3行でいうと
- TrendForceの見通しでは、DRAMの契約価格は2026年1〜3月期に約9割、4〜6月期に約6割上がる予想だった(報道・調査)。
- 7〜9月期と10〜12月期は、上げ幅が1〜2割に落ち着く見通し(報道・調査)。
- 理由は、AIのデータセンター向けの需要が生産能力を先に押さえていること。SK hynixとMicronの売上は大きく伸びた。
- Raspberry Piは2026年10月1日に値上げ。Frameworkはメモリを1GBあたり10ドルから13〜18ドルに改定した。
先に結論です。
- 調査会社TrendForceの見通しでは、通常のDRAMの契約価格は、2026年1〜3月期に前の四半期から約9割、4〜6月期にも約6割上がると予想されていました。7〜9月期と10〜12月期の見通しは、1〜2割の上げ幅に落ち着いています(報道・調査)。
- 理由は、AIのデータセンター向けの需要が、メモリの生産能力を先に押さえていることです。SK hynixとMicronの決算では、売上が前年の数倍になりました(公式の発表)。
- 値札にも出ています。Raspberry Piは2026年10月1日に値上げを発表し、ノートパソコンメーカーのFrameworkはメモリの価格を、1GBあたり10ドルから13〜18ドルに改定しました(公式の告知)。
- 新しい工場が動き出す時期は、SK hynixの公式発表で、龍仁のY1が2027年2月、清州のM17が2028年12月、龍仁のY2が2029年6月です(いずれも最初のクリーンルームの目標)。TrendForceは、DRAMの不足は2027年も続くと見ています(報道・調査)。
この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書を読んでまとめたものです。TrendForceの数字は調査会社の予想で、メーカーの公式の数字ではないため、「報道・調査」と書いて分けています。僕らの考えは「見立てです。」で始めます。
何が起きているのか
メモリには大きく2種類あります。DRAMは、パソコンやスマホが作業中に使う「机の広さ」にあたる部品です。NANDフラッシュは、SSDやスマホの保存領域に使う、電源を切っても残る部品です。HBMは、AI用の計算チップのすぐ横に置く、特に速いDRAMの一種です。
AIのデータセンターが、このHBMと、サーバー用のDRAMと、大容量のSSDを大量に買っています。メモリ会社は、利益の大きいこちらに工場の能力を回しています。TrendForceによると、HBMは通常のDRAMより多くのウエハー(チップの元になる円盤)を使うため、HBMを増やすと、パソコンやスマホ向けに回る分が減ります(報道・調査)。
報道・調査:契約価格の見通し(TrendForce)
「契約価格」は、メモリ会社がパソコンやサーバーの会社に大口で売る価格です。「四半期比」は、直前の3か月と比べた上がり幅です。下の数字は、それぞれの発表の時点での予想です。
| 期間 | 通常のDRAM(四半期比) | NAND(四半期比) | 発表日 |
|---|---|---|---|
| 2026年1〜3月 | 当初の予想は55〜60%。上方修正で90〜95% | 当初33〜38%。上方修正で55〜60% | 1月5日、2月2日 |
| 2026年4〜6月 | 58〜63% | 70〜75% | 3月31日 |
| 2026年7〜9月 | 13〜18% | 10〜15% | 7月3日 |
| 2026年10〜12月 | 10〜15% | 15〜20% | 9月30日 |
TrendForceは、7〜9月期から上げ幅が小さくなった理由を、価格がすでに過去最高で、パソコンやスマホの買い手が負担できる限界に近づいたため、と説明しています。一方で、データセンター向けの企業用SSDだけは、10〜12月期に上げ幅が前の期より大きくなると見ています。
見立てです。この4つの中央値を単純に掛けると、約4倍になる計算です(1.925、1.605、1.155、1.125を掛ける)。ただし、予想の中央を使った僕らの計算で、製品ごとに違い、実際の価格ではありません。契約価格が店の値札に同じ割合で出るわけでもありません。
TrendForceは、2026年4〜6月のDRAM業界全体の売上を約1,547億ドル(前の期から59.5%増)としています。シェアは、Samsungが39.4%、SK hynixが24.9%、Micronが23.3%です。
公式の事実:メモリ会社の発表
| 会社 | 発表日 | 内容 |
|---|---|---|
| SK hynix | 2026年7月29日 | 4〜6月期の売上は79.3187兆ウォン、営業利益は60.5426兆ウォン(営業利益率76%)。前年の同じ期と比べて売上は257%増、営業利益は557%増。約10の顧客と長期契約を結んだ、とあります |
| Micron | 2026年9月30日 | 決算期(9月3日まで)の売上は542.3億ドル。前の期は414.6億ドル、前年同期は113.2億ドル。次の四半期の売上の見通しは615億ドル(上下15億ドル) |
