3行でいうと
- フィッシング対策協議会は、公式サイトや公式アプリから入る、アプリは公式のストアから入れて、アプリ名と提供元を確認する、と案内しています。メールやSMSのリンクは開かない、とも書いています。
- 「公式のストアにあるから安全」とは言えません。Metaは2023年に、ChatGPTを名乗る偽の拡張機能が公式の配布場所にも載っていた、と報告しています。
- 迷ったら、入力する前に止まり、公式の窓口に確かめます。パスワードやカード番号は、すぐに入れません。
この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。たとえ話と、「見立てです。」で始まる段落は、僕らの考えです。
先に結論
- 入口を決めておく。 本物のAIサービスの住所は、そのサービスの公式ヘルプに書かれています。それを自分のブックマークに入れておけば、毎回「どれが本物か」を探さなくて済みます。
- アプリは、公式のストアから入れる。 そのうえで、アプリ名と提供元(出した会社や個人の名前)を確かめます。
- ストアに載っていても、安心しきらない。 ストアには偽物を禁じる規則がありますが、偽物の報告もあります。
- メール、SMS、SNSのリンクからは入らない。 入る前にパスワードやカード番号を入れない。急かす表示は疑う。
見立てです。偽物を「見分ける」のは、プロでも難しいことがあります。だから、見分ける力に頼るより、「最初から本物の入口しか使わない」と決めてしまうほうが、続けやすく、確実だと思います。
たとえ話:本物の店に行くには、自分の手帳の住所で
僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。
有名な店の名前を使った偽の店が、通りに何軒かあるとします。看板の見た目だけで本物を当てるのは、難しい。でも、自分の手帳に、本物の店の住所を書いておけば、毎回その住所に行けばよいだけです。
ブックマークは、その手帳です。人に聞かれた住所や、通りがかりの看板ではなく、公式の文書で確かめた住所を、自分の手帳に書いておきます。
なぜ偽物が出るのか:公式資料から分かること
Metaは、2023年5月3日に出したセキュリティの報告で、次のように書いています(2026年10月16日に確認した、古い報告です)。
- 2023年3月以降、ChatGPTなどの名前を使った、約10種類のマルウェア(悪さをするプログラム)を見つけた。
- ChatGPTに関係する便利な機能をうたった、悪意のあるブラウザの拡張機能が、公式の配布場所に載っていた。中には、本物のChatGPTの機能も動くものがあり、ストアや利用者の疑いをそらすためだと、Metaは見ている。
- 1,000を超える悪意のあるURLを、共有できないようにした。
- 見つかると、別の話題(GoogleのBardなど)に乗りかえる運営者もいた。流行の話題を追う、と書かれています。
これは3年以上前の報告で、いまの状況を示すものではありません。ただ、「AIの話題は、偽物の材料に使われる」「公式の配布場所にも載ることがある」の2点は、いまの備えにも関わると思います(見立てです)。
偽物を禁じる、ストアの規則
AppleのApp Store審査ガイドラインは、ほかのアプリやサービスになりすますことと、ほかの開発者のアイコン、ブランド、製品名を許可なく使うことを、禁じています(4.1)。GoogleのPlayストアの「なりすまし」のポリシーも、ほかの会社や開発者との関係を、実際とちがって思わせてはいけない、としています。たとえば、有名な暗号資産サイトのロゴをアプリのアイコンに使って、公式のサイトに見せかけることを、禁止の例に挙げています。
規則があることと、偽物が1つも載らないことは、別です。読んだ規則の文書は、偽物がどれだけ載っているのか、どうやって防いでいるのかは書いていません。
具体的にどうするか
1. 公式の入口を、自分のブックマークに
読んだ公式ヘルプに、入口として書かれていたものです(2026年10月16日に確認)。
- OpenAI:ChatGPTのサイトは chatgpt.com。パソコン用(Mac)アプリのダウンロードは chatgpt.com/download と書かれています。
- Google:Geminiのウェブ版は gemini.google.com。スマートフォンのアプリがあるとは書かれていますが、ストアの名前やリンクはそのページにありません。
- Anthropic:サポートのページに、ログインする場所として claude.ai が出てきます。ただし、公式のダウンロード場所を説明したページは、僕らは読めていません。
OpenAIとGoogleのヘルプには、偽物への注意書きは見つかりませんでした。「偽物に注意」と言われていないのは、偽物が無いからではありません。読んだページが、そのことを扱っていない、というだけです。
2. アプリは、ストアで「名前」と「提供元」を見る
フィッシング対策協議会は、アプリは公式のストアから入れ、アプリ名と提供元を確認する、と書いています。AIアプリの場合、見立てです。公式ヘルプのアプリの案内ページからストアに行くと、同じ名前の別のアプリを避けやすいと思います。ただし、各社の公式の提供元の名前は、読んだページに書かれておらず、確かめられていません。
3. 入る前に止まる
フィッシング対策協議会の「今すぐできる対策」では、「必須」とされている項目が、そのまま実行しやすいです。
- メールやSMSのリンクは開かず、公式サイトや公式アプリから入る。
- 個人情報は、すぐに入力しない。本当に必要な手続きか確かめ、不安なら公式の窓口に問い合わせる。
- 公式サイトは、検索結果またはブックマークから開く(読んだ要約にあった表現で、原文の言い回しは確認できていません)。
