3行でいうと

  • 返信メールのひな形は、「型」(話の順序)、「口調」(丁寧さ)、「中身」(金額、日付、約束)に分けて考えると整理しやすいです。AIが得意なのは型と口調で、中身はAIが知らないことが多いので、人が入れます。これは僕らの見立てです。
  • 口調を安定させる方法として、OpenAIとAnthropicの公式文書は、望む出力の例を少数見せる方法を挙げています。Anthropicは、例を3〜5個、似た場面ばかりにせず多様にする、と書いています。
  • 送る前の確認は、AIの機能ではなく人の仕事です。公式ページも、AIの提案は不正確なことがある、と書いています。顧客名などの個人情報を入れるときは、個人情報保護委員会の注意喚起も確認します。

この記事は、これらの機能でひな形を作って確かめた記録ではありません。この記事は、Google、Microsoft、OpenAI、Anthropic、個人情報保護委員会の公式ページを、2026年10月22日に読み直してまとめたものです(Outlookのページだけは取得できず、10月16日に読んだ内容のままです)。機能名や条件は変わることがあります。僕らの考えは「見立て」と書いた部分に分けました。メールの下書きを初めて頼む手順は、別の記事で扱っています。

先に結論

道具を、公式ページに書かれている範囲で並べる

2026年10月22日に読み直した内容です(Outlookの行だけは10月16日に読んだ内容です)。表には、読んだページに書かれていたことだけを入れています。

道具 公式ページに書かれていること 条件・注意
Gmail(Gemini in Gmail) 新しいメールの作成、下書きの調整(トーンや明確さ)、返信の下書きができる。「professional and concise」にするよう頼めるという例がある 対象のGoogle WorkspaceかGoogle AIプランが必要。個人アカウントはWorkspace Experiments(試験参加)経由でも使える、とある。提案は不正確なことがある
Outlook(Copilot Chat) 画面上部のコパイロットから、メールの下書きや自動返信の設定ができる 職場か学校のアカウント。追加のライセンスなしでも下書きはでき、ライセンスがあるとチャットや社内データも使える。トーンや長さの設定は、読んだページに書かれていない
ChatGPT(カスタム指示) 全チャットに適用される指示を1つ設定できる。全プランで使える 文字数はFreeとGoが1,500、Plusなどが5,000。トーンの設定についての記述は、そのページにはない
Gemini(Gem) 名前と指示を入れ、知識のファイルを足して、自分用の設定を保存できる どのプランで使えるかは、ページに書かれていない。2026年11月から、個人のGoogleアカウントのGemは「スキル」に移行する、と書かれている

Claudeについては、返信の文面を貼って頼む使い方は他社と同じですが、文体を保存する機能(スタイル)のページは取得できず、読めていません。

GmailとOutlookは、メールの画面の中で、今まさに読んでいるお客様のメールに対する返信を作れる点が強みだと思います。ただしこれは見立てです。ChatGPTのカスタム指示やGemは、自分用の「いつもの頼み方」を保存する道具で、メールの画面とは別に使います。

Gmailの2つのページで、条件の書き方が違う

Gemini in Gmailについて読んだ2つのページは、前提の書き方が違いました。1つは、対象のGoogle WorkspaceかGoogle AIプランが必要で、個人アカウントにはWorkspace Experimentsでも提供する、という書き方です。もう1つは、Workspace Experiments(早期アクセスのプログラム)への登録リンクがあり、一部の国や言語に限られ、学校のアカウントと18歳未満は使えない、という書き方です。登録が必須と明記されているかは、読んだ範囲では確認できませんでした。

どちらが新しい記述かは、読んだ範囲では分かりません。自分のアカウントで使えるかは、Gmailの画面で「Ask Gemini」が出るかで確かめるのが確実です。なお、Gemini in Gmailでの会話は「Gemini アプリのアクティビティ」には保存されない、とも書かれています。

口調を決める:「説明」より「例」

「丁寧だが堅すぎない」のような言葉は、人によって受け取り方が違います。公式文書は、例を見せる方法を挙げています。

見立てとして、過去の返信の中から、次の場面を1通ずつ選んで見せるのがよいと思います。

  1. 普通の問い合わせへの回答
  2. お詫びが必要な返信(遅れ、ミス)
  3. 希望に添えない場合の返信(お断り)
  4. 確認の質問を返す返信

場面が1種類だけだと、AIがその場面の癖(たとえば、いつもお詫びから始める)まで覚えてしまうと、Anthropicの「多様であること」の理由づけから僕らは読みました。例には、顧客の名前や注文番号を入れず、仮の名前に置き換えます。

頼み方の例(見立て)

次のような頼み方を考えました。公式文書の考え方を当てはめたこの記事の例で、動作は確かめていません。

「あなたは○○社のお客様対応の担当者です。次の3通は、当社の良い返信の例です。これと同じ丁寧さ、長さ、順序(お礼、回答、次の案内、結び)で、返信のひな形を作ってください。日付、金額、商品名、お客様の名前は【 】の空欄にして、あなたが決めないでください。分からないことは、推測せず、確認が必要な点として最後に一覧にしてください。」

「空欄にする」「確認が必要な点を一覧にする」の2つが、人が中身を入れる手順につながります。この文は、ChatGPTのカスタム指示やGemの指示に保存して、毎回貼る手間を減らす使い方もできます(文字数の上限は上の表のとおり)。

送る前の確認:5つの点(見立てです)

ここからは、公式の説明を読んだうえでの僕らの見立てです。公式の手順ではありません。

確認する点 何を見るか AIが間違いやすい理由
事実 日付、金額、納期、商品名、手順が、実際と合っているか AIは自社の最新の状況を知らないことがあり、空欄を埋めてしまうことがある
名前 お客様の氏名、会社名、敬称、担当者名 似た名前や過去の例の名前が残ることがある
約束 「必ず」「すぐに」など、守れない約束をしていないか 丁寧にしようとして、言い切りすぎることがある
謝り方 責任の範囲を、自社が認める範囲より広く書いていないか 謝罪は、トーンを整える流れで強まることがある
個人情報 他のお客様の情報が混ざっていないか 例に使った文面の内容が残ることがある

GoogleのGmailのページには、提案は不正確だったり不適切だったりすることがある、と書かれています。確認の責任が人にあることは、公式ページの書き方と一致していると思います。

顧客の情報を入れるとき

返信の相手は、多くが個人のお客様です。個人情報保護委員会は、令和5年6月2日の注意喚起で、個人情報取扱事業者に、個人情報を含む入力が利用目的に必要な範囲か確認すること、本人の同意なく入力した個人データが、応答の出力以外の目的(機械学習など)で扱われる場合は個人情報保護法に違反するおそれがあること、入力の前に提供事業者が機械学習に使わないことを確認することを求めています。

見立てとして、ひな形づくりの段階では、お客様の名前やメールアドレス、注文番号は入れず、仮の名前で作るのが無難だと思います。本人の情報は、人が最後に空欄へ入れます。会社のメールにAIを使う場合は、所属先の規程と、管理者が許可している道具かの確認が先です。

気をつけること

出典

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