| Micron | 2025年12月3日 | Crucialの消費者向け事業を終了すると発表。消費者向けの出荷はMicronの会計年度の第2四半期末(2026年2月)まで、保証とサポートは続ける。理由として、AI向けのデータセンター需要でメモリの需要が急に増え、大口の戦略顧客への供給と支援を厚くするため、とある |
SK hynixは2026年8月7日に、韓国の龍仁(ヨンイン)と清州(チョンジュ)に、合わせて約54兆ウォンで新しい工場を建てる、と発表しました。清州のM17は2028年12月、龍仁のY2は2029年6月に、最初のクリーンルームを開く予定です。この発表では、メモリの需要を「一時的なブームではなく、構造的な変化」と表現しています。
Micronの数字は、メモリだけでなく会社全体の売上です。Crucialの終了については、Micronのプレスリリースに理由が書かれています。crucial.comのページは、10月22日の取得では「Request Rejected」の画面になり、読み直せませんでした。
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公式の事実:値札に出た例
| 会社 | 日付 | 内容 |
|---|---|---|
| Raspberry Pi | 2026年10月1日 | 2GBのRaspberry Pi 4を67.50ドル、2GBのRaspberry Pi 5を77.50ドルに値上げ(それぞれ12.50ドル増)。「メモリの値段は過去2年で急に上がり、今も上がっている」と説明。4月にも値上げし、高容量版が上がった。1GB版は据え置き。16GB版のRaspberry Pi 5は、製品ページに305ドルと表示 |
| Framework | 2025年12月24日 | パソコン用メモリDDR5を、仕入れ値に近い1GBあたり10ドルに設定 |
| Framework | 2026年2月11日 | DDR5は1GBあたり12〜16ドルに。デスクトップ機の本体も6〜16%値上げ |
| Framework | 2026年3月9日 | DDR5は1GBあたり13〜18ドルに |
| Framework | 2026年9月29日 | 薄型ノート用のメモリ(LPCAMM2)は、安く仕入れられた分を予約注文に適用して値下げ。メモリ入りの在庫機の一部は、安い在庫がなくなって値上げ |
Frameworkは、仕入れた値段をそのまま価格に反映し、仕入れ値が下がったら価格も下げる方針だと書いています。Raspberry Piも、メモリの値段が落ち着いたら値上げを元に戻したい、と書いています。どちらも、値下がりが保証されているわけではなく、会社の方針の表明です。
2026年7月22日の更新では、Frameworkは48GBのメモリを値下げし、16GBのメモリは値上げしました。容量によって、動きが分かれることがあります。
報道・調査:パソコンやスマホへの影響(TrendForce)
- 2025年12月11日:スマホとノートパソコンの会社が、値上げと仕様の引き下げに動く。低価格のスマホの基本モデルは、2026年に4GBへ戻る見通し。
- 2026年3月10日:定価900ドルの標準的なノートパソコンは、メモリの値上がりだけで30%以上、CPUの値上がりも合わせると約40%上がりうる、という試算。メモリとSSDが部品代に占める割合は、通常の約15%から、30%を超える見込み。
- 2026年9月30日:パソコンの会社は、主力モデルのSSDの容量を減らして、部品代を抑えている。
これは調査会社の試算で、実際の店頭価格ではありません。
これからの見通し
- 報道・調査:TrendForceは、2027年もDRAMの供給は足りない状態が続き、NANDは2027年の後半から余裕が出る、と2026年7月30日に発表しています。DRAMの新しい生産能力が本格的に出てくるのは2028年、とも書いています(NANDは、新しい生産能力が2027年のうちから効いてくる、という書き方です)。
- 報道・調査:HBMの2027年の平均価格は、前年から121%上がる予想です(2026年9月29日)。
- 公式の事実:SK hynixの新工場は、龍仁Y1が2027年2月、清州M17が2028年12月、龍仁Y2が2029年6月に、最初のクリーンルームを開く予定です。
AIを使う人にとっては
見立てです。AIを自分のパソコンで動かす場合、いちばん効くのはメモリの量です(目安は、当サイトの「ローカルLLMの全体の地図」を見てください)。そのメモリが高いのが今の状況です。次のように考えるのが、無理がないと思います。
- 今のパソコンで足りるなら、急いで買い替えない。
- 買うなら、必要な最小限のメモリ容量から決める。後から足せないモデル(メモリが基板に付いたパソコンやMacなど)は、最初の選択が大事です。
- メモリを後から足せる機種なら、必要になったときに足す選択も残ります。ただし、値段が下がる保証はありません。
- 外のAIサービスを使えば、自分のパソコンのメモリは要りません。月額料金は、当サイトの「チャットAIの有料プランは月20ドル前後が中心」を見てください。
気をつけること
