3行でいうと
- 見立てでは、メニューの説明文、SNS、口コミ返信の下書きはAIに向く仕事です。ただし「事実」を決めるのはお店です。
- 消費者庁の資料では、店内のメニューや料理名の表示も景品表示法の対象です。実際と違う食材や調理を書くと、問題とされます。
- Googleは、割引や景品を出して口コミを頼むことを禁じています。AIで口コミ自体を作るのも、見立てでは方針に合いません。
- アレルギーに関わる言葉は、AIに書かせず、厨房で確かめた事実だけを書いてください。
この記事は、公式の文書を読んでまとめたものです。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。手順は公式の機能の説明から組み立てた想定です。法律の話は、公式資料の紹介です。自分のお店の表示が法律に当たるかどうかの個別の判断は、保健所、消費生活センター、弁護士などの専門家に相談してください。僕らの考えは「見立てです。」で始めて、事実と分けて書きます。
先に結論
- メニューの説明文、SNSの文章、口コミへの返信は、AIが下書きを作るのに向いた仕事だと思います。(見立てです。)ただし、「事実」を決めるのはお店です。
- 消費者庁の資料には、店内のメニューや料理名の表示も、景品表示法の対象だと書かれています。実際に使っていない食材や、していない調理を書くと、問題になるとされています。AIは、おいしそうな言い回しを足してくれますが、それが事実かどうかは知りません。
- 口コミ返信は、Googleのヘルプに投稿の手順があります。口コミを書いてもらうために割引や景品を出すことは、Googleの方針で禁じられています。AIで口コミ自体を作ることは、方針の「本当の体験に基づく」から外れると考えられます(見立てです)。
- アレルギーに関わる言葉(「小麦不使用」「アレルギー対応」など)は、AIに書かせず、厨房で確かめた事実だけを書いてください。
使える道具の候補
公式のページで確かめた4つです。2026年10月22日に読み直した時点のものです。ただしCanvaの料金ページは10月22日には取得できず、表のCanvaの回数はAI利用のヘルプ(Understanding your AI usage)から書いています。
| 道具 | 向く場面 | 無料でどこまで(公式の記載) |
|---|---|---|
| ChatGPT(OpenAI) | 文章の下書き、言い換え、短くする | 文字の会話は、悪用を防ぐ制限つきで無制限。画像やファイルの入力には別の上限があるが、数字はなし |
| Gemini(Google) | 同上。Googleのアカウントがあれば入りやすい | 米国向けの料金ページで、無料は0ドル。画像の作成と編集、Canvasなどが含まれる |
| Claude(Anthropic) | 同上。長い文章の整理 | 5時間ごとに戻る使用量の枠がある |
| Canva | メニューやチラシの見た目づくり | 無料プランは、標準的なAIツールか上位のAIツールを合わせて、月に最大20回。有料のProは標準的なAIの枠を使わず、上位のAIは最大200回、最上位は最大20回 |
Canvaは、メニューの無料のテンプレート(ひな形)を出しています。公式のメニューのページに、テンプレートを選んで直し、印刷も注文できるという説明があります。このページの本文には、AIの機能の説明は見当たりませんでした。
AIの口コミ返信については、Googleのヘルプに、返信の手順はありますが、AIによる返信の自動作成の機能は、読んだページに書かれていませんでした。確認できていません。
最初の1回のやり方
公式の機能の説明から組み立てた想定です。
メニューの説明文
- 事実を先に書き出す。 料理名、使っている主な材料、産地(分かる範囲)、調理法、値段。自分のお店で本当のことだけにします。
- AIに、その事実だけで文章を作ってもらう。 たとえば、次のような頼み方です。
- 「次の事実だけを使って、メニューの紹介文を30字で。書いていないことは足さないで」
- 足された言葉を消す。 「自家製」「手作り」「国産」「新鮮」「朝採れ」のような言葉が入っていたら、本当にそうか確かめます。
SNSの投稿
- 今日のおすすめ、営業時間の変更、新メニューの事実を、短く書き出す。
- AIに、文字数と口調(店の雰囲気)を伝えて、3つの案を出してもらう。
- 事実が変わっていないか見て、写真と合わせて投稿する。
口コミへの返信
- Googleのヘルプによると、返信するには、お店の情報(ビジネスプロフィール)の確認(認証)がすんでいる必要があります。
- 返信の手順は、ヘルプによると、ビジネスプロフィールの「Read reviews」を開き、口コミの横の返信のアイコン(Reply)を押して、文章を入力します。返信はGoogleの方針の確認を受けてから表示され、ふつうは10分ほどかかる、一部は最長30日かかることもあると書かれています。お店の名前で表示され、口コミを書いた人には通知が行きます。
- AIには、口コミの文章を貼らずに、要点だけを伝えます。たとえば、「料理が遅かったという指摘。お詫びと、混雑時の対応を改善する予定、という内容で、丁寧な返信を100字で」。口コミを書いた人の名前や、予約の詳細は、AIに入れません。(見立てです。)