- パスワードを使い回さない。
「対応を急かす表示は疑う」ことと、「ブラウザの警告は出ないこともあるので、過信しない」ことも、推奨として書かれています。FTCも、急がせるのは詐欺の特徴で、まともな会社は考える時間をくれる、と書いています。
フィッシング対策協議会の「今すぐできる対策」(2026年10月16日に読んだページ)
「必須」「推奨」「参考」の区別は、ページのとおりです。
| 場面 | 必須 | 推奨・参考 |
|---|---|---|
| メール・SMS | リンクを開かず、公式サイトや公式アプリから入る。個人情報をすぐ入力しない | SMSと迷惑メールのフィルターを使う。セキュリティ対策アプリは公式ストアから入れ、名前と提供元を確認(参考) |
| Webサイト・アプリ | 公式サイトは検索結果またはブックマークから(要約の表現)。アプリは公式ストアから入れ、名前と提供元を確認 | 警告表示を疑う。ブラウザの安全機能は、警告が出ないこともあるので過信しない。アプリとOSを最新にする |
| アカウント | パスワードを使い回さない | 多要素認証やパスキーを設定する。安全なメールサービスを使う |
4. お金は、よく考えて払う
FTC(米国)は、詐欺でよく使われる支払い方法として、暗号資産、電信送金、決済アプリ、ギフトカード、小切手を受け取って送金する方法を挙げています。見立てです。AIの「有料プランが安い」といった話で、これらでの支払いを求められたら、まず疑うべきだと思います。ただしFTCの案内は米国のもので、日本の通報先などは、ここでは扱っていません。
5. 入力してしまったら
読んだ範囲に、「入力してしまったあとの手順」を詳しく書いたものはありませんでした。見立てです。同じパスワードを使っている他のサービスの分も含めて変える、公式の窓口に問い合わせる、が最初の動きだと思います。協議会の案内は、使い回しを避けることと、不安なら公式の窓口へ、としています。
誤解されやすい点
「公式ストアにあるアプリは、全部本物」 Metaの報告では、偽物が公式の配布場所にも載っていました。ストアの規則は偽物を禁じていますが、載らないことの保証ではありません。
「見た目がそっくりなら、偽物は見分けられない」 見た目では、確かに難しいことがあります。だから、見た目でなく、入口(住所と提供元)で確かめます。
「公式ヘルプに偽物への注意が無いから、心配ない」 読んだヘルプは、偽物を扱っていないだけです。心配が無い、という意味ではありません。
今日からできること、やってはいけないこと
今日からできること
- 使っているAIの公式サイトを、自分でブックマークする。
- アプリを入れ直すときは、ブックマークした公式ヘルプやサイトの案内からストアに行く。
- 「今すぐ」「アカウント停止」などの急かす表示は、いったん閉じて、公式サイトを自分で開き直す。
やってはいけないこと
- メールやSMSのリンクから、AIのサイトやアプリに入ってログインする。
- 公式かどうかを確かめずに、パスワードやカード番号を入れる。
- 見知らぬ拡張機能やアプリに、メールやファイルへのアクセスを許可する。
気をつけること
- 内容は、2026年10月16日に読んだ公式ページのものです。ストアの規則や各社の入口は変わります。OpenAIのヘルプにあるデスクトップアプリの記載は、年が書かれておらず、「7月9日時点」とだけありました。
- Metaの報告は2023年のもので、いまの偽物の数や手口は示していません。AIを名乗る偽アプリや偽サイトの最近の件数は、公的な資料で確かめられていません。
- 読んだページは、取り込んだ文章を要約して返す道具を通しています。原文のとおりの引用はせず、言い換えています。細かな言い回しは、原文で確かめていません。
- 「公式サイトは検索結果またはブックマークから」は、協議会のページの要約にある表現です。検索結果の広告や、まぎらわしい上位の表示については、読んだ資料に書かれていません。
- Appleのガイドラインは、長いページの前半を読みました。後半は読めていません。IPAの偽サイトのページは取得できませんでした。
- AnthropicとMicrosoftのCopilotの、公式のダウンロード場所は確かめられていません。
- フィッシング対策協議会のトップページには、2026年9月30日付で、国税庁をかたって不正アプリのインストールへ誘導するメールの緊急情報が出ていました(AIとは関係ありません)。偽アプリへ誘導する手口が、いまもあることの例として読みました。
- 被害にあった場合の通報先や相談先は、読んだ資料では確かめていません。
出典
- 今すぐできるフィッシング対策(フィッシング対策協議会、2026年10月16日確認)
- フィッシング対策協議会 トップページ(フィッシング対策協議会、2026年10月16日確認)
- Meta's Q1 2023 Security Reports(Meta、2023年5月3日公開、2026年10月16日確認)
- App Store Review Guidelines(Apple Developer、2026年10月16日確認)
- Impersonation policy(Google Play Console ヘルプ、2026年10月16日確認)
- Using ChatGPT apps(OpenAI Help Center、2026年10月16日確認)
- Gemini Apps ヘルプ(Geminiの入口の案内ページ、Google、2026年10月16日確認)
- How To Avoid a Scam(消費者向け情報、米連邦取引委員会 FTC、2026年10月16日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
