3行でいうと

  • 音声のAIは、曲をつくる・読み上げる・文字にする・会議を訳す、の4つの道に分けて整理した。
  • 商用で曲を使うなら、どのプランでつくった曲かと権利の条件が大事。Sunoの無料プランの曲は収益化できない。
  • 声のクローン(本人そっくりの声を作ること)は、どの会社も本人の同意を条件にしている。
  • 日英の会議を訳すなら、確認できた範囲で日本語が公式の対象なのはTeamsとZoom。Meetは対象外の記載。

音声と音楽のAIは、名前が多くて、全体像がつかみにくい分野です。「歌をつくるAI」と「声を文字にするAI」は、同じ「音のAI」でも、まったく別の道具です。

そこでこの記事では、4つの道に分けて整理しました。事実は、各社の公式ページと公式のヘルプで確かめたものだけを書いています。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書を読んでまとめたものです。僕らの考えは、段落の頭を「見立てです。」として、事実と分けました。

先に結論

価格は、2026年10月7日に確認した公式ページの数字です(米ドル、税別の表示と読めるものが中心です)。10月22日に読み直したものは、その旨を書きました。変わることがあります。

道1:音楽をつくるAI

歌詞や雰囲気を文章で伝えると、歌入りの曲を作ってくれるAIです。

サービス 最新と確認できたモデル 位置づけ
Suno v6、v6-wild、v6-mini(2026年9月9日) 一般向け。曲づくりの老舗の一つ
Udio Warnerとの共同発表(PR Newswire)に、2026年に新サービスを始める予定とある いまは作成はできるが、ダウンロードは止まっている
Google Lyria Lyria 3.5(2026年9月4日) Geminiアプリ、Flow Music、開発者向けから使える
ElevenLabs Music 公式の文書では Music v2.5 が現行と記載 声のAIで知られる会社の音楽版。商用利用を前面に出している

Suno

Sunoの公式ブログによると、2026年9月9日に「v6」「v6-wild」「v6-mini」の3つが出ました。v6は安定して整った曲を作る主力モデルで、v6-wildは予想しにくく幅の広い結果を出すモデル。この2つは有料プランだけです。v6-miniは無料でも使えます。曲の一部を言葉で直す、複数の素材を混ぜる、といった機能も公式に書かれています。

公式ブログは、WarnerやBMG、Believeと一緒に作ったと説明しています。Warnerとは、裁判の和解と、ライセンス(使ってよいという許可)の契約が発表されています。ただし、どの楽曲で学習したかなど、学習の中身の詳しい説明は、公式ブログからは確認できませんでした。また、UniversalとSonyは、Sunoへの裁判を続けている、という報道があります(Music Business Worldwideの2026年7月14日の記事。それ以降の状況は読めていません)。

料金(公式の料金ページ、2026年10月8日確認、10月22日に読み直し):

プラン 料金(年払いの月あたりと思われる額) 内容
Free 0ドル 毎日50クレジット。v6-miniのみ。商用利用の権利なし。月ごとのダウンロード枠はなし(9月3日より前に参加した人には、通算7曲までの試用ダウンロード。商用は不可)
Pro 8ドル(月払いは10ドルと思われる) 毎月2,500クレジット。v6とv6-wild。ダウンロード月20曲。商用利用の権利あり
Premier 24ドル(月払いは30ドルと思われる) 毎月1万クレジット。ダウンロード月60曲。Suno Studio(編集ツール)など。商用利用の権利あり

注意:ページに大きく出る8ドルと24ドルは、年払いにしたときの月あたりの金額と思われます(ページに「年払いで20%お得」「年に24ドル・72ドル安い」と書かれ、その数字と合うため。画面上で請求周期が明示されているかは読み取れていません)。ページには「年払い」を選ぶと20%お得(Proは年に24ドル、Premierは年に72ドル安い)と書かれ、年払いが最初に選ばれた状態で表示されます。ページの内部データでは、月払いはProが10ドル、Premierが30ドル、年払いはProが96ドル、Premierが288ドルでした。Freeのダウンロードについては、Sunoの公式ブログに、9月3日より前に参加した人は通算7曲まで試用でダウンロードでき、9月3日以降に参加した人は、ときどき試用が付く程度、と書かれています。契約の前に画面の金額を確認してください。10月22日に読み直したときは、画面に出る8ドル・24ドルが月払いか年払いかの表示は読み取れず、月払いの10ドル・30ドル、年払いの96ドル・288ドルという数字も、取得結果には出てきませんでした。ただ、ページにある「年払いで20%お得(Proは24ドル、Premierは72ドル安い)」という表示は、8ドル・24ドルを年払いの月あたりと読む場合の数字と合います。

