3行でいうと

  • AIにファイルを任せる前に、今のデータの別のコピーを、別の場所に取っておくのが基本です。
  • 同期はバックアップではありません。同期は、片方で消すと、もう片方も消えることがあります。
  • Macは Time Machine、Windowsは Windows バックアップとファイル履歴、iPhoneはiCloudバックアップが基本です。
  • AIツールの「元に戻す」機能には戻せない範囲があるので、AIとは別の場所にコピーを持つのが安全です。

この記事は、公式・一次資料(各社の公式ヘルプ、公式ドキュメント)を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。

先に結論

何が問題なのか

チャットで質問するだけなら、AIはあなたのファイルに触りません。問題になるのは、フォルダを渡して作業を任せる使い方です。たとえば次のような場面です。

公式文書の書き方を見ると、AIツールは権限を確かめる仕組みを持っています。たとえばAnthropicのClaude Coworkのヘルプには、Claudeが読み書きできるのは、利用者がつないだフォルダだけで、ファイルを完全に削除する前には明示的な許可が必要、と書かれています。ただし、同じページに、バックアップや、書き換えたファイルを元に戻す方法の説明は見つかりませんでした。許可を求められても、押す前に「戻せる状態か」を確かめるのは、利用者の側です。

公式資料に書かれていること

Mac:Time Machine

AppleのMac向けのページによると、Time Machineは、Macに付いているバックアップ機能です。

  • 必要なもの:USBやThunderboltの外付けのドライブ。容量は、Macの容量の2倍以上が理想、と書かれています。ドライブはTime Machine専用にする、とも書かれています。
  • 設定:「システム設定」→「一般」→「Time Machine」で、追加(+)ボタンからドライブを選び、「ディスクを設定」を押します。設定が終わると、すぐにバックアップが始まります。
  • 保存のしかた:最初に全体を保存し、あとは変わったファイルだけを保存します。過去24時間は1時間ごと、過去1か月は1日ごと、それ以前は1週間ごとに残ります。ディスクがいっぱいになると、いちばん古いものから消えます。
  • 暗号化:「バックアップを暗号化」をオンにすると、パスワードが必要になります。復元のときに、そのパスワードが必要になります。
  • 注意:Windows用の形式のディスクにはバックアップできません。Mac用の形式に直せますが、中身は消えます。取り外すときは、ディスクを取り出すか、Macをシャットダウンしてから外します。
  • 戻し方:Time Machineを開き、矢印で日時をさかのぼって、戻したいファイルを選び、「復元」を押します。ファイルは元の場所に戻ります。

Windows:Windows バックアップとファイル履歴

Microsoftの公式ヘルプには、2つの仕組みが出てきます。

Windows バックアップは、Microsoftアカウントを使います。仕事用・学校用のアカウントは対象外、と書かれています。

  • 対象:デスクトップ、ドキュメント、ピクチャ、ビデオ、ミュージックのフォルダ(OneDriveに保存)。アプリの一覧、Wi-Fiの情報、個人設定なども含まれます。
  • 無料の容量:無料のMicrosoftアカウントは、OneDriveが5GBです。足りないとバックアップでエラーが出ることがあり、個人設定は、容量が足りないとバックアップされない、と書かれています。
  • 戻し方:新しいPCの設定時や、Windowsの再インストール時に、同じMicrosoftアカウントでサインインすると、復元するか聞かれます。ファイルは、同じアカウントでOneDriveにサインインすれば戻ります。

ファイル履歴(Windows 10・11)は、外付けドライブか、ネットワーク上の場所に、ファイルのコピーを自動で保存します。なお、Microsoftのページには、Windows 10のサポートは2025年10月14日に終わった、と書かれています。

  • 設定:「コントロールパネル」→「システムとセキュリティ」→「ファイル履歴でファイルのバックアップコピーを保存」→「オンにする」。保存先は「ドライブの選択」で変えられます。
  • 対象:ライブラリ(ドキュメント、ピクチャなど)とデスクトップ。ほかのフォルダは、ライブラリに追加すると対象になります。
  • 戻し方:ファイルがあったフォルダを右クリックして「以前のバージョンの復元」を選びます。ただし、元の場所に復元すると、今のファイルが置き換わり、元に戻せません。「復元先を指定」を使えば、上書きを避けられます。

