3行でいうと
- WhisperとObsidianを直接つなぐ公式の機能は見つかっていない。録る、文字にする、貯めるを手でつなぐ形になる。
- Whisperには、OpenAIのAPI(有料)と、自分のパソコンで動かす無料の版がある。どちらも押すだけでは使えない。
- 費用は、Obsidian本体は無料。OpenAIのgpt-transcribeは録音1分あたり0.0045ドル。
- 他人の声を録音するときは、同意を取る。文字起こしには誤りが混ざる。
人との会話は、その場で聞いているときは分かった気がしても、1週間たつと中身が思い出せません。録音して文字にしておけば、あとで検索できます。
この記事では、その流れを「録る」「文字にする」「貯める」の3つに分けて、WhisperとObsidianにどう割り振るかを整理します。
先にお断りします。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書を読んでまとめたものです。手順は「文書から組み立てた想定」で、使ってみたら書き足します。僕らの考えは「見立てです。」で始まる段落に分けました。
先に結論
- WhisperとObsidianを、直接つなぐ専用の機能は、公式の文書では見つかりませんでした。確認できていません。公式に書かれた部品を、手でつなぐ形になります。
- 流れは、(1)Obsidianの録音機能で音声をノートに入れる、(2)Whisperで文字にする、(3)文字をObsidianのノートに貼って貯める、です。
- Whisperは2通りあります。OpenAIの有料のサービス(API)として使う方法と、無料で公開されているものを自分のパソコンで動かす方法です。どちらも、普通のアプリのように押すだけとは言えません。API は小さなプログラムか、それを代わりにやってくれる道具が要ります。手元で動かす方法は、黒い画面(ターミナル)で命令を打ちます。
- 費用は、Obsidianの本体は無料です。Whisperは、手元で動かすなら無料、OpenAIのサービスのgpt-transcribeなら録音1分あたり0.0045ドルです(2026年10月22日確認)。
- 他人の声を録音するときは、同意を取ってください。この記事は法律の説明ではありません。
それぞれ何か
Whisper
OpenAIの公式の説明ページには、Whisperは「いろいろな音声で訓練された、汎用の音声認識のモデル」とあります。話した言葉を文字にする(文字起こし)、他の言語に訳す、どの言語かを見分ける、ができます。OpenAIが公開しているWhisperのプログラム(tokenizer.py)の言語の一覧には、日本語(ja)が含まれています。
名前が同じでも、実際の入り口が2つあります。
| 入り口 | 実行する場所 | 費用 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| オープンソースのWhisper | 自分のパソコン | 無料(MITライセンス) | Python、ffmpeg、黒い画面での操作 |
| OpenAIのAPI | OpenAIのサーバー | 録音の長さに応じた従量課金 | APIキー、25MBまでのファイル |
APIとは、アプリがAIを呼び出すための裏口のことです。APIキーは、その裏口を開ける長い文字列で、あなたの名前と支払いで使われる合鍵のようなものです。
Obsidian
Obsidianは、メモのアプリです。公式の説明では、メモは「ボールト」という自分のパソコンのフォルダの中に、Markdown(マークダウン)という単純な書式の文字ファイルとして保存されます。ボールトは「メモを入れる保管庫」と考えてください。
同期サービス(Dropboxなど)を使わない限り、メモのデータはパソコンの中にあります。ただし、公式のページは、データが外へ出るかを直接は書いていません。同期の道具を使えば、外に出ます。
なぜ組み合わせるのか
見立てです。Obsidianは、メモを貯めて、探して、つなげるのが得意です。一方、音声を文字にする仕組みは、Obsidianの本体には入っていません。Whisperは文字にするのが役目です。役割が重ならないので、組み合わせる意味があります。
もうひとつ、Obsidianのメモは、普通の文字ファイルです。Whisperが出した文字を貼れば、日々のメモと同じように検索できます。
つなぎ方(公式に書かれた範囲)
1. Obsidianで録音する
Obsidianの公式のヘルプに、録音は「Audio recorder(オーディオ・レコーダー)」というコアプラグイン(本体に最初から入っている追加機能)で行うと書かれています。手順は次のとおりです。
- パソコンのマイクが使える状態にしておく(公式の前提条件です)。
- ノートを作るか、開く。
- 左の帯(リボン)にある録音の印を押す。色が変わると録音が始まる。
- もう一度押すと止まり、録音がノートの末尾に埋め込まれる。
Audio recorderをオンにする設定が要るかどうかは、読んだページには書かれていませんでした。
音声ファイルはボールトの中に保存されます。ノートから埋め込みを消しても、ファイル自体は消えません。消すには、ファイルの一覧から削除します。録音ファイルの形式は、この公式ページには書かれていませんでした。確認できていません。
すでにある録音(スマホのボイスメモなど)は、ボールトに入れて使えます。Obsidianが開ける音声は、flac、m4a、mp3、ogg、wav、webm、3gpです。ただし、パソコンに入っているコーデック(音声を読む仕組み)に左右される、と書かれています。ノートに音声を埋め込む書き方は、![[ファイル名.mp3]] です。
