3行でいうと

  • AIは会話の続きを「覚えている」のではなく、会話の履歴を毎回あらためて読んでいます。Anthropicの開発者向け文書は、各回のやり取りが積み上がっていくと説明し、Googleのヘルプも、長い会話ほど使用量がかかる理由を「履歴を読み直すから」としています。
  • 長ければ長いほど良い、とは限りません。Anthropicの文書は、文章量が増えると正確さや思い出す力が落ちる現象を「コンテキストロット」と呼び、「多ければ自動的に良いわけではない」と書いています。
  • Googleのヘルプは、話題が変わったら新しい会話にすると使用量の節約になる、と書いています。Claudeのヘルプは、長さの上限に達したら新しい会話を始める、と書いています。

この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、長い会話をして確かめたものではありません。たとえ話と「見立てです。」で始まる段落は僕らの考えで、公式に書かれていることとは分けています。

先に結論

たとえ話:毎回、議事録を頭から読み直す人

僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。

AIは、会話の途中で眠って、起きたら続きを思い出す人ではありません。「質問されるたびに、これまでの議事録を最初から最後まで読み直してから、次の発言をする人」です。議事録が10行なら一瞬ですが、1,000行になると、読むだけで時間も手間もかかります。しかも、ずっと前の行のことは、読み落としやすくなります。

議事録が長くなったとき、いちばん手軽なのは「新しい紙に、いま必要なことだけを書き写して、会議を始め直す」ことです。新しい会話を始めるとは、これに近いことです。

公式の文書が言っていること

毎回、全部を読み直している

Anthropicの開発者向け文書は、コンテキストウィンドウを、AIが返事を作るときに参照できる文章すべて(返事そのものも含む)と説明し、「作業記憶(working memory)」にたとえています。ユーザーの発言とAIの返事は、1回ごとにウィンドウの中に積み上がり、前の回のやり取りはそのまま残る、とあります。次の返事を作るときの入力は、それまでの履歴全部と、いまの発言です。

Googleのヘルプも、同じことを使用量の面から書いています。Geminiの使用量は、質問の複雑さ、使う機能、会話の長さで決まり、長い会話は、Geminiが履歴を読み直すぶん、使用量が多くなる、と説明しています。

長ければ良い、ではない

Anthropicの文書は、ウィンドウが大きいと長く複雑な依頼ができるが、「多ければ自動的に良いわけではない」と書いています。文章量が増えると正確さと思い出す力が下がる現象を、「コンテキストロット」(腐る、の意味)と呼び、何を入れるかを選ぶことは、空きの大きさと同じくらい大事、としています。

Googleのヘルプにも、上限をこえると、内容の中に散らばった細かいことを拾えない返事になることがある、とあります。

上限は、サービスと契約で違う

2026年10月16日に読んだ範囲です。数字は、変わりやすいものです。

サービス 読んだ範囲 上限(トークン。言葉の小さなかたまりを数える単位)
Gemini(Googleのヘルプ) AIの有料プランなし/AI Plus/AI Pro・AI Ultra 32k/128k/100万
Claude(Anthropicのヘルプ) 有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)の「Claudeとのチャット」 モデルで違い、新しいものは100万、ほかは50万か20万。表にないモデルは20万
ChatGPT(OpenAIの料金ページ) Free/Go・Plus/Pro 速い応答(Instant)で27K/54K/128K、考える応答(Reasoning)はGo・Plusが256K、Proが400K

読めなかった点もあります。Claudeの無料プランの上限は、読んだページに書かれていません。ChatGPTの料金ページの数字は、「ユーザーが入力に使える量は、システムの指示や記憶などもウィンドウを使うので、これより小さい」という注記つきの目安です。

「100万トークン」はどのくらいか

Googleのヘルプは、100万トークンを、文章でおよそ1,500ページ、プログラムで3万行ぶん、と説明しています。Claudeのヘルプは、20万トークンを、およそ500ページの文章としています。

Claudeのヘルプは、ウィンドウの一部が返事のために確保されるので、いちばん長い会話は、ウィンドウ全体よりやや短くなる、と書いています。

長い会話を、サービスはどう扱うか

Claude。 有料プランでコード実行の機能が入っていると、会話が上限に近づいたとき、古いやり取りを要約して会話を続ける「自動の文脈管理」が働きます。Claudeが「考えを整理している」と表示されるのが、その合図です。会話の全履歴は残り、要約したあとでも、Claudeは前の内容を参照できる、とヘルプにあります。ただし、この機能が働く長い会話は、使用量の枠を多く使う、とも書かれています。ごく例外的に、とても大きな最初のメッセージなどでは、上限に当たることがあるとされています。

Gemini。 ヘルプには、上限と使用量の説明はありますが、長い会話を自動で要約する機能は、読んだページには書かれていません。

ChatGPT。 読んだ料金ページとモデルのヘルプには、長い会話の扱いの説明は見つかりませんでした。

新しい会話を始める目安

公式に書かれているのは、次の2つです。

  1. 話題が変わるとき。 Googleのヘルプは、話題を変えるときに新しい会話を始めると、使用量を節約できる、と書いています。
  2. 長さの上限に当たったとき。 Claudeのヘルプは、長さの上限に達したら、新しい会話を始めるか、Projects(資料をまとめて置く機能)を使う、としています。また、使用量の上限が近いときも、長い会話は新しくするよう勧めています。

見立てです。ここからは僕らの考えで、公式の文書に直接書かれているものではありません。

逆に、同じ作業の途中で、前のやり取りが材料になっているなら、続けたほうが早い場合もあります。

新しい会話に、何を持ちこむか

新しい会話は、基本的に真っさらです。ただし、記憶の機能が入っていると、前の会話の内容が一部、引き継がれます。

公式の文書は、「会話の内容を要約して、新しい会話に貼る」やり方を勧めてはいません。Claudeのヘルプには、手作業の要約についての説明がありません。これは、僕らの案です。必要なことを自分の言葉で短くまとめて、新しい会話の最初に貼る、というやり方です。何を持ちこむかを自分で選べて、個人情報を持ちこまずに済みます。

今日からできること、やってはいけないこと

今日からできること

やってはいけないこと

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