3行でいうと

  • 僕らが読んだ公式ページに、「AIスマホ」の決まった定義は見当たりませんでした。メーカーごとに、AI機能の名前も、範囲も違います。
  • 同じ「AI機能」でも、端末の中で動くものと、インターネット上のサーバー(クラウド)で動くものがあります。両方を使う機能もあります。
  • 使えるかどうかは、機種、OSの版、言語、地域、アカウント、空き容量などで決まります。回数の制限や、将来の有料化に触れるページもあります。

この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。機種の細かい比較は、別の記事に任せ、ここでは「広告の言葉を読むときの見方」に絞ります。「見立てです。」で始まる段落は僕らの考えです。

先に結論

公式のページを読んで言えることは、次の4つです。

  1. 「AIスマホ」の定義は、読んだ範囲では見つかりません。 公式ページが書いているのは、「Apple Intelligence」「Galaxy AI」のような、メーカーの機能の名前と、その一覧です。
  2. 「AI機能あり」は、3つに分けて読めます。 何ができるか(機能)、どこで動くか(端末内かクラウドか)、どんな条件で使えるか(機種・言語・地域・アカウントなど)です。
  3. 条件の欄に、大事なことが書かれています。 機種が限られること、日本語に対応するのが一部の機能だけのこと、ログインが要ること、などです。
  4. AIの出す結果は間違うことがあります。 Samsungの公式ページも、出力の正確さや信頼性は保証されない、と書いています。

たとえ話:厨房で作るか、工場に頼むか

僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。

レストランの「手作りです」というメニューにも、店の厨房で作る料理と、別の工場で作って届く料理があります。AIスマホの機能も、スマホの中で計算する(厨房)ものと、サーバーに送って計算して返してもらう(工場に注文)ものがあります。

厨房の料理は、電波がなくても出せて、材料(自分のデータ)が店の外に出ません。工場に頼む料理は、大きな仕事ができますが、注文を送る必要があります。どちらが上、という話ではなく、メニューを見るときに「これはどっち?」と確かめる習慣が役に立ちます。

読み方①:何ができるか

3社のページに出てくる機能は、似た分野に集まっています。

機能の名前は会社ごとに違います(AppleのImage Playground、Samsungのフォトアシスト、Googleの消しゴムマジックなど)。名前が違うので、「同じことができる?」と思ったら、機能の説明を見て比べます。

読み方②:どこで動くか

ここが、「AI機能あり」の言葉だけでは分からない点です。公式ページには、次のように書かれています。

メーカー 公式ページに書かれていること
Apple 端末内の処理は個人情報を収集せずに行うとされる。より大きなサーバー側のモデルを使うときは「プライベートクラウドコンピュート」の仕組みを使い、データは保存されず、Appleを含め第三者はアクセスできないとされる
Samsung 端末内(ローカル)の処理とクラウドの処理を、プライバシー設定で選べると書かれている
Google(Pixel) 通話関連の機能は端末そのもので動くと書かれている。一方、暗い所の動画の機能は、チップとクラウドのAIを組み合わせると書かれている

Googleの開発者向けのページは、端末内で動く「Gemini Nano」というモデルを説明しています。ネットワークがなくても、データをクラウドに送らずに、アプリがAIの機能を出せる、とあります。ただし速さは端末のハードウェアで決まり、端末によっては使えない場合もある、とも書かれています。

つまり、同じスマホの中でも、機能ごとに「厨房」と「工場」が違います。ただし、機能ごとの区別が一覧になっているページは、Appleでも、Pixelでも、僕らは読めていません。

3社の公式ページから拾った「条件」

2026年10月16日に読んだ範囲です。

Apple(日本のページとサポートのページ)

  • 使うには、OSを対応する版に更新する。対応のiPhoneは、iPhone 16以降、iPhone 15 Pro / Pro Max、iPhone Air、と書かれている。
  • 空き容量は、機種により最大14GBまたは最大8GB、と書かれている。
  • デバイスの言語とSiriの言語を、同じ対応言語(日本語を含む16言語)にする。
  • 中国本土で購入した機器、またはApple Accountの国・地域が中国本土の場合は、現時点では使えない。
  • サーバー側のモデルを使う機能には、1日の利用回数の制限がある。将来、これらの機能へのアクセスを、有料で広げる予定とも書かれている。
  • Siri AIは、英語から提供を始め、日本語は年内に対応予定と、日本のページに書かれている。一部の機能は、英語のみ、または今後の更新で提供予定。

Samsung(日本のページ)

  • Galaxy Aシリーズなど一部の機種は対象外。機能の利用可否は、機種、OSの版、国や地域、キャリアによって違う。
  • 一部の機能は、Samsungアカウントへのログインが必要な場合がある。
  • Samsungが提供する基本の機能は無料。今後の拡張機能や新サービスには、有料のものが含まれる可能性がある。
  • 対応言語は機能ごとに違う(2026年7月時点)。フォトアシストなどは41言語、Now Nudgeは16言語、通話スクリーニングは13言語、など。日本語は各機能の対応言語に含まれる、と書かれている。

Google(PixelのページとAndroid開発者向けのページ)

  • 消しゴムマジック、Google Lensでの検索、通話の補助などが紹介されている。暗い所の動画の機能は、Pixel Pro向けと書かれている。
  • 地域や言語の対応は、読んだページには書かれていない。Gemini Nanoの対応機種の一覧も、開発者向けのページには書かれていなかった。

読み方③:使える条件

見立てです。広告の「AI搭載」より、条件の欄のほうが、自分に関係する情報だと思います。公式ページを読んで、見るべき所を表にしました。

見る所 公式ページでの書かれ方の例
機種 Appleは対応のiPhoneを列挙。Samsungは、Aシリーズなどは対象外と書く
OSの版 Appleは、対応する版への更新が必要と書く。Samsungは、OSの版によって違うと書く
言語 Appleは、デバイスとSiriの言語を揃える。Samsungは、機能ごとに言語の数が違う
地域 Appleは、中国本土では使えないと書く。Samsungは、国や地域によって違うと書く
アカウント Samsungは、一部の機能でログインが必要な場合があると書く。Appleのサポートページには、アカウントの要件の記載はなかった
空き容量 Appleは、最大14GBまたは8GBと書く
回数・料金 Appleは、サーバー側の機能に1日の回数制限があり、将来は有料で広げる予定と書く。Samsungは、基本機能は無料、今後の拡張は有料の可能性と書く

誤解されやすい点

「AIスマホなら、ChatGPTなどのAIアプリが入っている」 公式ページが書いているのは、メーカー自身の機能です。ChatGPTやGeminiのアプリは、ストアから入れる別のものです(同じ連載の「スマホのアプリでAIを使う」の記事を見てください)。ただし、Samsungのページは、第三者のAI機能には別の条件が適用される場合がある、と書いています。

「AI機能は、すべて端末の中で動く」 上のとおり、機能によってクラウドを使います。端末内かクラウドかは、プライバシーの面でも、電波がない所で使えるかどうかの面でも違いが出ます。

「買えば、全部の機能が日本語で、ずっと無料」 Appleのページには、機能によって英語のみ、または今後の更新で提供予定と書かれています。将来の有料化に触れているページも、2社ありました(Appleは予定、Samsungは可能性、という書き方です)。

「新しい機種だけが対応」 Appleのサポートページは、iPhone 16以降のほか、iPhone 15 Pro / Pro Maxも対応と書いています。どの世代から使えるかは、同じ連載の「スマホのAI機能は機種の世代とメモリで条件が分かれる」の記事で扱います。

今日からできること、やってはいけないこと

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