3行でいうと
- AIは、用語の意味、書類の名前、質問のリスト作りといった「予習」に向いています。自分が申告に必要かどうか、控除が使えるか、いくらになるかの判断は、AIに任せません。
- 国税庁には、AIを使った自動応答のチャットボット「ふたば」があります。ところが、その回答は一般的な事項の説明で、申告は申告内容も含めて利用者自身の判断と責任で行う、と国税庁自身が書いています。
- 税の決まりは年ごとに変わります。国税庁のタックスアンサーも「令和8年4月1日現在」のように日付つきです。AIの答えが、どの年分の話かを、必ず確かめます。
この記事は、公式の文書を読んでまとめたもので、AIで税の質問をして確かめたものではありません。税の話は、公式ページの紹介です。自分の申告が必要か、いくらになるかなどは、助言ではありません。国税庁の公式ページ、税務署、税理士などに確かめてください。読んだページは、サイトの内容を取り込んだ要約文で、原文のままの引用はせず、言い換えています。
先に結論
公式資料を読んで言えることは、次の4つです。
- 国税庁のAIも、「一般的な説明」までと断っています。 チャットボットのページには、回答は一般的な事項の説明である、申告は申告内容も含めて利用者自身の判断と責任で行う、と書かれています。
- 税のAIチャットボットの側にも、入力の注意があります。 「個人情報は入力しないでください」と明記され、入力した質問と表示した回答は、改善のために記録される、とあります。
- 税の決まりには「どの年分か」があります。 チャットボットは、年末調整は令和8年分、確定申告は令和7年分、のように年分を分けて対応し、過去の年分には対応していません。
- 答えを確かめる場所は、公式にそろっています。 確定申告書等作成コーナー、申告が必要かどうかの判定、タックスアンサーなどです。
見立てです。AIには、「税務署の窓口に行く前の予習ノート」を作ってもらう役割が、いちばん合っていると思います。
たとえ話:窓口に行く前の予習ノート
僕らのたとえです。公式の文書にあるものではありません。
- AIは、予習を手伝う友だちです。 「控除って何だっけ」「どんな書類があるの」と聞くと、おおまかに教えてくれます。ただ、友だちの記憶は、いつの時点のものか分からないことがあります。
- 国税庁のページとツールは、窓口の係の人です。 その年の決まりに沿った、正式な案内が出ます。
予習ノートがあると、窓口やページで読むときに、迷いにくくなります。でも、ノートに書いたことを、そのまま申告書に写してはいけません。
頼んでよいこと、頼まないこと
次の表は、公式資料を読んだうえでの、僕らの整理です。
| 頼んでよいこと(予習) | 頼まないこと(判断) |
|---|---|
| 「控除」「源泉徴収」などの用語を、ふつうの言葉で説明してもらう | 「自分は確定申告が必要か」を決めてもらう |
| 準備するもの(書類の名前、集める資料)を、一般的な言い方で教えてもらう | 「この控除を使えるか」「いくら戻るか」を計算してもらう |
| 国税庁の公式ページで調べる言葉(キーワード)を教えてもらう | 税務署への申告書を、AIの答えだけで書く |
| 窓口や専門家に聞きたいことの質問リストを作ってもらう | 家族の事情や収入の細かい数字を貼って、「どうすれば得か」を聞く |
左は、調べる入口を作る作業です。右は、その年の決まりを、自分の事情に当てはめる作業で、結果に責任が付きます。国税庁のチャットボットが、判断を利用者自身のものとしているのも、ここにあたります。
国税庁のチャットボット「ふたば」は、何と言っているか
国税庁のチャットボット「ふたば」のページを、2026年10月16日に読み、10月22日に読み直しました(この記事に書いた点は、読み直しても同じでした)。
- AIを使った自動応答で、職員が答えるのではありません。 質問は、メニューから選ぶか、自由に文字で入れます。AIが質問の意図を読み取り、回答を選んで表示します。
- 24時間使えます。 メンテナンスの時間は除きます。対象は個人の国税の相談で、年末調整(令和8年分)、所得税の確定申告(令和7年分)、消費税の確定申告(令和7年分)、インボイス制度、贈与税の申告(令和7年分)が挙げられていました。公開の状況は、実際の画面で確かめるよう案内されています。
- 回答は一般的な説明です。 一般的な事項の説明で、申告は、申告内容も含めて利用者自身の判断と責任で行うとされています。
- 対応できないこともあります。 すべての質問に答えられるわけではなく、よく相談される内容が中心です。過去の年分は対象外です。所得税と年末調整は、日本国内の居住者を前提としています。
- 個人情報は入れません。 「個人情報は入力しないでください」と明記されています。質問と回答は、精度の向上のために、必要な範囲で記録されるとあります。
国のAIですら、判断は人が行う、と明記しています。見立てです。民間のAIの答えは、なおさら、公式で確かめる前提で使うのがよいと思います。
「どの年分か」で、答えが変わる
読んだ公式ページには、年ごとに変わる例が、いくつかありました。
- 確定申告の特集ページは、読んだ時点では、令和7年分でした。所得税の申告期限は令和8年3月16日(月)です。来年(令和8年分)の期限は、読んだページには出ていませんでした。
- タックスアンサーNo.2665は、令和8年4月1日現在の内容で、令和9年分以後は、年末調整で防衛特別所得税も対象に加わる、と書かれています。
- タックスアンサーのトップは、最新の税制改正は、別のパンフレットや手引きで確かめるよう、案内しています。
AIが学んだ時点より新しい決まりは、AIの答えに入っていないかもしれません(「知識の期限」は、同じ連載の別の記事にあります)。AIには「令和何年分の話か」を答えさせ、その年分のページで確かめます。
会社員が確定申告をしなければならない場合(国税庁・令和8年4月1日現在)