- 事実と違う約束(「改善しました」「すでに対応済みです」)が入っていないか確認してから、返信します。
消費者庁の資料に書かれていること
消費者庁の「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」(平成26年3月28日、一部改定は平成28年4月1日まで)を読みました。AIが書いた文章にも、同じ考え方が当てはまると、僕らは考えています(見立てです)。AIが書いたかどうかに触れた記載は、この資料にはありません。
- ホテル、デパート、レストランなどが出すメニュー・料理の表示は、すべて景品表示法の対象。店内や店頭のメニュー、料理名の表示、説明も「表示」にあたる。
- 判断は、表示の一つひとつの言葉だけでなく、メニューや料理の実際の表示全体から、一般のお客が受ける印象と、実際の差で行う。
- 景品表示法が禁じる「優良誤認表示」は、品質などを、実際よりも著しく優れているように見せる表示。表示した人の故意や過失は問われない。
- 広告には、ある程度の誇張は含まれるものと、お客も分かっている。ただし、その限度を超えて、実際よりも優れていると見せる表示は、問題になる。
- インターネットの広告も、対象に入っている(資料の「対象となる表示」の項)。
資料のQ&Aには、具体的な例が載っています。
| 表示の例 | 実際 | 資料の答え |
|---|---|---|
| 「国産和牛のステーキ」 | オーストラリア産の牛肉 | 問題となる |
| 「自家製パン」 | 市販のパンを提供 | 問題となる |
| 手打ち麺 | 機械打ちの麺で、手作業は加わっていない | 問題となる |
| キャビア | ランプフィッシュ卵の塩漬け | 問題となる |
| 「鮮魚のムニエル」(鮮度を強調する表示はなし) | 解凍した魚 | 問題とならない |
| 「港で採れたて」「今朝市場で買い付けた」と書き加える | その事実ではない | 問題となる |
最後の2行は、特に参考になります。「鮮魚」という言葉だけなら、解凍した魚でも、直ちには問題にならないとされています。しかし「港で採れたて」のように新鮮さを強調する書き方を足し、実際はそうでなければ、問題になるとされています。AIに「おいしそうに書いて」と頼むと、こうした強調が足される可能性があります。(見立てです。)AIがどんな言葉を足すかは、この記事では試していません。
口コミとステルスマーケティング
- 消費者庁は、令和5年(2023年)10月1日から、ステルスマーケティングが景品表示法違反となると案内しています。広告であるのに、広告だと分からないようにした表示のことで、事業者が第三者に依頼して書かせたものも含まれます。
- 規制の対象になるのは、商品やサービスを提供する事業者(広告主)で、依頼を受けた第三者は対象になりません。
- 個人の感想など、広告ではないものは対象外と、ページに書かれています。
- このページには、飲食店の具体例は載っていません。詳しい事例は、ページから案内されているガイドブックを参照してください。僕らは、ガイドブックを読んでいません。
Googleの投稿方針(ユーザーが投稿する内容の方針)には、次のようなことが書かれています。
- 口コミは、本当の体験にもとづくもの。お金や物で買われた口コミ、1人が複数のアカウントで投稿したものは禁止。
- お店が、割引や無料のサービスなどの「見返り」を出して口コミを頼むことは禁止。
- お店が、悪い口コミを書かないよう求めたり、良い口コミを書きそうな客にだけ頼んだりすることも禁止。
- 従業員に、口コミを決まった数だけ集めるよう求めることも禁止。
見立てです。AIに「五つ星の口コミを書いて」と頼んで投稿することは、この方針の「本当の体験にもとづく」に当たらないと思います。やらないほうがよい、というのが僕らの考えです。
アレルギーの表示
消費者庁の食物アレルギー表示のページによると、特定原材料を含む旨の表示が義務づけられているのは、「容器包装された加工食品」です。特定原材料には、2026年4月1日にカシューナッツが追加されました。ページには「外食・中食」の見出しがありますが、中身は読んでおらず、飲食店のメニューについて何が求められるかは、確認できていません。同じページには、2026年9月30日に外食・中食事業者向けの食物アレルギー情報提供の実態調査アンケートを始めた、というお知らせ(回答締切は2026年10月29日)もありますが、その内容は読んでいません。
見立てです。「小麦不使用」「卵なし」「アレルギー対応可」のような言葉は、間違うと健康に関わります。AIに書かせるのではなく、厨房と仕入れ先の情報で確かめた事実だけを書いてください。AIが下書きに足してきた場合は、消してください。個別の取り扱いは、保健所などに相談してください。
個人情報と店の情報
- 口コミを書いた人の名前、予約者の名前や電話番号は、AIに入れないほうがよいと思います。
- AIの扱いは、サービスで違います。公式ヘルプによると、ChatGPTは個人アカウントの設定「Improve the model for everyone」をオフにすると、新しい会話は学習に使われません。Geminiは人間の確認者が一部の会話を読むことがあり、確認された会話は最長3年保存されます。Claudeは個人向けで学習に使うかどうかを選べます。
