3行でいうと

  • 「ワット・ビット連携」は、データセンターを電気と通信の両方から考える方針で、取りまとめ1.0は2025年6月12日に公表。
  • 総務省は、東京圏と大阪圏の外に作るデータセンターに、補助率2分の1の補助金を用意している。
  • 全国の最大需要は2035年度に1億6,460万キロワット(年0.4%増)。データセンター等の積み増しは762万キロワット。
  • 事業者の計画は「発表」であり、実現したかどうかは別。

この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式・一次資料を読んでまとめたものです。事業者の計画や性能は「発表」であり、実際に実現したかどうかは別です。補助金や制度の説明は資料の紹介であり、個別の判断は担当窓口や専門家に相談してください。僕らの考えは「見立てです。」と分けて書きました。

先に結論

何が起きているか(日付つき)

日付 できごと
2025年3月 総務省・経済産業省の「ワット・ビット連携官民懇談会」が始まる
2025年6月12日 同懇談会が取りまとめ1.0を公表
2025年9月25日 総務省が、データセンター地方分散事業の間接補助の対象6件を採択
2025年12月22日 ソフトバンクが、GB200 NVL72を使うAI計算基盤の稼働開始を発表(2025年12月25日付のSB Intuitionsの発表)
2026年3月30日 OCCTOが、2026年度の供給計画の取りまとめを公表
2026年7月15日 総務省が、令和8年度のワット・ビット連携関連の実証で、7件の応募から7件を採択
2026年7月28日 さくらインターネットが、石狩データセンターコンソーシアムに参加したと発表
2026年7月31日〜8月21日 総務省が、令和8年度の補助の執行団体を公募
2026年10月15日 総務省が、執行団体(補助事業者)に一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会を決定したと公表
公式・官公庁の原典:何が書いてあるか

ワット・ビット連携の取りまとめ1.0

「ワット」は電気、「ビット」は通信やデータのことです。データセンターは電気をたくさん使い、大量の通信も必要とします。そのため、電力の整備と通信の整備を、別々ではなく一緒に考えよう、という考え方です。取りまとめ1.0の柱は3つあります。

  1. 足元のデータセンター需要への対応。電力系統(送電網)に余裕がある場所を示す地図(ウェルカムゾーンマップ)や、既存の送電網の空きの活用、APN(光の通信網の仕組み)の活用。
  2. ギガワット級(1ギガワットは100万キロワット)の電気を使う大きな集積拠点を、いくつか作ること。
  3. 地方分散と高度化。処理を、電気に余裕のある地域に移すこと。

ほかに、地域との共生、環境への配慮、国際海底ケーブルとインターネットの接続点の整備も項目に入っています。取りまとめには、送電網に過剰な投資をすると、電気を使う側の負担が増えるおそれがある、という懸念も書かれていました。

環境面の資料には、省エネ法の枠組みでのPUE(電力の使い道のうち、IT機器以外にどれだけ使うかを表す数字。小さいほど効率がよい)の新しい制度案が出ています。事業者の平均で2030年度に1.4以下、2029年度から新設するものは、稼働の2年後に1.3以下、という案です。ただし、これは「案」の表示でした。最終的に決まったかどうかは、僕らは確かめられていません。

総務省の支援と実証

総務省の「データセンター等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業」は、東京圏と大阪圏以外を対象にしています。データセンターの補助率は2分の1で、基金を持つ法人は一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会です。

2025年9月25日に採択された6件は次の通りです。

事業者 場所
ユーラスエナジーホールディングス、ジーデップ・アドバンス、ネクスティエレクトロニクス 稚内
ハイレゾ 男鹿
NTTグローバルデータセンター TCG-1 栃木
オプテージ 美浜
ELEMENTS CLOUD四国 高松
デジタルダイナミック 薩摩川内

令和8年度のワット・ビット連携関連の実証は、2026年5月22日から6月12日まで公募され、7月15日に7件の応募から7件が採択されました。さらに、2026年7月31日から8月21日まで、令和8年度の執行団体の公募がありました。結果は「令和8年9月上旬予定」とされていましたが、2026年10月15日付の総務省の報道資料で、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会を執行団体(補助事業者)とすることが決まったと公表されています。実際に事業を行う間接補助事業者の公募は、協会の準備が整い次第行われる予定とされています。

電気の見通し(OCCTO)

