3行でいうと

  • 3社とも、「考える量」を段階で選ぶ仕組みを用意しています。そして、上げる場面(むずかしい不具合の調査、深い計画づくり)と、下げる場面(分類、事実の確認、声のやりとりのように速さが要る仕事)を、ほぼ同じ向きで書いています。
  • 考える量を上げると、待ち時間が延び、使うトークンも増えます。見えない「考え」の分も出力として数えられる、と3社とも書いています。上げた設定のまま、簡単な仕事に使い続けるのが、いちばん無駄になりやすい使い方です。
  • OpenAIとAnthropicの文書が繰り返すのは「自分の仕事で比べる」ことです。既定の設定から始め、うまくいかない仕事だけ1段階上げる、が基本の手順です。どの段階が正しいかは、公式文書からは決まりません。

この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、OpenAI、Anthropic、Googleの公式の文書とヘルプを、2026年10月22日に読み直してまとめたものです。ただしChatGPTのヘルプは10月22日には取得できず、10月16日に読んだ内容のままです。僕らの考えは「見立てです」と書いた部分に分けました。

先に結論

前提:「考える」とは何をしているのか

仕組みの基本(答える前に、利用者から見えないところで中間の文章を作る)は、別の記事で扱っています。ここでは、料金と待ち時間に関わる点だけ、公式の説明を整理します。

3社の公式は、どう並べているか

2026年10月22日に読んだ内容を、段階の名前と、各社が挙げている使い道で並べました(ChatGPTのヘルプの部分だけは10月16日に読んだ内容です)。

調節の名前と段階 「下げる」側の使い道(公式の例) 「上げる」側の使い道(公式の例)
OpenAI(API) reasoning.effort:none、minimal、low、medium、high、xhigh、max(モデルにより使える段階と既定が違う)。多くの仕事の既定はmedium none:声のやりとり、素早い検索、分類のように待てない仕事。low:道具の呼び出し、計画、実行中心のコーディング high:むずかしい不具合の調査、深い計画。xhigh:長時間の非同期の仕事で、評価で明確な効果があるときだけ
Anthropic(API) thinking: adaptive + effort:low、medium、high、xhigh、max。既定は多くのモデルでhigh、Opus 5.5とHaiku 5.5ではmedium low、medium:簡単な、または待ち時間が大事な依頼 high:複雑なタスクでの深い推論。xhigh:長い探索向け。max:最も深く、考える長さに制限なし
Google(Gemini API) thinking_level:minimal、low、medium、high(モデルにより違う) minimalかlow:事実の確認、分類 最大の思考量(原文は maximum thinking):高度なコーディング、数学、多段の計画

アプリの側でも、並べ方は似ています。ChatGPTのヘルプ(10月16日に読んだ内容。10月22日は取得できず)には、考える量の段階(Instant、Medium、High、Extra High、Pro)が出ています。Instantは日常の質問用、Proは長くかかるむずかしい仕事用、という説明です。Claudeのヘルプは、拡張思考が役立つ例として、数学の計算と証明、競技レベルのコーディング、包括的な計画、細かい文書の分析、多段の技術的な問題を挙げ、簡単な質問、基本的な情報、ふつうの文章づくりは既定の設定でよいと書いています。

各社の設定の、細かい点(2026年10月22日に読んだもの)

OpenAI(APIの文書)。 推奨モデルとして、gpt-6-astra(ほとんどの推論の仕事の出発点)、gpt-5.6-terra(費用を抑えた選択肢)、gpt-5.6-luna(費用と待ち時間が最小)が挙がっています。effortの段階と既定はモデルにより違い、例えばGPT-6.1 Solの既定はmediumで、noneとminimalには対応しません。gpt-6-astraもnoneを受け付けず、400のエラーを返す、とあります。「Using GPT-6」のページは、AstraとSol 6.1ではnoneの代わりにlowを使うよう案内しています。reasoning.mode(standardとpro)は、effortとは別の調節です。費用の上限をかけたいときはmax_output_tokensを使いますが、これは考えのトークンと見える出力の合計です。上限に当たると、見える答えが出る前に止まっても、課金されることがある、と書かれています。最初は25,000トークン以上を確保する、が推奨です。

