3行でいうと
- 3社とも、AIの操作の前に「確認」を挟む設計です。ただし、確認の出る場面と、AIが実行できないこと(禁止事項)は、各社でかなり違います。たとえばAnthropicは、購入や金融取引、アカウント作成を、権限にかかわらず禁止と書いています。
- OpenAIとAnthropicの公式文書は、プロンプトインジェクション(ページに仕込まれた指示でAIが誘導されること)の危険が残ると書いています。Googleのauto browseのページにも、プロンプトインジェクションの説明があり、仕込まれた指示でAIが誘導されうることと、誤操作が起こりうることが書かれています(防御策は完全な保護を保証するものではない、という趣旨の注意書きはあります)。ログイン情報の扱いと、止め方は、使う前に画面で確かめておくべき点です。
- 任せる前の判断基準は、「どこで動くか」「誰のログイン状態を使うか」「承認の強さ」「止め方」「失敗したときの取り返し」の5つだと僕らは考えます。これは見立てです。
この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、各社の公式ヘルプとブログを2026年10月16日に読み、10月22日に読み直してまとめたものです。僕らの考えは「見立てです」と書いた部分に分けました。
先に結論
- 確かなこと。 3社とも、ブラウザを操作するAIに、承認(確認)の画面を挟むと書いています。禁止事項や、利用者への引き継ぎ(テイクオーバー)は、社によって書き方が違います。同時に、OpenAIとAnthropicは危険が残ると書き、Googleは誤操作が起こりうると書いています。
- 違いが出る点。 動く場所(自分のChrome か、クラウド上の別のブラウザか)、対象のプラン、承認の初期設定、止め方の書き方が違います。
- 名前に注意。 OpenAIのヘルプでは、「ChatGPT agent」は、いまは使えないと書かれ、ブラウザ操作はChatGPT Workの「cloud browser」に引き継がれています。
まず前提:「ブラウザを操作するAI」は2つの置き場所がある
- 自分のブラウザの中で動くもの。 Claude in Chrome(Chromeの拡張機能)と、Gemini in Chromeの auto browse(自動でブラウズする機能)です。自分のChromeの画面で動くので、自分がログインしているサイトにも触れられる可能性があります。
- クラウド上の別のブラウザで動くもの。 ChatGPTのcloud browserです。OpenAIのヘルプは、これを「自分の端末のブラウザとは別」と説明し、端末のタブ、履歴、保存済みパスワード、拡張機能、既存のログインには触れないと書いています。
この違いは、あとの判断に効きます。自分のChromeで動くなら、自分のログイン状態が渡る可能性があり、クラウド上の別ブラウザなら、必要なログインだけをそのたびに渡す形になります。
公式を4点で並べる
2026年10月16日に読み、10月22日に読み直した内容です。プランや対象は変わることがあります。
| 観点 | ChatGPT cloud browser(OpenAI) | Claude in Chrome(Anthropic) | Gemini in Chrome の auto browse(Google) |
|---|---|---|---|
| 動く場所 | クラウド上の別のブラウザ | 自分のChrome(拡張機能) | 自分のChrome(デスクトップ) |
| 対象 | 有料プランのChatGPT Work。FreeとGoは対象外 | 有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise) | 米国の18歳以上、Google AI ProまたはUltra、英語設定 |
| 確認の出る場面 | 戻しにくい操作(予約の確定、支払いなど)の前。サイトごとのアクセスの承認もある | 承認モードで変わる。ダウンロード、機微な情報の入力などは常に確認 | 開始前に計画を表示。送信、データ変更、フォーム送信、予定の登録などの前 |
| ログイン | 専用の安全なフォームで本人が入力。モデルには見えず、ChatGPTは保存しない | 拡張機能(自分のChromeで動くので、ログイン状態に触れうると僕らは読んでいます)。1Passwordとの連携(macOSでベータ) | Googleのパスワードマネージャーなどで、許可したときだけ。Googleは、パスワードをGeminiには共有しないと説明 |
| 止め方 | 詰まったら引き継ぎを求められる。個別の停止ボタンの説明は読んだページにはなかった | 専用の停止ボタンの説明は読んだページにはなかった。おかしければ止めるよう案内 | Stopアイコン、またはタスクのタブを閉じる |
OpenAI:cloud browserと、使えなくなったagent