- 取引先の名前、仕入れ値、レシピの細かい分量は、お店の大事な情報です。入力する前に、AIの設定を確かめてください。詳しくは、別の記事(AIに入れてはいけない情報、会社の資料をAIに入れる前に確認すること)に書きました。
よくある失敗
- AIが足した「自家製」「手作り」「国産」「新鮮」をそのまま載せる。
- 写真やイラストをAIで作って、実物よりおいしそうに見せすぎる。(景品表示法の資料は、メニュー全体の印象と実際の差を見るとしています。AIで作った画像についての個別の記載は、読んだ資料にはなく、確認できていません。)
- 口コミ返信に、事実と違う約束や、口コミを書いた人が特定できる内容を入れる。
- 口コミ集めのために、割引や景品を出してしまう。
- 英語や中国語のメニューをAIで訳して、そのまま出す。(翻訳の使い方は、別の記事に書きました。食材の名前やアレルギーの言葉は、訳したあとに、元のメニューと見比べてください。)
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は、公式の資料を読んでまとめたものです。
- 消費者庁の「考え方」は、平成26年(2014年)の資料で、一部改定は平成28年(2016年)までです。その後の改正や、新しい事例は、読んでいません。最新は、消費者庁のページで確認してください。
- 食品表示、アレルギー表示、保健所への届出、景品表示法の個別の判断は、専門家に相談してください。この記事は、法律の助言ではありません。
- Googleの口コミの方針と、返信のヘルプは英語のページを読んだもので、日本語の画面と違うことがあります。
- 無料の範囲や上限は、変わることがあります。Canvaの回数は、無料の月の最大回数(目安)で、実際の画面と違うことがあります。
- AIは、もっともらしい間違いを出すことがあります。OpenAIの規約には、出力の正確さを使う場面に合わせて確かめること(人の目での見直しを含む)が書かれています。
出典
- メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について(消費者庁、2026年10月22日確認)
- 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。(消費者庁、2026年10月22日確認)
- 食物アレルギー表示に関する情報(消費者庁、2026年10月22日確認)
- Manage customer reviews(Google Business Profile Help、2026年10月22日確認)
- Fake engagement を含む投稿内容の方針(Google マップ 投稿の方針、Google ヘルプ、2026年10月22日確認)
- ChatGPT Free Tier FAQ(OpenAI Help、2026年10月22日確認)
- Data controls FAQ(OpenAI Help、2026年10月22日確認)
- Terms of Use(OpenAI、2026年1月1日施行、2026年10月22日確認)
- Gemini 料金ページ 米国版(Google、2026年10月22日確認)
- Gemini Apps Privacy Hub(Gemini Apps Help、2026年10月22日確認)
- Get started with Claude(Claude Help Center、2026年10月22日確認)
- How do you use personal data in model training?(Claude Privacy Center、2026年10月22日確認)
- Understanding your AI usage(Canva Help Center、2026年10月22日確認)
- Canva Pricing(Canva、2026年10月8日確認。10月22日は取得できず)
- Captivate customers with custom designed menus(Canva、2026年10月22日確認)
更新履歴
-
2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
-
2026年10月22日 公式の資料を読み直して、次の点を直しました。
- 前:Googleの口コミ返信は、口コミの横の「Reply」を押す → いま:口コミの横の返信のアイコン(Reply)を押す
- 前:消費者庁のアレルギー表示のページについて、お知らせの記載なし → いま:2026年9月30日に始まった外食・中食事業者向けの実態調査アンケート(締切2026年10月29日)のお知らせがある。中身は読んでいない
- 前:OpenAIの規約は、答えを唯一の事実のよりどころにしないことと書かれている → いま:出力の正確さを使う場面に合わせて確かめること(人の目での見直しを含む)と書かれている
- 前:4つの道具は、10月8日に読んだ公式ページが元 → いま:Canvaの料金ページは取得できず、Canvaの回数はAI利用のヘルプから書いた
- 一部の出典は読めなかったため、その部分は前のままです。