Anthropic(APIの文書とヘルプ)。 adaptive thinkingでは、Claudeが、リクエストごとに「考えるか、どれだけ考えるか」を決めます。どのeffortでも、毎回考えるとは保証されません。Opus 5.5とFable 5.1は、考えが常にオンと書かれています。Claudeアプリのヘルプには、Haiku 5.5、Sonnet 5.5、Opus 5.5、Fable 5.1、Opus 5では考えをオフにできない、とあります。APIの比較表ではSonnet 5.5とHaiku 5.5は「adaptive」とだけあり、「常にオン」とは書かれていません。Claudeアプリのヘルプには、APIではHaiku 5.5とOpus 5はHigh以下のeffortならオフにできる、という注記があり、アプリとAPIで扱いが違うように読めます。同じヘルプには、APIでSonnet 5.5の考えをオフにするとエラーになる、ともあります。Opus 5.5とFable 5.1は、APIでも全effortで考えがオンと書かれています。比較表の「adaptive」だけではオフにできるかが分からず、ヘルプの注記と合わせて読む形です。

Google(Gemini APIの文書)。 多くのモデルで考えは既定でオンで、リクエストの複雑さに応じて動的に調整されます。表で既定がオフと書かれていたのはgemini-2.5-flash-liteだけでした。max_output_tokensには考えのトークンも含まれ、考えている最中に上限に届くと、答えが途中で切れたり、空になったりしても、考えの分は課金されます。費用や待ち時間を減らしたいときは、小さいmax_output_tokensではなく、thinking_levelを下げることを勧めています。

「使わない」場面を、公式はどう書いているか

「推論モデルを使わない」というより、「考える量を下げる、または考えない設定を選ぶ」場面です。公式が書いているのは次のとおりです。

  1. 待てない仕事。 OpenAIは、声のやりとり、素早い検索、分類を、noneの使い道として挙げています。Googleも、事実の確認と分類は、minimalかlowで足りるとしています。
  2. 簡単な質問。 Claudeのヘルプは、簡単な質問や基本的な情報、ふつうの文章づくりは、既定の設定でよいと書いています。
  3. 使う量を節約したいとき。 Claudeのヘルプは、LowとMediumは、使用の上限を長持ちさせる、と書いています。
  4. 簡単な仕事の「考えすぎ」。 Anthropicは、max_tokensに当たって途中で切れた答えを見たら、その答えに考えが必要だったのなら上限を上げ、考えすぎだったのならeffortを下げる、と書いています。

古いページですが、OpenAIの「reasoning best practices」には、別の言い方があります。このページは、考えるモデル(o-seriesと呼ばれる系統)を「計画する側」、ふつうのGPTを「手早く働く側」と呼びます。GPTは速く、たいてい安い。定義がはっきりした仕事で、速さと費用が正確さより大事ならGPT、正確さが最優先で問題が複雑ならo-series、と整理しています。多くの実務では両方を組み合わせる、という書き方です。このページに出てくるのは古いモデル名(o1、o3など)で、現在の名前とは違います。使う場面の整理の考え方だけを借りています。

日常の仕事での目安(見立てです)

ここからは、公式の例を読んだうえでの僕らの見立てです。各社の推奨ではありません。

仕事の例 目安 理由(公式の例との対応)
メールの手直し、言い換え、敬語の確認 速い側 Claudeのヘルプが「簡単な質問、ふつうの文章づくりは既定でよい」と書く範囲に近い
問い合わせの分類、表からの抜き出し、定型の返信 速い側 OpenAIとGoogleが、分類を下げる側の例に挙げている
見積や契約の条件の突き合わせ(助言ではありません。確認のための下読みとして) 考える側を試す 複数の資料の細かい文書の分析は、Claudeのヘルプの例に近い
数字の検算、集計の手順づくり 考える側を試す 数学の計算と多段の問題は、ClaudeのヘルプとGoogleの例に近い
新しい企画の手順、スケジュールの設計 考える側を試す 包括的な計画、深い計画が、各社の「上げる」側の例にある

3つの注意があります。

手順:1段階ずつ、自分の仕事で比べる

OpenAIとAnthropicの文書を中心に、僕らなりにまとめた手順です。

  1. 既定の設定で、実際の仕事をやらせる。 OpenAIは、mediumを多くの仕事の出発点としています。Anthropicは、effortの既定から始めて、仕事で測るよう書いています。
  2. うまくいかなかった仕事だけ、1段階上げる。 OpenAIは、xhighは評価で明確な効果があるときだけとしています。
  3. 簡単な仕事は、1段階下げて比べる。 OpenAIのGPT-5.6の案内には、GPT-5.5や5.4から移るとき、いまの設定と1段階下の設定を代表的な仕事で比べる、とあります(GPT-6への移行の節は、いまの有効な設定を保つ案内で、書き方が違います)。
  4. 待ち時間と使った量も記録する。 Anthropicは、考えの出現率、出力トークン、待ち時間、答えの質を、代表的な仕事で測ってから決めるよう書いています。

気をつけること

出典

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