- TrendForceの数字は、調査会社の見通しです。メーカーの公式の数字ではなく、後から修正されています(1〜3月期の予想は1月の55〜60%から2月に90〜95%へ)。
- 「約4倍」は、僕らが予想の中央を掛けた計算です。実際の契約価格、店頭の価格ではありません。
- 通貨はドルです。SK hynixはウォンです。税の扱いは、各ページに書かれていない限り、確認できていません。
- 現物(スポット)価格や、店の値札は、この記事では調べていません。日本の店の値段は確認できていません。
- Raspberry Piの値上げ前の価格は、公式の文書に書かれていません。上の値上げ幅から逆算できる値ですが、記事では金額を書いていません。
- Micronの売上はメモリだけの数字ではありません。
- 値段、見通し、工場の予定は変わります。この記事は2026年10月22日に読み直した内容です。ただしcrucial.comのページだけは10月22日に読めず、2026年10月8日の確認のままです。
- 買い時の判断や投資の助言ではありません。
出典
- AI Server Demand Sustains Memory Contract Price Increases in 4Q26(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- Memory Price Outlook for 1Q26 Sharply Upgraded(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- Memory Makers Prioritize Server Applications, Driving Across-the-Board Price Increases in 1Q26(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- AI Server Demand to Drive Memory Contract Price Increases in 2Q26(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- AI Server Demand Continues to Support Memory Prices in 3Q26(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- DRAM Industry Revenue Rises 59.5% QoQ in 2Q26(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- Diverging Memory Market Outlook in 2027(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- HBM Supply Constraints Persist(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- Rising Memory and CPU Prices Could Push Mainstream Notebook Prices Up by Nearly 40%(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- Memory Price Surge to Persist in 1Q26(TrendForce、報道・調査、2026年10月22日確認)
- SK hynix Announces 2Q26 Financial Results(SK hynix、2026年10月22日確認)
- SK hynix Invests 54 Trillion Won in Yongin Y2 and Cheongju M17(SK hynix、2026年10月22日確認)
- Micron Technology, Inc. Reports Record Fiscal Fourth Quarter and Full Year 2026 Results(Micron、2026年10月22日確認)
- Crucial(Micron、2026年10月8日確認、10月22日は取得できず)
- Price increases for 2GB Raspberry Pi 4 and Raspberry Pi 5(Raspberry Pi、2026年10月22日確認)
- Raspberry Pi 5(Raspberry Pi、2026年10月22日確認)
- Updates on memory pricing and navigating the volatile memory market(Framework、2026年10月22日確認)
- Micron Announces Exit from Crucial Consumer Business(Micron、2025年12月3日付、2026年10月22日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
