのタブの自動整理などがあります。

対応機種:どれが使えるのか

Appleの対応表(日本のサイトと、サポートページ)から、まとめます。

種類 対応しているもの
iPhone iPhone 15 Pro・15 Pro Max、iPhone 16シリーズ(16eを含む)、iPhone 17シリーズ(17eを含む)、iPhone Air、iPhone 18 Pro・18 Pro Max、iPhone Duo
iPad M1以降のチップを積んだiPad(iPad Pro、iPad Air)、iPad mini(A17 Pro)
Mac M1以降のチップを積んだMac、MacBook Neo(A18 Pro)
そのほか Apple Vision Pro、Apple Watch(Series 9以降、Ultra 2以降、SE 3。対応iPhoneとペアリングして使う)

iPhone 15(無印)や、それ以前のiPhoneは、対応表に入っていません。空き容量も要ります(最大8GB、一部の上位機種は最大14GB)。「デバイスの言語」と「Siriの言語」を、同じ対応言語に設定する必要もあります。

機種によって、使える機能にも差があります。たとえばSiriの声を細かく調整する機能は、いちばん高性能な端末用モデル(AFM 3 Core Advanced)を積んだ機種だけです。サポートページでは、iPhone Air、iPhone 17 Pro、iPhone 18 Pro、M4以降でメモリ12GB以上のiPad、M3以降でメモリ12GB以上のMac、Apple Vision Pro(M5)が挙がっています。

日本語は使えるのか

ここは、2つに分けて読む必要があります。

Apple Intelligence全体:日本語に対応しています。 Appleのサポートページは、対応言語に日本語を含めています。ライブ翻訳や留守番電話の要約なども、日本語が対応に入っています。

Siri AI:日本語は、公式の発表ではまだこれからです。 2026年9月14日のAppleの発表(英語)は、「英語のベータ版として始まり、フランス語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語には、翌月に広がる」と書いています。日本のAppleのページは、「年内に日本語でも利用できるようになります」です。9月22日付のサポートページは、「今は英語で使える」と書いています。この記事を書いた10月7日に、日本語の開始を告げる公式の発表は、僕らは確認できていません。10月22日に読み直した日本のAppleのページも、「年内」のままでした。報道だけがある情報として、MacRumors(9月16日)とmonodeck(9月17日)は、開発者向けのiOS 27.2ベータにSiri AIの日本語が入っていると伝えています。また、BörnCity(9月23日)は、9月22日に配られたiOS 27.2のパブリックベータでもSiri AIの日本語が使えると伝えています(僕らが読んだ報道はこの1件で、Appleの公式ページでは確かめられていません)。ただ、正式版の一般向けの提供開始を告げる公式の発表は、10月22日までに確認できていません。

Apple Intelligenceの中にも、英語だけの機能があります。メールの「提案」や、メッセージの「個人に合わせたスマートリプライ」は、サポートページで英語のみとされています。

見立てです。「日本語で使えるか」と聞かれたら、「Apple Intelligenceは使えるが、新しいSiriの日本語は、公式の発表ではこれから(ベータ版には入っているという報道はある)。自分の使いたい機能が日本語に対応しているかは、機能ごとの表で見るのがよい」というのが、いまの正確な答えだと思います。

料金:無料なのか

公式の文書から、読み取れることを分けます。

見立てです。ふだんの使い方なら、追加料金なしで始められるように読めます。サーバーを使う機能を多く使う人は、1日の上限に当たる日が出るかもしれません。有料の拡大の金額は、発表を待つ段階だと思います。

GoogleのGeminiとSiriの関係

ここは、公式の文書を丁寧に読む必要があります。

2026年1月12日、GoogleとAppleは共同声明を出しました。内容は、「次世代のApple Foundation Modelsは、Googleのジェミニ(Gemini)モデルとクラウド技術をもとにする」「Apple Intelligenceは、これからも端末とプライベートクラウドコンピューティングの上で動く」というものです。

6月の発表では、表現が少し変わります。Appleは「GoogleおよびGeminiモデルとの連携によって、独自に構築された」第3世代のモデルと書きました。AppleのML研究のサイトでは、「Googleと共同で作った5つのモデル」と説明されています。

その5つは次のとおりです。

モデル 動く場所 役割(Appleの説明)
AFM 3 Core 端末の中 基本の端末用モデル(30億パラメータ。頭脳の大きさの目安)
AFM 3 Core Advanced 端末の中(高性能な機種のみ) いちばん高性能な端末用。声や音声入力に使う
AFM 3 Cloud プライベートクラウドコンピューティング サーバー側の主力モデル
ADM 3 Cloud(Image) プライベートクラウドコンピューティング 画像の生成と編集
AFM 3 Cloud Pro プライベートクラウドコンピューティング 複雑な推論など、いちばん負荷の高い処理