ヘルプの説明では、cloud browserはChatGPT Workの一部です。
- サイトへのアクセス。 設定に3つのモード(「Always ask」「Auto approve」「Always allow」)があり、「Always allow」はOpenAIが勧めていません。各モードの細かい動作は、確認できていません。サイトごとの設定は、この既定より優先されます。
- ログイン。 ログインでは、安全なフォームで本人が入力します。フィッシングなどを確認するモデルが見る、とあります。入力した情報は、モデルには見えず、ChatGPTは保存しない、とあります。ログイン状態は、期限が切れるまで次のタスクにも残ります。
- データ。 設定の「Browser data」から、サイトごと、またはすべてのデータを消せます。消すとログアウトされます。
- 古いagent。 以前の「ChatGPT agent」のヘルプには「ChatGPT agent is no longer available」とあり、Workへの案内があります。ページには月の上限(Plusは月40回など)の記述が残っていますが、機能の終了案内と並んでおり、いまも有効かは分からないので、いまの上限としては扱いません。
Anthropic:権限のモードと、禁止の線
Claude in Chromeの権限のガイドでは、モードは3つです。
- Manually approve。 1つずつ確認します。
- Automatically approve。 各操作を自動でチェックします。Coworkのサイドパネルでは、これが初期設定です。追加のチェックのぶん、利用上限を多く使う、と書かれています。
- Skip all approvals。 確認も自動チェックもありません。
「このサイトでは常に許可」にしても、ダウンロード、機微な情報の入力、権限の付与は、確認が出ます。一方で、権限にかかわらず禁止とされているものには、購入や金融取引、取引の実行、アカウント作成、クレジットカードや身分証のデータの扱い、永久削除(メールやファイルの削除など)、そしてメールやWebページの中にある指示の実行です。安全のガイドには、成人向けサイトと海賊版のサイトはブロック、金融サイトは許可を求める、とあります。
Google:計画を見てからStart、使える回数は決まっている
Googleのヘルプでは、auto browseは、実行前にGeminiが計画を出し、利用者が確かめて「Start Task」を押します。
- 送信、データ変更、フォーム送信、予定の登録、金融や健康の情報が多いサイトへのアクセスの前には、確認が出ます。
- 金融取引の確定、利用規約への同意、アカウント作成は、利用者が引き継ぐ手順として書かれています。
- 1日の複数手順のリクエストは、Google AI Proで20回、Ultraで200回までです。
- ヘルプは、実験的な機能で、誤った操作(違うボタンを押す、数量を間違える、できていないのに完了と報告する)も起こりうる、利用者に責任がある、と書いています。
プロンプトインジェクションは、どこまで公式が認めているか
OpenAIとAnthropicは、ページやメールに仕込まれた指示にAIが従ってしまう危険を、認めています。Googleのauto browseのページにも、プロンプトインジェクションの説明があり、AIが誘導されて意図しない動きをしうると書かれています。
- OpenAIの2025年11月7日の記事は、これを「難しく、まだ解けていない問題」としています。利用者向けの助言は、必要なデータとログインだけを渡す、確認の画面をよく見る、銀行など敏感なサイトでは見張る、広い指示を避ける、です。
- Anthropicの研究記事(公開は2025年11月24日)は、攻撃の成功率を1%まで下げたと書きつつ、「意味のあるリスクが残る」としています。この1%は、Opus 4.5を、社内の試験用の攻撃者に、環境ごとに100回試させた数字です。
- Anthropicの安全のガイドは、画面に見えているものは、スクリーンショットとして会話に入る、と書いています。別のブラウザのプロファイルを使うことが勧められています。
数字の読み方(Anthropicの2つの数字)
Anthropicの研究記事は、Opus 4.5で1%と書いています。一方、Claude in Chromeの安全のガイドには、現在の設定で、既知の攻撃を組み合わせた社内の試験で攻撃の成功率が0.08%を下回る、とあります(同じガイドは、Claude Opus 4.8が以前のモデルより耐性が高いとも書いています)。どちらも会社の社内評価で、条件も違います。第三者が確かめた数字は、僕らは見つけていません。数字が小さいことは、「安全だ」という意味ではなく、公式自身が、リスクは残ると書いています。
任せる前の判断基準(見立てです)
ここからは、公式の説明を並べたうえでの、僕らの見立てです。各社の推奨ではありません。
