3行でいうと
- AIの答えは、確かめる前の下書きです。OpenAIとGoogleは、答えに間違いがあり得ると書いています。OWASPは、AIの出力は、他の人が入力した内容と同じように疑って扱うよう勧めています。
- コマンドには、ファイルを消すもの、確認なしで動くものがあります。実行前に、「何を消す・上書きする・送るのか」を探します。
- 試し実行や確認の機能があるコマンドもあります。ただし、全部にあるわけではありません。AIツールの承認画面も、読んでから押します。
この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。手順の「4点」は、読んだ文書をもとにした僕らの整理で、公式の手順書そのものではありません。
先に結論
公式の文書を読んで言えることは、次の4つです。
- AIの出力は、確かめてから使う。 OpenAIの規約は、使う前に確かめるよう書いています。Googleのヘルプは、言語モデルを使ったサービスは不正確な情報を事実のように示すこと(ハルシネーション)があると書いています。
- コマンドは、言われたとおりに動く。 GNUのマニュアルによれば、削除のコマンド(rm)には、確認を出さずに進む指定(-f)や、フォルダごと消す指定(-r)があります。
- 試し実行や確認の仕組みがある場合もある。 PowerShellには、実行せずに何をするかを見せる -WhatIf や、実行前に確認する -Confirm があります。ただし、対応していないコマンドもあります。
- AIツールの承認画面は、読んでから押す。 AnthropicのClaude Codeの文書では、シェルのコマンドは、手動のモードでは原則、承認が必要です。
見立てです。「AIの言うとおりにしたら、パソコンの中身が消えた」という事故は、AIが悪意を持っているからではなく、「意味を分からないまま、言われた操作を実行した」ことで起こりやすいのだと思います。実行する人が、最後の確認役です。
たとえ話:大工さんに渡す指示メモ
僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。
誰かが書いた「作業の指示メモ」を、中身を読まずに大工さんに渡したとします。そのメモに「この壁を壊す」という一行が混ざっていても、大工さんは、言われたとおりに壊します。コマンドも同じです。パソコンは、「本当にいいですか」と聞かずに、書かれた操作を実行することがあります。
大工さんに渡す前に、メモを自分で読む。分からない一行は、聞く。壊す一行が混ざっていないか探す。これが、この記事の4点です。
実行の前に確かめる4点
1. この一行は何をするのか、AIに説明させる
「このコマンドは、何をしますか。ファイルを消したり、書き換えたり、どこかに送ったりしますか」と、貼り付ける前に聞きます。
ただし、説明も間違うことがあります。「説明が丁寧だから正しい」とは言えません。消す、上書きする、送る、のような操作が出てきたら、公式のマニュアルでも確かめます。
2. 「消す・上書きする・送る」を探す
GNUのマニュアルが説明する削除のコマンド(rm)では、次のことが書かれています。
- 既定では、フォルダは消さない。
- -r を付けると、フォルダと中身を消す。
- -f を付けると、確認を出さない。
つまり、「-r と -f が並んでいて、消す場所の指定が広い」ようなコマンドは、とくに慎重に読みます。分からないときは、実行しません。
3. 試し実行と、確認つきで
MicrosoftのPowerShellの文書には、次のとおり書かれています。
- -WhatIf: 実行せずに、どの対象にどんな操作をするかを表示する。
- -Confirm: 実行の前に、はい・いいえを確認する。
rm には、消す前に確認を出す -i と、まとめて消すときに1回だけ確認を出す -I があります。
ただし、どのコマンドにもこの機能があるとは限りません。PowerShellの文書も、共通パラメーターはすべてのコマンドで効くとは限らない、と書いています。
4. 戻せる状態で
見立てです。大事なデータがある場所で、いきなり試さないことが大切だと思います。作業用のコピーで試す、前もってバックアップを取る、という順番です。バックアップの考え方は、別の記事(AIに作業を任せる前のバックアップ)にまとめました。
今日からできること
- 貼る前に、1行ずつ意味を聞く。 意味が分からない行が残ったら、実行しない。
- 消す・上書きする・送る、が出てきたら、立ち止まる。
- 「-WhatIf」「-i」など、確認を足せるなら足す。 足せるかどうかは、そのコマンドの公式文書で確かめる。
- インストールを勧められたら、名前を確かめる。 OWASPは、AIが実在しないパッケージ(ソフトの部品)の名前を出すことがあり、それを悪用する人がいる、と書いています。公式の配布元に、本当にあるかを見ます。
- AIツールの承認画面は、内容を読む。 何をしようとしているのかが、画面に出ます。
