3行でいうと

  • WhisperとObsidianを直接つなぐ公式の機能は見つかっていない。録る、文字にする、貯めるを手でつなぐ形になる。
  • Whisperには、OpenAIのAPI(有料)と、自分のパソコンで動かす無料の版がある。どちらも押すだけでは使えない。
  • 費用は、Obsidian本体は無料。OpenAIのgpt-transcribeは録音1分あたり0.0045ドル。
  • 他人の声を録音するときは、同意を取る。文字起こしには誤りが混ざる。

人との会話は、その場で聞いているときは分かった気がしても、1週間たつと中身が思い出せません。録音して文字にしておけば、あとで検索できます。

この記事では、その流れを「録る」「文字にする」「貯める」の3つに分けて、WhisperとObsidianにどう割り振るかを整理します。

先にお断りします。この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書を読んでまとめたものです。手順は「文書から組み立てた想定」で、使ってみたら書き足します。僕らの考えは「見立てです。」で始まる段落に分けました。

先に結論

それぞれ何か

Whisper

OpenAIの公式の説明ページには、Whisperは「いろいろな音声で訓練された、汎用の音声認識のモデル」とあります。話した言葉を文字にする(文字起こし)、他の言語に訳す、どの言語かを見分ける、ができます。OpenAIが公開しているWhisperのプログラム(tokenizer.py)の言語の一覧には、日本語(ja)が含まれています。

名前が同じでも、実際の入り口が2つあります。

入り口 実行する場所 費用 主な条件
オープンソースのWhisper 自分のパソコン 無料(MITライセンス) Python、ffmpeg、黒い画面での操作
OpenAIのAPI OpenAIのサーバー 録音の長さに応じた従量課金 APIキー、25MBまでのファイル

APIとは、アプリがAIを呼び出すための裏口のことです。APIキーは、その裏口を開ける長い文字列で、あなたの名前と支払いで使われる合鍵のようなものです。

Obsidian

Obsidianは、メモのアプリです。公式の説明では、メモは「ボールト」という自分のパソコンのフォルダの中に、Markdown(マークダウン)という単純な書式の文字ファイルとして保存されます。ボールトは「メモを入れる保管庫」と考えてください。

同期サービス(Dropboxなど)を使わない限り、メモのデータはパソコンの中にあります。ただし、公式のページは、データが外へ出るかを直接は書いていません。同期の道具を使えば、外に出ます。

なぜ組み合わせるのか

見立てです。Obsidianは、メモを貯めて、探して、つなげるのが得意です。一方、音声を文字にする仕組みは、Obsidianの本体には入っていません。Whisperは文字にするのが役目です。役割が重ならないので、組み合わせる意味があります。

もうひとつ、Obsidianのメモは、普通の文字ファイルです。Whisperが出した文字を貼れば、日々のメモと同じように検索できます。

つなぎ方(公式に書かれた範囲)

1. Obsidianで録音する

Obsidianの公式のヘルプに、録音は「Audio recorder(オーディオ・レコーダー)」というコアプラグイン(本体に最初から入っている追加機能)で行うと書かれています。手順は次のとおりです。

  1. パソコンのマイクが使える状態にしておく(公式の前提条件です)。
  2. ノートを作るか、開く。
  3. 左の帯(リボン)にある録音の印を押す。色が変わると録音が始まる。
  4. もう一度押すと止まり、録音がノートの末尾に埋め込まれる。

Audio recorderをオンにする設定が要るかどうかは、読んだページには書かれていませんでした。

音声ファイルはボールトの中に保存されます。ノートから埋め込みを消しても、ファイル自体は消えません。消すには、ファイルの一覧から削除します。録音ファイルの形式は、この公式ページには書かれていませんでした。確認できていません。

すでにある録音(スマホのボイスメモなど)は、ボールトに入れて使えます。Obsidianが開ける音声は、flac、m4a、mp3、ogg、wav、webm、3gpです。ただし、パソコンに入っているコーデック(音声を読む仕組み)に左右される、と書かれています。ノートに音声を埋め込む書き方は、![[ファイル名.mp3]] です。

2. Whisperで文字にする

A. OpenAIのAPIを使う場合

OpenAIの公式のガイドでは、次のとおりです。

B. 自分のパソコンで動かす場合

OpenAIの公開ページ(GitHub)の説明によると、次のとおりです。

モデル 必要なVRAM(目安) 速さ(largeを1とした比)
tiny 約1GB 約10倍
base 約1GB 約7倍
small 約2GB 約4倍
medium 約5GB 約2倍
large 約10GB 1倍
turbo 約6GB 約8倍

速さは、高性能な専用の計算機で英語を処理した測定値で、普通のパソコンでは変わります。turboは、largeを速くしたもので、翻訳には向かない、と書かれています。日本語の文字起こしの精度は、この説明では確認できていません。

出力される文字ファイルの形式は、僕らが読んだ範囲では確認できていません。

3. 文字をObsidianに貯める

Whisperの出した文字を、新しいノートに貼ります。録音のノートに続けて貼れば、音声と文字が同じ場所に並びます。

Obsidianの「プロパティ」を使うと、ノートの先頭に日付やタグを付けられます。公式の書き方は、ノートの先頭を --- の行で囲み、date: 2026-10-08 や tags: の下に項目を並べる形です。あとで「会議」のタグで探す、といった使い方ができます。