商用利用の条件は、Sunoのヘルプにこう書かれています。無料プランで作った曲は、個人の非商用だけで、収益化はできません。有料プランに入ったあとで、無料のときの曲に権利が後からつくことはありません。SpotifyなどのストリーミングやYouTubeでの収益化は、ProかPremierに入っている間に作った曲が対象です。また、ヘルプには「AIだけで作った曲は、著作権で保護されない場合がある」とも書かれています。

Udio

UdioはUniversal(2025年10月29日)とWarner(2025年11月19日)と和解しました。Warnerとの共同発表(PR Newswire)には、許諾を受けた新しいサービスを「2026年に始める予定」とあります。Universalとの和解は、Udio自身の発表ページには2026年の記載を読み取れず、2026年の開始予定は報道(Music Business Worldwide)にあります。一方、Udioの公式ヘルプには、Universalとの提携の変更として「音声、動画、ステムのダウンロードを停止した」と書かれています。

僕らが確認できた範囲では、Udioの公式ブログの最新の記事は2025年11月19日のもので、新サービスが始まったという発表は見つかりませんでした。料金の最新の数字も、今回は確認できていません。Sonyとの裁判は続いている、という報道があります(Music Business Worldwideの2026年7月14日の記事)。

見立てです。いまのUdioは、「作って聴いて楽しむ」ことはできても、作った曲を持ち出して使う用途には向かない状態だと思います。商用で使いたい人は、新サービスの公式発表を待つのが安全です。

Google Lyria

GoogleのLyriaは、2026年9月4日にLyria 3.5が出ました。Geminiアプリ(ウェブとスマホ)、Flow Music、Google AI Studio、Google Vidsで使えると公式ブログにあります。短い曲か長い曲かを選べます。

開発者向けの公式ドキュメントでは、30秒の「Lyria 3 Clip」(プレビュー段階)と、数分の曲を作る「Lyria 3.5」の2つが案内されています。作られた音には、AIで作ったと見分けられる目に見えない印(SynthID)が必ず入ります。特定の歌手の声を求める依頼や、既存の歌詞を求める依頼は、フィルターで止められます。

Geminiアプリの公式案内(Lyria 3の発表時)では、18歳以上が対象で、日本語を含む8つの言語に対応していました。商用利用の条件、Geminiアプリでの回数制限、開発者向けの料金は、Googleの公式ページからは確認できていません(他社の解説記事に金額は出ていますが、公式で確かめられていないので書きません)。

ElevenLabs Music

ElevenLabsは、公式の説明で「アーティスト、レーベル、出版社と組んで作った」「幅広い商用利用に使える」としています。長さは3秒から5分まで。日本語を含む複数の言語に対応しています。

商用の条件は、公式のMusic向け規約の表の読み取りでは、次のようになります。

見立てです。「商用で、条件を読んで安心して使いたい」なら、条件が表で整理されているElevenLabs Musicは分かりやすいと思います。ただし、これは条件の分かりやすさの話で、曲の出来の優劣ではありません。

道2:文章を読み上げる・声を合成するAI

文章を、人の声のように読み上げてくれるAIです。

サービス 最新と確認できたモデル 日本語 料金(公式、2026年10月7日確認。再確認した行は10月22日と付記)
ElevenLabs Eleven v4、v4 Turbo(2026年9月28日) v4は90言語以上と記載。日本語は一覧で個別に確認できず。Multilingual v2とFlash v2.5には日本語がある 無料0ドル(月1万クレジット)、Starter 6ドル(3万)、Creator 22ドル(12.1万)、Pro 99ドル(60万)。月払いの表示(10月22日に再確認)
OpenAI gpt-4o-mini-tts(声は13種類)。公式ガイドは、これとtts-1、tts-1-hdを2027年1月6日に停止するとし、Realtime APIのgpt-realtime-2.1-miniへの移行を案内(10月22日に再確認) 公式ガイドに日本語を含む約57言語と記載 読み上げ専用の料金は、10月22日も料金ページで確認できず
Google(Gemini API) Gemini 3.8 Flash TTS、Flash-Lite TTS 公式ドキュメントの言語表に日本語あり 100万トークンあたり。Flash TTSは入力0.50ドル・出力(音声)9ドル、Flash-Lite TTSは入力0.50ドル・出力6ドル。ただし2026年12月31日までの価格で、2027年1月から倍になると書かれている(10月22日に再確認)