OCCTOは、電力の需給を見る機関です。2026年度の供給計画(2026年3月30日取りまとめ)では、次の数字が確かめられました。

項目 数字
全国の最大需要(2025年度) 1億5,882万キロワット
全国の最大需要(2035年度) 1億6,460万キロワット(年0.4%増)
データセンターと半導体工場の新増設の積み増し(7エリア) 2026年度 +83万、2030年度 +420万、2035年度 +762万キロワット

積み増しの数字は、評議員会の資料で確かめました。取りまとめ本体の文書には、データセンターの稼働時期が後ろにずれると、需要が読みにくくなる、という説明があります。

国の産業政策(経済産業省)

経済産業省の「AI・半導体産業基盤強化フレーム」では、2030年度までの7年間に10兆円を超える公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民の投資を目指し、約160兆円の経済波及効果を見込む、と書かれています。数字は、同省のページと、令和6年11月22日の総合経済対策の文書の両方で確かめました。

事業者の発表

以下は、各社の公式な発表の内容です。

  • ソフトバンク(SB Intuitionsの発表):2025年12月22日に、GB200 NVL72を使うAI計算基盤の稼働を開始。1,224基のBlackwell世代のGPUを使う。今後4,000基超、10.6エクサフロップス(1エクサは100京。1秒に1,000京回を超える計算)への拡大を計画。液冷(水などで冷やす方式)を使う。2025年7月22日には、4,000基超のGPUのDGX B200 SuperPODの完成も発表している。
  • さくらインターネット:2026年7月28日に石狩データセンターコンソーシアム(石狩DCC)への参加を発表。2011年から石狩データセンターを運営し、大規模なGPU基盤を構築中と発表している。
  • さくらのクラウドは、デジタル庁が、ガバメントクラウドの中の唯一の国内事業者のクラウドと説明している。

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くらしや仕事への影響

見立てです。データセンターの話は、遠い話に見えますが、AIのサービスが「国内の施設で動く」ことと関わります。デジタル庁が国産モデルをさくらのクラウドで動かし始めたように、国内で計算できる場所があることは、役所や企業が機密性の高い情報を扱うときの選択肢になりそうです。

見立てです。電気の見通しは、数字を読む順番が大事だと思います。全国の最大需要は年0.4%増と小さい一方で、データセンターと半導体工場の積み増しは、2035年で762万キロワットです。全体の伸びは小さくても、特定の地域に集まる可能性があります。ここは、地域ごとの資料を読まないと分かりません。取りまとめ1.0が、地方分散と送電網の空き活用を挙げているのは、その偏りへの対応だと考えられます。これは僕らの読み方です。

見立てです。個人にとっての直接の影響は、電気料金への波及を心配する人もいるかもしれません。取りまとめ1.0には、過剰な送電投資が負担増につながるおそれがある、という懸念は書かれています。ただ、実際の電気料金にどれだけ響くかは、この記事では確かめていません。

気をつけること

  • 事業者の計画(4,000基超のGPU、10.6エクサフロップスなど)は「発表」であり、実現の確認ではありません。
  • PUEの新しい制度は「案」までしか確認できていません。最終的な数値や適用の時期は、経済産業省と資源エネルギー庁の最新の資料で確かめてください。
  • 令和8年度の執行団体は、2026年10月15日付の総務省の報道資料で決定が公表されています。間接補助事業者の公募の詳細は読めていません。
  • OCCTOの積み増しの数字は、個別に計上されたデータセンターと半導体工場の分だけです。全体の需要の動きは、取りまとめ本体を見てください。
  • 補助の対象や率は、年度で変わります。申請を考える事業者は、総務省と基金法人の最新の公募要領を直接読んでください。
  • 経済産業省の10兆円は、公的支援の枠組みの数字で、実際に使われた額ではありません。
  • 官公庁と各社の公式ページ以外は、事実の根拠にしていません。

出典

更新履歴

  • 2026年10月25日 書き方を直しました。

    • 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
  • 2026年10月23日 公式の資料を読み直して、次の点を直しました。

    • 前:令和8年度の執行団体の公募結果は、見つけられなかった → いま:2026年10月15日付の総務省の報道資料で、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会に決まったと公表されている
    • 前:(記載なし) → いま:実際に事業を行う間接補助事業者の公募は、協会の準備が整い次第行われる予定、と追加
    • 前:(記載なし) → いま:年表に2026年10月15日の行と、出典に執行団体の決定の報道資料を追加
    • 前:執行団体の公募結果は見つけられていない(注意書き) → いま:決定は公表済み。間接補助事業者の公募の詳細は読めていない
  • 一部の出典は読めなかったため、その部分は前のままです。