国税庁のタックスアンサーNo.1900によると、給与をもらっている人は、年末調整で所得税額が確定すれば、確定申告は原則不要です。ただし、次のような場合は必要です(還付される場合は除くとされています)。
- 給与の年間収入が2,000万円を超える人。
- 給与を1か所から受けていて、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人。
- 給与を2か所以上から受けている場合で、年末調整されなかった給与と他の所得の合計が20万円を超える人など。
- 同族会社の役員などで、その会社から貸付金の利子や賃貸料を受けている人。
ほかにも条件があります。全部は書き切れていませんので、自分が当てはまるかは、国税庁の「申告が必要な方など」のページか、タックスアンサーで確かめてください。数字や条件は、年ごとに変わりえます。
公式で確かめる道筋
国税庁の確定申告特集(令和7年分)に載っていた案内を、並べます。
- 申告が必要か。 特集の「申告が必要な方など」で、判定の流れを案内しています。(このページの本文は、今回は読めていません。)
- 用語や制度。 タックスアンサー(よくある税の質問)で調べます。年末調整は、No.2662「年末調整のしかた」など、分野別の一覧があります。
- 疑問を聞く。 チャットボット、確定申告期のよくあるお問合せ、スマホ・パソコン操作のFAQがあります。
- 書類を作る。 国税庁の確定申告書等作成コーナーが、申告書を作る公式のツールです。作る前の「ご利用ガイド」を見るよう案内されています。医療費の集計用のフォームも用意されています。
- 提出する。 特集には、スマホとマイナンバーカードでe-Tax、マイナポータル連携で自動入力する方法が、載っています。
AIで予習した用語や書類の名前は、ここで、その年分の案内と照らし合わせます。
今日からできること、やってはいけないこと
今日からできること
- 迷った言葉を、AIに「ふつうの言葉で」説明してもらう。そのうえで、国税庁のタックスアンサーで同じ言葉を探して、読み比べる。
- 「令和何年分の話ですか」とAIに聞いて、公式ページの年分と合わせる。
- 窓口や専門家に聞きたいことを、AIにリストにしてもらって持っていく。
やってはいけないこと
- AIの答えの金額や条件を、そのまま申告書に書く。
- 氏名、住所、マイナンバー、収入や家族の細かい情報を、そのまま貼る。国税庁のチャットボットでも、個人情報を入れないよう書かれています。AIへの入力は、同じ連載の個人情報の記事も見てください。
- 「いくら戻るか」「どうすれば得か」を、AIに決めさせる。
気をつけること
- 説明は、2026年10月22日に読み直した公式ページのものです(国税庁のページは、この記事に書いた点が読み直しても同じでした)。税の決まり、期限、チャットボットの対象は変わりえます。
- この記事では、AIや国税庁のチャットボットに質問して確かめていません。この記事は、公式の文書を読んだまとめです。
- 読んだページは、要約文を通して読んでいます。細かな言い回しや脚注は、原文で確かめていません。
- 申告が必要かどうかの判定フローのページと、年末調整の特集ページは、取得できず読めていません。令和8年分の確定申告の期限も、確認できていません。
- 日本税理士会連合会のページは、税理士の業務の説明が読めていません。税理士法の規定は、この記事では書いていません。
- OpenAIの利用ポリシーは、資格が必要な個別の助言を、資格をもつ専門家の関与なしに提供するAIツールを禁じています。10月22日に開いたページは、2026年11月20日から有効になる改定版(変更履歴は2026年10月21日)で、その箇所に法律・医療・税務といった例の名指しはありませんでした。その前の版(2025年10月29日)には「法律や医療の助言など」と例が挙がっていて、税務は例に出ていませんでした。改定版と前の版は、この箇所以外の違いは細かく読めていません。ほかのAI会社の規約は読んでいません。
- 各AIが税の質問にどこまで正確に答えるかは、確かめていません。
- 「予習に使う」「判断は任せない」という線引きは、公式資料を読んだうえでの僕らの見立てです。
出典
- 令和7年分 確定申告特集(国税庁、2026年10月22日確認)
- 国税庁チャットボット「ふたば」(国税庁、2026年10月22日確認)
- タックスアンサー(よくある税の質問)(国税庁、2026年10月22日確認)
- No.2665 年末調整の対象となる人(国税庁、令和8年4月1日現在の内容、2026年10月22日確認)
- No.1900 給与所得で確定申告が必要な方(国税庁、令和8年4月1日現在の内容、2026年10月22日確認)
- 確定申告書等作成コーナー(国税庁、2026年10月22日確認)
- 年末調整のタックスアンサー一覧(国税庁、2026年10月22日確認)
- Usage policies(OpenAI、2026年10月22日確認)
更新履歴
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2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者がやっていないと読める書き方 → いま:主語を記事にして、「この記事は、実際にやって確かめた記録ではありません」と書きました。運営者が使っているものを、使っていないと読ませないための直しで、内容や数字は変えていません。
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2026年10月22日 公式の資料を読み直して、次の点を直しました。
- 前:OpenAIの利用ポリシーは、資格が必要な助言の例に法律と医療を挙げていた → いま:2026年11月20日から有効の改定版では、その箇所に法律・医療・税務の名指しがない