「トークン」は、AIが文字や音を数える単位です。ここでは「100万トークンあたり」という、開発者向けの従量課金の単位だと思ってください。

声のクローンの規約

  • ElevenLabs:利用規約に、クローンにできるのは「自分の声、または共有する権限のある声」と書かれています。クローンには2種類あります。短い音声から作る「Instant」は、Starter以上の有料プランで使えます(料金ページの記載)。長い音声で精度を上げる「Professional」は、Creator以上が必要で、本人の音声であることを確かめる仕組みがあります。
  • OpenAI:カスタムボイス(自分の声の登録)は「対象となる顧客に限る」で、営業窓口への連絡が必要です。本人が「この声の持ち主で、同意する」と録音した同意音声が要ります。1つの組織で作れるのは20個までです。また、読み上げをユーザーに聞かせるときは、「AIの声であること」を分かるように伝える決まりがあります。
  • Google:Geminiの読み上げには、参考の音声と同意の音声を組み合わせて声を作る「voice replication」と、作った声の保存の仕組みがあります(公式ドキュメント、10月22日)。同意の文言や、規約上の条件の詳細は、確認できていません。

見立てです。他人の声を勝手に使わない、という原則は3社に共通しています。自分の声以外をクローンにする計画があるときは、使う前に、規約と相手の書面の同意を確かめるのが安全です。

道3:声を文字にする・音声入力

3-1 話した言葉をそのまま打ち込む「音声入力アプリ」

サービス 日本語 料金(公式、2026年10月7日確認。再確認した行は10月22日と付記) 対応機器
Aqua Voice 対応(言語ガイドに日本語、全49言語。日本語版のサイトもあり) Free 1,000語まで。Pro 月8ドル(年払い)/月10ドル(月払い)。Max 月24ドル(年払い)/月30ドル(月払い)(10月22日に再確認) Mac、Windows、iPhone、Android
Wispr Flow 対応(言語の資料に日本語が載っている。日本語は、英語並みに調整した7言語の次の層) Free は週2,000語(パソコン)、スマホは週の上限つき(語数は10月22日の表示では読めず)。Pro 月12ドル(年払い)/月15ドル(月払い)(10月22日に再確認) Mac、Windows、iPhone、Android
macOSの音声入力 Appleの機能一覧に日本語あり Macに標準で入っている。料金の記載は、10月22日に読んだヘルプにはない Mac(設定のキーボードから有効化)

Aqua Voiceは、Proが語数無制限と、書き方の好みを伝える機能つき。Maxは、話しながら文字が出るリアルタイムモードなどが加わります。法人向けBusinessは、1席月19ドル(年払い)です。

Wispr Flowは、Proで無制限。会議の文字起こし(Notetaker)は、日本語を含む複数の言語に対応し(ヘルプは「21言語」と書きつつ、一覧は22言語。どちらも日本語は載っています)、MacとWindows向けです。スマホ版は、10月22日の料金ページにも「いまはMacとWindowsのみ。ほかの機器は近日」とあり、FAQには「スマホ版は計画中(ロードマップにある)」とあります。

macOSの音声入力は、Macの標準機能で、話す長さに制限はありません(30秒無言だと止まります)。料金については、読んだヘルプに記載がありません。音声がAppleのサーバーに送られるか、機器の中で処理されるかは、設定で確かめられます。

見立てです。「話した内容を、整った文章にしてほしい」なら専用アプリ、「とりあえず打つ代わりに話せればよい」なら標準の音声入力、という分け方になりそうです。専用アプリが標準より実際にどれだけ正確かは、この記事では確かめていません。