2. Whisperで文字にする
A. OpenAIのAPIを使う場合
OpenAIの公式のガイドでは、次のとおりです。
- 1回に送れるファイルは25MBまで。形式は、mp3、mp4、mpeg、mpga、m4a、wav、webmです。Obsidianが開ける形式のうち、flacとoggは、この一覧にありません。
- 25MBを超えたら、圧縮するか、分けて送ります。文の途中で切ると精度が下がる、と書かれています。
- 使えるモデルは複数あります。公式のガイドは、録音された話を元の言語で文字にするなら「gpt-transcribe」を勧めています。話者の区別が要るなら「gpt-4o-transcribe-diarize」、単語ごとの時間や字幕の形式が要るなら「whisper-1」を挙げていますが、この2つは「非推奨(deprecated)」と書かれています。OpenAIの非推奨のページには、whisper-1、gpt-4o-transcribe、gpt-4o-mini-transcribe、gpt-4o-transcribe-diarizeの4つを2027年2月26日に終了する予定(2026年8月26日の告知)、と書かれています。ガイドには、英語への翻訳のエンドポイントも同じ日に終了予定とあります。
- 日本語が使えるかは、ガイドの文章には明記されていませんでした。確認できていません。「whisper-1」は98の言語に対応する、とあります。
B. 自分のパソコンで動かす場合
OpenAIの公開ページ(GitHub)の説明によると、次のとおりです。
- 必要なもの:Python(3.8〜3.11で動くはず、と書かれています)と、音声を扱う道具のffmpeg。場合によってRust。
- 入れる命令:
pip install -U openai-whisper - 動かす命令の例:
whisper audio.flac audio.mp3 audio.wav --model turbo - モデルは大きさで6種類あります。大きいほど速さが落ちる代わりに、より多くのメモリ(VRAM、画像用の記憶領域)を使います。
| モデル | 必要なVRAM(目安) | 速さ(largeを1とした比) |
|---|---|---|
| tiny | 約1GB | 約10倍 |
| base | 約1GB | 約7倍 |
| small | 約2GB | 約4倍 |
| medium | 約5GB | 約2倍 |
| large | 約10GB | 1倍 |
| turbo | 約6GB | 約8倍 |
速さは、高性能な専用の計算機で英語を処理した測定値で、普通のパソコンでは変わります。turboは、largeを速くしたもので、翻訳には向かない、と書かれています。日本語の文字起こしの精度は、この説明では確認できていません。
出力される文字ファイルの形式は、僕らが読んだ範囲では確認できていません。
3. 文字をObsidianに貯める
Whisperの出した文字を、新しいノートに貼ります。録音のノートに続けて貼れば、音声と文字が同じ場所に並びます。
Obsidianの「プロパティ」を使うと、ノートの先頭に日付やタグを付けられます。公式の書き方は、ノートの先頭を --- の行で囲み、date: 2026-10-08 や tags: の下に項目を並べる形です。あとで「会議」のタグで探す、といった使い方ができます。
見立てです。会議ごとに、ノートの題名に日付と相手の名前を入れておくと、後から探しやすいと思います。
コミュニティプラグインについて
Obsidianには、第三者が作った追加機能(コミュニティプラグイン)の仕組みがあります。Whisperを呼び出すものがあるかもしれません。ただし、この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。
公式のセキュリティのページには、コミュニティプラグインは、パソコンのファイルを読み、インターネットにつなぎ、別のプログラムを入れることもできる、と書かれています。最初は「制限モード」でオフになっています。作者を信頼できるときだけ、オフにするよう勧められています。録音や会議の内容を扱うなら、慎重に選んでください。
費用(2026年10月22日確認)
通貨はすべて米ドルです。税は別、変わることがあります。
| 項目 | 金額 | 確認元 |
|---|---|---|
| Obsidian本体 | 無料。仕事で使う場合も、商用ライセンスの購入は必須でない(1人あたり年50ドル。組織には購入を勧めている) | 料金ページ |
| Obsidian Sync(端末間の同期) | 年払いで月4ドル、月払いで月5ドル | 料金ページ |
| OpenAI gpt-transcribe | 1分あたり0.0045ドル | 料金ページ、モデルのページ(2か所で一致) |
| OpenAI gpt-4o-transcribe | 1分あたり0.006ドル(非推奨、2027年2月26日に終了予定) | 料金ページ、非推奨のページ |
| OpenAI gpt-4o-mini-transcribe | 1分あたり0.003ドル(非推奨、2027年2月26日に終了予定) | 料金ページ、非推奨のページ |
| OpenAI whisper-1 | 1分あたり0.006ドル(非推奨、2027年2月26日に終了予定) | 価格はモデルのページのみ(料金ページの表には載っていなかった)。終了予定は非推奨のページ |
| オープンソースのWhisper | 無料 | GitHub(MITライセンス) |
計算すると、gpt-transcribeで1時間の録音を文字にして、0.27ドルです。これは僕らの計算で、日本円の金額や為替は確認していません。
