3行でいうと

  • デジタル庁の「源内」は、2026年5月から2027年3月まで、全府省の約18万人で大規模な試行を行う予定。
  • 国産AIモデルの公募は、15件の応募から7件が選ばれ、5つが契約に進んだ。
  • 市町村の生成AI導入は、2024年12月末で514(29.9%)。都道府県は41/47。
  • 「出力は人が確認する」「責任者を置く」など、使い方の決まりも国から示されている。

この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式・一次資料を読んでまとめたものです。制度や補助金の説明は、資料の紹介であり、自治体や事業者の個別の判断を代わりに行うものではありません。個別の手続きは、担当の窓口や専門家に相談してください。僕らの考えは「見立てです。」と分けて書きました。

先に結論

何が起きているか(日付つき)
日付 できごと
2025年5月 源内が、デジタル庁の職員向けに作られ始める
2025年10月2日 デジタル庁が、OpenAIとの協力を発表
2025年12月2日 国内LLM(大規模言語モデル)の公募が始まる(〜2026年1月31日)。同日、PLaMo翻訳の採用も決定
2025年12月19日 人工知能戦略本部の会合で、首相が職員向けのAI活用を指示
2025年12月23日 AI基本計画。「まず政府から使う」という方針(「隗より始めよ」)が示された
2026年1月30日 総務省が自治体DX推進計画の第5.1版を公表
2026年3月6日 公募の結果を公表。15件の応募から7件を選定。2件は辞退
2026年4月24日 源内のソースコードの一部が、OSS(誰でも使える形のソフト)として公開された
2026年5月28日 全府省の大規模な試行が始まる。5月29日の時点で、約10万人が使える状態
2026年7月10日 国産モデル3つが、さくらのクラウド上で動くようになった(政府の実利用として初)
2026年7月29日〜9月30日 熊本地震を受け、源内を自治体などに緊急で提供(一部の自治体は年度末まで延長)
2026年10月20日 源内でAIエージェント利用環境の提供開始と、「源内基準」の公表(ガバメントAIのページの新着欄の見出しによる)

公式・官公庁の原典:何が書いてあるか

源内(デジタル庁)

デジタル庁の「ガバメントAI」のページ(2026年10月20日更新)によると、源内の使い道は次のような方向です。

2026年4月24日のOSS公開では、ウェブ画面、資料を調べて答えさせる仕組み(RAG)のひな形、自分でAIを動かすひな形、法令の条文を扱うアプリなどが、GitHubで公開されました。保守(直し続けること)は保証されないと、デジタル庁は書いています。

国産のAIモデルを試す

2025年12月2日から2026年1月31日までの公募で、15件の応募があり、2026年3月6日に次の7件が選ばれました。

事業者 モデル
NTTデータ tsuzumi 2
カスタマークラウド CC Gov-LLM
KDDI・ELYZA Llama-3.1-ELYZA-JP-70B
ソフトバンク Sarashina2 mini
NEC cotomi v3
富士通 Takane 32B
Preferred Networks(PFN) PLaMo 2.0 Prime

このうち2件が辞退し、契約に進んだのは5つです(デジタル庁の別紙で確かめました)。NTTデータ tsuzumi 2、ソフトバンク Sarashina3 mini、NEC cotomi v3、富士通 Takane 32B、PFN PLaMo 2.0 Prime。選ばれた時点と契約時点で、ソフトバンクのモデル名が違う点は、デジタル庁の資料の記載のままです。

評価は、2026年9月から11月にA/Bテスト(2つを見比べる試験)を行い、2027年1月に一部の結果、2027年4月から有償の調達という予定が示されています。令和9年度の公募は2026年11月ごろの予定で、予告が2026年5月29日に出ています。

2026年7月10日(ページ更新は8月21日)の発表では、NTTデータ tsuzumi 2、富士通 Takane 32B、PFN PLaMo 2.0 Prime の3つが、さくらのクラウド上で動いている、とあります。さくらのクラウドは、政府共通のクラウド基盤(ガバメントクラウド)で、唯一の国内事業者のクラウドです。デジタル庁はこれを、国産モデルの初めての実利用と説明しています。

熊本地震への緊急提供

2026年7月29日11時から、源内が自治体などに緊急で提供されました。提供された機能は、チャット、ウェブ検索の要約、法令調べ、日英翻訳(PLaMo翻訳)、ファイルの分析、音声の文字起こし、Excelの行ごとの処理、表の分析などです。提供は2026年9月30日に終わり、一部の自治体は年度末まで延ばしています。

自治体の現状(総務省)

総務省の資料にある、生成AIの導入状況(2024年12月末時点)です。

区分 導入済み 実証中 検討中 予定なし
都道府県(47) 41(87.2%) 6 資料の表では確かめていない 同左
指定都市(20) 18(90.0%) 2 同左 同左
市町村 514(29.9%) 212(12.3%) 153(8.9%) 842(48.9%)

総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」(2025年12月)には、AIの出力は人が確認すること、責任者(CAIO、最高AI責任者に相当する役)を置くこと、入力した内容を学習に使わせない設定(オプトアウト)、利用ガイドラインのひな形などが書かれています。当別町、山陽小野田市、神戸市、千葉県などの事例も載っています。

自治体DX推進計画の第5.1版(2026年1月30日)には、AI法第5条(自治体にも取り組む責務がある)に触れる記述、CAIOとCAIO補佐官の設置、AIやRPA(定型作業の自動化)にかかる費用への特別交付税の措置(措置率0.3、令和11年度まで。標準化の対象の20業務は除く)が書かれています。AIの導入率(従来型AIを含む)は、令和6年度で、都道府県と指定都市が100%、その他の市区町村が57.9%です。2026年7月には、参考事例集も改訂されています。

くらしや仕事への影響

見立てです。国の職員が源内を日常的に使う段階に入ると、国会対応や法令調べといった下書きの作業が先に変わっていきそうです。ただ、その成果がくらしに届くまでには時間がかかると思います。2027年度の本格利用は「予定」で、各府省の予算次第だからです。

見立てです。自治体では、都道府県や大きな都市と、市町村の間の差が気になります。2024年末の数字は、市町村が約3割で、予定なしが約半数でした。ただ、この数字は2年近く前のものです。熊本地震での緊急提供のように、国が仕組みを用意して小さな自治体でも使える形が広がれば、差は縮まるかもしれません。これは僕らの推測です。

見立てです。住民として確かめられるのは、お住まいの自治体が、AIを使う場合に「人が確認する」「責任者を置く」といった決まりを公表しているかどうかです。総務省がひな形を出しているので、公表の有無は見やすい手がかりになりそうです。

気をつけること

出典

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