iPhone:iCloudバックアップ

Appleのヘルプには、iPhoneのバックアップの方法が、iCloudとパソコンの2つあると書かれています。

  • iCloudバックアップ:「設定」→自分の名前→「iCloud」→「iCloudバックアップ」で、今すぐバックアップを始められます。自動のバックアップは、電源につながり、Wi-Fiにつながり、画面がロックされているときに行われます。
  • 無料の容量:iCloudは、すべてのアカウントで5GB無料です。有料のiCloud+は、米国の価格で、50GBが月0.99ドル、200GBが2.99ドル、2TBが9.99ドルです(ほかに6TBと12TBの区分もあります)。日本の価格は、円・月払いで、50GBが180円、200GBが540円、2TBが1,800円と表示されていました。ページの脚注には、この国・地域の価格は税込と書かれています(Apple公式、2026年10月23日確認)。
  • 注意すべき点:iCloudバックアップに入るのは、「すでにiCloudに同期されているものを除いた、端末のデータ」です。たとえば「iCloudの写真」がオンなら、写真と動画は、日々のバックアップには含まれません。「iCloudのメッセージ」がオンの場合も、メッセージは含まれません。
  • パソコンへのバックアップ:保存先はパソコンで、暗号化は初期状態ではオフです。ヘルスケアやキーチェーンのデータは、暗号化したパソコンのバックアップにだけ含まれる、と書かれています。

Android:Googleのバックアップ

Googleのヘルプによると、Androidのバックアップは「設定」→「Google」→「すべてのサービス」→「バックアップ」でオンにします。「写真と動画」と「端末のデータ」を選べます。

  • 対象:アプリとアプリのデータ、通話履歴、連絡先、端末の設定、SMS・MMS。写真と動画はGoogleフォトが担当します。
  • 容量:Googleアカウントは、最大15GBが無料です。この15GBは、Gmail、Googleドライブ、Googleフォトで共有されます。
  • 注意:バックアップの完了には最大24時間かかることがあります。すべてのアプリが、すべての設定とデータをバックアップできるわけではない、とも書かれています。電話本体やSIMだけに保存された連絡先は、自動では同期されず、手動で復元が必要です。会社支給の端末や仕事用プロファイルの端末では、使えません。

「同期」と「ゴミ箱」の期限

  • OneDrive:個人のMicrosoftアカウントでは、ゴミ箱に入れたファイルは30日後に自動で消えます。仕事用・学校用は、初期設定で93日です。パソコンのゴミ箱に出てこない削除(オンライン専用ファイルなど)は、OneDriveのウェブ版のゴミ箱から戻す、と書かれています。
  • Googleドライブ:ゴミ箱に入れたファイルは、30日後に完全に削除されます。ゴミ箱を空にすると、そのファイルは戻せません。
  • Googleのデータをダウンロードする機能(Googleデータエクスポート):ダウンロードしても、Google側のデータは消えません。作った書庫(アーカイブ)は約7日で期限切れになり、ダウンロードは5回までです。期間を指定した書き出しはできず、GmailとDriveは全体の書き出しになります。

AIツール側の「元に戻す」機能

AnthropicのClaude Code(プログラムを書く作業を任せるツール)には、チェックポイントという機能があります。ファイルの編集を自動で記録し、/rewindで前の状態に戻せます。公式の文書には、次の制限が書かれています。

  • Bashコマンド(文字で出す命令)によるファイルの変更は、記録されません。rm(削除)やmv(移動)、cp(コピー)は、巻き戻せません。
  • 利用者が外で行った変更や、ほかのセッションの編集は、基本的に記録されません。
  • 記録は約30日後に整理されます。
  • 同じ文書が、「バージョン管理(Gitなど)の代わりではない」と明記しています。

今日からできる対策

どれも、上で読んだ公式の説明を土台にした、僕らの整理です。

  1. 任せる前に、フォルダのコピーを別の場所に作る。外付けドライブにそのまま複製するだけでも、AIが触れない場所にコピーができます。
  2. Macなら、Time Machineをオンにして、最初のバックアップが終わったのを確かめてから任せる。
  3. Windowsなら、ファイル履歴か、Windows バックアップ(OneDrive)をオンにする。無料の容量が5GBなので、写真が多いなら足りるか見る。
  4. iPhoneとAndroidは、バックアップをオンにして、「最後にバックアップした日時」を見る。
  5. AIに渡すフォルダは、全部ではなく、作業に必要な分だけにする。AIツールは、渡したフォルダの範囲でしかファイルに触れない、とCoworkのヘルプにあります。
  6. 作業のあと、ゴミ箱の期限(30日)が過ぎる前に、消えたものがないか確かめる。

見立てです。バックアップは「取った」だけでは安心できず、「戻せた」で初めて役に立つと思います。公式ヘルプには、復元の手順が書かれているので、大事なファイルを1つ選び、実際に別の場所へ復元してみるのがよさそうです。取るだけで一度も戻したことがないバックアップは、本番で使えるか分からないからです。

見立てです。「置き場所を3つ」と考えると整理しやすいです。①今使っているパソコンやスマホ、②自宅の外付けドライブ(Time MachineやWindowsのファイル履歴)、③クラウド(iCloud、OneDrive、Googleなど)。ただし、③は同期の仕組みだと、①で消した結果が反映されることがあります。③を使うときは、バックアップなのか同期なのかを、公式ヘルプで確かめてください。

気をつけること

出典

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