- どこで動くかを確かめる。 自分のChromeで動くものは、自分のログイン状態に触れる可能性があります。作業用のプロファイルを分けると、渡る範囲を絞れます。Anthropicの安全のガイドにも、同じ趣旨の案内があります。
- 誰のログイン状態を使うかを決める。 調べものなら、ログインなしで足ります。OpenAIの記事にも、研究目的ならログアウトのモードを使うという助言があります。
- 承認は、一番強い設定から始める。 AnthropicのSkip all approvalsのように、確認をなくす設定は、初回には選ばないほうがよいと思います。
- 止め方を、先に見つけておく。 Googleには、Stopアイコンとタスクのタブを閉じる方法が書かれています。OpenAIとAnthropicの、読んだページには、停止ボタンなど具体的な停止の操作の説明が見当たりませんでした(おかしいときは止めるよう、書かれてはいます)。使うアカウントの画面で、確かめておく必要があります。
- 取り返せない操作は、人が最後に押す。 支払いに当たる操作は、3社とも、確認や禁止の対象にしています。送信、削除、アカウント作成の扱いは、社によって違います。その線を信頼しきらず、最後は自分で確かめます。
- 仕事の資料や他人の情報を扱う前に、所属先の決まりを見る。 Anthropicの安全のガイドは、他人の個人情報があるサイト、法律や医療の文書、社内の機微なデータを、避ける対象に挙げています。助言ではありません。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。2026年10月16日に公式ヘルプとブログを読み、10月22日に読み直した内容です。WebFetchは要約を返すため、文書の言い回しは僕らの言葉に直しています。
- 提供の範囲、プラン、上限、機能名は、変わりやすい点です。
- cloud browserの対象は「有料プラン、対象の地域」としか読めておらず、日本が対象かは確認できていません。
- ChatGPT Atlas、PerplexityのComet、MicrosoftのEdgeなど、ほかのAIブラウザの公式の説明は、この記事では読んでいません。AIブラウザの全体は、別の記事で扱っています。
- Anthropicのガイドは、Coworkのサイドパネルと従来のサイドパネルで説明が分かれています。使っている画面にどちらが当てはまるか、確認してください。
出典
- ChatGPT agent(OpenAI Help Center、10月22日確認)
- Using cloud browser in ChatGPT(OpenAI Help Center、10月22日確認)
- Understanding prompt injections: a frontier security challenge(OpenAI、2025年11月7日、10月22日確認)
- Get started with Claude in Chrome(Anthropic Help Center、10月22日確認)
- Using Claude in Chrome safely(Anthropic Help Center、10月22日確認)
- Claude in Chrome permissions guide(Anthropic Help Center、10月22日確認)
- Prompt injection defenses in browser use(Anthropic Research、2025年11月24日公開、10月22日確認)
- Ask Gemini in Chrome to complete tasks for you with auto browse(Google Help、10月22日確認)
更新履歴
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2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
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2026年10月22日 公式の資料を読み直して、次の点を直しました。
- 前:OpenAIとAnthropicは危険は「ゼロにならない」と認めている → いま:危険が残ると書いている、という言い方に
- 前:Googleは「ゼロにならない」とまでは確認していない → いま:防御策は完全な保護を保証しない、という趣旨の注意書きはある
- 前:Anthropicの研究記事のページ更新日は2026年9月10日 → いま:公開日2025年11月24日のみ記載
- 前:Claude Opus 4.8で攻撃の成功率が0.08%を下回る → いま:現在の設定で0.08%を下回る。Opus 4.8は以前のモデルより耐性が高いとも書かれている
- 前:権限にかかわらず禁止とされているのは次の例 → いま:禁止とされているものには次の例がある、と弱めた