やってはいけないこと
- 意味が分からないコマンドを、そのまま貼り付けて実行する。
- エラーが出るたびに、AIが出した次のコマンドを、確かめずに続けて実行する。
- 承認画面を、読まずに押す。または、「今後は聞かない」を、よく考えずに選ぶ。
- AIツールの承認を飛ばすモードを、普段のパソコンで使う。Claude Codeの文書は、このモードを、被害が出ない隔離された環境でだけ使うよう書いています。
誤解されやすい点
「AIが説明してくれたから、安全」ではありません。 説明も、間違うことがあります。OpenAIとGoogleの文書は、答えが不正確なことがあると書いています。
「承認画面があるから、大丈夫」とも限りません。 Claude Codeの文書では、「今後は聞かない」を選ぶと、そのコマンドの許可が、そのリポジトリでずっと保存される、と書かれています。また、ls や cat など、読むだけのコマンドの一覧は、承認なしで動きます。何を許可したのかを、自分で把握しておく必要があります。
「-WhatIf を付ければ、必ず試せる」わけでもありません。 対応していないコマンドでは、反応しない場合があります。
読んだ文書の、細かい記載
rm のオプション(GNU coreutils、man7)
| オプション | 書かれていること |
|---|---|
| -i | 消す前に、ひとつずつ確認する |
| -I | 3つを超えるファイルを消すとき、またはフォルダごと消すときに、1回だけ確認する。断ると全体が中止 |
| -f | 存在しないファイルを無視し、確認を出さない。先に付けた -i や -I より優先される |
| -r | フォルダと中身を消す |
| --preserve-root | 既定で、一番上のフォルダ(/)の再帰削除を止める。外す指定もあるが、文書は勧めていない |
PowerShell(Microsoft Learn、2026年9月9日更新、PowerShell 7.6向け) -Confirm の選択肢は、Y(はい)、A(すべてはい)、N(いいえ)、L(すべていいえ)、S(一時停止)、?(ヘルプ)です。「A(すべてはい)」を押すと、残りの確認が出なくなります。コマンドが -WhatIf に対応しているかを調べる方法は、読んだページには書かれていませんでした。
Claude Code(Anthropic) 手動のモードでは、シェルのコマンドとファイルの変更は承認が必要です。読むだけの決まったコマンドは、承認なしで動きます。承認を飛ばすモード(bypassPermissions)は、隔離された環境でだけ使うよう、文書が書いています。
気をつけること
- 内容は、2026年10月16日に読んだ公式ページのものです。PowerShellは7.6向けのページです。Claude Codeの文書は、ページに更新日が見当たらず、頻繁に変わる可能性があります。
- 読んだページの多くは、WebFetchで要約を受け取ったものです。原文は引用せず、言い換えました。細かい言い回しは、原文で確かめてください。
- 「一般の人向けに、AIが出したコマンドを実行する前に」と書いた公的な手引きは、見つけられていません。4点は、僕らの整理です。
- sudo(管理者の権限で実行)や、Windowsの「管理者として実行」の公式の説明は、読んでいません。このコマンドを付けるよう言われたときは、公式の説明を確かめてください。
- Windows、macOS、Linuxのそれぞれの画面での、具体的な手順は確かめていません。
- Claude Code以外のAIツールの承認の仕組みは、確かめていません。
- 「rm で消したものが元に戻るか」は、読んだ文書の記載が分かれていたため、書きませんでした。消す前にバックアップを取るのが基本です。
- 見立てと書いた部分は、僕らの考えです。事故を防ぐ保証ではありません。
出典
- LLM05:2025 Improper Output Handling(OWASP GenAI Security Project、2026年10月16日確認)
- about_CommonParameters(PowerShell、Microsoft Learn、2026年10月16日確認)
- rm: Remove files or directories(GNU coreutils、2026年10月16日確認)
- rm(1)(Linux manual page、man7.org、2026年10月16日確認)
- Configure permissions(Claude Code Docs、Anthropic、2026年10月16日確認)
- Terms of Use(ROW版、OpenAI、2026年10月16日確認)
- Gemini Apps Privacy Hub(Gemini Apps Help、Google、2026年10月16日確認)
更新履歴
- 2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
