3行でいうと

  • 日本語は、KokoroとQwen3-TTS、Chatterboxの公式カードに対応が書かれています。
  • Kokoro(8200万パラメータ)とQwen3-TTS、ChatterboxはMacで動く道具(mlx-audio)に載っています。
  • Voxtral TTSとF5-TTSは非営利のみのライセンス、XTTS-v2も非営利限定です。
  • Piperの現行コードはGPLv3で、声のデータは声ごとにライセンスの確認が要ります。

この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書やモデルカードを読んでまとめたものです。音質や速さの感想は書けないので、書いていません。

先に結論

TTS(Text-To-Speech、読み上げ)は、文字を渡すと、声の音声ファイルを作るAIです。手元で動かすと、文章を外のサービスに送らずに済み、使うたびの料金も要りません。

選ぶときに、順番に確かめることは3つです。

  1. 日本語に対応しているか:カードに言語が書かれているか。
  2. ライセンスで、使いたい目的に使えるか:「非営利のみ」の許諾は、仕事やお金の入る使い方に使えない可能性があります。
  3. 自分のパソコンで動く道具があるか:Apple siliconのMacなら、MLXという仕組みで動く「mlx-audio」が、Kokoro、Qwen3-TTS、Chatterboxを扱えると書いています。

見立てです。まず試すなら、Kokoro(ファイル約0.33GB)が軽く、ライセンスもApache 2.0で分かりやすいと思います。ただし日本語の声は5つで、公式の声の一覧の品質評価は高くないので、期待は控えめにしたほうがよいです。日本語の品質を重視するなら、Qwen3-TTSのような、日本語に正式対応と書かれたものも候補です。

前提:言葉の整理

主な公開モデルと、日本語・ライセンス

モデル別の整理表(言語、ライセンス、ファイルの大きさ)

各モデルの公式カードを読んだ内容です。ファイルの大きさは、Hugging Faceのファイル一覧の値です(GBは10の9乗バイト)。

モデル 作った所 日本語 ライセンス(カードの表記) 主なファイルの大きさ
Kokoro-82M hexgrad あり(女性4、男性1の声) Apache 2.0 0.327GB
Qwen3-TTS(0.6B / 1.7B) Qwen あり(10言語の1つ。日本語の声あり) Apache 2.0 0.6Bが1.81GB、1.7Bが3.83GB
Chatterbox(0.5B) Resemble AI あり(23言語の1つ) MIT s3genが約1.06GB、t3が約2.14GB
VibeVoice-1.5B Microsoft なし(英語と中国語のみ) MIT 未確認
Voxtral 4B TTS 2603 Mistral AI なし(9言語、日本語は含まず) CC BY-NC 4.0 未確認
F5-TTS SWivid 未確認 CC-BY-NC-4.0(Hugging Faceの表記) 未確認
XTTS-v2 Coqui あり(17言語の1つ) Coqui Public Model License(非営利限定) 未確認
Piper OHF-Voice(旧rhasspy) 声の一覧に日本語なし コードはGPLv3(現行)、声は個別 声ごとに別

「未確認」は、この記事は、その項目を確かめていないという意味です。

MLX版(Apple silicon向け):mlx-audioのREADMEによると、Kokoro、Qwen3-TTS、Chatterbox(v2とv3)が対応モデルに並び、量子化のビット幅は変換用のスクリプトで選べると書かれています。Qwen3-TTSの8ビット版(0.6B CustomVoice)は、本体のmodel.safetensorsが1.29GBです(リポジトリ全体は1.97GB)。これらは第三者(mlx-community)が変換したもので、元のライセンスに従います。

Kokoro-82M

hexgradが公開している軽量のモデルです。カードによると、重み(モデルの中身)はApache 2.0で、v1.0は2025年1月27日の公開です。対応は8言語・54の声です。日本語の声は、声の一覧(VOICES.md)によると女性4、男性1です。

ただし、声ごとの品質評価も載っています。日本語の声はC+、C、C-の評価で、日本語の学習データは「H hours」(1時間以上10時間未満)と、カードの凡例に書かれた短い量です。同じ一覧は、非英語の対応は、文字から発音への変換の弱さや学習データの不足で、乏しいか、無いことがあると注意しています。

また、同じ一覧には、1回に読ませる長さの得意な範囲(約500トークンまでのうち100〜200トークン程度)があり、短すぎると弱く、400トークン超だと急ぎ足になる、と書かれています。長い文章は分けて渡す、という使い方が前提です。

カードには、学習に使った音声が「著作権のない、または許諾の緩い音声」と書かれています。大手の閉じたTTSが作った合成音声を含む、という記述もあります。

Qwen3-TTS

Alibabaのチームが2026年1月に公開した、0.6Bと1.7Bのシリーズです。日本語を含む10言語(中国語、英語、日本語、韓国語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語)に対応します。ライセンスはApache 2.0です。

種類は3つです。

READMEは、エンドツーエンドの合成の遅延が最小で97msと書いています(ストリーミング生成の説明の中)。測定の条件は、読んだ範囲では見つかりませんでした。公式READMEの導入手順は、FlashAttention 2(NVIDIA GPU向けの高速化部品)を勧める内容で、Macでの動作の説明は見つかっていません。Macでは、mlx-audioのMLX版が選択肢になります。

Chatterbox

Resemble AIの0.5Bのモデルで、ライセンスはMITです。カードは、多言語版V3が23言語に対応し、その中に日本語があると書いています。声の「強さ」を調整する機能(exaggeration)と、短い音声からの声の複製があります。

特徴的なのが、生成した音声すべてに、人の耳には聞こえない電子的な印(PerThウォーターマーク)が入る点です。AIが作った音声かどうかを後から確かめるための仕組みだと、カードは説明しています。

非営利限定のもの

Piper

READMEが「速く、ローカルで動く」と説明する読み上げ道具で、Home Assistantなどに使われていると紹介されています。旧リポジトリ(rhasspy/piper)はMIT Licenseでしたが、READMEに「開発は OHF-Voice/piper1-gpl に移った」とあり、2025年10月6日に保管用(読み取り専用)になっています。新しいほうのリポジトリには、GPLv3の全文(COPYING)があります。GPLは、改変して配るときに、同じ条件でソースを公開する義務が出る許諾です。法律の解釈ではなく、条文があるという紹介です。

また、声のデータはそれぞれ別で、公式の声の一覧は「各声のMODEL_CARDに重要なライセンス情報がある。Piperは個人利用と研究向けで、制限の厳しい声もある」と案内しています。声の一覧の言語に、日本語は載っていませんでした。

手元で動かす道具

OllamaやLM Studioが読み上げに対応しているかは、僕らが読んだ公式文書の範囲では確認できていません。TTSは、文章を作るAIとは、別の道具で動かすものと考えておくのが安全です(見立てです)。

選び方・判断の基準

見立てです。

  1. 仕事や公開に使うなら、先にライセンス:Apache 2.0かMITのものから選ぶ。CC BY-NC、CPMLは、収益につながる使い方に使えるか、条文を読む。
  2. 日本語が必要なら、日本語をうたうものだけ:カードに日本語がないものを、日本語で使うのは避ける。VibeVoiceのカードは、対応外の言語は「聞き取れない、または不快な出力になりうる」と書いている。
  3. 声の複製をするなら、許可のある声だけ:他人の声を無断で複製して使うことの扱いは、国や状況で違います。この記事では判断しません。
  4. まずは軽いものから:Kokoroの0.33GBなら、ほとんどのパソコンで試せる。

よくあるつまずき

気をつけること

出典

更新履歴