見立てです。会議ごとに、ノートの題名に日付と相手の名前を入れておくと、後から探しやすいと思います。

コミュニティプラグインについて

Obsidianには、第三者が作った追加機能(コミュニティプラグイン)の仕組みがあります。Whisperを呼び出すものがあるかもしれません。ただし、この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。

公式のセキュリティのページには、コミュニティプラグインは、パソコンのファイルを読み、インターネットにつなぎ、別のプログラムを入れることもできる、と書かれています。最初は「制限モード」でオフになっています。作者を信頼できるときだけ、オフにするよう勧められています。録音や会議の内容を扱うなら、慎重に選んでください。

費用(2026年10月22日確認)

通貨はすべて米ドルです。税は別、変わることがあります。

項目 金額 確認元
Obsidian本体 無料。仕事で使う場合も、商用ライセンスの購入は必須でない(1人あたり年50ドル。組織には購入を勧めている) 料金ページ
Obsidian Sync(端末間の同期) 年払いで月4ドル、月払いで月5ドル 料金ページ
OpenAI gpt-transcribe 1分あたり0.0045ドル 料金ページ、モデルのページ(2か所で一致)
OpenAI gpt-4o-transcribe 1分あたり0.006ドル(非推奨、2027年2月26日に終了予定) 料金ページ、非推奨のページ
OpenAI gpt-4o-mini-transcribe 1分あたり0.003ドル(非推奨、2027年2月26日に終了予定) 料金ページ、非推奨のページ
OpenAI whisper-1 1分あたり0.006ドル(非推奨、2027年2月26日に終了予定) 価格はモデルのページのみ(料金ページの表には載っていなかった)。終了予定は非推奨のページ
オープンソースのWhisper 無料 GitHub(MITライセンス)

計算すると、gpt-transcribeで1時間の録音を文字にして、0.27ドルです。これは僕らの計算で、日本円の金額や為替は確認していません。

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向く人・向かない人

見立てです。向きそうなのは、次のような人です。

  • 自分の打ち合わせやインタビューを、あとで検索できる形で残したい人。
  • 黒い画面の操作に抵抗がない、または手伝ってくれる人がいる人。
  • メモを外に出したくない人。手元で動かす方法なら、音声がOpenAIに送られません(見立てです。READMEには、通信しないとは明記されていません)。

見立てです。向かなそうなのは、次のような人です。

  • 押すだけで議事録まで出てほしい人。その場合は、会議の道具に最初から付いた文字起こし(前の記事、会議の議事録をAIで作る)のほうが近いです。
  • 古いパソコンで長い録音を処理したい人。手元で動かすと、時間がかかるかもしれません。

入力した音声は、どう扱われるか

  • 手元のWhisper:パソコンの中で処理します。
  • OpenAIのAPI:公式の「あなたのデータ」のページによると、APIに送ったデータは、同意しない限りモデルの訓練や改善に使われません。不正利用の監視のためのログは、最大30日保存されます。特別な審査を通った顧客は、保存しない設定にできます。音声の文字起こしの窓口は、その対象に入っています。

気をつけること

  • この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません。この記事は公式の文書を読んでまとめたもので、手順は文書から組み立てた想定です。
  • WhisperとObsidianを直接つなぐ公式の機能は、見つけられませんでした。「つなぐ」のは、手でファイルや文字を移す作業です。
  • 日本語の文字起こしの精度、Obsidianの録音の形式、Whisperが出す文字ファイルの形式は、確認できていません。
  • 手元で動かす手順は、READMEの記載です。パソコンの種類、Pythonの版で、つまずく可能性があります。
  • OpenAIのモデルの名前と料金は、変わりやすいです。whisper-1の料金は、モデルのページ1か所だけで確認しました。whisper-1などの旧モデルは2027年2月26日に終了予定なので、新しく作るなら、終了日の前に別のモデルへ移る前提で考えてください。
  • 人の会話を録音して文字にするときは、本人の同意を取ってください。録音の法的な扱いは、この記事では調べていません。個別の判断は、専門家に相談してください。
  • 文字起こしには誤りが混ざります。名前、数字、日付は、元の音声で確かめてください。
  • 画面の名前は、英語の公式ページから書いています。日本語の画面では確かめていません。

出典

更新履歴

  • 2026年10月25日 書き方を直しました。

    • 前:運営者が使っていないと読める書き方 → いま:「この記事は、実際に使って確かめた記録ではありません」。公式の資料を読んでまとめた記事で、使い心地は書いていない、という意味に直した
  • 2026年10月22日 公式の資料を読み直して、次の点を直しました。

    • 前:OpenAIのサービスは録音1分0.0045ドルから → いま:gpt-transcribeなら1分0.0045ドル
    • 前:話者の区別はgpt-4o-transcribe-diarize、字幕形式はwhisper-1 → いま:この2つは「非推奨」と書かれている
    • 前:モデルの終了予定の記載なし → いま:whisper-1など4つを2027年2月26日に終了予定(2026年8月26日の告知)
    • 前:whisper-1は英語への翻訳にも使える → いま:英語への翻訳のエンドポイントも同じ日に終了予定
    • 前:商用ライセンスは購入が必須でない → いま:1人あたり年50ドル、購入は必須でないと金額を明記
    • 前:移行の注意なし → いま:新しく作るなら、終了日の前に別のモデルへ移る前提で考える