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向く人・向かない人
見立てです。向きそうなのは、次のような人です。
- 自分の打ち合わせやインタビューを、あとで検索できる形で残したい人。
- 黒い画面の操作に抵抗がない、または手伝ってくれる人がいる人。
- メモを外に出したくない人。手元で動かす方法なら、音声がOpenAIに送られません(見立てです。READMEには、通信しないとは明記されていません)。
見立てです。向かなそうなのは、次のような人です。
- 押すだけで議事録まで出てほしい人。その場合は、会議の道具に最初から付いた文字起こし(前の記事、会議の議事録をAIで作る)のほうが近いです。
- 古いパソコンで長い録音を処理したい人。手元で動かすと、時間がかかるかもしれません。
入力した音声は、どう扱われるか
- 手元のWhisper:パソコンの中で処理します。
- OpenAIのAPI:公式の「あなたのデータ」のページによると、APIに送ったデータは、同意しない限りモデルの訓練や改善に使われません。不正利用の監視のためのログは、最大30日保存されます。特別な審査を通った顧客は、保存しない設定にできます。音声の文字起こしの窓口は、その対象に入っています。
気をつけること
- この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書を読んでまとめたもので、手順は文書から組み立てた想定です。
- WhisperとObsidianを直接つなぐ公式の機能は、見つけられませんでした。「つなぐ」のは、手でファイルや文字を移す作業です。
- 日本語の文字起こしの精度、Obsidianの録音の形式、Whisperが出す文字ファイルの形式は、確認できていません。
- 手元で動かす手順は、READMEの記載です。パソコンの種類、Pythonの版で、つまずく可能性があります。
- OpenAIのモデルの名前と料金は、変わりやすいです。whisper-1の料金は、モデルのページ1か所だけで確認しました。whisper-1などの旧モデルは2027年2月26日に終了予定なので、新しく作るなら、終了日の前に別のモデルへ移る前提で考えてください。
- 人の会話を録音して文字にするときは、本人の同意を取ってください。録音の法的な扱いは、この記事では調べていません。個別の判断は、専門家に相談してください。
- 文字起こしには誤りが混ざります。名前、数字、日付は、元の音声で確かめてください。
- 画面の名前は、英語の公式ページから書いています。日本語の画面では確かめていません。
出典
- Whisper(OpenAI、GitHub、2026年10月22日確認)
- tokenizer.py(OpenAI Whisper、GitHub、2026年10月8日確認)
- Speech to text(OpenAI API Docs、2026年10月22日確認)
- Pricing(OpenAI API Docs、2026年10月22日確認)
- gpt-transcribe(OpenAI API Docs、2026年10月22日確認)
- whisper-1(OpenAI API Docs、2026年10月22日確認)
- Your data(OpenAI API Docs、2026年10月22日確認)
- Deprecations(OpenAI API Docs、2026年10月22日確認)
- Audio recorder(Obsidian Help、2026年10月22日確認)
- Accepted file formats(Obsidian Help、2026年10月8日確認)
- Embed files(Obsidian Help、2026年10月8日確認)
- Properties(Obsidian Help、2026年10月8日確認)
- How Obsidian stores data(Obsidian Help、2026年10月8日確認)
- Community plugins(Obsidian Help、2026年10月8日確認)
- Plugin security(Obsidian Help、2026年10月8日確認)
- Pricing(Obsidian、2026年10月22日確認)
更新履歴
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2026年10月25日 書き方を直しました。
- 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
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2026年10月22日 公式の資料を読み直して、次の点を直しました。
- 前:OpenAIのサービスは録音1分0.0045ドルから → いま:gpt-transcribeなら1分0.0045ドル
- 前:話者の区別はgpt-4o-transcribe-diarize、字幕形式はwhisper-1 → いま:この2つは「非推奨」と書かれている
- 前:モデルの終了予定の記載なし → いま:whisper-1など4つを2027年2月26日に終了予定(2026年8月26日の告知)
- 前:whisper-1は英語への翻訳にも使える → いま:英語への翻訳のエンドポイントも同じ日に終了予定
- 前:商用ライセンスは購入が必須でない → いま:1人あたり年50ドル、購入は必須でないと金額を明記
- 前:移行の注意なし → いま:新しく作るなら、終了日の前に別のモデルへ移る前提で考える