AFM 3 Cloud Proについて、Appleは、GoogleとNVIDIAと協力して、プライベートクラウドコンピューティングを「Google Cloud上のNVIDIAのGPU」にまで広げたと書いています。Apple以外のデータセンターに広げるのは初めて、としています。

ここで、書かれていないことも整理します。僕らが読んだ範囲には、「SiriがGoogleのGeminiアプリにつながる」とか、「利用者の質問がGoogleに送られる」という説明は見つかりませんでした。逆に「送られない」という明言も、僕らは見つけていません。確かなのは、「Geminiの技術を土台にしてAppleのモデルが作られた」「動かす場所は端末とPCCだ、とAppleが説明している」という2点です。

ChatGPTなど外部のAIとの連携

ChatGPTとの連携は「ChatGPT機能拡張」という名前で、これまでどおり残っています。Appleのサポートページでは、iOS 26以降の機能として挙げられ、「ChatGPTアプリやサービスが使える地域でだけ使える」とあります。

Appleのプライバシーの説明(2026年9月14日付)で、仕組みを読むと次のとおりです。

Siri AIの紹介ページには、ChatGPTの名前は出てきませんでした。Siri AIの中での扱いは、確認できていません。

開発者向け:Foundation Modelsフレームワーク

アプリを作る人(開発者)向けの話です。Appleは「Foundation Modelsフレームワーク」を、AppleのAIを自分のアプリに組み込むための道具として出しています。公式の説明では、次のとおりです。

  • Swift(Apple製品向けのプログラミング言語)で使える、ひとつの道具です。端末の中のモデルに加えて、今年は「プライベートクラウドコンピューティング上の次世代モデル」も呼び出せます。画像の入力にも対応します。
  • Claude、Geminiなど、他社のモデルを選んで使える仕組みも入っています。
  • 端末の中のモデルは、Appleが「リクエストごとの費用は一切かかりません」と書いています。
  • PCC上のモデルは、App Store Small Business Programに登録していて、App Storeでの初回ダウンロード数が合計200万件未満の開発者は、クラウドのAPI費用なしで使えます。APIとは、アプリから直接AIを呼び出す口のことです。条件に当てはまらない場合の費用は、僕らが読んだ範囲では確認できていません。

見立てです。普通の利用者にとっては、「これからAIが入るアプリが増えるかもしれない」という話です。サポートページには、開発者のアプリがPCC上のモデルを使う場合も使用制限の対象と書かれています。

プライバシー:公式の説明の範囲で

Appleの説明は、2段構えです。

  1. 端末の中で処理する。 個人の情報を集めずに、処理を行う、と説明されています。
  2. 重い処理は、プライベートクラウドコンピューティングで行う。 Appleの説明では、PCCがリクエストを処理している間、利用者の個人データは、Appleにも他の誰にも、保存されず、アクセスもされません。そして「外部の専門家が、いつでもこの約束が守られているかを検証できる」としています。

セキュリティ研究のサイトでは、「データを残さない処理」「運用者が中を見られない」「外から検証できる」といった要件は変わらない、とされています。PCCのプログラムは公開して、研究者が調べられるようにする、とも書かれています。

学習について、AppleのML研究のサイトは、「利用者の個人データややりとりを、基盤モデルの学習には使わない」と書いています。一方で、9月9日の更新では、希望すれば「SiriとApple Intelligenceの改善に協力できる」ようになったとされています。

見立てです。Appleの説明は、「どこで処理するか」と「データを残さない約束を、外の人が検証できる」ことが柱です。ただ、これはAppleの説明で、僕らが検証したわけではありません。Google Cloud上のPCCは、「夏のプレビュー期間を通じて、完全な保護へ段階的に近づけていく」とセキュリティの文書にあり、詳しい技術文書は年内に追加される予定です。今後の公開資料を見たいところです。

どう選ぶか

見立てです。対応機種を持っている人は、言語を日本語にしてApple Intelligenceを有効にすれば、写真の編集や文章の手伝いなどを、追加の契約なしで試せるように読めます。新しいSiriを日本語で使いたい人は、Appleの正式な提供開始の発表を待つ段階です。急ぐなら、デバイスとSiriの言語を英語にして試す方法もあります。古い機種の人は、買い替えを決める前に、使いたい機能が日本語で動くかを確かめるのがよいと思います。ChatGPTの併用は初期設定でオフなので、何を送るかを自分で決められます。使う前に、プライバシーの説明を一度読んでおくと安心です。

気をつけること

出典

更新履歴