3-2 録音ファイルを文字にする「文字起こしAI」

開発者が自分のアプリに組み込むための、各社の「API」(アプリから直接AIを呼び出す口)です。

提供元 モデル 日本語 料金(公式)
OpenAI gpt-transcribe(推奨)、gpt-4o-transcribe、whisper-1(この2つは2027年2月26日に停止予定と公式ガイドにある) 10月22日に読んだガイドには、日本語の個別の記載は見つからず(Whisperは98言語に対応、精度は言語で違う、とある) gpt-transcribe 1分あたり0.0045ドル。gpt-4o-transcribe 1分あたり0.006ドル(目安)
Google Gemini 3.5 Transcribe(2026年9月15日) 85言語以上。日本語の個別記載は確認できず 料金ページに、入力が1分あたり0.003ドル(100万トークンあたり2ドル)、出力が1分あたり0.002ドル(同12ドル)、合わせて約0.005ドル/分とある(10月22日)
ElevenLabs Scribe v2 90言語以上。日本語は「優秀」の区分 1時間単位の課金。金額はドキュメントでは確認できず
Whisper(OpenAI、オープン) 6段階の大きさ 多言語(精度は言語で異なる) MITライセンスで、自分のパソコンで無料で動かせる

Whisperは、OpenAIが公開した音声認識のモデルです。プログラムと学習済みの重みが公開されていて、自分の機器で動かせます。ただし、動かすには技術的な知識と、それなりの性能のパソコンが要ります。

道4:会議の文字起こしと同時通訳

サービス できること 日本語 条件・料金
Otter 会議の自動文字起こし、要約 文字起こしの対応言語に日本語あり Basic 無料(月300分、1回30分まで)。Pro 月8.33ドル(年払い。月払いは16.99ドル、月1,200分、1回90分)。Business 月19.99ドル(年払い。月払いは30ドル、無制限、1回4時間)(10月22日に再確認)
Microsoft Teams「通訳」 会議の同時通訳。話者の声に似せた翻訳音声も 対象10言語に日本語あり Copilotライセンスが必要。1人あたり月20時間分が含まれる
Zoom「音声翻訳」 会議の同時通訳(合成音声) 英語、中国語、フランス語、日本語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、アラビア語、ポルトガル語の9言語(10月22日。10月7日の読み取りでは5言語) Live Translationのアドオンか、ZoomMateが必要
Google Meet「音声翻訳」 会議の同時通訳。話者の声に似た音声 ヘルプの記載では、英語と、フランス語・ドイツ語・ヒンディー語・イタリア語・ポルトガル語・スペイン語の間。日本語は対象外 AI Pro/Ultra、一部のWorkspaceプラン。1回90分まで

Googleは2026年6月9日に、70以上の言語を扱う「Gemini 3.5 Live Translate」を発表しました。公式ブログによると、Google翻訳のアプリに順次展開で、Google Meetは企業向けの限定公開(プライベートプレビュー)の段階です。Meetのヘルプの対応言語表は、これとは別に更新されている可能性があります。

見立てです。日本語と英語のやりとりを会議で訳したいなら、今回確認できた範囲では、日本語が公式の対象に入っているのは、Teams、Zoom の2つです。Meetは、ヘルプの記載では対象外でした。ただし、訳の質は、この記事では確かめていません。どの会社も「言語の組み合わせや音質で質は変わる」と書いています。

用途別の見立て

見立てです。以下は、公式の条件を読んだうえでの、僕らの整理です。優劣の断定ではありません。

やりたいこと まず見るもの 理由
自分の動画のBGMを作って、公開したい ElevenLabs Music、Suno(Pro以上) 商用の条件が文書で確かめられるから。無料プランの曲は収益化できないことが多い
曲づくりを趣味で楽しむ Suno Free、Geminiアプリ 遊ぶだけなら費用が小さい。ただし、SunoのFreeは商用不可で、ダウンロードも試用の通算7曲まで(9月3日より前に参加した人の場合)。Geminiアプリの回数制限は確認できていません
動画のナレーションを作りたい ElevenLabs、GeminiやOpenAIの読み上げ 日本語に対応していると公式に書かれている
自分の声で読み上げたい ElevenLabs(Starter以上) Instantクローンが、有料の下位から使えると料金ページにある
メールや文書を、話して書きたい macOSの音声入力、Aqua Voice、Wispr Flow まず無料の標準を試し、物足りなければ専用アプリ、という順番が費用面で安全
会議や取材の録音を文字にしたい Otter、各社の文字起こしAPI、Whisper 手軽さならOtter、自前の仕組みに組み込むならAPI
日英の会議を訳したい Teams、Zoom 日本語が公式の対象に入っている(Meetは確認できず)

気をつけること

出典

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